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【専門家監修】生命保険の選び方!年代別・目的別に本当に必要な保険を解説

【専門家監修】生命保険の選び方!年代別・目的別に本当に必要な保険を解説

執筆・監修者:
尾崎 絵実
尾崎 絵実

自分はどんな保険に加入するべきか」「そもそも民間の生命保険に加入する必要はある?」と、保険の選び方や必要性について悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

生命保険は死亡や病気などから生じる金銭的負担から、自分や家族を守るために必要な金融商品です。

保険は備えたいリスクによって種類が多くあるため、自分に必要な保険を選ぶのはなかなか難しいかもしれません。

本記事では生命保険の基本的な選び方、年代別・ライフイベント別に合わせた選び方のコツを保険のプロがわかりやすく解説します。    

この記事を読んでわかること

  • 生命保険を選ぶ時は「どんなリスクに備えたいのか」「どのくらいの期間、保障が必要か」「保険料はいくらかかるか」などのポイントをおさえる

  • 30代の場合、結婚や出産などのライフイベントに備えて保障を見直す。また、収入が上がる機会も増えるため、老後に向けた貯蓄型保険への加入も検討する

  • 40代の場合、子どもが大きくなるにつれて必要な死亡保障額が減るため、保険料を抑えやすい収入保障タイプの死亡保険への切り替えがおすすめ

生命保険の基本知識

まずは生命保険の基本的な仕組みを理解しておきましょう。

生命保険とは

生命保険は自分の心身に起こりうるリスク(例えば死亡・病気・怪我・介護など)に対して生じる金銭的負担から、自分や家族を守ることができる金融商品です。

万が一のことが生じた場合、突発的な出費や高額な治療費用、残された家族の生活費など、自分の貯金だけではカバーしきれないことも予想されます。

そのため、大勢の人が保険料という形でお金を出し合い、保障を受けられる仕組みになっています。

生命保険の種類

生命保険は加入の目的や支払われ方などによって種類を分けることができます。その中で代表的な保険をいくつか挙げてみました。

それらを詳しく見ていきましょう。

死亡保険(定期・終身)

特定疾病保障保険

医療保険(定期・終身)

がん保険

就業不能保障保険

個人年金保険

個人年金保険(変額タイプ)

死亡保険

死亡保険は被保険者が死亡、高度障害に該当した時に保険金が支払われる保険で、終身保険や定期保険などが死亡保険に該当します。

定期保険は保険期間があらかじめ決められており、その期間のみ保障が受けられる保険です。

満期保険金はなく解約返戻金もほとんどない掛け捨ての保険ですが、安い保険料で大きな保障を得ることができます。

終身保険は一生涯保障が続く保険です。

POINT

満期がないので満期保険金はありませんが、解約時には経過年数に応じて解約返戻金を受け取ることができます。保険料は定期保険と比較すると割高になります。

特定疾病保障保険

特定疾病保険は、三大疾病や七大疾病など特定の病気に罹患して診断や治療を受けたり、入院や手術をしたりすると保障が受けられる保険です。

がん・心疾患・脳血管疾患など、患者数が多く治療費が高額になりやすい病気に絞って備えることができます。

保険金を一度受け取ると保険契約自体が消滅するタイプ、再発や継続治療に対応できる複数回支払いタイプなどがあります。

保障の内容、支払い条件や回数は保険会社によって異なります。

医療保険

医療保険は、病気や怪我で入院、手術をした時に給付金を受け取ることができる保険です。

定期タイプは保障を受けられる期間が決まっており、満期後も保障を続けたい場合は更新が必要になります。

保険は年齢、性別により保険料が変わるため、同じ保障内容で更新する場合、更新後の保険料は一般的に高くなります。

終身タイプは一生涯保障が続くため、更新はありません。

保険料は加入時から変わらないので、若い時に加入するほど安い保険料で契約することができます。

がん保険

がん保険はがんに関わる診断・入院・手術・放射線治療・薬剤治療などを受けた場合、条件を満たせば給付金や保険金を受け取ることができる保険です。

また、死亡の場合に保険金が支払われる保険もあります。

女性コンシェルジュ

最近のがん治療は入院期間が短くなり、その分通院が増える傾向にあります。治療の進化とともに保障内容も変化しているため、定期的な見直しが必要な保険といえるでしょう。

就業不能保障保険

就業不能保険は、病気や怪我などを理由に働けなくなった時の収入ダウンに備えるための保険です。

治療自体の副作用や後遺症、リハビリなどで長期間働くことができなくなると、収入が下がったり途絶えてしまうリスクが生じます。

収入の心配をなるべく軽減させ、治療に専念する環境を整えたい人は加入を検討しても良いかもしれません。

個人年金保険

個人年金保険は主に老後資金の準備を目的にして保険料を積み立てていく保険商品です。

契約時に定めた年齢まで保険料を支払い、一定の年齢になったら年金を受け取ることができます。

年金の受け取り方は「保証期間付終身年金」「確定年金」「保証期間付有期年金」「夫婦年金」などから選択することができます。

保険期間や年金の受け取り方によって個人年金保険料控除を受けられるのもメリットの1つといえるでしょう。

個人年金保険(変額タイプ)

