「生活保護を受けていても医療保険に入れる?」「生活保護になったら加入している保険は解約させられる?」
病気や失業で収入が途絶えたとき、最後のセーフティーネットとして利用できるのが生活保護です。
しかし、生活保護を受給するには、今ある資産や保険契約を整理する必要があります。
本記事では、生活保護と民間の医療保険の関係、生活保護受給中の医療費負担について詳しく解説します。
生活保護の申請を検討している人、受給が始まったばかりの人、過去に受給していた人、幅広い方に参考になる内容です。
この記事を読んでわかること
受給中の新規加入は原則できない
医療費は医療扶助でカバーされるため自己負担はない
すでに加入している保険は「解約返戻金の有無」や「毎月の保険料水準」によっては継続を認められる場合も
【結論】受給中の民間医療保険への新規加入は原則できない
生活保護の受給中は、民間の医療保険へ新しく加入することが原則として認められません。
ただし医療費は医療扶助でまかなわれるため、慌てて備える必要性自体が低いでしょう。
生活保護は、世帯が利用できる資産や能力をすべて最低限度の生活の維持に活用することが前提の制度です。
保険料の支払いは最低生活費を削る行為にあたるため、新規契約は認められないことが一般的です。
一方で、受給中の医療費は原則として自己負担がゼロになります。
民間の医療保険が担う「入院や手術の出費に備える」という役割を、医療扶助が代わりに果たす形です。
つまり保障の空白が生まれるわけではありません。
ここで押さえておきたいのが、「新規加入」と「既に持っている契約の継続」は制度上まったく別の扱いという点です。
インターネット上には両者を混同した情報が多く、混乱の原因になっています。本記事では2つを明確に分けて解説します。
代HS-25-529-430(2026.2)
代HS-25-529-430(2026.2)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年8月1日―2026年8月31日)
生活保護を受給すると公的医療保険(健康保険)はどうなる
「生活保護は医療費がかからない」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。
生活保護受給中の公的医療保険制度と、医療費負担について深堀していきましょう。
国民健康保険・後期高齢者医療制度の被保険者からは外れる
国民健康保険に加入している人が生活保護を受けると、被保険者の資格を失います。
国民健康保険法では、生活保護を受けている世帯に属する人を適用除外とする定めが設けられています。
後期高齢者医療制度についても同様の扱いです。
資格を失うからといって、医療費を全額負担しなければならないわけではありません。
生活保護受給者は医療扶助を受けることができ、基本的に医療費の支払は免除されます。
国民健康保険との二重給付を避けるため、加入資格を失う仕組みです。
実務上は、生活保護の受給が決定したあとに市区町村の国民健康保険担当窓口で喪失の手続きが必要です。
自動で処理されると思い込んでいると手続きが遅れてしまうため、注意しましょう。
手元の保険証は返却することになります。
(参考:生活保護適用による国民健康保険の被保険者資格について|厚生労働省)
(参考:生活保護を受けるようになったとき(国民健康保険)|江東区)
会社の健康保険(被用者保険)に加入中の場合は継続できる
生活保護は、働くことを禁じる制度ではありません。
就労収入があっても最低生活費に届かない場合は、不足分を補う形で保護が続きます。
そのため、会社の健康保険(被用者保険)に加入したまま生活保護を受けている人も存在します。
被用者保険は勤務先との雇用関係にもとづく制度です。
国民健康保険のような適用除外の定めがないため、生活保護の受給によって資格を失うことはありません。
加入要件を満たす従業員を社会保険に加入させることは事業主の義務でもあり、本人の希望とは別に手続きが進みます。
医療費の扱いは2階建てです。まず健康保険から療養の給付として原則7割が支払われ、のこる3割の自己負担部分が医療扶助の対象になります。
受診の際は、勤務先の健康保険証と医療券を併用する形で、窓口での持ち出しは原則として生じません。
国民健康保険との違いは、財源の内訳にあります。
国民健康保険の資格を失った人は医療扶助が医療費の全額をまかないますが、会社の健康保険にのこる人は7割を健康保険が担い、医療扶助は3割部分を補う形です。
どちらも自己負担がゼロになる点は変わりません。
注意したいのは、健康保険料が給与から通常どおり控除されるという点です。
ただし生活保護の収入認定では、就労収入から社会保険料などを差し引いた額をもとに保護費が計算されます。保険料の負担がそのまま家計を圧迫するわけではありません。
給与明細と受診の流れについて、担当のケースワーカーへ一度確認しておくと安心です。
医療費は医療扶助で全額カバーされ、自己負担はなくなる
医療扶助は、生活保護の8種類の扶助のうち医療にかかる費用を保障する仕組みです。
