傷病手当金とは、社会保険に加入する会社員等が業務外の病気やケガのために会社を休んだとき、被保険者やその家族の生活を保障するための制度です。
しかし、対象となる人や仕事を休む要因、また休んだ期間など、細かな支給条件があります。
そのため、「傷病手当金がもらえるのか不安」「具体的にいくらくらい保障してもらえるのか」と思っている人も少なくないでしょう。
本記事では傷病手当金がもらえないケースや支給期間の具体的な算出方法、受給要件、もらえる金額の計算方法などを社労士監修のもと、わかりやすく解説します。
※本記事は2024年4月時点の制度内容をもとに作成しています
※本記事では一般的な内容かつ一例を記載しています。制度について不明点がある場合はお住まいの市区町村でご確認ください
この記事を読んでわかること
傷病手当金の受給原因の1位は精神及び行動の障害
傷病手当金と名称が似ているものに傷病手当や休業手当がある
傷病手当金が減額になったり、もらえなくなったりするケースもある
目次
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傷病手当金とは
傷病手当金
傷病手当金とは、会社員などの社会保険加入者が仕事以外の理由で病気やケガで休業し、収入が減少した場合に、被保険者とその家族の生活を支えるために支給される手当のこと
傷病手当金の受給理由
2021年(令和3年)10月の傷病手当金受給者全員を対象にした調査データによると、傷病手当金の受給の原因になった傷病は次の通りでした。
第1位:精神及び行動の障害
第2位:新生物(がん)
第3位:特殊目的用コード(主に新型コロナウイルス感染症)
第1位から第3位の割合は、男女別で見ても同じ順番になっています。
年齢別で見ると、精神及び行動の障害の割合は55歳未満の年齢層で多く見られ、新生物の割合は年齢が高くなるにつれて増加する傾向でした。
傷病手当金・傷病手当・休業手当の違い
傷病手当金と名称が似ているものに傷病手当や休業手当があります。
傷病手当金・傷病手当・休業手当の違いについて簡単に解説します。
傷病手当金は、会社員などの健康保険の被保険者が業務とは関係のない病気やケガにより仕事を休み給与が受けられないときに、健康保険組合から支給される手当金です。
傷病手当は、勤務先を退職後にハローワークで求職の手続きを行ったが、病気やケガで働けなくなってしまったときに、申請によりハローワークから支給される手当金です。
休業手当は、会社の都合によって労働者を休業させた場合に、事業主から労働者に支給される手当になります。
傷病手当金がもらえる条件
傷病手当金を受給することができる人は、健康保険に加入している被保険者の中で、下記の①から⑤の条件をすべて満たしている被保険者本人になります。
①健康保険に加入している
傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が、業務とは関係のない病気やケガで働くことができず、事業主から通常の給与が支給されないときに支給される手当金です。
ただし、傷病手当金の制度は、会社員や公務員などで健康保険に加入している被保険者が対象になります。
個人事業主や自営業の人が加入する国民健康保険には基本的には傷病手当金の制度は設けられていないため、手当金を受け取ることはできません。
※感染症が拡大した際に例外的に手当金を受け取ることができる制度が設けられることはあります
Q.パート、アルバイト、契約社員でももらえる?
パート、アルバイトや契約社員の雇用形態でも、社会保険に加入して働いている場合は傷病手当金を受けられる対象者になります。
社会保険の加入要件は以下の通りです。
1)社会保険の加入者数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)の事業所に勤務
2)週の所定労働時間が20時間以上
3)1カ月あたりの賃金の額が8.8万円以上
4)2カ月を超える雇用が見込まれている
5)学生でない
自分が該当しているかわからない人は勤務先に確認しましょう。
②仕事と関係ない病気やケガのための休業
傷病手当金は、仕事とは直接関係のないことが原因による病気やケガの療養のために、働くことができず、仕事を休んでいる場合に支給される手当金です。
仕事中、あるいは、通勤途中に関係のあることが原因での病気やケガの療養は労災保険の対象になるため、傷病手当金としては支給対象にはなりません。
また、美容整形など、病気とはみなされない健康保険の対象外の治療などで仕事を休んでいる場合も傷病手当金の支給対象外です。
Q.うつ病は対象になる?