個人年金保険(変額タイプ)は保険料の一部を投資信託で運用する保険商品です。

年金原資の最低保証はありませんが、運用実績によって将来受け取る年金額が増減します。払い込んだ保険料以上の年金額を受け取ることも期待できるでしょう。

POINT

運用に関するリスクがあるため、自分のリスク許容度に応じて検討する必要があります。しかし、通常の個人年金保険では得られない運用成果を受け取ることができるのも魅力といえるでしょう。

生命保険の選び方【基本は6つのポイント】

ここからは、自分に合う生命保険の選び方のポイントを6つに分けてご紹介します。

自分に合う保険の選び方

ポイント①何に備えるか

最初に、自分は何に備えるべきかを考えてみましょう。

家族構成や状況、生活スタイル、気になる病気や備えておきたいケースなどは人それぞれ異なります。全てに備えられるのが理想ですが、払える保険料には限りがあります。

女性コンシェルジュ

保険を選ぶ時は何に備えたいかを複数ピックアップしてみて、優先順位を決めていくことが大切です。

ポイント②どのくらいの期間、保障するか

どのくらいの期間、保障が必要なのか」によって選ぶ保険は違ってきます。

例えば、子どもが独立するまでの保障が欲しい場合は定期保険を、突発的な病気や怪我に関しては終身型の医療保険などが候補に挙がります。

保障期間は長いに越したことはありませんが、保険期間が長期に及ぶと保険料もその分支払うことになります。

支払う金額の合計と将来の貯蓄の状況なども鑑みて、検討すると良いでしょう。

ポイント③払う保険料はどのくらいか

払った保険料は保険種類によって、解約時に解約返戻金という形で戻ってくる場合があります。

これが掛け捨て型と貯蓄型の違いです。

支払う保険料を安く済ませるには掛け捨て型を選択することになりますが、満期時に戻ってくるお金はほとんどありません。

一方、解約してもお金が幾分か戻ってくる貯蓄型にすると、保険料は高くなります。

保険料は多くの場合、月掛けで支払うので、無理なく家計の実情に合わせた商品選択をすることが大切です。

ポイント④どのくらいの期間、保険料を払うのか

定期保険のような保障期間が決まっている保険は、保障期間中に保険料を払い続ける必要があります。

一方、終身保険は一生涯の保障が続きますが、一般的に払い込む期間を選ぶことができます。

一生涯保険料を払う「終身払」と、短期間で払い切る「短期払」がありますが、「短期払」は「終身払」より月々の保険料が高くなります。

女性コンシェルジュ

なるべく月々の保険料を抑えたい場合は「終身払」を、老後に保険料を払い続けるのが不安な場合は「短期払」を選ぶと良いでしょう。

ポイント⑤万一の時にどのくらい保険金が出るか

保険金額が大きいほど保険料も高くなります。

しかし、保険料を抑えようとして、本来必要な保険金額よりも低い保険金額で加入してしまうと、もしもの時に困ってしまいます。

万が一に備えるための保険ですので、必要な保障額をシミュレーションしてから加入すると良いでしょう。

終身保険だけでは不安な場合は定期保険で保険料を抑えながら、保障の上乗せをすることもできます。

ポイント⑥解約時にどのくらいお金が戻ってくるか

保険の解約時にどのくらいお金が戻ってくるのか、あらかじめチェックしましょう。

解約返戻金を老後資金に充てたい場合は、65歳〜70歳あたりの解約返戻金が老後資金に活用できる金額の目安になります。

解約返戻金を教育資金に充てたい場合は、大学入学前の18歳時点で返戻率が100%を超えているか、しっかり確認しておきましょう。

変額保険の場合、解約返戻金は運用実績によって変わるため、注意が必要です。

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生命保険の選び方【ライフイベント編】

次はライフプランごとに、生命保険の選び方を見ていきましょう。

新社会人になった時

新社会人の場合、急な病気や怪我に備える医療保険から考えましょう。

せっかく社会人になったのに、医療費が払えず家族に頼るというのは避けたいものです。

また、医療費以外にも病気や怪我で働けなくなった時の収入減に備えられる、就業不能保障保険があればより安心です。

少しでも保険料が安く、健康なうちに医療保険を備えておきましょう。

死亡保険については、家族のためにお金を遺すというよりは、自分の葬儀費用として200~500万円程度あれば充分かもしれません。

結婚した時(共働きの場合・片方が働いている場合)