診察や投薬、入院、手術などが対象となり、窓口での自己負担は原則としてありません。
医療機関受診時には注意点が2つあります。
1つ目はあらかじめ担当のケースワーカーへ連絡し、医療券や調剤券の発行を受ける必要がある点。
2つ目は受診先が「指定医療機関」に限られる点です。
指定医療機関とは、生活保護法にもとづき医療扶助の医療を担当する機関として指定を受けた病院や診療所、薬局を指します。
どの医療機関でも自由に受診できるわけではないため、通院先が指定を受けているか事前に確かめておくと安心です。
生活保護を受給している間は医療費の自己負担が発生しないため、民間の医療保険を持つ必要性も低いと言えるでしょう。
(参考:生活保護法に基づく指定医療機関|関東信越厚生局)
(参考:生活保護法指定医療機関、指定介護機関及び指定施術者の方へ|江東区)
生活保護受給中に民間の医療保険へ新規加入できるのか
生活保護受給中には、基本的に新しく民間の医療保険に加入することができなくなります。
理由を見ていきましょう。
生活保護制度の側で新規加入が認められない理由
生活保護は、世帯員全員が利用できる資産や能力その他あらゆるものを最低限度の生活の維持のために活用することを前提とした制度です。
預貯金や利用していない土地・家屋があれば売却して生活費に充てることが求められます。
民間の医療保険の保険料を支払う原資は、支給される保護費しかありません。
最低生活費を削って保険料に回す行為は、最低限度の生活を維持するために必要な支出とは認められにくいのが現状です。
貯蓄性のある医療保険であれば、資産形成とみなされてさらに加入が難しくなります。
加えて、受け取った給付金は収入として認定されます。
保護費が調整されるか返還を求められるため、保障の効果が制度上ほぼ相殺されることになってしまいます。
医療保険の新規加入を検討するより、医療扶助を正しく使うほうが合理的です。受診時の手続きを担当のケースワーカーへ確認しておきましょう。
(参考:生活保護制度|厚生労働省)
保険会社の引受審査(告知)も別に通る必要がある
仮に生活保護制度の側で問題がなかったとしても、保険会社の審査という別の壁が存在します。
制度側で認められたとしても、保険会社の判断は全く別です。
生命保険は、加入者がそれぞれ保険料を出し合って保障し合う制度です。
契約者間の公平性を保つために、健康状態や職業などの審査に通った人だけが、加入を認められる仕組みになっています。
告知の内容によっては、申し込みを引き受けてもらえない場合があります。
生活保護を受給している場合、継続的な保険料支払能力を不安視され、加入を断られることがほとんどです。
また、生活保護に至る背景として傷病を抱えている人は少なくありません。
健康状態の告知を理由に加入できないケースもあるでしょう。
(参考:健康上問題があると、生命保険は契約できないの?|生命保険文化センター)
2つの壁があるため新規加入は現実的に難しい
生活保護制度の壁と保険会社の審査の壁があるため、民間の医療保険への新規加入は現実的に難しいと考えたほうが良いでしょう。
また、生活保護受給中は基本的に医療費の自己負担はありません。
入院や手術で給付金を受け取る民間医療保険の必要性は低いと言えます。
健康状態が改善し、生活保護の受給を終了した時点で、民間保険への備えを検討するのが良いでしょう。
「例外的に加入できる」と紹介される情報の正体
インターネット上には「掛け捨てで保険料が安ければ、生活保護でも加入できる場合がある」という記述が数多く見られます。
しかしその実態は、新規加入ではなく「既に持っている契約の継続」を説明したものがほとんどです。
生活保護の実務では、申請時点で加入している保険を解約させずに保有を認めてよいかという判断が行われます。
掛け捨て型であること、保険料が低額であること、解約返戻金が少額であることが、継続を認めるかどうかの判断材料となります。
新しい契約を結べる条件ではありません。
生命保険で紹介される名義変更の手法も同様です。
契約者を世帯外の親族へ変更して保障をのこす方法は、あくまで既にある契約を守るためのもの。
新規加入の抜け道として使えるものではありません。
「継続の話なのか、新規の話なのか」を見分けて対応方法を検討することが大切です。
保険料 見積シミュレーション
人気の商品をカンタン比較

県民共済や少額短期保険なら加入できるのか
掛金の安い共済や少額短期保険であれば認められるのではないか、と考える人もいるでしょう。
しかし判断基準は基本的に民間の医療保険と変わりません。
生活保護で問われるのは商品の名称ではなく、保険料が最低生活費を圧迫しないか、資産性があるかどうかです。
共済であっても掛金の支払い原資が保護費になることは変わりありません。
さらに、共済には割戻金が発生する商品があります。
割戻金や共済金を受け取れば、民間の保険金と同じく収入として申告する対象となり得ます。
「共済なら安いから大丈夫」という判断は避けましょう。
