三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)は誰にでも起こりうるリスクです。
もしもの時に経済的な負担を軽減してくれるのが三大疾病保険ですが、「一時金はいくら必要なのか?」「500万円で足りるのか?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、三大疾病のリスクや治療にかかる費用を解説し、ご自身にとって適切な保障額を決めるためのシミュレーションを紹介します。
この記事を読んでわかること
がん・心疾患・脳血管疾患は日本人の死因上位を占める病気
入院が長引いたり、通院治療が必要になって経済的な負担が大きくなるリスクが高い
一時期の額を決めるときは、自己負担額の目安を知っておくことが大切
三大疾病保険とは
三大疾病保険とは、がん、心疾患、脳血管疾患といった重い病気になった際に、一時金や給付金を受け取れる保険です。
三大疾病は治療が長引いたり、入院や手術が必要になったりすることが多く、経済的な負担が大きくなる可能性があります。
三大疾病保険に加入することで、経済的なリスクに備えることができます。
三大疾病保険の加入率
特定疾病補償保険の加入率の画像
民間の保険に加入している世帯では、特定疾病保障保険・特定疾病保障特約の加入率は 50.4%となっています。
特定疾病補償保険の加入率の画像
世帯主年齢別にみると、30代~50代では半分以上の世帯が特定疾病保障保険・特定疾病保障特約に加入しており、50代では6割を超えています。
半数以上の世帯が三大疾病に対する保障を用意しており、関心が高いことが伺えます。
三大疾病で受け取れる主な給付金
三大疾病保険で受け取れる主な給付金
一時金:診断確定時にまとまった金額を受け取れる
入院給付金:入院日数に応じて給付金を受け取れる
手術給付金:手術の種類に応じて給付金を受け取れる
三大疾病のいずれかに罹患して、保険会社の定める条件に該当した場合に、まとまった一時金を受け取ることができるものが一般的です。
また、がんや心疾患(急性心筋梗塞)、脳血管疾患(脳卒中)で手術を受けたときや入院、通院時に給付金を受け取れるものもあります。
支払い対象となる病気の種類や給付金を受け取れる回数は保険商品によって異なります。
自分のニーズに合ったものを選べるよう、加入前に必ず確認をしておきましょう。
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三大疾病のリスク
厚生労働省、生命保険文化センターなどの数字から、三大疾病のリスクについて、詳しく見ていきましょう。
年齢が上がると三大疾病の罹患率があがる
三大疾病は、年齢とともに罹患率が高くなる傾向にあります。
また、治療が長引いたり、後遺症がのこったりする可能性もあり、経済的な負担だけでなく、精神的な負担も大きくなります。
リハビリを続けている間、働けないことによって、収入が減少してしまうリスクもあります。
がんの罹患率
国立がん研究センターが行った「累積がん罹患リスク(2020年データに基づく)」によると、男女共に約2人に1人はがんに罹患していることがわかります。
男性の生涯がん罹患リスクは62.1%と女性の48.9%と比較して高くなっています。
心疾患の罹患率
厚生労働省が行った「令和5年(2023)患者調査)」によると、心疾患(高血圧性のものを除く)の推計患者数の合計は約196万人です。
人口10万人に対しての受療率を見ると、入院と外来を合わせて約0.16%となっています。
受療率は男性の方が若干高い傾向にあります。
(参考:令和5年(2023)患者調査)|厚生労働省)
脳血管障害の罹患率
同じ厚生労働省の調査によると、脳血管疾患の推計患者数の合計は約184万人となっています。
人口10万人に対しての受療率は、入院と外来を合わせて約0.15%です。
(参考:令和5年(2023)患者調査)|厚生労働省)
三大疾病の死亡リスクは高い
厚生労働省の「死亡数・死亡率(人口10万対)、死因簡単分類別」の資料を見ると、三大疾病は、日本の死亡率として全体の約46%を占めています。
また、男女ともに死因の上位5つの中に三大疾病がすべて含まれている状態です。
三大疾病は、日本の代表的な死因だといえるでしょう。
(参考:令和5年 第6表 死亡数・死亡率(人口10万対),死因簡単分類別(2-1)|厚生労働省)
(参考:令和5年 第7表 死亡数・死亡率(人口10万対),年齢(5歳階級)・死因順位) 別|厚生労働省)
三大疾病の治療は長引く可能性がある
三大疾病の治療は、手術や入院だけでなく、リハビリテーションなど長期にわたる場合があります。
そのため、治療費だけでなく、生活費の負担も考慮する必要があります。
厚生労働省の「傷病分類別にみた年齢階級別退院患者の平均在院日数」の資料を見ると、がんと心疾患に関しては、2週間前後の入院期間となっており、比較的短期入院が増えています。
しかし、通院での治療が長引く傾向にあります。
がんや心疾患は一度罹患すると完治が難しく、長期にわたって病気と付き合っていくケースも少なくありません。
一方で、脳血管疾患は平均在院日数が2カ月前後と、他の病気と比較しても非常に長いことが特徴です。
脳血管疾患に罹患すると、後遺症のリハビリが必要なケースも多く、平均在院日数が長引く傾向にあります。
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料は?

