高額療養費制度とは、1カ月間(同じ月の1日から末日まで)に医療機関や薬局の窓口で支払った額が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた額が後から支給される制度です。
がんの治療費が高額になった際には心強い制度ではありますが、所得によって自己負担額限度額が決まったり、例外があったりなど複雑な制度でもあります。
そのため、「高額療養費制度の対象になるのか不安」「具体的にいくらくらい保障してもらえるのか」と思っている人も少なくないでしょう。
本記事では高額療養費制度の対象外になるケースやがんの治療にかかる費用などを社労士監修のもと、わかりやすく解説します。
※本記事は2024年6月時点の制度内容をもとに作成しています
※本記事では一般的な内容かつ一例を記載しています。制度について不明点がある場合はお住まいの市区町村でご確認ください
この記事を読んでわかること
公的医療保険の対象外の治療は高額療養費制度の対象にならない
高額療養費制度の上限額は、年齢や所得に応じて定められている
限度額適用認定証を利用することで、医療機関窓口での1カ月の支払いを最初から自己負担限度額までにすることができる
目次
高額療養費制度とは
高額療養費制度
高額療養費制度とは、1カ月間(同じ月の1日から末日まで)に医療機関や薬局の窓口で支払った額が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた額が後から支給される制度のこと
自己負担限度額は、その人の年齢や年収によって異なります。
例えば70歳未満の人で年収が500万円の人の場合、医療費の自己負担限度額は「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」で計算できます。
仮に入院した際の医療費の合計額が100万円だった場合は、自己負担限度額は「8万100円+(100万円-26万7000円)×1%」の8万7430円になります。
3割負担の人は、医療費100万円の自己負担額が30万円のため、後から21万2570円が払い戻される計算です。
なお、自己負担額の中で、「差額ベッド代」や「入院時の食事代の一部負担」、「先進医療の技術料」などは、高額療養費制度の対象にならないため注意が必要です。
自己負担額
公的医療保険制度(健康保険、国民健康保険)の加入者は、高額療養費制度を利用することができます。
加入者は、高額療養費制度の利用によって医療費を自己負担限度額までに抑えることができます。
ただし、自己負担限度額に達するまでは医療費の支払いが必要なことには注意が必要です。
1カ月あたりの自己負担限度額は、年齢や所得によって変わってきます。
まず、年齢が70歳未満であるか70歳以上であるかで分かれており、さらに、月収または年間の課税所得によって分かれています。
自己負担限度額について、年齢や所得別に計算方法とともに詳しく見ていきましょう。
70歳未満の限度額
70歳未満の人の1カ月の上限額は、所得水準により5種類に分かれていて、ひと月の上限額が決まっています。
- 年収が約1160万円以上の人・・・25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
- 年収が約770万円~約1160万円の人・・・16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
- 年収が約370万円~約770万円の人・・・8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
- 年収が約370万円までの人・・・5万7600円
- 住民税非課税者の人・・・3万5400円
例えば、70歳未満で年収が900万円の人が100万円の医療を受けたとして計算してみましょう。
まず、医療費の自己負担限度額は「16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%」で計算できます。
かかった医療費が100万円なので、自己負担限度額は、16万7400円+(100万円-55万8000円)×1%=17万1820円になります。
3割負担の場合は、医療費100万円の自己負担額が30万円のため、後から12万8180円が戻ってくる計算になります。
70歳以上の限度額
70歳以上の場合、区分は6種類に分かれています。
- 現役並み世帯(年収が約1160万円~の人)・・・25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
- 現役並み世帯(年収が約770万円~約1160万円の人)・・・16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
