親の借金は死んだらどうなる?支払い義務の有無や回避する方法を解説

親の借金は死んだらどうなる?支払い義務の有無や回避する方法を解説

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橋本 優理

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高橋 明香

親が亡くなった後、遺品から督促状や消費者金融のカードを見つけて焦っていませんか。

悲しみの中で見知らぬ借金が発覚すると、自分に支払い義務が及ぶかもしれないと感じ不安が大きくなるでしょう。

親の借金は原則として子どもに引き継がれますが、正しい手続きを踏めば支払いを回避できる可能性があります。

本記事では、親の借金返済を回避する具体的な方法と、絶対にやってはいけないNG行動を紹介します。

また、生命保険金等の扱いについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること

  • 親の借金は原則子どもに引き継がれるが、相続放棄の手続きで回避することも可能

  • 相続放棄は3カ月以内に手続きしなければならない

  • 親の財産を使ったり借金の返済をすると相続放棄ができなくなるため要注意

目次

  1. 1.親が死んだら借金はどうなる?原則として子どもが引き継ぐ

  2. 2.親の借金の支払いを回避する2つの方法と「3カ月」の期限

    1. 2-1.相続放棄:すべての財産と借金を放棄する

    2. 2-2.限定承認:プラスの財産の範囲内で借金を返済する

    3. 2-3.【重要】原則として「親の死を知ってから3カ月以内」の手続きが必要

  3. 3.【要注意】親の借金の支払いを回避できないケース

    1. 3-1.自分が親の借金の「連帯保証人」になっている

    2. 3-2.「単純承認」とみなされるNG行動をしてしまった

    3. 3-3.【注意】自分が相続放棄をすると、借金は次の相続人(親族)に移る

  4. 4.親の借金がある場合、生命保険(死亡保険金)はどうなる?

    1. 4-1.死亡保険金は原則として「受取人固有の財産」となる

    2. 4-2.親が加入していた医療保険の給付金は受け取っても良い?

    3. 4-3.住宅ローンの借金は「団体信用生命保険(団信)」を確認

  5. 5.親の借金を正確に調べる3つの方法

    1. 5-1.自宅の郵便物や通帳などを確認する

    2. 5-2.信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に開示請求を行う

    3. 5-3.金融機関に残高証明書を請求・役所で名寄せ帳を確認する

  6. 6.親の借金問題で迷ったら、まずは専門家に相談を

  7. 7.親の死後のトラブルを防ぐための生前対策

    1. 7-1.親が元気なうちに財産や借金の状況を話し合う

    2. 7-2.生命保険を活用して経済的な備えをしておく

  8. 8.まとめ

親が死んだら借金はどうなる?原則として子どもが引き継ぐ

親が死亡した場合、親が残した借金は原則として法定相続人である子どもに引き継がれます

相続財産には、プラスの財産(預貯金、不動産など)だけでなく、マイナスの財産も含まれます。

借金も相続財産の一部とみなされるため、何も手続きをしなければ親の代わりに返済する必要が発生します。

では、借金の返済を回避する方法を具体的に見ていきましょう。

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親の借金の支払いを回避する2つの方法と「3カ月」の期限

親の借金を引き継がずに済む方法として、「相続放棄」と「限定承認」という2つの法的手続きがあります。

それぞれ解説します。

相続放棄:すべての財産と借金を放棄する

相続放棄とは、預貯金や不動産などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産をすべて放棄する手続きです。

家庭裁判所に申述を行うことで、最初から相続人ではなかったとみなされます。

プラスの財産よりも借金が明らかに多い場合に有効な選択肢です。

女性コンシェルジュ

ただし、実家などの手放したくない財産がある場合でも、すべての財産を放棄しなければならない点には注意が必要です。相続財産の全体像を把握した上で、相続放棄が適切かどうかを判断することが大切です。

限定承認:プラスの財産の範囲内で借金を返済する

限定承認とは、相続によって得たプラスの財産の範囲内でのみ、親の借金を返済する手続きです。

仮に借金が多く残ったとしても、相続人の固有財産から返済する義務はありません。

プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか、把握が難しい場合に適した手続きです。

一方で、限定承認の手続きは非常に複雑で、法定相続人全員が共同で家庭裁判所に申述を行う必要があります。

女性コンシェルジュ

事前に親族間で調整し、期限内に手続きを済ませることが必須です。

【重要】原則として「親の死を知ってから3カ月以内」の手続きが必要

相続放棄や限定承認の手続きは、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」に行う必要があります。

法律により厳格な期限が定められており、期限を過ぎると、自動的にすべての財産と借金を引き継ぐことになります

女性コンシェルジュ

親の死後は速やかに財産調査を行い、期限内に家庭裁判所で手続きを済ませましょう。

当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年8月1日―2026年8月31日)