三大疾病にかかる費用
三大疾病に罹患した場合、医療費や入院費以外にも次の費用がかかります。
- 医療費・入院費用
- 先進医療の費用
- 自由診療
- 治療費以外の費用
- 生活費
それぞれの項目ごとに解説します。
医療費・入院費用
三大疾病によって入院したときの1入院あたりの平均的な医療費は、次の通りです。
三大疾病の1入院あたりの費用は、88万~259万円ほどと幅があります。
実際の自己負担額を3割として考えたとき、がん(悪性新生物)は約27万円前後、急性心筋梗塞は約37万円~57万円、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患で約50万円~78万円です。
高額療養費制度により、軽減された自己負担額で済むといえますが、入退院の繰り返しや通院治療など「積み重ねの医療費」も考慮する必要があります。
(参考:2023年度重症度別急性期グループ医療費:診療アウトカム評価事業 | 公益社団法人全日本病院協会)
(参考:2023年度重症度別慢性期グループ医療費:診療アウトカム評価事業 | 公益社団法人全日本病院協会)
先進医療の費用
先進医療とは、厚生労働省に認められた最先端の治療法であり、技術料は公的医療保険の適用外となるため、全額自己負担です。
例えば、がん治療に用いる「陽子線治療」は約265万円、「重粒子線治療」は約320万円前後の技術料がかかります。
自由診療
自由診療とは、日本ではまだ認可されていない医療技術や薬剤を使った治療のことです。
自由診療を行う場合、本来公的医療保険が適用されるその他の治療部分もすべて全額負担となります。
技術料だけを全額自己負担とする先進医療と比べても、非常に高額な治療費になることが予想される診療方法です。
差額ベッド代や雑費
公的医療保険制度が適用されない費用についても、考慮しておく必要があります。
入院時に個室で療養したい場合は「差額ベッド代」が上乗せされたり、通院治療のために交通費がかかることもあるでしょう。
また、がん治療の後遺症によっては、医療用ウィッグや介護用品などの「雑費」も必要になることもあります。
治療費以外の費用は、公的医療保険制度の対象外となるため、あらかじめ念頭に置いておきましょう。
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生活費
治療をしている間も生活費はこれまで通り必要になるお金です。
三大疾病の場合、今まで通り働くことができなくなって収入が減少したり、介護が必要になることで出費が増え、家計に影響を与えることも考えられます。
生活費以外にも、配偶者や家族には「介護や看護の役目も担う」という負担がかかることもあります。
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三大疾病保険の一時金は500万円必要?
