医療保険を検討する際、どんな特約をつけたら良いのか迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。
医療保険には、「通院」「長期入院」「女性疾病」「がん」など、さまざまなリスクに手厚く備える特約を付加できます。
本記事では、医療保険の特約の選び方について、保険のプロが詳しく解説していきます。
医療保険の特約とは
医療保険は、基本的に「主契約」と「特約」からできています。
主契約は、入院日数に応じて受け取れる入院保障と、手術保障が含まれていることが一般的です。
付加できる特約は保険会社によって異なりますが、通院や先進医療に備えるものや、女性疾病を手厚く保障するものなどさまざまです。
特約は契約後に解約することも可能ですが、主契約は解約してしまうと特約も含めて契約自体が解約となります。
医療保険に付加できる特約の種類
医療保険に付加できる主な特約は次のとおりです。
保険会社によって付加できる特約は異なるため、複数の商品で比較検討をしてみるのがおすすめです。
特約の選び方
医療保険にはさまざまな特約を付加できますが、どれを選べば良いかわからない人もいるのではないでしょうか。
ここからは、それぞれの特約が自分にとって必要かを判断する基準について、プロが解説していきます。
入院一時金特約
入院一時金は、入院の日数ではなく入院1回あたりにまとまった一時金を受け取れるものです。
近年、入院日数の短期化が進んでいます。主契約の入院日額保障だけでは、短期入院の際に受け取れる金額が不十分な可能性があります。
そのため、短期入院に備えたい人や、入院時の費用はしっかり保険で賄いたいと考える人には入院一時金がおすすめです。
また、主契約の入院日額を増額するよりも、入院一時金特約を組み合わせることで保険料が抑えられるケースもあります。
保障と保険料のバランスを見ながらプランを組んでいくのが良いでしょう。
参考)平均在院日数
2023年度の厚生労働省による調査では、平均在院日数は28.4日となっています。
昭和59年以降最も短い日数で、近年入院日数が短くなってきていることが読み取れます。
また、入院患者の68.4%が14日以内に退院していることも分かります。
医療技術の発展や国の施策により、2週間前後で退院するケースが増えています。
医療保険を検討するときも、入院日数の短期化には注意しておく必要があるでしょう。
入院延長特約(特則)
医療保険の主契約である入院日額保障は、1回の入院で保障される日数が決められています。
そのため長期入院をした場合、入院した日数すべてが保障対象とならない可能性があります。
また、医療保険では「1入院」とみなす考え方が保険会社によって異なっています。
退院後一定期間経過せずに同一理由で入院した場合など、一度退院していたとしても1回の入院とみなされて入院日数が合算になることもあります。
入院延長特約(特則)の保障対象は、主に三大疾病や、三大疾病を含む生活習慣病などの特定疾病です。
これらの病気は入院が長引いたり、入退院を繰り返すリスクがあります。
生活習慣病による長引く入院に備えておきたい人は、入院延長特約(特則)を付加しておくと安心です。
特則となっている場合はあとから解約できないため注意してください。
先進医療特約
先進医療特約は、自己負担が高額になりがちな先進医療を保障する特約です。
治療にかかった技術料が全額保障され、通算限度は2000万円までと決められているのが一般的です。
先進医療特約の保険料は、月数十円~数百円ほどとなっているため、基本的には医療保険に付加しておくのがおすすめです。
加入している生命保険のいずれかに付加していれば良いですが、がん保険に付加する先進医療特約は、がんの先進医療のみが対象となり保障範囲が狭い場合もあります。
基本的に、先進医療特約は医療保険に付加しておくのが良いでしょう。
また、近年では先進医療だけでなく患者申出療養も保障対象となる商品も増えています。
保障範囲については事前に確認しておくようにしましょう。
患者申出療養とは
患者からの申出を起点として、身近な医療機関で先進的な医療を受けられる制度。利用には国の審査が必要で、治療にかかる費用は全額自己負担となる。公的医療保険制度との併用が可能。
参考)先進医療にかかる費用
先進医療は、公的医療保険制度が適用されないため、技術料は全額自己負担となります。
がん治療に用いられる「陽子線治療」や「重粒子線治療」は、平均自己負担額が200万~300万円にのぼります。
また先進医療はがん治療だけでなく、さまざまな病気の治療に用いられます。
いざという時のために治療の選択肢を幅広く持っておきたい人は、医療保険の先進医療特約を検討しましょう。
