親が多額の借金を残して亡くなり、相続放棄の手続きを考えている人もいるでしょう。
借金は引き継ぎたくない反面、死亡保険金はお葬式代などに充てるために受け取りたいと悩む人は少なくありません。
親に借金があり相続放棄を検討していても、生命保険の死亡保険金は原則として受け取ることができます。
本記事では、相続放棄におけるNG行動と、生命保険の手続きについて解説します。
この記事を読んでわかること
基本的に死亡保険金を受け取っても相続放棄は可能
入院給付金や高額療養費の還付金など本来は故人が受け取るべきお金を受け取ると単純承認とみなされる可能性
相続放棄をした場合死亡保険の控除枠は適用されない
目次
7.まとめ
相続放棄をしても生命保険(死亡保険金)は受け取れる
相続放棄を選択した人でも、生命保険の死亡保険金は受け取る権利があります。
まずは、保険金を受け取れる仕組みと、法的な扱いについて解説します。
死亡保険金は「受取人の固有の財産」として扱われるため
生命保険の死亡保険金は、民法上の相続財産には含まれません。
死亡保険金は保険契約に基づく請求権であり、指定された受取人の固有財産として扱われます。
亡くなった人の財産を引き継ぐわけではないため、相続放棄の手続きを行っても死亡保険金を受け取る権利は消滅しません。
過去の判例でも、死亡保険金は受取人が直接取得するもので、保険金を受け取ったとしても相続放棄は可能と判断されています。
また、受取人が配偶者や子などの「法定相続人」と指定されている場合でも同様に、保険金は受取人の固有財産とみなされます。
借金を免れる手続きと死亡保険金の受け取りは、全く別の問題として理解するとよいでしょう。
保険金を受け取っても「単純承認(借金を背負う)」にはならない
亡くなった人の財産を処分したり使ったりすると「単純承認」とみなされ、借金を含めたすべての財産を相続したことになる決まりがあります。
しかし、死亡保険金は受取人の固有財産であるため、死亡保険金を受け取って生活費などに使っても単純承認には当たりません。
また過去には、死亡保険金を使って個人の借金を返済したとしても、相続財産の処分とみなされず相続放棄は可能とした判例があります。
とはいえ、相続放棄をすれば借金返済の義務はありません。
借金の債権者から死亡保険金の返済を求められたとしても応じる必要はないので、安心してください。
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【要注意】受け取ると相続放棄できなくなる(借金を背負う)ケース
生命保険からの保険金や給付金であっても、契約内容によっては受け取ると単純承認とみなされる危険があります。
注意すべき具体的なケースを解説します。
受取人が「亡くなったご本人」になっている場合
保険契約の死亡保険金受取人が「被保険者本人(亡くなった人)」に指定されている場合、死亡保険金は亡くなった人の財産(相続財産)となります。
亡くなった人の財産を受け取ると、相続を承認したとみなされる単純承認に該当し、借金を引き継ぐ結果となります。
受取人が本人になっている契約は非常に稀ですが、確認不足で請求手続きを行うと想定外の事態を引き起こす恐れがあります。
保険金の請求前に保険証券や契約内容のお知らせを取り寄せ、受取人が誰に指定されているかを確認しておきましょう。
生前の「入院給付金」や「解約返戻金」を受け取った場合
亡くなった人が生前に入院していた場合の「入院給付金」や、保険契約の「解約返戻金」の受取人は、原則として被保険者本人です。
入院給付金や解約返戻金を受け取る権利は、亡くなった時点で相続財産に組み込まれます。
相続放棄を予定している人が入院給付金などを請求して受け取ると、相続財産を処分したとみなされ単純承認が成立してしまいます。
死亡保険金以外の給付金については、受取人が誰であるかを確認し、安易に手続きを行わないよう注意しましょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年3月1日―2026年3月31日)
相続放棄している場合の生命保険の「受け取り手続き」と必要書類
相続放棄を行う場合でも、生命保険の請求手続きの基本的な流れは変わりません。
請求手続きの流れと必要書類について解説します。
基本的な請求手続きの流れ
まず保険金の受取人本人から、保険会社に連絡します。
被保険者が亡くなった事実を伝えると、死亡保険金請求書や必要書類の案内が送付されます。
必要書類を準備し、保険会社に返送しましょう。
死亡保険金の請求に必要な書類(一例)
保険金請求書(保険会社所定)
死亡診断書の写し(医師が発行)
被保険者(亡くなった人)の住民票の除票、または戸籍抄本
保険証券
受取人の印鑑証明書
受取人の本人確認書類
保険会社での書類確認が完了すると、指定した口座に死亡保険金が振り込まれます。
最近では保険金支払いまでの日数が短縮されるようになり、書類が保険会社に届いてから5営業日以内の振り込みが一般的です。
振り込みに時間がかかっている場合は、保険会社に手続きの進捗を確認しましょう。
手続きの必要書類に「相続放棄申述受理証明書」は必要?