- 現役並み世帯(年収が約370万円~約770万円の人)・・・8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
- 一般世帯(年収が156万円~約370万円までの人)・・・5万7600円(外来(個人ごと):1万8000円)
- 住民税非課税世帯・・・2万4600円(外来(個人ごと):8000円)
- 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など)・・・1万5000円(外来:8000円)
例えば、年収が200万円の人の場合、一般世帯に該当するため、ひと月の上限額は、外来(個人ごと)が1万8000円、ひと月の上限額(世帯ごと)が5万7600円です。
年収200万円の人の1カ月の自己負担額が外来だけで3万円の場合は、3万円-1万8000円=1万2000円が支給されます。
入院などして12万円を自己負担したとすると、12万円-5万7600円=6万2400円が支給されます。
多数該当
直近12カ月以内に3回以上、医療費が自己負担限度額に達して高額療養費が支給されている場合、4回目からは「多数回該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
例えば、70歳未満で年収が900万円の人が100万円の医療を受けたとすると、3割負担の人の場合は、本来は自己負担額が30万円になります。
医療費の自己負担限度額は、16万7400円+(100万円-55万8000円)×1%=17万1820円になりますので、高額療養費として後から12万8180円が支給されます。
高額療養費が12カ月以内に3回支給されている場合、4回目からは「多数回該当」となり、自己負担額が9万3000円になります。
世帯合算
一人で複数の病院を受診している場合や、同じ世帯の家族が病院を受診した場合には、自己負担額を世帯で合算することができます。
合算した医療費の額が自己負担限度額を超えた場合には、高額療養費の支給を受けることができます。
この仕組みを「世帯合算」といいます。
ただし、いくつか注意するポイントがあります。
- 「同じ世帯の家族」とは、同じ公的医療保険に加入している必要があります。
- 70歳未満の人の合算可能な自己負担額は、1カ月につき、2万1000円以上のものについて合算することができます。
- 70歳以上の人は自己負担額をすべて合算できますが、75歳以上の人は「後期高齢者医療制度」に加入しているため、74歳以下の人との合算はできせん。
高額療養費制度の対象外となるがんの治療費
高額療養費制度の対象になるのは、通常の病院等で行う治療で公的医療保険が利用できる治療だけです。
公的医療保険の利用できない医療費については、高額療養費制度の対象にはなりません。
公的医療保険でカバーできないがんの治療費について見ていきましょう。
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保険適用外の治療費
保険適用外の治療費には、まず、医療保険が適用にならない治療費があります。
・先進医療を受けた場合
国が認可している特定の医療機関で行っている最先端治療を受けた場合、診察や検査費用などは保険適用になるが、そのほかの先進医療については全額自己負担になります。
先進医療の医療費は、かかる医療費を大きく左右します。
・自由診療を受けた場合
国の認可は受けていない最先端の治療を受ける場合は、診察や検査費用などを含めて全額自己負担になります。
差額ベッド代
差額ベッド代
差額ベッド代とは、通常の大部屋と異なり、条件の整った個室等に入室した場合にかかる費用のこと
差額ベッド代は、公的医療保険の対象外になっているため、費用の全額を自己負担する必要があります。
差額ベッド代が必要な個室等を選択した場合、入院が長期になると差額ベッド代の負担額が増え、思った以上に治療費が高額になることがありますので注意しましょう。
食事療養費
健康保険の加入者が入院した場合、入院中の食事代は1食あたり490円が自己負担額になって徴収されます。
また、住民税非課税世帯の人に関しては、下記のように負担額が軽減されます。
- 入院日数が90日までは1食あたり230円
- 入院日数が91日目からは1食あたり180円
- 所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者は1食あたり110円
上記の食事代は自己負担額になります。
残りの金額は食事療養費として公的医療機関が負担します。
雑費
これまで見てきた費用以外にも、下記のような費用が自己負担になります。
・交通費、宿泊費
