「医療保険の入院給付金は日額5000円で十分?」「入院保障は1日いくらに設定するべき?」と、医療保険の入院給付金をいくらにするべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
入院給付金とは日額、もしくは一時金として給付金がもらえる入院保障のことをいいます。
高額療養費制度や傷病手当金などの公的医療保険制度を利用すれば、入院時の自己負担費用や経済的負担を軽減することができますが、それだけでは不安な人も多いでしょう。
本記事では「医療保険の入院給付金は日額5000円で十分?」と悩んでいる人に向けて、入院費用の相場、日額5000円にした場合のメリット・デメリット、金額設定のポイントについて保険のプロが解説します。
この記事を読んでわかること
入院時の「1日あたり」の平均自己負担費用は約2.1万円
入院時に支払った自己負担費用と逸失収入の総額は、平均で26.8万円
突然の入院に「生命保険」で備えている人は全体の63.6%
目次
昨今では入院が短期化している
昨今では入院日数が短期化している傾向にあります。
2022年度「生活保障に関する調査」によると、20代から70代までの平均入院日数は17. 7日となっています。
また、5日未満の入院が全体の約2割、5日〜7日の入院が約3割と、7日以内の入院で約半数を占める結果となっています。
このような傾向もあり、医療保険を過剰に手厚くし、月々の保険料の負担を大きくする必要性はあまりないのかもしれません。
実際のデータをもとに「入院日額5000円」の保障は妥当なのか確認していきましょう。
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入院にかかる費用はいくら?入院費用の相場
生命保険文化センターが実施した「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」のデータをもとに、入院にかかる費用を詳しく見ていきましょう。
※生命保険文化センターにおける自己負担費用の定義
(注1):過去5年間に入院し、自己負担を支払った人をベースに集計
(注2):高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
(注3):治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品費などを含む
入院時の自己負担費用(入院日数別・1日あたり)
入院時の自己負担費用ですが、「入院日数別」でみると、平均自己負担費用は「19.8万円」です。
また、5日未満の入院であれば8.7万円、5日〜7日入院であれば15.2万円の自己負担額になります。
次に「1日あたり」の平均自己負担費用は「約2.1万円」です。
割合が1番多い自己負担費用は1~1.5万円未満で、23.3%となっています。
なお、入院1日あたり5000円未満だった人の割合は13.8%です。
入院時の逸失収入の割合と金額
直近5年間に入院経験がある人で、「逸失収入がある」と答えた人は全体の17.4%、「逸失収入はない」と答えた人は62.7%となっています。
また、「ある」と答えた人の逸失収入の合計金額は平均30.2万円となっており、1日あたりの平均額は約2.1万円です。
5万円未満で済んだ人は14.2%、5万円~10万円未満の金額で済んだ人は25.5%になります。
入院時の自己負担費用と逸失収入の総額
入院時に支払った医療費などの自己負担費用と逸失収入の総額は、平均で26.8万円です。
最も割合が高かったのは10万円〜20万円で全体の32%、次いで、5万円〜10万円未満で23.3%を占めています。
ちなみに、5日未満の入院の平均額は9.6万円、1日あたりの金額で換算すると、約2.4万円です。
自己負担費用や逸失収入の充当手段は主に生命保険
入院した際の自己負担費用や逸失収入の充当手段として最も割合が高いのは「生命保険」となっており、全体の63.6%を占めています。
次いで預貯金、家族の収入と続きます。
年代別に見ても、20〜70代のすべての年代で生命保険が最も多くなっています。
特に、20~60代の働く世代では保険でカバーしている割合が高くなっています。
70代は保険での備えと預貯金での備えにそれほど大きな差は無く、世代間の違いがあるようです。
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入院給付金を日額5000円にした場合のメリット・デメリット
入院給付金を日額5000円にした場合のメリットは、支払う保険料の負担を抑えられることです。
日額を1万円にした場合と比べると保険料が安くなるため、「最低限の保障がほしい人」や「勤め先の福利厚生が充実しており、実際に入院した際の自己負担金額が抑えられる人」などは、日額を5000円にして加入するのが良いでしょう。
一方で、入院給付金を日額5000円にした場合のデメリットは、入院が長期化した時に給付される金額が少ないことです。
入院した際には、治療費だけでなく、食事代や日用品代、差額ベッド代なども考えておく必要があります。
また、遺失収入にも注意が必要です。
会社員や公務員であれば、有給休暇や傷病手当金などの保障が受けられますが、自営業の人にはそういった制度はないため、入院期間中に減少する収入の補填も考えなければいけません。
日額3000円?5000円?1万円?いくらがベスト?