まず、夫婦それぞれが病気や怪我に備える医療保険から用意すると良いでしょう。

必要であれば死亡保険、就業不能保障保険も検討していきます。

共働きの場合はどちらかが亡くなっても、遺された配偶者が経済的に困ることはあまりないかもしれません。

ただし、収入が一気に半分に減ってしまうため、生活レベルを下げざるを得ないケースが出るでしょう。

一度身についた生活習慣は簡単には変えられませんので、万が一のことが起こった際の、生活費のシミュレーションは慎重に行うことをおすすめします。

一方で、働けなくなった場合は収入が減り、生活に支障が出始めます。就業不能保障保険があれば、病気や怪我での収入減に備えられます。

片働きの場合、世帯主に万が一のことがあった場合も、働けなくなってしまった場合も、経済的なダメージはより深刻です。

死亡保険も就業不能保障保険も、子どもの教育費やマイホームなどのライフイベントを想定して保障額を決めましょう。

さらに「国立研究開発法人 国立がん研究センター」の調査によると、女性は30代から40代にかけて子宮頸がんや乳がんのリスクが高まります。

医療保障、死亡保障、就業不能保障の3つの保障に加え、「がん保障」も用意しておくとさらに安心です。

Q.夫婦の保険は一緒?別々?どっちが良い?

夫を契約者として、夫婦が同一の保険に入っている場合、1つの保険契約で多くの保障が得られる手軽さがありますが、夫が亡くなった場合に契約が消滅するなどのデメリットがあります。

また、夫婦一緒に加入する方が割安なイメージもありますが、一般的に妻の保険金額が安く設定されていることが多いため、一概に割安とも言い切れません。

妻の健康状態によっては、新たな保険契約が難しかったり、高額な保険料が必要になる場合もあります。

夫婦はできれば、別々の保険に加入するほうが、それぞれの状況に応じたプランに入ることができますし、何よりも上記のようなデメリットがありません。

女性コンシェルジュ

夫婦それぞれで保険契約をしなくてはならないため、管理が煩わしいかもしれませんが、生命保険料控除をそれぞれ使えるメリットもあります。

子どもが生まれた時

子どもが生まれた場合は夫婦だけの時に比べ生活費が多くかかり、将来の教育費も必要になります。

万が一の場合にプラスして、働けなくなった時や教育費の負担に備えましょう。

死亡保障は残された家族が生活するのに必要な額から、国からもらえる遺族年金を差し引いた金額を目安として備えると良いでしょう。

がん、心筋梗塞、脳卒中の三大疾病に罹り、働けなくなってしまうケースは所得補償保険などで備えることができます。

また、子どもの高校までの教育費は進路によって変わりますが、約500万円〜1800万円かかるといわれています。

貯蓄型の保険は保障も得ながら、お金も貯めていくことができるため、活用を検討しても良いかもしれません。

定年退職した時

病気や怪我に備える医療保険は一生涯保障のある終身型だと安心です。定年退職までに保険料の払い込みが終わっていると、老後の保険料負担がなくなります。

定期タイプは医療保障が80歳までで終わってしまうタイプもありますので、保障期間は確認しておきましょう。

一方、介護保障や老後の生活費のための終身保険は、定年退職後までには用意しておきたいものです。

老人ホームの費用は平均1000〜2000万円ほど、老後の生活費は夫婦で2000〜3000万円ほどかかるともいわれています。現役時代のうちからなるべく早めの準備が必要です。