仕事とは関係ないことが原因で発症したうつ病によって働き続けることができなくなった場合には、そのほかの支給要件をすべて満たしていれば傷病手当金を受けることができます。
しかし、仕事が原因でうつ病を発症した場合には傷病手当金の支給対象ではなく、業務上の災害として労災保険の給付を受けることになります。
Q.風邪やインフルエンザは対象になる?
風邪やインフルエンザに罹ってしまった場合でも傷病手当金の支給対象に該当する可能性があります。
傷病手当金は、仕事に就くことができない原因が業務外であることが要件の一つになっています。
風邪やインフルエンザの原因が明らかに業務上でなく、他の要件を満たしていれば、私傷病として傷病手当金の対象になる可能性があります。
③医師などの療養担当者の診断で仕事につけない
「仕事に就くことができない状態である」ことも傷病手当金が支給される条件の一つになっています。
「仕事に就くことができない状態」は、自身の判断による自己申告ではなく、医師など療養担当者の診断や意見、本人の仕事内容などから総合的に判断されます。
つまり、自身で「療養のため大事をとって休む」という理由では傷病手当金の支給条件を満たしません。
病気やケガが原因の療養で業務ができないことを客観的に証明する必要があります。
④連続3日間含む4日以上、病気やケガの療養で休んでいる
待期期間の考え方は、「連続して3日間仕事を休むこと」が必要です。
2日間連続で仕事を休んだ後、3日目に仕事に行った場合には待期期間は完成しません。
3日目に仕事に行った後、再度仕事を休んだ場合には、再度仕事を休んだ日を待期期間の初日として起算します。
Q.連続3日間(待期)に土日祝、有給は含まれる?
土日や祝日などの公休日、有給休暇を取得した日についても待期期間に含めて日数を計算します。
⑤休業期間中に給与をもらっていない
傷病手当金は、業務とは関係のない病気やケガで休業中の期間についての生活保障をする制度です。
休業期間中であっても給与が支払われた期間について、傷病手当金が支給されることはありません。
ただし、休業期間中に支払われた給与の額が傷病手当金の支給額よりも少なかった場合には、傷病手当金との差額については支給されます。
【差額が支給される例】
傷病手当金…1日あたり8000円
支払われた給与…1日あたり5000円
実際に受け取ることができる傷病手当金…1日あたり8000円-5000円=3000円
傷病手当金がもらえないケース
傷病手当金をもらえる条件は満たしていても、傷病手当金の一部、または全部がもらえないケースがあります。
- 給与の支払いがある
- 健康保険から他の給付金を受け取っている
- 障害年金などを受給している
- 他の病気やケガで既に傷病手当金を受け取っている
- 労災保険からの給付を受けている
給与の支払いがある
仕事に就くことができず休業した期間について、会社から給与の支払いがあった場合には、原則として傷病手当金が支給されることはありません。
支給されない理由は、傷病手当金が休業により給与が受けられない経済的な負担をカバーする制度のため、給与の支払いがある場合には支給要件を満たさないためです。
ただし、仕事を休業した期間について、会社から支払われた給与の日額が傷病手当金として支給される日額よりも少ない場合に限り、その差額については傷病手当金が支給されます。
出産手当金を受け取っている場合
出産手当金と傷病手当金は、両方で受給要件を満たしている場合でも、両方の手当金を重複して受け取ることはできません。
受給できる期間が重複している期間については、出産手当金のみが支給されることになっていました。
ただし、現在はそのルールが変更になっています。
出産手当金よりも傷病手当金が少ない場合は差額が支給される
2016年(平成28年)4月に、出産手当金と傷病手当金の両方を受給できる場合についての改正がありました。
両方の手当金を受給できる場合においては、出産手当金の額が傷病手当金の額よりも少ない場合には、傷病手当金を請求することで、出産手当金との差額が支給されることになっています。
計算例)
差額が出た場合について計算例を挙げてみます。
よって、傷病手当金は、69万7074円-65万3366円=4万3708円が差額支給されます。
(参考:傷病手当金について|全国健康保険協会)
障害厚生年金もしくは障害手当金を受給している