死亡保険金の受取人が特定の個人に指定されている場合、請求手続きに「相続放棄申述受理証明書」の提出は原則として必要ありません。
死亡保険金は受取人の固有財産であり、相続放棄の有無は受け取りの権利に影響しないためです。
ただし、保険会社によっては確認のために後日提出を求められることがあります。
相続放棄の手続きが完了している場合は、家庭裁判所で相続放棄申述受理証明書を取得し、保険会社の案内に従って提出します。
提出が不要な場合でも、書類は大切に保管しておきましょう。
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相続放棄後の生命保険金にかかる「税金」の落とし穴
死亡保険金は民法上では相続財産になりませんが、税制上は異なる扱いになります。
相続税の対象となる点と、非課税枠の適用に関する注意点を解説します。
みなし相続財産として「相続税」の対象にはなる
税法上、 亡くなった人が被保険者・保険料負担者で、受取人が相続人の場合、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。
民法上の相続放棄を行ったとしても税務上の扱いは変わらず、受け取った死亡保険金には相続税がかかる可能性があります。
すべての財産に相続税がかかるわけではなく、遺産総額が「基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)」を超える場合に申告と納税が必要です。
相続放棄をした人も法定相続人の数に含めて基礎控除額を計算します。
死亡保険金を含めた財産総額を把握し、基礎控除額を超えるかを確認することが大切です。
死亡保険金の「非課税枠」が使えなくなる点に注意
相続人が死亡保険金を受け取る場合、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が設けられています。
しかし、相続放棄をした人は税法上の「相続人」に該当しなくなるため、死亡保険金の非課税枠を適用できなくなります。
相続放棄をした人が受け取った死亡保険金は、全額が相続税の課税対象(みなし相続財産)として計算に組み込まれます。
ここで注意が必要なのが、基礎控除の計算対象にはなるが死亡保険金の非課税枠は適用されないことです。
両者の違いを正しく理解したうえで、納税の申告を行う必要があります。
死亡保険金の非課税枠を利用できないことで相続税の負担が増えるケースもあるため、税理士に相談して正確な税額を計算するのが良いでしょう。
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生命保険以外に「受け取れるお金」と「受け取れないお金」
相続放棄をすると、亡くなった人の権利や財産をすべて手放すことになりますが、受け取れるお金も存在します。
相続放棄をしても受け取れるお金とそうでないお金について、詳しく解説します。
遺族年金や「公的年金の未支給分」は受け取れる(死亡退職金は要確認)
遺族年金は、残された遺族の生活保障を目的とした国の制度であり、遺族自身の固有の権利として、相続放棄の有無に関わらず受け取ることができます。
亡くなった人が受け取るはずだった「公的年金の未支給分」(未支給年金)も、生計を同じくしていた遺族が自己の権利として請求できるため、受け取っても単純承認にはなりません。
(※ただし、民間の個人年金保険などの未支給分は相続財産となる可能性があるため注意が必要です)
一方、勤務先から支給される死亡退職金については、会社の退職金規程によって扱いが異なります。
規程で「受給権者が遺族」と明記されている場合は遺族の固有財産となるため、相続放棄の有無にかかわらず受取が可能です。
請求前に必ず会社の規程を確認し、受取人が誰に指定されているかを把握しておきましょう。
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故人の預貯金や「高額療養費の還付金」などには手を出さない
亡くなった人名義の預貯金を引き出して生活費や借金の返済に充てる行為は、相続財産の処分に該当し、単純承認とみなされてしまいます。
相続放棄をする場合、少額であっても預貯金には絶対に手を出してはいけません。
また、亡くなった人が生前に支払った医療費の還付金(高額療養費)や、税金の還付金などは、本来亡くなった人が受け取るべきお金です。
相続人が受け取ることで相続放棄ができなくなってしまう可能性があるので、注意しましょう。
亡くなった人に属する権利やお金の請求手続きは行わないよう徹底しましょう。
相続放棄と生命保険の受け取りに関するよくある質問
相続放棄と生命保険に関する疑問に、Q&A形式で分かりやすく回答します。
迷いやすいポイントを整理し、安全に手続きを進めるための参考にしてください。
Q. 受け取った死亡保険金でお葬式代を払っても大丈夫ですか?
A. 受け取った死亡保険金は受取人の固有財産であるため、お葬式代に充てても問題ありません。
死亡保険金を使用する行為が相続財産の処分(単純承認)とみなされることはないため、相続放棄も有効です。
葬儀代やお墓代など、故人に関することに使用しても問題ありません。
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Q. 相続放棄の手続きと保険金の請求、どちらを先にすべきですか?
A. どちらを先に進めても法律上の問題はありません。
借金の取り立てが厳しい場合は家庭裁判所での相続放棄を優先し、お葬式代などの資金が急ぎで必要な場合は死亡保険金の請求手続きを先に行うなど、状況に合わせて判断しましょう。
基本的には、同時進行で進めていくのが効率的です。
まとめ
相続放棄を行う際は、受け取って良いお金と悪いお金の区別を正確に行うことが何よりも重要です。
死亡保険金の受け取りが相続放棄に影響することは基本的にないため、できるだけ早い段階で保険金請求の手続きをすることがおすすめです。
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いざというときのために、生命保険の加入や見直しを検討してみましょう。
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