生命保険の選び方【年代別編】

年代によっても保険の選び方は変わります。詳しく見ていきましょう。

20代の場合

20代は社会人になりたてで、貯蓄が十分ではない人も多いことでしょう。

少ない貯金の中から急な医療費を支払ったり、働けなくなった時の生活費を補てんするのは難しいものです。

まずは医療保険に加入し、病気や怪我をした時の医療費を準備しておきましょう。

就業不能保険があると、働けなくなった時の対策ができて安心です。余裕があれば貯蓄型の保険を検討します。

20代で独身の人は、自分に万が一のことがあった際の葬儀代程度の死亡保障があれば十分です。終身保険なら貯蓄機能もあるため、保障と同時にお金も貯めることができます。

家族がある人は年齢が若い分、相応の死亡保険の加入を検討しておきましょう。

30代の場合

30代は結婚や出産など、大きなライフイベントを迎えることが増える年代です。

夫婦二人だけの期間は医療保険くらいしか加入していなかったという人も、子どもが生まれる時には保障の追加を検討しましょう。

配偶者に万が一のことがあれば、家族の生活や将来の資金計画に大きく影響が出ます。

一人で小さな子どもを育てながら仕事をしたり、仕事も家事も配偶者の看病をする生活は想像以上に大変なものです。

死亡保障に加え、「就業不能保険」も加入しておくと安心です。

30代になると収入が上がる機会も増えるため、老後に向けた貯蓄型保険への加入も検討してみると良いでしょう。

例:30代既婚女性の場合

30代既婚女性の場合、共働きかどうかにもよりますが、働いて家計を支えている場合は「死亡保険」「就業不能保険」まで加入できれば理想的です。

30代は女性特有の病気のリスクが上がる年齢のため、「医療保険」には加入しておきましょう。

また、出産を希望している場合は帝王切開や切迫早産などのリスクがあります。

最低限のシンプルな医療保険にしか入っていない場合は、女性特有の病気や出産などに備えて入院代・手術代を上乗せできるような保障を手厚くしておくと安心です。

例:30代独身男性の場合

30代独身男性の場合、まさに働き盛りの年代のため「就業不能保険」への加入が最優先でしょう。

一度や二度の入院・手術などであれば、まとまった預貯金があれば対応できますが、働き盛りに継続的な収入ダウンに陥るのは避けたいところです。

また、今後結婚を希望している場合はあらかじめ死亡保険に加入しておくのもひとつです。年齢が上がり、持病を抱えることになると保険加入ができない可能性があります。

死亡保険のなかでも貯蓄型を選んでおけば、家庭をもった時には家族のための保障にすることができますし、無事に老後を迎えた時には自身の老後資金に活用することもできます。

40代の場合

40代は、住宅ローンや教育費などで家計が圧迫されていると感じる人が多い年代です。

子どもが独り立ちするまでは就業不能保険や死亡保障が引き続き必要ですが、子どもが大きくなるにつれ必要な死亡保障額は減っていきます。

大きすぎる保障額になっていれば保険を見直したり、保険料を抑えやすい収入保障タイプの死亡保険に切り替えることも検討してみると良いでしょう。

また、40代は健康診断で指摘を受けるなど、健康面での変化が表面化してくる年代です。加入内容が現状に合っているか、一度確認してみましょう。

例:40代独身女性の場合

40代独身女性の場合、特に意識したいのが「がん」への備えです。

40代は、乳がんなど女性特有のがんの罹患率が高まるタイミングです。

がん治療は数年単位で行われることも多く、強い副作用を伴うことも多い病気です。

そのため、治療費の支払いと休職による収入減など家計が逼迫する可能性も高まります。

がんの治療費は高額になりやすいため、老後のためにコツコツ貯めてきた貯金まで使ってしまうのは避けたいところです。

POINT

大切な貯金を守るためにも、がんに罹ったらしっかりと給付金を受け取れる「がん保険」へ加入しておくと良いでしょう。

50代の場合

50代になると、家庭によっては子どもが独り立ちし、親として生活費を賄う責任は軽くなるでしょう。

一方で、晩婚化が進んでいる現代では「子どもの大学費用がまだかかる」という家庭もあれば、「親の介護が始まった」という家庭もあります。

この年齢の保険の見直しは保険料が上がってしまうことが多いため、これまで加入してきた保険を現状維持するのがほとんどです。

金銭的に余裕があるのであれば、今度は自身の老後に備えて介護保障のある保険などを検討すると良いでしょう。

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まとめ:生命保険を選ぶ時は目的を明確に

生命保険は保障内容・保障期間・保険料など商品によってさまざまです。

まずは加入する「目的」=「何に備えたいか」を明確にすることが大切です。

そこから、予算や必要な保険金額に合わせて、自分に合ったものを選んでいきましょう。

「自分にどんな備えが必要かわからない」という方は、複数の保険が比較できるほけんのコスパを利用してみてはいかがでしょうか。

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尾崎 絵実

執筆・監修者 ファイナンシャルアドバイザー

尾崎 絵実

短期大学卒業後、富国生命に入社。その後、大手保険代理店を経て、ファイナンシャルアドバイザー業務に従事。これまでに約1000以上の世帯からお金のご相談を受け、ファイナンシャル・プラニングを実施。常に最新の情報を把握するように努め、保険だけではなく、様々な金融商品を活用した総合的な資産運用を目指す。2020年 MDRT 日本会会員。ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)を保有。現在、くらしとお金の経済メディアLIMOでお金に関する情報を広く発信している。

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