医療保険の保障額を決めるためには、実際入院したときの負担額をイメージし、どれだけ保険でカバーしておきたいかを考えることが大切です。
保険のプロが入院保障の適正額について、ステップごとに分かりやすく解説していきます。
自分にはどれくらいの医療保障が必要なのか一緒に計算していきましょう。
この記事を読んでわかること
入院日額は、入院時の想定医療費負担額÷平均的な入院日数で算出
入院時の負担額は高額療養費制度を目安に計算できる
短期入院には入院一時金特約も検討する
目次
入院日額の決め方
入院日額を決める基本的な考え方は以下の通りです。
では、入院日額を決める方法を順番に見ていきましょう。
STEP1 まずは入院時の自己負担費用について知る
医療保険の保障額を決めるには、実際に入院した時どれくらいお金がかかるのかをイメージしておく必要があります。
医療費が発生した時、現役世代であれば保険証を提示することで3割負担となります。
さらに、入院や手術で医療費が高額になった場合は、「高額療養費制度」を利用することで自己負担を軽減できます。
高額療養費制度は、1カ月の医療費負担の上限額が定められており、その額を超えた分はあとから返還される仕組みです。
医療費の上限額は年収や年齢によって異なっており、以下の通りです。
(厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆様へ(平成30年8月診療分から)」を参考にほけんのコスパ編集部で作成)
※2025年3月時点
※2025年8月以降、自己負担額引き上げの動きがあります。
年収500万円の人が入院をし、仮に医療費が100万円かかったとします。
以下の図のように、高額療養費制度を利用することで、実際の自己負担額を8万7430円まで抑えることができます。
(厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆様へ(平成30年8月診療分から)」を参考にほけんのコスパ編集部で作成)
高額療養費制度は月をまたぐと再度計算することになるので、入院が長引くとそれだけ実質の自己負担額も大きくなっていきます。
医療保険で入院時の医療費をしっかり賄いたい人は、高額療養費を利用したときの自己負担額の1カ月~2カ月分程度を受け取れるような保障額にしておくと安心でしょう。
参考)入院時の自己負担額平均
2022年度の調査によると、入院時の自己負担額の平均は19.8万円です。
最も割合が多かったのは「10万円~20万円」となっています。
また、30万円以上の負担があったと回答した人も全体の19%ほどいることが分かります。
大きな病気に罹患し入院日数が長くなるとそれだけ負担額が大きくなる可能性もあるため、医療費の支払いに困らないよう今から備えておくのがおすすめです。
STEP2 公的医療保険制度対象外の費用を知る
入院時には、医療費以外にも何かとお金がかかります。
代表的なものは、食事代と差額ベッド代です。
特に、入院時に個室療養を希望する人は差額ベッド代も加味して医療保険の日額を検討しておく必要があります。
個室の料金は地域によっても異なりますが、平均で1日あたり8322円です。
入院日数が長引くほど大きな負担となりますので、注意が必要です。
STEP3 平均在院日数から日額を決める
医療保険の入院日額は、入院1日ごとに受け取れる金額です。
そのため、実際に入院することになったらどれくらいの日数になるのかを知っておくことも大切です。
厚生労働省の病院報告(令和5年3月分概数)によると、入院患者全体の平均在院日数は26.2日となっています。
しかし、これは入院日数が長いとされる精神科病棟なども含めた全体の数値です。
同じ年の調査によると、入院患者全体の68.4%は14日以内で退院していることが分かります。
これらを基に、医療保険の適正な日額について見ていきましょう。
年収500万円の人が、1カ月の自己負担額を医療保険で賄うには
7000円前後の日額保障にしておけば、1カ月の医療費負担を賄える可能性があることが分かりました。
ただし、差額ベッド代を医療保険で賄いたい人は、入院日額を決める際に考慮しておく必要があります。
Point「入院一時金」で短期入院への備えを検討する
入院日額の決め方について見てきましたが、実際のところ何日間入院することになるかは誰にも分かりません。
1週間で退院することになり、思ったよりも医療保険で給付金を受け取ることができないケースも考えられます。
そんなときのために、「入院一時金特約」を組み合わせる方法もあります。
入院一時金特約とは、入院した日数に関係なく一時金を受け取れるものです。
比較的短期の入院に備えたい場合は、日額を少し下げてその分入院一時金を付加することで効率よく医療費負担に備えられる可能性があります。
保険料のバランスも見ながら、一度自分でプランを検討してみるのが良いでしょう。
入院一時金は、短期入院の場合にも一定の給付金を受け取れるメリットがあります。
ただし、精神疾患や脳血管疾患などの比較的入院が長引く病気に罹患した場合は、日額保障を重視しておくほうが結果的に受け取れる給付金額は大きくなる可能性があります。
どんな状況に重点的に備えておきたいか、事前に考えたうえでバランスの取れたプランにしておくのが良いでしょう。
参考)日本人の入院日額平均加入額
実際にどれくらいの入院日額を準備している人が多いのでしょうか。
2022年度の調査によると、全体平均は8700円で、男性のほうが女性よりも1500円ほど高い結果となっています。
(2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」|生命保険文化センターを参考にほけんのコスパ編集部で作成)
日額保障は高くすれば高くするほど、毎月の保険料負担も大きくなります。
継続して支払える範囲にとどめておくことも、保険選びでは大切なポイントです。
まとめ
今回は、医療保険の入院保障の決め方について詳しくご紹介してきました。
まずは、いざというときにどれくらいお金がかかるのかを知っておくことが大切です。
そのうえで、どれくらい医療保険で賄いたいかを考えましょう。
今回は一例として入院日額の計算を行いましたが、年齢や年収によって医療負担の額は異なります。
また、医療保険で全額医療費をまかないたいのか、ある程度貯蓄から支払っても良いのかによってもプランの決め方は異なります。
保険料とのバランスも考慮しながら、自分に合ったプランを検討してみてください。
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