傷病手当金の受給者が、同じ傷病等により、既に障害厚生年金もしくは障害手当金を受給している場合、傷病手当金の支給はされません。
ただし、傷病手当金の日額が障害厚生年金と障害基礎年金の合算額の360分の1の額よりも多い場合は、差額が支給されます。
例をあげると、傷病手当金が日額7000円、障害厚生年金の年額が216万円、障害基礎年金額が0円とします。
この年金を日額相当額に換算すると、
216万円÷360=6000円
よって、差額の1000円が傷病手当金として支給されます。
また、障害手当金の場合は、傷病手当金の合計額が障害手当金の額になるまでは傷病手当金が支給されません。
老齢年金を受給している
傷病手当金を受給している人が会社を退職して健康保険の資格喪失をした場合でも、支給条件を満たした場合には傷病手当金を継続して受給できます。
しかし、その後に、老齢厚生年金、老齢基礎年金などの老齢退職年金を受けられることになった場合は、傷病手当金は支給されません。
傷病手当金の日額が老齢退職年金の年額の360分の1より多い場合は、その差額が支給されます。
既に傷病手当金を受給している
傷病手当金は、病気やケガの傷病ごとに1年6カ月間の支給期間が決定します。
ただし、複数の傷病によって同じ期間に傷病手当金が重複して支給される場合は、日額の高い方の給付額による傷病手当金が支給され、そのほかの傷病手当金は支給されたものとみなされます。
複数の傷病による申請であっても、傷病手当金は重複支給されません。
また、傷病名が複数あった場合でも、関連のある傷病は同一傷病とみなされるため注意しましょう。
労災保険から休業補償給付を受給している
労災保険による休業補償給付を受けている人が、同一の理由による病気やケガのために労務不能となった場合には、傷病手当金は支給されません。
傷病手当金の受給条件が「病気やケガの原因が業務上や通勤途中によるもの」ではないためです。
さらに、業務外の原因による病気やケガのために労務不能になった場合でも、別の原因で労災保険の休業補償給付を受けている期間は、傷病手当金は支給されません。
ただし、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。
傷病手当金の支給期間と支給日
傷病手当金を受け取ることができる期間はどのくらいでしょうか。
また、支給申請をした場合に、傷病手当金が支給されるのはいつ頃になるのでしょうか。
傷病手当金の支給期間と支給日について解説します。
支給期間は支給日から通算1年6カ月
傷病手当金の支給期間は、以前は「支給を開始した日から連続した1年6カ月間」でしたが、2022年(令和4年)1月1日からは「支給を開始した日から通算して1年6カ月」に変わりました。
これまでは、労務不能で仕事につけなかった日の間に出勤した日があっても、連続した1年6カ月間に含まれる取扱いになっていました。
そのため、途中で出勤した日があった場合には、実質1年6カ月間の支給を受けることができませんでした。
改正後は、1年6カ月の間に出勤した日は支給日数としてカウントしないため、純粋な休業日数を1年6カ月とすることができるようになりました。
支給日は毎月10日・20日・末日
傷病手当金の支給日は、健康保険の保険者によって異なります。
通常、健康保険の保険者は、請求書を受け付けて審査を行い、支給の決定をして振り込む流れになります。
支給が決定すればすぐに振込手続きを行うところもありますし、決められた日に振り込む場合もあるようです。
協会けんぽの場合は、申請から振込みまで2週間前後が目安になっているようですが、都道府県支部によって支給日の取扱いが異なる場合もあるため、確認が必要です。
健康保険組合の場合は、毎月10日、20日、末日のいずれかの取扱いになっているところもあるようです。
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傷病手当金はいくらもらえる?支給額の計算方法
ここからは、傷病手当金は実際にはどのくらいの金額が支給されるのか、支給額の計算方法について、計算例をあげながら解説していきます。
傷病手当金はおおよそ給与の3分の2が支給される
傷病手当金の1日あたりの支給額は、「支給開始日の月以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1の額の3分の2に相当する額」になります。