通院特約
通院特約は、入院の前後、もしくは入院後の通院が保障対象となる特約です。
保障範囲や、保障対象となる日数は保険会社によって異なるため事前に確認しておきましょう。
近年は入院日数の短期化に伴い、通院で治療をすることも増えています。
通院時の交通費や食事代などを賄いたい人にはおすすめの特約です。
通院が長引く傾向にある病気の例
- がん
- 心疾患
- 脳血管疾患
- 高血圧性疾患
- 精神疾患 など
ただし、医療保険の通院特約では、入院を伴わない通院は保障対象外となるため注意してください。
女性疾病特約
女性疾病特約は、女性特有の病気や女性に多い病気、またがん全般を保障対象とする特約です。
また、妊娠・出産時のトラブルが保障されるものもあります。
女性は20代30代の比較的若い世代でも、女性疾病や女性特有のがんの罹患リスクがあります。
主契約でも女性疾病などは保障されますが、さらに手厚く備えておきたい、個室で療養したい、という人にはおすすめです。
また、がんは種類を問わずすべて保障対象となることが一般的です。
がんに手厚く備えておきたい人にもメリットのある特約といえるでしょう。
保障範囲は保険会社ごとに異なるため、加入前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
がん(特定疾病)一時金特約
がん(特定疾病)一時金特約は、がんや三大疾病に罹患したときにまとまったお金を受け取れる特約です。
医療保険に特約としてがんや三大疾病の保障を付加することもできますし、医療保険とは別にがん保険や三大疾病保険を検討することも可能です。
医療保険に特約として付加して保険契約をまとめておくことで、給付金請求時の手続きが楽になるメリットがあります。
一方、医療保険のみを解約して、がんや三大疾病の保障だけを残すことができなくなるため、自由度を高めたい場合は別々に契約したほうが良いケースもあります。
診断一時金は1年に1度受け取れるものが多いので、1年間の治療費や収入補填として50万~100万円の間で保障額を決めることが一般的です。
がん治療(薬剤治療)給付特約
がん治療(薬剤治療)給付特約は、主に抗がん剤などの治療費負担に備える特約です。
薬剤治療を受けた月ごとに給付金を受け取れるため、長引くがん治療に備えたい人におすすめです。
がん診断一時金特約と組み合わせることが一般的ですが、できるだけ保険料を抑えたい人はがん治療(薬剤治療)給付特約を優先して検討すると良いでしょう。
生活習慣病入院特約
保険会社によっては、所定の生活習慣病で入院した際に、入院日額の上乗せで給付金を受け取れる、生活習慣病入院特約を付加できるものもあります。
生活習慣病一時金特約を付加する場合や、特定疾病保険を別途検討する場合は、この特約の必要性は低くなります。
しかし、生活習慣病入院特約のほうが比較的保険料を抑えられる傾向にあるため、最低限の保障を確保しておきたい人には良いでしょう。
ただし、あくまでも入院日数に応じた給付金額になるので、一時金特約と比較して受け取れる金額が少なくなる可能性がある点には注意が必要です。
保険料払込免除特約
保険料払込免除特約は、がんや心疾患、脳血管疾患といった三大疾病に罹患したとき、それ以降の保険料支払が免除される特約です。
病気が完治した場合でも、保険料の支払いが再開されることはありません。
大きな病気に罹患すると、医療費負担や収入の減少などで、保険料の支払いが難しくなるケースもあります。
また、保険料を一生涯払い続ける「終身払」を検討している人は、リスクヘッジのために保険料払込免除特約を付加しておくのがおすすめです。
保険料が免除になる条件は保険会社によって少しずつ異なるため、加入前に改めて確認をしておくようにしましょう。
特定損傷特約
特定損傷特約では、骨折や脱臼など特定のケガが保障対象となります。
年齢を重ねると骨折リスクが高まるため、一定の年齢になると保障が終了するものが一般的です。
加入時に保障期間を確認しておくと良いでしょう。
終身保険特約
終身保険特約は、一生涯の死亡保障を医療保険に付加できる特約です。
死亡保障の額は、医療保険の主契約である入院日額と連動しているケースが多く、大きな死亡保障を付加することは難しいのが特徴です。
そのため、葬儀費用目的など比較的少額の死亡保障を求めている人にはおすすめの特約です。
保険会社によって、掛け捨てで死亡保障を用意できるタイプと、低解約返戻金型(解約時に戻ってくるお金があるタイプ)の場合があります。
保険料にも差が出る可能性があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
参考)葬儀費用はどれくらい?