医療保険に加入する際、入院給付金の日額は、3000円や5000円、1万円など選択肢はさまざまです。
いくらの日額がベストなのか迷うところですが、家族構成や年代などにより備えておくべき金額は変わります。
たとえば、自治体の施策によって子どもの医療費が抑えられる場合、子どもの治療費にたいする入院日額は3000円あれば十分といえるかもしれません。
しかし、子どもの付き添いやお見舞いのためパートを休む状況になれば世帯収入が減少してしまうため、気兼ねなく子どもの側にいるためには遺失収入を加味した入院日額にしておくのがベストとも考えられます。
あくまで一例ではありますが、「入院日額5000円」という金額だけをみて多いか少ないか判断するのではなく、自分の環境や金銭状況等に当てはめて考えることが大切です。
医療保険の入院給付金の金額を決める時のポイント
医療保険の入院給付金の金額を決める時のポイントについて、保険のプロが解説します。
①公的医療保険制度でどのくらい保障されるか確認
医療保険を検討する際は、公的医療保険制度でどのくらい保障されるかも含めて検討するのが良いでしょう。
医療費が高額になった際には「高額療養費制度」という公的医療保険制度があります。
高額療養費が適用された場合の自己負担額を目安に保障の金額を調整すると良いでしょう。
また、会社員や公務員の人であれば、高額療養費制度に加えて「傷病手当金」といった制度もあるため、自分の場合はどのくらい給付が受けられるのか、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
例)高額療養費制度
高額療養費制度とは、1ヶ月にかかった医療費の自己負担額に、年齢や所得に応じて自己負担額の上限を定め、上限を超えた分の医療費を還付してくれる制度のことです。
自己負担額の上限を決める際の区分は、「69歳以下」と「70歳以上」に分けられます。
また、69歳以下の自己負担額は、年収によって5つの区分に分けられます。
以下のケースで自己負担額を計算してみましょう。
例:35歳/年収500万円/1ヶ月の医療費100万円
年収が370万円〜770万円の場合、1ヶ月の自己負担額の上限を以下のように計算します。
8万100円 +(医療費 - 26万7000円)× 1%
1ヶ月の医療費100万円を当てはめると、
8万100円 + (100万円 - 26万7000円)× 1%
=8万7430円
つまり、年収が370万円〜770万円の場合、100万円の医療費の自己負担額は約9万円になります。
例)傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガで会社を休んだときに、月収の2/3程度のお金を受け取れる制度のことです。
連続4日以上休んだ際に、4日目以降に休んだ日数に対して支給されます(連続10日休んだ場合は、4日目〜10日目までの7日間が対象期間)。
また、最長で通算1年6か月分の給付を受けることができ、健康保険に加入している会社員や公務員の人を対象とした制度になっています。
自営業者やフリーランスの人には適用されない制度のため、注意が必要です。
支給される金額は「直近12か月の標準報酬月額」を元に計算されます。
標準報酬月額が30万円の場合は、
30万円 ÷ 30日 = 1万円
1万円 × 2/3 =6667円 (1円未満は四捨五入)
となるため、1日あたりにもらえる手当金は6667円となります。
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②自己負担費用の平均額を参考にする
日額を決める際には、「自己負担費用の平均額」を参考にしても良いでしょう。
5日未満の入院であれば、自己負担の平均額は約8.7万円となっており、入院1日あたりの自己負担の平均額は約2.1万円です。
入院にかかる費用だけをカバーするのか、逸失収入も含めてカバーするのかによって必要額が変わるため、その点もふまえて検討しましょう。
③保障と保険料のバランスを考慮する
保障が充実すればするほど、負担する保険料の金額も大きくなります。
最低限の保障に抑えて保険料を安くするのか、保険料は高くなっても手厚い保障を持ちたいのか、保障と保険料のバランスをしっかりと考慮する必要があります。
保障内容を手厚くする場合も、日額を高くするのか、特約を付加して保障範囲を広げるのかなど、自分に合った保険の組み方を検討する必要があります。
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知っておきたい入院給付金の基礎知識
入院給付金の基礎知識について、保険のプロが解説します。
入院給付金の給付条件
入院給付金の給付条件は、「病気や怪我の治療を目的として入院すること」です。
病気や怪我の種類に条件はなく、原則入院すれば給付を受けられると思って問題ありません。
ただし、給付内容は保険会社の商品ごとに異なります。
1日入院するだけで一律10日分の入院給付金が給付される商品もあれば、入院した日数に応じて給付されるものもあります。
また、1回の入院で給付金を受けとれる日数も、30日や60日、120日など様々で、契約時に決める内容の一つです。
Q.給付金が支給されないのはどんな時?