支給額の計算は、給与の金額をそのまま用いて計算するわけではなく、給与を支給額の幅で定めた等級にあてはめた「標準報酬月額」で行います。
厳密には給与の額ではなく、「おおよそ給与の3分の2」となっています。
支給開始日以前の期間が12カ月に満たない場合
勤続期間が1年未満で、傷病手当金を求める際に必要な「支給開始日の月以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額」が求められないことがあります。
勤続期間が1年未満の場合は、次のうちのいずれか低い方の金額を使って傷病手当金を計算します。
- 支給開始日の月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均の額
- 当該年度の前年度の9月30日時点での加入先の健康保険全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(全国健康保険協会の場合、2019年4月1日以降は30万円)
計算例)入社1年未満で休業を開始した場合
入社1年未満で休業を開始した場合の計算例を見ていきます。
※前提条件
- 勤続期間:6カ月(健康保険の加入期間も同じ)
- 休業前6カ月間の標準報酬月額の平均額:34万円
- 休業日数:100日
- 現職の健康保険は協会けんぽ、前職は協会けんぽ以外とする
100日休業した場合は、合計で66万6700円が支給される計算になります。
支給開始日以前に12カ月の標準報酬月額がある場合
勤続期間が12カ月以上の場合は、傷病手当金の1日あたりの支給額は、「支給開始日の月以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1の額の3分の2に相当する額」になります。
支給開始日の月以前の継続した12カ月間の間に標準報酬月額に変動がある場合には、標準報酬月額を平均するところがポイントです。
計算例)支給開始日以前の12カ月の間に、標準報酬月額の変更があった場合
支給開始日以前12カ月間の標準報酬月額の平均額を求める際に、途中で標準報酬月額に変更があった場合の計算例で見ていきましょう。
上記のように計算できます。
傷病手当金が減額になるケース
以下のような場合には、支給される傷病手当金の金額が減額になります。
- 休業中に給与が支給されている
- 出産手当金を受給している
- 障害厚生年金(合わせて障害基礎年金を受給する場合は合算する)もしくは障害手当金を受給している
- 老齢年金を受給している
- 労災保険から休業補償給付を受給している
上記の①~⑤の給付額等の1日あたりの金額が、傷病手当金の1日あたりの金額より低い場合には、その差額が支給されます。
1.勤務先に相談
傷病手当金の申請を行うためには、病気やケガのために療養が必要で仕事に就くことができないことが必要です。
病院を受診して医師の診断を受けるとともに、会社に休業が必要なために傷病手当金を申請することができるかどうかの相談をします。
会社に相談することで、傷病手当金の対象になるか確認できるとともに、有給休暇の残日数や会社の休職制度などの有無も確認することができるため、今後の対応についても判断しやすくなります。
2.待期期間を完成させる
傷病手当金を申請するには、連続した3日間、療養のために仕事を休むことにより待期期間を完成させなければなりません。
「3日間連続して仕事を休むこと」が必要になるため、無理をせず休みを取り、待期期間を完成させます。
勤務先で傷病手当金の対象になるとわかったら、必要な書類を案内してもらい、早めに準備を行っておくと、後の手続きや申請をスムーズに進めることができます。
3.傷病手当金に関する書類を準備
傷病手当金支給申請書には、被保険者本人が記入する項目以外に、事業主ならびに医師等の療養担当者が記入する項目もあります。
必要に応じて記入の依頼をしましょう。
そのほか、添付書類が必要な場合があります。
確認をして対応するようにしましょう。
4.書類を提出
書類への記入とすべての添付書類が揃ったら、保険者に提出します。
通常は、会社の人事部や総務担当部署が傷病手当金の手続きを行う窓口になっており、会社に書類を提出すると、会社の方からまとめて保険者に申請をします。
書類に不備がなければ受理され、保険者の審査を経て支給が決定し、振込口座に傷病手当金が振り込まれます。
Q.申請の適切なタイミングは?
