認知症や介護の問題は、高齢化が進む日本で身近な問題となっています。
中には、「将来の認知症リスクに保険で備えたほうが良い?」「公的制度で十分?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
老後までに十分な資産を保有していて、いざというときの治療や介護費の支払いにまったく困らない人であれば良いですが、多くの人は老後の生活に経済的な不安を抱えています。
認知症のリスクや介護にかかる費用から、認知症保険の必要性について保険のプロが解説します。
この記事を読んでわかること
認知症は65歳以上の5人に1人が発症する病気
公的介護保険は現金給付を受けられるわけではない
貯蓄に不安がある人は、もしもに備えて認知症保険の検討がおすすめ
目次
2-1.認知症保険の加入率
2-2.認知症保険で受け取れる主な給付金
2-3.認知症保険と民間の介護保険の違い
4-1.加入条件で選ぶ
4-2.支払条件を比較する
4-3.給付金の受け取り方法を選ぶ
4-5.認知症以外の保障内容を確認する
6.まとめ
認知症保険が必要ないとはいえない理由
「公的制度があるから認知症保険は必要ない」と一概に断言することはできません。
その理由と、認知症のリスクや介護にかかる費用を見ていきましょう。
65歳以上の5人に1人が認知症になっている
認知症は高齢者が増える日本において、非常に身近な病気です。
65歳以上の認知症患者の数は、2012年は約7人に1人でしたが、2025年には約5人に1人(約650~700万人)に増加すると予測されています。
認知症にはいくつかの種類がありますが、アルツハイマー型認知症が最も患者数が多いことで知られています。
もの忘れなどの症状からゆっくりと進行し、最終的には介護が必要な状態になるケースも多いです。
その他、若年性認知症や脳血管障害による血管性認知症などは、比較的若い人にも起こりうる病気です。
認知症は他人事ではありません。
認知症保険は必要ないと判断する前に、認知症になるリスクや治療、介護にかかる費用について知っておくべきでしょう。
(参考:知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルスケア「認知症」|厚生労働省)
介護には大きな費用が掛かる
認知症が進行すると、日常生活を送るために介護が不可欠になります。
では、介護にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか。
生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用は1カ月あたり平均9万円です。
また、住宅のリフォームや介護用ベッドの購入などにかかる一時的な費用の平均は、47万円でした。
一度認知症で介護が必要になると、その後の回復を見込むことは非常に難しくなります。
同調査では、介護を始めてからの平均期間は4年7カ月で、最も多い分布は4年~10年未満の回答でした。
毎月介護費用がかかる状況が何年も続くと、家計に大きな影響を与えたり、家族が経済的な負担を被る可能性があります。
介護にかかる費用もふまえたうえで、認知症保険が必要かどうかを判断する必要があるでしょう。
(参考:2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査|生命保険文化センター)
参考)公的介護保険制度
日本には公的介護保険制度があり、40歳から加入義務が発生します。
認知症などで要介護認定を受けた場合、介護サービスを1~3割負担で利用することができます。
介護保険はいざというときの大切な公的保障である一方、要介護認定を受けたからといってなにか現金給付を受けられるわけではない点に注意が必要です。
介護施設を利用する場合、食費や居住費など公的介護保険が適用されない費用も発生します。
もし介護が必要な状態になってしまったら、できるだけ家族に負担をかけたくないと考える人も多いでしょう。
老後に向けて介護費用を貯蓄しておくか、認知症保険など民間の保険でもしものときのために備えておくことも検討しましょう。
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そもそも認知症保険とはどんな保険?