医療機関への通院や入院した場合に家族が見舞うための電車・バス・タクシー代、ガソリン代や駐車料金がかかります。
また、先進医療を受けるための医療機関を受診している場合には、受診できる医療機関が遠方にある場合には、交通費や宿泊費がかかります。
・消耗品費
入院する場合には、パジャマや洗面用具、ティッシュなどの日用品やテレビを見るためのプリペイドカードの購入などの出費が発生します。
先進医療を受けられる医療機関
先進医療
先進医療とは、厚生労働大臣が定めた先進的な医療技術を用いた療養の中で、公的医療保険の対象になっておらず、承認を受けた医療機関でのみ行われる医療技術のこと
先進医療は最先端の技術を用いて行うため、安全性や有効性が確保できるための設備や環境が必要です。
そのため、先進医療を受けられる医療機関は限られています。
がんの先進医療としては、陽子線治療や重粒子線治療があります。
治療を受けられる医療機関は厚生労働省の先進医療を実施している医療機関の一覧を参考にしてください。
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・傷病手当金
・医療費控除
・高額医療・高額介護合算療養費制度
がんの治療費を軽減する制度について説明していきます。
傷病手当金
傷病手当金
傷病手当金とは、会社員などの社会保険加入者が仕事以外の理由で病気やケガで休業し、収入が減少した場合に、被保険者とその家族の生活を支えるために支給される手当のこと
傷病手当金は、会社員や公務員などの健康保険の被保険者が、仕事以外の原因による病気やケガのために会社を休むことになり、その間、収入が減ってしまう場合に支給されます。
会社を休んでいる間の被保険者とその家族の生活保障のために、加入している健康保険や共済組合から支給される手当金です。
傷病手当金は、支給開始日から通算して1年6カ月間支給されます。
また、傷病手当金の1日あたりのおおよその支給額は、会社を休む前の給与1日分の3分の2の金額です。
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医療費控除
医療費控除
医療費控除とは、本人やそのほかの家族の分も含めて、1年間に支払った医療費が一定の基準額を超えた場合に、税務署に確定申告することで所得税の還付を受けられる制度のこと
医療費控除は毎年1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象になります。
対象の医療費は、納税者本人または、納税者と生計を共にしている配偶者やそのほかの家族が支払った医療費になります。
ただし、美容や整形のための費用や健康診断、人間ドックの費用などは対象にはなりません。
高額医療・高額介護合算療養費制度
高額医療・高額介護合算療養費制度
高額医療・高額介護合算療養費制度とは、同一世帯の医療保険の加入者を対象に、毎年8月1日から翌年7月31日までの医療保険と介護保険の合算額が、基準額を超えた場合に、申請することによって、その超えた額が支給される制度のこと
ただし、医療保険、介護保険の自己負担額のどちらかが0円の場合は支給されません。
また、70歳未満の人の医療保険の自己負担額は、医療機関別、入院・通院の別、医科・歯科の別で2万1000円以上ある場合が合算の対象です。
入院時の食事負担額や差額ベッド代等は含まれませんので注意してください。
がんの治療費はどのくらい?【ケース別の計算例】
厚生労働省が発表している「令和3年度 医療給付実態調査」を参考に、平均的ながんの治療費を種類別にまとめました。
公的医療保険制度を利用する場合
健康保険等の公的医療保険制度を利用する場合で、窓口での負担額が3割とした場合の医療費の自己負担額を前述の医療費総額から計算しました。
公的医療保険制度を利用した場合は、窓口での負担額が最大で3割にはなりますが、1件平均の入院治療費で平均21万8000円程度、1件平均の通院治療などの入院外治療費でも平均2万円程度の治療費がかかっています。
傷病手当金と医療費控除を利用した場合
次に傷病手当金と医療費控除を利用した場合の治療費について見ていきます。
傷病手当金は、支給開始日以前1年間の標準報酬月額が平均50万円とすると、
標準報酬月額の30分の1に相当する額:50万円÷30≒1万6670円(10円未満四捨五入)
傷病手当金の1日あたりの支給額:1万6670円×3分の2=1万1113円(1円未満四捨五入)
30日間ある月の場合、1万1113円×30日=33万3390円が傷病手当金として支給されます。
ただし、傷病手当金は、給与額50万円が休業で受けられない代わりの生活保障のため、治療費を直接的に軽減することにはなりません。
医療費控除は、加入しているがん保険などで補填されている保険金があれば、医療費から保険金の額を差し引いて残りの額が10万円以上であれば確定申告することにより還付が受けられます。