給与の締め日以降に提出するとスムーズに手続きが進みます。
傷病手当金支給申請書の中で、「事業主が証明するところ」には、証明期間中の給与の有無を記入するところがあります。
給与を支給した日があった場合、その日は傷病手当金が支給対象外、もしくは減額になるためです。
また、勤務状況や支給した賃金の内訳に記入する期間は、証明する期間を含んだ給与計算期間の初日から最終日までで記入します。
傷病手当金に関する注意点
退職後も引き続き傷病手当金を受けたい場合や傷病手当金を受けていた人が死亡した場合などは、どのように手続きを進めていけばよいのでしょうか。
傷病手当金の申請時に注意が必要な点について、解説していきます。
退職後も引き続き傷病手当金を受給したい場合
会社を退職した場合であっても、下記の2つの要件を満たしている場合には、同じ傷病での療養に限って、退職後も引き続き傷病手当金を請求することができます。
- 健康保険の被保険者期間(任意継続被保険者の期間を除く)が退職日までに継続して1年以上あること
- 健康保険の資格を喪失したときに、既に傷病手当金を受けているか、または、待期期間が完成していて、退職日も出勤できず休んでいる(傷病手当金を受けられる条件を満たしている)こと
(参考:傷病手当金について|全国健康保険協会)
被保険者死亡後に傷病手当金を申請する場合
傷病手当金の受給資格がある被保険者が死亡して、未請求の傷病手当金がある場合には、相続人である遺族が傷病手当金を請求することが可能です。
必要な書類は、通常と同じ「傷病手当金支給申請書」で良い場合や相続人専用の申請書である場合などがあり、健康保険組合によって取り扱いが異なります。
通常は、支給申請書以外にも、相続人であることが確認できる戸籍謄本などの添付が必要になります。
被保険者が加入していた健康保険組合に確認しましょう。
(参考:よくある質問|日本金型工業健康保険組合)
支給要件を満たしているのに、支給されなかった場合
支給要件を満たしているのに、不支給になった事例を紹介します。
Aさんは、以前に私傷病で傷病手当金を受給していました。
傷病手当金を1年6カ月受給した後に症状が回復し、しばらく仕事をしていましたが、その後、再度の私傷病により傷病手当金を申請しました。
しかし、今回の私傷病は前回の私傷病と同一の傷病だと判断され、前回の傷病手当金が支給限度まで達していたため、今回は不支給になりました。
不支給の決定に対して不服がある場合は、社会保険審査官に審査請求をすることができます。
さらに、審査請求の決定に不服がある場合には、社会保険審査会に再審査請求をすることができます。
傷病手当金があれば安心?必要な生活費【ケース別】
長期間働けなくなってしまった場合に、傷病手当金だけで生活に必要な収入をまかなうことができるのでしょうか。
独身の場合と既婚の場合に分けて必要な生活費について見ていきましょう。
独身の場合
政府統計の総合窓口(e-Stat)の2023年の家計調査では、単身世帯の消費支出は、1カ月あたり16万7620円となっています。
給料を25万円もらっている独身者の場合、1日分の傷病手当金の額は、25万円(標準報酬月額)÷30日×3分の2=5553円です。
1カ月分に換算すると、傷病手当金の額は5553円×30日=月額16万6590円になります。
単身世帯の場合は、月に25万円以上の給与がある人でないと厳しいと考えられます。
既婚の場合
政府統計の総合窓口(e-Stat)の2023年の家計調査では、2人以上の世帯の消費支出は、1カ月あたり29万3997円となっています。
給料が45万円もらっている既婚者の場合、1日分の傷病手当金の額は、45万円(標準報酬月額)÷30日×3分の2=1万円です。
1カ月分に換算すると、傷病手当金の額は1万円×30日=月額30万円になります。
統計的には2人以上の世帯の場合、月に45万円以上の給与がある人でないと厳しいと考えられます。
働けなくなったときに備えられる就業不能保険がおすすめ
病気やケガで、長期間働けなくなってしまったときには、公的保障として、健康保険の傷病手当金を受け取ることができることを解説しました。