民間の保険会社が販売している認知症保険は、認知症と診断されたり所定の要介護状態になったときに給付金が受け取れるタイプの保険です。
認知症保険の加入率や詳しい保障内容について見ていきましょう。
認知症保険の加入率
2024年の統計データによると、認知症保険・特約の加入率が最も高いのは、世帯主が60代後半の世帯で11.8%となっています。
定年退職を迎える前後は、老後の生活について考える機会も多くなります。
認知症のリスクに備えて保険を検討する人が増える年代でもあるでしょう。
認知症保険は加入できる年齢に制限があり、70歳~80歳までと定められていることが一般的です。
高齢になってからでは加入できない可能性もあるため、早めに検討を進めておくことがおすすめです。
(参考:2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査|生命保険文化センター)
認知症保険で受け取れる主な給付金
認知症保険の保障内容は保険会社ごとに異なりますが、主に受け取れる給付金は次のとおりです。
認知症保険の主な保障は、診断時の一時金です。
基本的に「初めて認知症と診断されたとき」と支払い条件を定めていることが多いため、保険期間通して1回きりの受け取りとなることがほとんどです。
その他、保険商品によっては軽度認知症で給付金を受け取ることができたり、認知症の症状が一定期間継続することを条件に治療給付金を受け取れることもあります。
また、特約として介護保障や骨折などに備える特約を付加できる商品もあります。
給付金の支払い条件は保険会社ごとに異なる場合があるため、加入前に確認しましょう。
認知症保険と民間の介護保険の違い
民間の生命保険会社では、認知症保険だけでなく介護保険も販売されています。
認知症保険は認知症と診断されたときに保障される保険であるのに対し、介護保険は原因を問わず所定の要介護状態に認定されたときに保障される保険です。
「認知症のリスクに備えたい」「認知症と診断されたときにすぐ給付金を受け取りたい」という人には、認知症保険が適しているでしょう。
一方、認知症に限らず介護のリスクに備えておきたい人には、介護保険の方が適している可能性があります。
保障範囲や支払い条件の違いに注意して、自分のニーズに合った保険商品を選びましょう。
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認知症保険が不要な人の特徴
すべての人にとって認知症保険が必要なわけではありません。
ここからは、認知症保険の必要性が低い人の特徴を紹介します。
貯蓄が十分にあり、いざというときに頼れる親族がいる人
認知症のリスクが高まるのは65歳以降です。
老後の生活資金に加え、もし認知症になったときの治療費や介護費をすべて貯蓄でまかなえるほどの資産を有しているのであれば、あえて民間の認知症保険に加入する必要性は低いでしょう。
いざというときに頼れる親族がいれば、なおさら不安は少ないかもしれません。
しかし、認知症が進行すると本人や家族にとって精神的・経済的な負担はどんどん大きくなっていきます。
本当に今ある貯蓄で安心できるか、認知症保険に加入しておく必要はないか、冷静に判断しましょう。
生命保険など他の方法で備えられている人
すでに介護保険などに加入していて、認知症による介護状態もカバーできているのであれば、新たに認知症保険を検討する必要性は低いでしょう。
認知症保険は、診断時にすぐ一時金を受け取れるメリットはありますが、すでに介護保険で要介護状態に備えられているのであれば、認知症保険に毎月保険料を支払うのではなく、老後のために貯蓄に取り組む方が効率的かもしれません。
当然ですが、認知症保険は認知症にならなければ給付金を受け取ることができません。
老後の生活費やもしものときに使える貯蓄をある程度確保しておくことも大切です。
保険と貯蓄のバランスを考慮し、本当に自分にとって認知症保険が必要かを判断しましょう。
認知症保険の賢い選び方
認知症保険は複数の生命保険会社から販売されており、どう選んだら良いか分からない人も多いでしょう。
認知症保険の賢い選び方について、保険のプロがわかりやすく解説します。
加入条件で選ぶ
認知症保険に加入する際には、保険会社が設定している加入条件を確認することが重要です。
特に、加入できる年齢や健康状態の条件には注意が必要です。
認知症保険では、加入可能年齢が70歳~80歳と定められていることが一般的です。
高齢になるとそもそも加入自体を検討できなくなるため、注意が必要です。
自分が加入できる条件の認知症保険があるか、複数社の加入条件を確認しましょう。
認知症保険に申込む際には健康状態の告知も必要です。
持病を抱えていると加入を断られるケースもありますが、認知症保険の中には引受基準が緩和されており比較的加入を検討しやすいものもあります。
健康状態に不安を抱えている人は、加入しやすいタイプの認知症保険を検討することがおすすめです。
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支払条件を比較する
認知症保険は、保険会社によって給付金の支払条件が異なる場合があります。
認知症と診断された時点で受け取れるのか、軽度認知障害は保障対象となるのか、要介護認定は必要なのかなど、加入前に複数の商品で比較しながら検討を進めましょう。