具体的に還付される金額につきましては、年末調整や確定申告の他の申告内容によって金額が変わってきますので、ここでは計算しません。
高額療養費制度を利用する場合
高額療養費制度が利用できた場合、治療費はどのくらい軽減されるのでしょうか。
例えば、40代の男性で、年収600万円(月収50万円)の人が、胃の悪性新生物の治療で1カ月入院したと仮定します。
1カ月間にかかる治療費は、厚生労働省の資料によると、平均額で入院分が20万286円、通院(入院外)分が1万3131円で合計が21万3417円でした。
年齢が40代で、年収が600万円の場合、医療費の自己負担限度額は、
8万100円+(21万3417円-26万7000円)×1%=8万100円
自己負担限度額が8万100円ですので、21万3417円-8万100円=13万3317円が後から高額療養費として支給されます。
オプジーボを使用する場合
オプジーボ
オプジーポとは、がんに対する治療薬のこと。薬価が高価で、1年間使用すると1000万円を超える価格になることもる
オプジーポは、日本において世界で初めて皮膚がん(メラノーマ)の治療薬として承認された後、非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫へと適用を拡大させています。
薬価が高価なため、仮に1000万円としても、自己負担が3割の場合、300万円かかってしまうことになります。
ただし、高額療養費制度を利用すれば、年齢や年収によって変わりますが、自己負担額が最大で25万円+α程度に軽減されるでしょう。
高額療養費制度の対象外の治療を行う場合
それでは、高額療養費制度の対象外の治療を行うケースについて見ていきます。
具体的には、先進医療を受けるケースと自由診療を受けるケースについて見ていきます。
先進医療のケース
先進医療は高額療養費制度の対象外のため、先進医療を受けるのにかかる費用は、全額自己負担(保険適応外)になります。
料金は、先進医療の種類や先進医療を受ける医療機関によって変わります。
例として、70歳未満で月給50万円の給与所得者が、1カ月の医療費が300万円、そのうち先進医療の技術料が200万円かかった場合で見ていきます。
まず、医療費の300万円が公的医療保険対象の100万円と公的医療保険対象外の200万円に分けられます。
患者さんの自己負担割合は3割なので、公的医療保険対象の100万円は、
- 7割の70万円は公的医療保険が負担
- 3割の30万円のうち、高額療養費制度により、自己負担額は8万7430円、残りの21万2570円は高額療養費として後から支給される
先進医療の200万円は、全額自己負担になるため、医療費の自己負担額の合計は、8万7430円+200万円=208万7430円が支払う医療費になります。
自由診療のケース
自由診療
自由診療とは、公的医療保険の適用がされない医療技術や薬剤による治療を受けること
自由診療となる治療をいくつか挙げると、「自家がんワクチン療法」や「網羅的がん遺伝子検査」、「高精度放射線治療SBRTによる巨大肺腫瘍の治療」などがあります。
自由診療を利用することにより、治療の選択肢が増えて、自分の体や病気に合った治療を制限することなく受けることができます。
他にも、日本ではまだ未承認だが、海外では承認済みになっている最先端治療を受けることもできるところが、自由診療のメリットです。
デメリットとしては、医療費を全額負担しなければならないために、医療費が高額になることがあげられます。
また、日本で未承認の治療を受けることで、不測の事態にならないとも限らない問題もあります。
経済的負担が大きくなることを頭に入れておきましょう。
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しかし、がんに罹患したことにより、会社を休職・退職しなければならなくなるケースもあります。
会社を休職・退職した場合、仕事で得られるはずだった収入が得られなくなる場合もあります。
手術費や入院費を払うことができない場合は、早めに治療を受ける医療機関に相談しましょう。
また、がんに関する相談を無料・匿名で利用できる「がんに関する相談窓口」もあります。
「がん情報サービスサポートセンター」が、がん相談支援センターを探す手伝いをしてくれます。
がん情報サービスサポートセンター
[電話番号]
0570-02-3410(ナビダイヤル)
03-6706-7797
[受付時間]
平日10時~15時(土日・祝日を除く)
限度額適用認定証
高額療養費制度においては、医療費を支払って、後から自己負担限度額を超えた金額を支給してもらうだけではなく、事前に申請しておくこともできます。
