積立型の保険を検討する際、「標準利率」や「予定利率」といった言葉が出てきて、結局利率はいくらなのか疑問に思う人も少なくありません。
本記事では、生命保険の標準利率とは何か、予定利率との違いや保険料への影響についてFPがわかりやすく解説します。
利率変動の仕組みを正しく理解し、賢い保険選びをしましょう。
この記事を読んでわかること
標準利率は国が定める指標、予定利率は各保険会社が決める利回り
予定利率が上がると支払う保険料は安くなり、下がると高くなる
終身保険など貯蓄型は利率変動の影響が大きく、掛け捨て型の医療保険などでは限定的
目次
6.まとめ
生命保険の「標準利率」とはどのような仕組みか
生命保険における標準利率とは、保険会社が契約者のために積み立てる責任準備金の計算に用いられる指標です。
金融庁が保険会社に対して定めている指標で、保険会社の健全性を保つ役割があります。
金融庁が定める「保険会社が守るべき利回りの目安」
生命保険会社は将来の保険金支払いに備えて、契約者から預かった保険料の一部を積み立てる義務を負っています。
保険会社が積み立てるお金を「責任準備金」と呼び、その責任準備金を計算するために用いる利回りが標準利率です。
バブル期に高い利回りを約束した保険会社が、運用環境の悪化によって経営破綻に追い込まれたことがあるため、金融庁は保険会社の経営が破綻しないように標準利率を定める仕組みになりました。
標準利率は、保険会社が最低限確保すべき利回りの目安です。
契約者は保険会社が健全な経営を行っているか、標準利率の動向を通じて確認することができます。
保険を選ぶ際は各保険会社の財務状況も確認すると良いでしょう。
市場の金利(国債の利回りなど)に合わせて定期的に見直される
標準利率は常に一定ではなく、金融市場の動向に応じて変動します。
比較的安全性が高いとされる10年国債の応募者利回りを基準として計算される仕組みになっており、国債の利回りが上昇傾向にある場合は、標準利率も引き上げられる可能性が高くなります。
反対に市場金利が低下して運用環境が厳しくなると、標準利率は引き下げられる傾向にあります。
過去の推移を見ると、バブル期には高い水準を保っていましたが、低金利政策の導入にともない、標準利率も歴史的な低水準まで引き下げられました。
標準利率の引き下げに伴い、保険会社が定める「予定利率」も引き下げられ、学資保険や円建の終身保険などではバブル期と比べてメリットが少なくなる時期もありました。
保険を検討する際は、最新の金利動向をニュースなどでチェックすると良いでしょう。
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混同しやすい「標準利率」と「予定利率」の決定的な違い
標準利率と予定利率は似た言葉ですが、利率を決める主体と適用対象に違いがあります。
両者の役割について詳しく見ていきましょう。
標準利率は「国(金融庁)」が決める基準
標準利率は、国を代表する行政機関である金融庁が告示によって定める公的な指標です。
すべての生命保険会社に対して一律に適用され、責任準備金の計算という保険会社内部のルールに用いられます。
金融庁が基準を設けている理由は、保険業界全体の安定性を維持し、契約者を保護するためです。
保険会社同士が過剰な利回り競争を行い、将来の支払い能力を損なう事態を防ぐため、一律で適用する標準利率が定められています。
市場金利が変動した際、金融庁は所定の計算式に基づいて標準利率を見直します。
標準利率を直接意識する機会は少ないものの、保険会社の健全性を支える指標として知っておくと良いでしょう。
予定利率は「各保険会社」が独自に決める利回り
予定利率は、各生命保険会社が自社の運用実績や経営方針に基づいて独自に設定する利回りのことです。
保険会社は契約者から預かった保険料を運用して、利益を出すことを前提としています。
運用によって得られると見込まれる収益率が予定利率にあたります。
予定利率は保険会社ごとに異なり、同じ保険会社でも商品によって設定が変わる場合があるため、保険加入前に確認しておくことが大切です。
運用成績が好調な保険会社は、予定利率を高く設定して競争力を高めることも可能です。
また、アメリカやオーストラリアなど、日本よりも金利が高い国の債券で運用する商品の場合、予定利率が高くなるケースもあります。
保険商品のパンフレットや設計書に記載されている利回りのほとんどは、予定利率を指しています。
保険を比較する際は、各社が設定する予定利率の違いに注目すると良いでしょう。
私たちが支払う保険料に直接影響するのは「予定利率」
毎月支払う保険料の金額を直接左右するのは、標準利率ではなく予定利率です。
保険会社は予定利率の分だけあらかじめ保険料を割り引いて計算するため、予定利率の高さが保険料の安さにつながります。
予定利率が高く設定されると、運用による利益が多く見込めるため、契約者が負担する保険料は安くなります。
逆に予定利率が低い場合は、運用益が少なくなるため保険料は高く設定されます。
金融庁が標準利率を引き下げた場合、多くの保険会社は追随して予定利率を引き下げます。
結果として保険料が値上がりし、支払った保険料に対して解約時や満期時に受け取れる金額の割合が低くなることにつながるのです。
金利変動のニュースを見た際は、加入予定商品の予定利率がどう変わるかを確認することが大切です。
保険加入後に「利率」が変動する保険もある?