入院したものの、給付金が支給されないケースがあります。
以下が主なケースです。
- 「責任開始日」という保険の効力が発生する前に入院した場合
- 加入時の健康告知で嘘や虚偽があったことが発覚した場合
- 保険料の払い込みがなく、契約が失効していた場合
- 給付目的で詐欺行為を行った場合
- 契約者や被保険者、給付金の受取人等が反社会的勢力の一員や関係者だと判明した場合
特に、加入時の告知などはトラブルになりやすいため注意が必要です。
入院給付金の上限回数
入院給付金の上限回数は「1入院の上限」と「通算限度日数」があるため、必ず確認しておきましょう。
「1入院の上限」は、1回の入院で連続何日までの入院が保障されるかを定めたものです。
商品によって、30日や60日、120日、180日など上限はさまざまです。
通算限度日数も、保険会社によって1000日や1095日などがありますが、なかなか上限まで使い切るケースはないため、そこまで気にする必要はないでしょう。
一時金タイプと日額タイプの違い
一時金タイプは短期間の入院でもまとまった金額を受け取れることがメリットです。
ただし、2回目の給付金を受け取れるまでに一定の期間が必要になります。
1度にもらえる給付金を小さく設定しすぎると長期入院になった場合にお金が足りなくなる可能性があります。
日額タイプの入院給付金は入院日数分の給付金が受け取れるため、基本的に長期で入院すればその分給付金も多くなります。
一方、1泊2日の入院で手術をおこなうなど「かかる医療費の割に入院が短い」場合には、受け取る入金給付金よりも病院への支払いの方が高くなってしまうことがあります。
一時金タイプと日額タイプを組み合わせることでメリット・デメリットを補い合うこともできます。
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入院時の保障だけでは不安?医療保険で備えられる保障の種類
入院時の保障だけでは不安な人も多いのではないでしょうか。
医療保険で備えられる保障の種類について、保険のプロが解説します。
手術時の保障
医療保険で備えられる保障の代表的な例が「手術時の保障」です。
入院と併せて手術にも備えておきたい人は多いでしょう。
手術給付金のタイプは2種類です。
- 入院日数×手術の種類によって、決まった倍率をかけるタイプ
- 手術の内容にかかわらず、決まった金額を受け取るタイプ
入院日数×手術の種類によって決まった倍率をかけるタイプは、保険会社ごとに倍率が異なるため、同じ病名でも給付金額が変わるケースがあります。
また、対象となる手術の種類も確認しておきましょう。
「公的医療保険の対象となる手術」を給付対象としているケースもあれば、「保険会社が定める手術」を給付対象としているケースもあるため、どちらになるかは事前に確認しておきましょう。
通院時の保障
病気や怪我で入院し、退院した後の通院にも備えたい場合には「通院保障」の特約を付加するのも良いでしょう。
注意点としては、医療保険の通院保障は「主契約の入院給付金が支払われる入院があった場合」という条件がついていることです。
通院のみで完治した場合は保障の対象外になります。
また、退院後の一定期間(退院後180日間)を保障期間とするのが一般的ですが、がんだけは退院後5年間を保障期間とする商品もあります。
気になる病気にあわせて保障期間もチェックしておきましょう。
がん・特定疾病に関する保障
がんや特定疾病で所定の状態になった場合、50万円や100万円といった金額を一時金として受け取れる保障内容が一般的ですが、保障範囲や支払条件は保険会社によってさまざまです。
がんであれば、保障範囲に上皮内新生物を含むかどうか、一時金を受け取れるのは一度だけなのか、それとも複数回なのかなどが確認しておくべきポイントです。
また、特定疾病についても、急性心筋梗塞なのか心疾患なのか、脳卒中なのか脳血管疾患なのかなど、部位によっても保障範囲が異なるケースがあるため、しっかりと確認しておきましょう。
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まとめ:医療保険の保障内容で悩んだら複数の商品を比較
医療保険は、加入を検討している人の年代や状況によって、最適な保障の組み合わせが異なります。
入院給付金の日額をいくらに設定するのか、手術給付金のタイプや追加する特約など、自分に必要な医療保険選びは難しいと感じる人も多いでしょう。
医療保険の保障内容で悩んだら、一度希望の保障条件で保険料がいくらになるか見積もりを請求してみましょう。
ほけんのコスパでは複数の商品の保険料を一度に確認することができます。
万が一に備えて、自分に合った医療保険を探してみてはいかがでしょうか。