事前申請により、一時的に高額の医療費を立て替える必要がなくなります。
具体的な申請方法ですが、加入している健康保険の窓口で、限度額適用認定証の発行申請を行います。
健康保険の方では所得区分を認定し、限度額認定証には認定された所得区分が記載されます。
病院の窓口で、健康保険証と一緒に限度額適用認定証を提示すると、自己負担限度額までしか請求が行われないことになります。
高額療養費制度だけでは足りない保障はがん保険で備える
高額療養費制度を利用することで、がんの治療にかかる費用は軽減することができますが、すべての費用をまかないきれないケースもあります。
例えば、先進医療や自由診療といった公的医療保険対象外の治療を受けると、自己負担額が数百万円にのぼることもあります。
そのほか、入院時に個室を利用した場合に必要になる差額ベッド代やウィッグ代、病院までの交通費など、小さな負担が積み重なり大きな負担となっていきます。
このような負担に加え、がん治療中は思うように働けず収入が減少してしまうこともあります。
がん保険は、このような経済的な負担をカバーするためのものです。
また、がんと診断されたときに提携医療機関やセカンドオピニオンの紹介などのサービスを提供している保険会社もあります。
がんの罹患者の中には、「セカンドオピニオンを受けたい」「有名な先生に見てほしい」と考える人もいます。
紹介状は簡単に書いてもらえないこともあるため、保険会社のサービスを利用することも選択肢のひとつになるでしょう。
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がん保険でもらえるお金の種類
一般的ながん保険では、がんと診断されたときにまとまったお金を受け取れる「がん診断給付金」が保障のメインとなっています。
診断給付金の用途は自由なので、治療費や入院費だけでなく、収入が減少したときの生活費として活用することもできます。
また、近年のがん治療は、抗がん剤治療などを通院で行うことが主流となっています。
そのため、治療を受けた月ごとに給付金が支払われる「がん治療給付金」も一般的な保障のひとつです。
さまざまな出費に対応するための「がん診断給付金」と、長引く通院治療を継続的に保障する「がん治療給付金」を組み合わせて、がん保障を用意する人が増えています。
加えて、がんの入院や手術に備えたり、女性特有のがんに手厚く備えられる保険商品もあります。
がん保険の加入率
実際にどれくらいの人ががん保険に加入しているのでしょうか。
がん保険・がん特約の加入率は男女ともに30代から増加傾向にあり、男女ともに40代が最も加入率が高くなっています。
特に女性は40代で50.6%と、約半数の人が加入しています。
がん保険は、がんになってからは加入できません。
それだけでなく、検査で異常が見つかったり定期検査が必要な状況でも、加入を断られるケースもあります。
がん保険の加入を希望する人は、健康なうちに検討しておくようにしましょう。
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がん保険の保障をどうすべきか迷ったときは、用途も自由で診断時にすぐ受け取れる診断一時金をベースにするのがおすすめです。
さらに保障を手厚くしたい場合は、給付金受取条件を比較してより幅広いものを選んだり、特約を付加したプランにするなどの工夫をする必要があります。
ここからは、ケース別におすすめの保障額や保障内容について詳しく解説していきます。
保険料を抑えつつ最低限の保障を持ちたい場合
診断一時金のみのシンプルな保障にすることで、保険料を抑えながら最低限の保障を持っておくことができます。
診断一時金の保障額を決める際には、どのような目的で使うかを想定しておきましょう。
もし、治療費をカバーしたいということであれば、高額療養費制度を利用した場合の毎月の自己負担額を元にします。
毎月の自己負担額×12をした金額で一時金を設定しておけば、1年間の治療費に備えることができます。
保険を選ぶ際、がん保険によって診断一時金を1年や2年に1度何度でも受け取れるものと、1度受け取ったらその時点で保障が終了するものがある点には注意をしましょう。
1度しか受け取れないタイプの場合、給付金額を200~500万円など大きめに設定するケースが多くなっています。
複数回払いのがん保険で数年かけて受け取る給付金合計額を1度で受け取れる点はメリットといえるでしょう。
ただし、一度は寛解したと思われたがんでも、年月を経て再発するリスクがあります。
再発した場合は保障自体が消滅しているため、過去に受け取った給付金が残っていなければ、預貯金から治療費等を捻出する必要があります。
一度しか受け取れないタイプの場合、1年目の治療には対応できますが、それ以上治療が長引いた場合に備えることができません。