また、付加できる特約にも保険会社によって違いがあります。
中には、介護特約や骨折などのケガを保障する特約を付加できる認知症保険もあります。
自分のニーズに合った保障内容や特約を付加できるものを選ぶようにしましょう。
給付金の受け取り方法を選ぶ
認知症保険は診断時にまとまった一時金を受け取れるものが主流ですが、中には毎年年金として給付金を受け取れるタイプもあります。
認知症が進行すると、その後の介護期間も長くなる恐れがあります。
年金形式で給付金を受け取ることができれば、日常的な介護費用を補うことができます。
毎年給付金を受け取れた方が使い勝手が良いと思う人は、年金タイプの認知症保険を選ぶと良いでしょう。
保険料と保障内容のバランスを比較する
認知症保険を選ぶ際には、保険料と保障内容のバランスを比較することも非常に重要です。
同じような保障内容でも毎月の保険料が異なったり、逆に同程度の保険料でも保障内容が異なる場合が多々あります。
1社だけで決めてしまうのではなく、いくつかの保険会社で保険料と保障内容の違いを比較することが、後悔しない保険選びのポイントです。
保険料の安さだけで保険を決めてしまうと、必要な保障を確保できていない場合があるため注意が必要です。
いざというときに役に立たなければ、これまで払ってきた保険料がもったいなかったと感じてしまうかもしれません。
月々の支払いと必要な保障のバランスが取れているかが大切なポイントです。
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認知症以外の保障内容を確認する
認知症保険の主な保障対象は認知症や要介護状態ですが、それ以外の保障や付帯サービスにも注目しましょう。
一部の商品では、認知症予防サポートや健康祝金を受け取れる場合があります。
その他契約者が無料で利用できる付帯サービスとして、セカンドオピニオンサービスや無料の健康相談ダイヤルを用意している保険会社もあります。
保険選びに迷ったら、認知症以外の保障や付帯サービスの充実度で選んでみるのもおすすめです。
認知症保険に加入する際の注意点
認知症保険に加入する際、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
保険選びで後悔しないよう、加入時の注意点について見ていきましょう。
認知症保険の加入を家族に伝えておく
認知症保険に加入したら、まず契約内容や給付金請求時の連絡先を家族に伝えておきましょう。
認知症を発症するとその後要介護状態に陥る可能性が高く、給付金の請求も家族や周囲の協力が不可欠となる場合があります。
特に、被保険者自身の認知能力が低下してしまうと、家族が保険の存在を知らなければせっかくの保障が活用できない恐れもあります。
認知症保険に加入したら、保険会社から保険証券が届きます。
大切に保管し、保管場所は家族に共有しておくようにしましょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年12月1日―2025年12月31日)
指定代理請求制度とは
認知症保険の多くには「指定代理請求制度」という仕組みがあります。
指定代理請求制度とは
被保険者本人が給付金請求を行えない場合に、あらかじめ指定した家族が代理人として給付金請求できる制度のこと
認知症保険の場合、いざ給付金請求をする際には被保険者本人の判断能力が低下している可能性があります。
加入時には指定代理請求制度の登録をし、登録した家族にはその旨を事前に伝えておきましょう。
指定代理請求制度の登録には費用は掛かりません。
認知症保険でも保険会社によって保障内容が異なる
認知症保険は保険会社ごとに保障内容が異なります。
そのため、加入時には保障範囲や給付金額、支払条件などを確認する必要があります。
一見似たような保障内容に見えても、診断一時金の額や受け取れる条件が異なる場合があるため注意が必要です。
近年、軽度認知障害(MCI)も保障対象とする認知症保険が増えていますが、商品によって取り扱いは異なります。
必要な保障を見極め、保障内容や支払条件について理解したうえで加入手続きを進めましょう。
保険加入からすぐに認知症になっても支払われないことがある
保険加入後すぐに認知症と診断された場合、給付金が受け取れないケースがあります。
多くの認知症保険では、認知症の症状があらわれてから慌てて保険に加入することを防ぐため、加入から一定期間を免責期間と定めています。
免責期間中に認知症と診断されても、給付金は支払われません。
免責期間は90日~2年の間で設定されていることが多く、商品によって違いがあります。
認知症保険を選ぶ際には、免責期間の日数についても確認しておきましょう。
まとめ
認知症は、誰もが発症する恐れのある身近な病気です。
日本には公的医療保険制度や介護保険制度がありますが、公的制度を活用しても一定の自己負担は必要です。
認知症の治療や介護費用のために、老後の生活費として貯めていたお金を取り崩すことになれば、その後のライフプランにも大きな影響があります。
貯蓄が十分でない人や、家族に負担をかけたくないと考える人には、認知症保険の検討がおすすめです。
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