「がん保険には入っているから、もう大丈夫」。――そう考えている方は少なくありません。しかし、その保障の“中身”まで把握できているでしょうか。
ほけんのコスパでは、外部のインターネット調査会社を通じて20~60代の男女計500名を対象に「がん保険に関する調査」を実施しました。すると、「加入している」ことと「中身を理解している」ことの間に、大きな隔たりがあることが明らかになりました。
【調査概要】
調査名:がんへの備え(保険・特約など)に関する実態調査
調査主体:株式会社モニクルフィナンシャル
調査対象:がん保険(または特約)に加入している20~60代の男女500名
調査期間:2026年5月26日から2026年5月28日
調査方法:クロス・マーケティング QiQUMOを利用した調査
目次
半数が、10年以上“見直していない”
がん保険に関して、最後に加入や見直しをした時期を尋ねると、「10年以上前」が30.2%で最多、「覚えていない」20.2%と合わせると約半数(50.4%)が、10年以上前のまま、あるいは時期すら定かでない状態でした。3年未満(16.6%)など直近に見直した人は少数派です。この傾向は年代が上がるほど強まります。
保険は加入した時点で安心を得られる商品のため、契約後に中身を確認する機会が失われがちです。しかし、がん治療の実態は変化しています。最後の見直しが10年以上前なら、加入当時の保障内容が今も通用するかを一度確認する価値は高いといえます。
毎月の保険料は、「1000円〜3000円」が23.4%で最多、次いで「3000円〜5000円」が20.6%でした。一方、自分がいくら払っているかを「把握していない」人も22.8%にのぼりました。
保険料は、保障とのバランスを測る出発点です。毎月の支払額を把握していなければ、「払い過ぎ」も「保障不足」も気づけません。保険証券やアプリで毎月の支払額を確認することが、見直しの最初の一歩になります。
がんと診断された際にまとまって受け取れる「がん診断一時金」の金額を「把握していない」人が37.8%で最多でした。把握している人でも、50万〜100万円未満27.8%、100万円以上22.4%と金額には幅があります。
がん診断一時金は、治療初期に自由に使える資金として重要で、通院治療が主流になった今ではさらに必要性が増しています。その額を把握していないと、「自己負担にいくらまで耐えられるか」の見通しが立ちません。保険証券で一時金の有無と金額を確認しておくことが大切です。
保険料を知らない人は、一時金の保障額も知らない
保険料を「把握していない」人は、がん診断一時金の額も把握していない傾向が強く、約75%が一時金額も「把握していない」と答えました。理解不足は支払金額だけではなく、保障全体への関心の低さとして連鎖していることがわかります。
初期のがんである「上皮内新生物」の給付の扱いを「把握していない」が55.2%と過半数を占め、満額22.0%・減額15.0%・対象外7.8%を合わせた“把握している人”(44.8%)を上回りました。
把握していない割合は年代を問わず高く、年齢が上の層でも理解が進んでいるわけではありませんでした。
現代医療の発展によりがんの早期発見が可能になる中、上皮内新生物の診断機会は増えています。給付が満額か、減額か、対象外かで受け取れる額は大きく変わります。万が一、上皮内新生物と診断されたときに受け取れると思っていた給付金が実は対象外だったということがないよう、保険証券をしっかりと確認しておくことをおすすめします。
近年のがん治療の主流に保障は追いついている?