三大疾病保険の一時金は500万円も必要か悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
保険のプロが、自分に合った三大疾病保険の一時金の決め方をご紹介します。
必要額の計算例
まずはじめに、治療費と自己負担額の目安を確認しましょう。
三大疾病の場合、自己負担を3割とすると、1入院あたり27万円~78万円ほどの費用がかかります。
高額療養費制度を利用することで、さらに自己負担額を軽減することが可能です。
年収によって実際の自己負担額は変動しますが、年収約370万円〜770万円の人であれば、1カ月の治療費の自己負担額はだいたい9万円前後です。
高額療養費の上限額を支払った月が1年以内に3回以上となった場合、4回目からは多数該当としてさらに自己負担額が軽減されます。
これらをふまえて、1年間治療をつづけた場合の自己負担額の目安は次の通りです。
【治療開始~3カ月】
約9万円×3カ月=27万円
【4カ月目以降】
4万4400円×9カ月=39万9600円
合計:66万9600円
加えて、入院時の食事代1食490円と、差額ベッド代は全額自己負担となります。
また、収入の減少が発生する可能性もあるため、月々の生活費の不足分も考慮しておく必要があります。
一時金を500万円とした場合、金銭的な不安は少ないといえるでしょう。
商品によっては一時金の設定できる上限額が決まっていて、500万円で契約できない場合もあります。
また、一時金を500万円とすると、毎月の保険料が高額になる可能性もあります。
保険料を抑えるため、三大疾病保険の一時金を100万円にしようと考える人もいるでしょう。
一時金100万円でも、ある程度の治療には対応できますが、治療の長さや再発の有無、家庭状況などは人それぞれです。
保険料を抑えつつ、長引く治療にも備えたい人には「治療給付金」が受け取れる特約を検討すると良いでしょう。
(参考:入院時の食費について|厚生労働省)
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三大疾病保険に加入時の2つの注意点
三大疾病保険に加入する際には、支払条件や支払回数、免責期間などを確認することが大切です。
三大疾病保険に加入時の2つの注意点について解説します。
支払条件
三大疾病保険は、商品によって給付金の支払条件が異なります。
対象の疾患を「がん(悪性新生物)・心疾患・脳血管疾患」と定めているものもあれば、「がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中」と定めているものもあり、保険を選ぶ際には注意が必要です。
「心疾患」とは「急性心筋梗塞」を含む心臓の疾患の総称であり、「脳血管疾患」も「脳卒中」を含む脳血管の疾患の総称となります。
より幅広い保障を求める場合は「心疾患」「脳血管疾患」を保障の対象としている商品を選ぶのが良いでしょう。
それぞれの病気に罹患してどのような条件に該当すれば給付金が受け取れるかも、商品によって異なります。
入院を1日でもすれば給付金が支払われるものもあれば、「入院日数が20日以上、もしくは手術を受けること」「所定の障害状態に該当した時」といった条件が設けられていることもあります。
加えて、三大疾病に備える保険の中には、万が一の死亡時にも備えられる商品もあります。
保険に加入するときは、事前に必ず支払条件を確認しておきましょう。
支払回数
三大疾病保険は、商品によって給付金を受け取ることができる回数が異なる点にも注意しましょう。
例えば、三大疾病のいずれかに該当した場合に一時金が支払われ、保険はその時点で終了するタイプの商品もあれば、条件に該当すれば回数無制限で一時金が支払われるタイプの商品もあります。
「再発や転移に備えたい」「一生涯保障があった方が安心」という場合は、一時金が複数回支払われる商品を選ぶのがおすすめです。
一方、「給付金の受け取りは一度で良いので大きな金額が欲しい」場合は、一時金の支払いが1回きりの商品で大きな保障額を設定するのも良いでしょう。
免責期間
一般的な三大疾病保険には、「がん(悪性新生物)」に関して免責期間が設けられています。
免責期間はたいていの場合90日間とされており、保険に加入してから90日以内にがんと診断された場合は、保障の対象外になります。
そのため、人間ドックや健康診断の直前に慌てて保険に加入したとしても、保障対象とならないことも考えられます。
保険は健康なうちに余裕を持って検討するのがおすすめです。
「心疾患」「脳血管疾患」の保障は加入後すぐに保障される商品が多くなっていますが、保険会社によって保障開始時期が異なることもあります。
念のため、いつから保障がスタートするのか事前に確認しておきましょう。
まとめ
三大疾病保険は、いざというときの経済的な負担に備えられる保険です。
しかし、必要な保障額は、人それぞれ異なります。
自分に必要な保障がわからない人は、ほけん必要度診断がおすすめです。
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