【要注意】親の借金の支払いを回避できないケース

法的手続きを行おうとしても、特定の条件に当てはまる場合は親の借金の支払いを回避できなくなるため注意が必要です。

ここからは、親の借金を引き継ぐことになるケースについて解説します。

自分が親の借金の「連帯保証人」になっている

子ども自身が親の借金の連帯保証人になっている場合、相続放棄を行っても支払い義務は免除されません

連帯保証人としての責任は、相続人としての立場とは独立して法的に存在します。

親が亡くなった時点で、連帯保証人である子どもに一括返済が求められるケースも少なくありません

女性コンシェルジュ

連帯保証人としての支払い義務を逃れるには、自己破産などの債務整理を個別に検討し、専門家へ相談することが大切です。

「単純承認」とみなされるNG行動をしてしまった

親の財産に手をつけるなどの特定の行動をとると、無条件ですべての財産と借金を引き継ぐ「単純承認」とみなされる恐れがあります

単純承認が成立すると相続放棄ができなくなるため、注意が必要です。

女性コンシェルジュ

何気ない日常的な行動が法的な承認行為に該当する可能性があるため、親の遺産は慎重に管理することが大切です。では、具体的なNG行動を紹介します。

NG行動①:親の財産(預貯金など)を処分・使用した

親の預貯金を引き出して自分の生活費に充てたり、親の車を売却したりする行為は財産の処分に該当します。

財産を処分すると単純承認とみなされ、莫大な借金であっても引き継ぐことになります

葬儀費用としての利用は認められる例外もありますが、判断が難しいため勝手な消費は避けることをおすすめします。

女性コンシェルジュ

財産の全体像がわからない間は、預貯金等に手を付けないのが無難です。

NG行動②:親の借金を一部でも返済した

親の財布に入っていた現金や親の口座の資金を使って借金の一部を返済する行為も、財産の処分とみなされます

債権者から督促の電話が何度もかかってきたり、郵便物が届いたりと、不安になる気持ちはわかりますが、自身の判断で安易に返済してはいけません。

女性コンシェルジュ

返済を行う前に、必ず弁護士などの専門家に相談して正しい対応を仰ぐことが大切です。

【注意】自分が相続放棄をすると、借金は次の相続人(親族)に移る

子ども全員が相続放棄をした場合、親の借金が消滅するわけではありません。

法律上、第一順位の相続人が放棄すると、相続権は次順位の相続人へと移ります

親の親(祖父母)、あるいは親の兄弟姉妹(叔父・叔母)が新たな債務者となります。

女性コンシェルジュ

親族間の無用なトラブルを防ぐためにも、相続放棄を行う際は事前に次の相続人に事情を説明しておくことが重要です。

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親の借金がある場合、生命保険(死亡保険金)はどうなる?

親の借金がある状態で親が亡くなった場合、生命保険の死亡保険金を受け取れるかどうかは、契約内容や受取人の指定によって異なります。

詳しく見ていきましょう。

死亡保険金は原則として「受取人固有の財産」となる

生命保険の死亡保険金は、受取人が特定の人(子どもなど)に指定されている場合、受取人の固有財産となります。

受取人の固有財産は相続財産に含まれないという法的な根拠があるため、相続放棄を行っても保険金は受け取ることができます

女性コンシェルジュ

受け取った死亡保険金を親の借金の返済に充てる義務もなく、のこされた家族の生活費として活用しても問題ありません

親が加入していた医療保険の給付金は受け取っても良い?

親が生前に入院などをしており、親自身が受取人となっている入院給付金などを子どもが請求して受け取る場合、入院給付金は親の本来の財産(相続財産)とみなされます

被保険者と受取人が同一人物である契約(親が契約者で受取人も親の場合)は、相続の対象となります

女性コンシェルジュ

親が亡くなったあとに入院給付金を請求し消費すると、単純承認に該当し、相続放棄ができなくなる恐れがあるため注意しましょう。

住宅ローンの借金は「団体信用生命保険(団信)」を確認

親が住宅ローンを組んでおり借金が残っている場合は、団体信用生命保険(団信)に加入しているかを確認しましょう。

団信は、住宅ローン契約者の死亡時に保険金で残債を相殺する仕組みです。

団信に加入していれば、親の死亡時に生命保険会社から金融機関へ残債分の保険金が支払われ、住宅ローンの返済義務はなくなります。 

ローン契約時に団信に加入していることが一般的ですが、フラット35など団信契約が任意のローンも存在します。

女性コンシェルジュ

金融機関から送られてくる契約書類の記載内容を確認してみましょう。

親の借金を正確に調べる3つの方法

親の借金状況を正確に把握しなければ、相続放棄すべきかどうかの判断ができません。

ここからは、親の借金状況を調べる方法を紹介します。

自宅の郵便物や通帳などを確認する

まずは親の自宅にある郵便物や書類を徹底的に確認しましょう。

金融機関からの督促状契約書、利用明細書などが残っていないかを調べる作業が第一歩です。

通帳の引き落とし履歴消費者金融やクレジットカード会社からの履歴があれば、借金が存在する可能性が高いでしょう。

親が亡くなったことにより返済が途絶えると、督促状が自宅に届いている可能性もあります。

女性コンシェルジュ

疑わしい書類を見つけた場合は、すべて保管しておきましょう。

信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に開示請求を行う

信用情報機関への情報開示請求を行えば、借金の全容を確実に把握できます。

日本にはCIC(株式会社シー・アイ・シー)JICC(株式会社日本信用情報機構)KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つの機関が存在し、個人の借り入れ状況を一元管理しています。