近年のがん治療は、長期入院ではなく「通院による抗がん剤治療」などが主流になっていることを「知らなかった」と回答した人は34.0%でした。「なんとなく聞いたことはあった」を含めると82.2%が、治療方法の変化を正確には認識していませんでした。
治療が「入院」から「通院」へ移っているのに、入院給付を中心とした古い保障のままでは、実際にかかる費用(通院・先進医療・自由診療など)をカバーしきれないおそれがあります。
自分の保険が最新の通院治療・先進医療・自由診療を十分にカバーできていると答えたのは、わずか14.6%でした。残る85.4%は「カバーできているか少し不安」42.0%、「古い保険でカバーできていない」18.6%、「全くわからない」24.8%と、確信を持てずにいます。
この回答からわかることは、がん保険に加入しているという事実が、安心の根拠にはなっていないということです。
「全くわからない」が24.8%に上ることは、保障内容の理解不足と表裏一体です。「わからない」を放置せず保障範囲を一度確認することが、根拠のある安心につながります。
古い保険ほど「カバーできていない」
加入・見直し時期と掛け合わせると、加入時期が古いほど「十分カバーできている」が下がり、「カバーできていない/わからない」が増える傾向が見られました。「10年以上前」の層では、カバーできていない/わからないと感じる人が49.7%に達しています。
不安はあるけれども、見直せない理由は?
治療費の自己負担、収入の減少、家族への負担など、すべての項目で約8割が不安を感じると回答しました。なかでも「家族への経済的・心理的負担」79.6%、「保険でまかなえるか」79.0%が高く、「非常に不安」だけでも家族への負担は33.0%に上ります。
不安は年代とともに高まります。治療費の自己負担への不安は20代63.0%から50代82.0%へと約20ポイント上昇し、中高年ほど現実味を持って受け止めていることがうかがえます。
これだけ不安が大きければ見直しにつながりそうですが、実際にはそうなっていません。不安を感じている人でも、約4人に3人は見直しに至っていないのが実態です。不安は“動く理由”にはなっても、“動く力”にはなっていないのです。
「見直をした」と答えた人は22.2%にとどまり、77.8%は見直しをしていません。「検討したが何もしなかった」36.8%に加え、41.0%は「見直しを考えたこともない」と答えました。
見直しをした人で、最新の通院治療などに「十分にカバーできている」と回答した割合が25.2%と、未実施層(11.6%)の倍以上でした。
動いた人ほど安心を得られている一方、不安があっても多くの人は動けていないことがわかります。
見直しをしていない389人にその理由を尋ねると、「手続きが面倒」40.4%、「知識がなく方法がわからない」35.0%が上位で、「今の保障で十分」(22.4%)を上回りました。
多くの人は「今のままで十分」と納得して放置しているのではなく、必要性は感じているのに動けていないということです。「健康状態が理由で入れるか不安」も8.2%にとどまり、加入資格が壁になっているわけでもありません。
「強く必要性を感じる」10.2%、「やや必要性を感じる」54.0%で、合わせて64.2%が見直しの必要性を感じています。「強く」が1割にとどまる点には、危機感の“弱さ”も見てとれます。
ところが、必要性を感じている層(64.2%)でも、実際には見直しをしなかったと答えた人は75.1%にのぼります。認識はあるのに行動に至らない「認識と行動のギャップ」があることがわかります。また、近年のがん治療の変化を知る人ほど必要性を強く感じる傾向もあり、必要性の認識は“知識”に支えられていることもわかりました。
まとめ
本調査では、「がん保険に入っている」という安心感と、「保障の中身を理解し、現在の自分に合っているか」という事実のあいだに横たわる大きなギャップがあることがわかりました。
給付内容や保険料を十分に把握しないまま、治療の変化にも気づかず、古い保障を抱え続けている人が一定数います。がんへの不安は強いのに、見直しができていない。そのハードルは「今の保障で十分」という納得ではなく、「手続きが面倒」「どう見直せばいいかわからない」ことにありました。
加入・見直しを考えるなら、まずは次の5点を確認してみるのがいいでしょう。
1.がん診断一時金はいくら受け取れる? ― まとまったお金が出るか、その金額を確認。
2.初期がん(上皮内新生物)は対象? ― 満額か、減額か、対象外か。
3.通院・先進医療・自由診療はカバーされる? ― 入院中心の古い保障になっていないか確認。
4.最後に見直したのはいつ? ―「10年以上前」なら、治療や保障の前提が変わっている可能性大。
5.毎月いくら払っている? ― 保障とのバランスを確認。