保険料の計算に使われる「予定利率」は、契約時に決定され、保険期間中ずっと固定されることが基本です。
加入後に市場金利が変動しても、支払う保険料が変わることはありません。
ただし、貯蓄型保険の中には「積立利率変動型」と呼ばれる商品があります。
これは、保険料の計算に使う予定利率とは別に、解約返戻金などを増やすための「積立利率」が市場の金利に合わせて定期的に見直される仕組みです。
たとえば、積立利率が10年ごとに見直される商品の場合、支払う保険料は一定のままですが、将来受け取れる解約返戻金や保険金が金利状況によって変動します。
利率が下がるリスクもありますが、最低保障が設けられている商品が一般的です。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年3月1日―2026年3月31日)
標準利率の変動は「保険料」にどのような影響を与えるか
標準利率が変動すると、各保険会社が設定する予定利率も変更され、結果的に私たちが支払う保険料に影響が出ます。
金利の動きと保険料の増減について詳しく解説します。
利率が上がると、支払う保険料は「安くなる」傾向にある
市場金利が上昇して標準利率が引き上げられると、保険会社は予定利率を高く設定しやすくなります。
予定利率が上がると運用による収益が多く見込めるため、契約者から集める保険料を抑えることが可能です。
結果として、同じ保障内容であっても、利率引き上げ後に契約したほうが保険料は安くなります。
運用期間が長い保険商品は、利率上昇による割引効果をより感じやすいでしょう。
ニュースなどで金利上昇が報じられたタイミングは、保険への加入や見直しを検討する良いタイミングです。
保険料の負担を少しでも減らすために、金利の動向を見極めてから申込むのもひとつの方法です。
ただし、金利を気にしすぎるあまり必要な保障の準備が遅れてしまわないよう、注意が必要です。
利率が下がると、支払う保険料は「高くなる」傾向にある
市場金利が低下して標準利率が引き下げられた場合、保険会社は予定利率を低く見直すことになります。
予定利率が下がると運用による利益を期待できなくなるため、不足分を補うために保険料を引き上げざるを得ません。
予定利率の低下は、契約者の負担に直結する可能性があるのです。
マイナス金利政策が導入された時期には、多くの保険会社が予定利率を引き下げ、保険料の値上げが実施されました。
金利低下のニュースが流れた際は、値上げ前に保険へ加入する駆け込み需要が発生しやすくなります。
保険料が高くなる前に、必要な保障を確保しておくことがポイントです。
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標準利率の変動による影響を受けやすい保険の種類
標準利率の変動は、すべての保険商品に同じように影響するわけではありません。
学資保険など貯蓄性の高い保険には影響が大きい一方で、掛け捨て型の医療保険などにはさほど影響ありません。
詳しく見ていきましょう。
終身保険や学資保険などの「貯蓄型保険」は影響が大きい
終身保険や学資保険、個人年金保険などの貯蓄型保険は、標準利率の変動による影響を受けやすい保険です。
貯蓄型保険は運用される金額が多く期間も長いため、予定利率のわずかな違いが最終的な受取額や支払保険料の総額にも影響します。
利率が下がると、元本割れのリスクが高まったり、満期時に受け取れる金額が減少する可能性があります。
貯蓄型保険への加入を検討する場合は、金利の動向に注意しておく必要があるでしょう。
日本の金利が低い時期は、外貨建保険や変額保険など、別の運用手段も選択肢に含めて比較検討するのもおすすめです。
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掛け捨ての定期保険や医療保険は影響が比較的小さい
定期保険や医療保険、がん保険などのいわゆる掛け捨て型保険は、標準利率の変動による影響をあまり受けません。
掛け捨て型保険の保険料は、運用による利益よりも、死亡率や疾病の発生率といった別のデータを主な基準として計算されます。
そのため、予定利率が変更されても保険料への跳ね返りは限定的です。
掛け捨て型の死亡保険の場合、生命表(死亡率や平均余命などの指標を表したもの)の改定があると、保険料の改定が行われることがあります。
掛け捨て型の保障を準備したい人は、金利の動向を過度に気にする必要はありません。
自分や家族にとって必要なタイミングで、適切な保障内容の保険へ加入することを優先しましょう。
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標準利率に関するよくある質問
標準利率や予定利率に関する疑問について、保険のプロが分かりやすく回答します。
契約後の利率変更や、見直しのタイミングについて正しい知識を身につけましょう。
Q. 過去に契約した保険の利率が、後から変更されることはありますか?
A. 「予定利率」については、契約した時点のものが適用されるため、後から変更されることはありません。
加入後に市場金利が良くなっても悪くなっても、支払う保険料は変わらない仕組みです。
一方で、前述した「積立利率変動型」の商品に加入している場合は、市場金利の動きによって「積立利率」が定期的に見直され、将来受け取る金額が変動することがあります。
ご自身の保険が固定型なのか変動型なのか、パンフレットや保険証券でしっかり確認しておきましょう。
Q. 利率が上がるニュースを見たら、今の保険を解約して入り直すべきですか?
A. 解約控除や健康状態のリスクを考慮して慎重に判断する必要があります。
市場金利の上昇にともない、新しく発売される保険の予定利率が引き上げられることがあります。
条件が良くなった新しい保険に乗り換えるべきかどうか迷う人もいるでしょう。
しかし、加入中の契約を早期に解約すると、解約控除が適用され元本割れを起こすリスクがあります。
また、新しく保険に入る際は健康状態の確認があり、状況によっては加入できないケースもあるでしょう。メリットとデメリットを慎重に比較検討することが重要です。
まとめ
金利の動向を見極めることは、賢い保険選びの第一歩です。
とはいえ、金利に縛られて必要な保障の確保を先延ばしにしてしまうのは問題です。
まずは、自分に合った保険商品を見極め、無駄のないリスク対策をすることが大切です。
ほけんのコスパでは、簡単な質問に答えるだけで自分にとって必要な保険を診断できる「ほけん必要度診断」をおすすめしています。
保険選びに迷っている方は、ぜひ一度試してみてください。

最適な保険選びは、将来の安心に繋がります。
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