法定相続人であれば、親の信用情報を郵送やオンラインで取り寄せて確認できるため、3機関すべてに開示請求を行いましょう

女性コンシェルジュ

開示請求には費用がかかりますが、借金をしている先が複数あって把握が難しい場合などには便利です。

金融機関に残高証明書を請求・役所で名寄せ帳を確認する

借入先と思われる銀行などの金融機関が判明している場合は、法定相続人として残高証明書の発行を請求できます

金融機関から正式な証明書を取り寄せることで、正確な負債額がわかります。

市町村役場では名寄せ帳(固定資産課税台帳)を取得し、未払いの固定資産税や担保に入っている不動産がないかを調査することも可能です。

女性コンシェルジュ

借入先の金融機関や役所の窓口へ、早急に問い合わせを行いましょう。

親の借金問題で迷ったら、まずは専門家に相談を

親の借金に関する調査や相続放棄の手続きは複雑であり、素人判断はリスクをともないます。

状況に応じて弁護士や司法書士へ相談し、確実な解決を目指しましょう。

親の死後に多額の負債が発覚した場合、法的手続きの期限である3カ月はすぐに過ぎ去るため注意が必要です。

自力で金融機関を調査し、家庭裁判所への申立書類を不備なく作成することは簡単な作業ではありません。

専門家への依頼を検討する際、弁護士と司法書士では法律で定められた業務範囲と権限が異なるため、目的に合わせた使い分けが必要です。

弁護士は法律事務全般の代理権を持つため、依頼者の代理人としてすべての交渉や手続きを行うことが可能です。

一方で、司法書士は家庭裁判所へ提出する書類の作成代行が主な業務であり、債権者との直接交渉や代理人としての活動には制限が設けられている点が特徴です。

弁護士司法書士
主な役割依頼者の代理人として全手続きを実行裁判所へ提出する書類の作成代行
債権者との交渉制限なく対応できる原則として対応不可 
親族間のトラブル代理人として交渉や調停が可能法律相談や交渉の代理は不可
費用の目安高額になりやすい傾向がある比較的安価に収まる傾向がある
適したケース複雑な限定承認や親族間で揉めている場合争いがなく相続放棄の書類作成のみを頼む場合

相続人同士で意見の対立があり、遺産分割協議が難航している場合や、債権者から厳しい督促を受けており直接対応したくない場合は、弁護士への依頼が適しています。

女性コンシェルジュ

初回相談を無料で行っている法律事務所や司法書士事務所も多く、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。

親の死後のトラブルを防ぐための生前対策

親が存命であれば、将来のトラブルを未然に防ぐための対策を講じましょう。

親が元気なうちに財産や借金の状況を話し合う

親が元気なうちに、預貯金、不動産、有価証券といったプラスの財産だけでなく、借金やローンの有無についても正直に話し合う機会を持ちましょう。

財産の状況を共有しておかないと、死後に家族がパニックに陥る原因となります。

財産が多い場合、財産目録を作成し、借金の契約書などの保管場所を明確にしておくと万一の際もスムーズです。

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お盆や年末年始など、家族が集まるタイミングで話題に出してみましょう。 

生命保険を活用して経済的な備えをしておく

借金がある場合でも、親を被保険者、子どもを受取人とする生命保険に加入しておくことで、死後の経済的リスクを軽減できます。

生命保険は、契約に基づいて受取人に直接金銭を支払う仕組みです。

受け取った死亡保険金は受取人固有の財産となるため、相続放棄をした場合でも葬儀費用や当面の生活費として活用できます。

女性コンシェルジュ

親の年齢や健康状態に合わせて、無理なく継続できる保険商品を早めに検討しましょう。

まとめ

親の死後に借金が発覚した場合のポイントは次のとおりです。

  • 親の借金は原則子どもに引き継がれる
  • 「相続放棄」で支払いを回避できるが、3カ月以内の手続きが必要
  • 親の財産を処分すると借金を回避できなくなる
  • 受取人指定のある死亡保険金は相続放棄しても受け取れる

親の借金問題は時間が経つほど解決が難しくなります。

冷静に財産と借金の状況を調査し、期限内に正しい選択を行うことが大切です。

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監修者 ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

高橋 明香

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

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執筆者 保険ライター/2級FP技能士

橋本 優理

大学卒業後、ほけんの窓口グループ株式会社へ入社。約300組のライフプランニングを行い、保険販売業務に従事。その後、異業種にて法人営業を経験し、株式会社エイチームフィナジーで保険EC事業の立ち上げに参画。インターネット上で保険の無料相談ができるサービスの責任者として、自身も多くの世帯のライフプランニングを行う。2023年に株式会社モニクルフィナンシャル入社。経済メディア「LIMO」で300記事以上を執筆。現在は、より多くの人に、より気軽に、自分に合った保険の選び方を知ってほしいとの思いでコンテンツ制作や執筆作業に従事。 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、生命保険募集人資格、損害保険募集人資格保有。

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