しかし、傷病手当金だけでは、通常の収入をすべてカバーすることができません。
特に、住居費用や教育費など生活の基盤となっている費用は単価が大きいうえ、働けなくなったからといって節約するのが難しい部分でもあります。
生活の維持にかかせない費用については、傷病手当金で補えない収入を補填するために就業不能保険を活用するのがおすすめです。
»就業不能保険を知る
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就業不能保険を選ぶポイント
就業不能保険への加入を検討している人に向けて、就業不能保険を選ぶ際に抑えておきたいポイントについて解説していきます。
自分に必要な保険選びに迷う場合は一度「1分で無料ほけん必要度診断」を受けてみるのもおすすめです。
①対象となる就業不能状態・加入条件を確認する
ひとくちに就業不能保険といっても、保険会社によって保障内容や加入条件は異なります。
加入を検討する場合には、まず「自分がどのような状態になったときに保障を受けたいのか」を決めて、目的に合った保険であるかを確認しましょう。
想定していた就業不能な状態になったにも係わらず、給付金が受け取れない事態にならないように、保険へ加入する前に保険商品の内容を理解しておくことが大切です。
また、保険会社によって異なる加入条件についても、事前に確認しましょう。
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②公的保障の不足分を考え、必要保障額を決める
就業不能保険の検討をする際には、必要になる保障額についても検討する必要があります。
通常、保障額は自由に決めることはできず、前年度の年収などを参考に各商品を扱っている保険会社が上限の保障額を設定します。
保険会社によって保障額の上限は異なるため、商品パンフレットや各保険会社のホームページなどで確認が必要です。
健康保険の被保険者の場合は、就業不能になった際に傷病手当金がどのくらい受け取れるのかを把握したうえで、必要保障額の検討をするのが良いでしょう。
③給付金が必要になる時期を踏まえ、保険期間や受け取り方を決める
就業不能保険で選択できる保険期間についても、保険会社ごとに違いがあります。
現在販売されている商品の保険期間は50歳から75歳程度までを上限として、5歳刻みで設定されていることが多いようです。
「退職するまで備えたい」、「子どもが独立するまで備えたい」など、自身の希望に合わせて保険期間を設定すると良いでしょう。
保険金の受け取り方に関しても、商品によってさまざまな方法があるため、パンフレットなどを参照して比較してみましょう。
④給付金がもらえない支払い対象外期間を確認する
就業不能保険は、働くことができない期間に備える保険ですが、働けなくなってすぐに給付金を受け取れるわけではありません。
例えば、60日以上働けない状態が続いて初めて給付金を受け取ることができるなど、一定の免責期間が設けられています。
免責期間は商品によって異なり、30日や180日とされている場合もあるため事前に確認が必要です。
免責期間が短く設定されている保険商品は、その分保険料が高めに設定されている場合が多いですが、その分給付金を受け取りやすいというメリットもあるためバランスをみて決めると良いでしょう。
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まとめ
病気やケガで長期間休む場合、収入がなくなることに不安を感じるでしょう。
短期間であっても傷病手当金が利用できないか会社に確認して、経済的な不安を減らしていきましょう。
また、会社を長期で休む際、経済的な不安を軽くするための手段として、傷病手当金以外に就業不能保険で備えることもできます。
ほけんのコスパでは複数の商品の保険料を一度に確認することができるため、一度就業不能保険を検討してみてはいかがでしょうか。
(就業不能保険に関する内容の執筆・監修:ファイナンシャルアドバイザー 尾崎 絵実)