2024年1月の鎌倉新書による「第6回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)」では、葬儀費用の総額は平均118.5万円となっています。
葬儀の種類によっても費用は異なり、一般葬では平均161.3万円、家族葬では105.7万円と違いがあります。
葬儀費用目的で死亡保障を検討する場合、どれくらい規模の葬儀を希望するかによって保障額を決めるのが良いでしょう。
健康お祝い金特約(特則)
保険会社によっては、医療保険にお祝い金特約を付けられる場合があります。
お祝い金特約は、健康で過ごせば数年に1度、支払った保険料の一部が返ってくるというものです。
お祝い金を受け取れる条件は保険会社によって異なりますが、3年や5年ごとに一定の日数入院をしていないことが条件となっていることが一般的です。
保険料はこの特約を付加しない場合と比べて少し高くなりますが、お祝い金が戻ってくることで実質の保険料負担を軽減できる可能性があります。
医療保険の特約を選ぶときのポイント
ここからは、医療保険の特約を選ぶときに押さえておきたいポイントを、保険のプロが解説していきます。
保険料とのバランスに気を付ける
特約は、付ければ付けるほど保険料が高くなっていきます。
いざという時の保障は手厚いほど安心ですが、毎月継続できる保険料になっていることがとても大切です。
プランを決める際は、保険料とのバランスに気を付けて、備えたいリスクの優先順位を決めていくようにしましょう。
自分にとって必要な保障を整理する
医療保険は、主契約のみの場合必要最低限の保障になります。
短期入院をした際、思ったほど給付金が受け取れず、かかった医療費を賄えないことも考えられます。
また、がんや三大疾病に罹患した場合、退院後の通院が長引き医療費負担が大きくなるリスクもあります。
自身が経済的に困るのはどんな状況かを整理し、付加する特約を決めるのが良いでしょう。
あとから特約を付加できない可能性があることに注意する
保険会社によって、契約後には特約が付加できない場合も多くあります。
「今はどの特約を付加したら良いか迷っているから、あとで決めよう」と思っても、できない可能性が高いので注意してください。
契約時に、中長期的に見て自分にとって必要な保障を決めておく必要があります。
あとから解約できない「特則」に注意する
医療保険には、特約とは別に「特則」というものがあります。
特則は、特約と異なり、原則あとから解約できません。
契約時は、特約と特則の違いに注意しましょう。
まとめ
今回は、医療保険の特約の選び方や、特約ごとにどんな人におすすめかを紹介してきました。
近年、医療保険にはさまざまな特約が用意されています。
自分に合った特約を取捨選択し、いざという時に役立つプランにしておくことが大切です。
医療保険にどんな特約を付加したら良いか迷ったときは、ほけんのコスパの「医療保険オススメ保障30秒診断」がおすすめです。
簡単な質問に回答するだけで、医療保険のどんな特約を付加すれば良いか診断できます。
ぜひ、保険選びの参考にしてください。

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