商品を問わず、受給中の新規契約は担当のケースワーカーへ確認するのが前提です。
生活保護の申請時に医療保険はどうなる?継続できる条件と解約が必要なケース
生活保護を申請すると、資産調査が行われます。
資産と見なされるものの中には保険契約も含まれます。
貯蓄型の保険は解約を求められやすい一方、掛け捨てで少額の契約は継続できる可能性もあります。
申請時は資産調査で保険契約が把握される
生活保護申請時には、世帯が持つ資産の状況を確認する調査が行われます。
預貯金、不動産、自動車、貴金属などとあわせて、生命保険や医療保険の契約も調査の対象です。
調査が行われる理由は、生活保護が「利用できる資産をすべて活用したうえで、なお不足する場合に適用される」制度だからです。
換金できる資産が手元にのこっていれば、まずは生活費に充てることが求められます。
保険契約について確認されるのは、契約の種類、毎月の保険料、そして解約返戻金の有無と金額です。
解約返戻金がまとまった額になる契約は、生活費に充ててから受給を開始する流れになります。
生活保護を申請する前に、手元の証券の内容を確認してみましょう。
保険会社のコールセンターや契約者向けサイトで、解約返戻金の額を調べておくと話がスムーズに進みます。
契約を保有していることを隠しても調査で把握されるため、正直に申告してください。
(参考:生活保護制度|厚生労働省)
解約を求められやすい保険の特徴
解約を求められるかどうかは、「資産性があるか」「生活を圧迫していないか」の2点が主なポイントとなります。
解約を求められやすいのは、次のような契約になります。
- 貯蓄性のある商品:終身保険、養老保険、個人年金保険など、解約返戻金が積み上がるタイプ
- 保険料が高額な契約:毎月の負担が最低生活費を圧迫する水準にあるもの
- 解約返戻金がまとまった額にのぼる契約:換金すれば当面の生活費をまかなえる状態のもの
貯蓄性のある保険は、実質的に預貯金と同じ扱いになります。
保護費を受け取りながら資産を形成することは、制度の趣旨に合いません。
手元の契約が貯蓄型かどうかは、証券の「解約返戻金額」の欄で確認できます。
金額が年々増えていく設計なら貯蓄型、ゼロまたはごく少額なら掛け捨て型です。まずは証券を確認してみましょう。
継続できる可能性がある3つの目安(自己チェック)
生活保護を受給するにあたって、すべての保険が解約になるわけではありません。
掛け捨て型で保険料が低額、かつ解約返戻金がわずかな契約は、保有が認められるケースもあります。
ここでは、契約を継続できる可能性があるかを自分でチェックできるポイントをご紹介します。
目安1:掛け捨て型である
解約返戻金がない、またはごくわずかな掛け捨て型は、資産とみなされにくい契約です。
定期型の医療保険や定期保険が該当します。
証券の解約返戻金欄がゼロ表記なら、掛け捨て型の保険です。
目安2:保険料が最低生活費の1割程度以下
毎月の保険料が生活を圧迫しない水準かどうかも判断材料になります。
医療扶助を除く最低生活費の1割程度が目安とされることが多い水準です。
ただし自治体ごとに運用が異なるため、あくまで参考値として捉えてください。
予算から医療保険を探す
月々の希望予算の上限
あなたにピッタリな商品が見つかる

目安3:解約返戻金が最低生活費の概ね3カ月分以下
解約返戻金が少額であれば、換金しても当面の生活費をまかなえないため資産性が低いと判断されやすくなります。
最低生活費の3カ月分以下、あるいは30万円以下といった水準が目安になります。
具体的な金額は自治体の判断によります。
契約を続けるための方法
3つの目安に当てはまる場合でも、契約の形によっては見直しを求められることがあります。
押さえておきたいのは、生活保護が問題にするのは資産の形成であって、保障そのものではないという点です。
掛け捨ての医療保険には、解約しても戻るお金がありません。
資産にはならない一方、入院したときの給付は世帯の助けになります。
資産性がなく、保障が世帯に届く契約であれば、継続を認められる可能性もあります。
「給付金を受け取れば得をするのでは」と感じるかもしれませんが、受け取った給付金は収入として認定され、その分だけ保護費が調整されます。
受給中に手元の資金が増える構造ではありません。
得をしないからこそ、保有が認められる余地があるという整理です。
また、保険料の支出元を変える方法もあります。
契約者を世帯外の親族へ変更し、親族が保険料を負担する形にすれば、保護費から保険料を出す状態が解消されます。
最終的な判断は担当のケースワーカーが行います。
証券を手元に用意し、契約の種類、月々の保険料、解約返戻金の額、被保険者が誰かをメモにまとめてから相談するとスムーズです。
生活保護受給中に保険金・給付金を受け取ったらどうなる
民間の保険から受け取った保険金や給付金は収入として扱われ、福祉事務所への申告が必要です。
申告を怠ると不正受給とみなされ、返還請求や保護の停止につながるため注意しましょう。
受け取った保険金・給付金は収入として申告が必要
保有が認められた保険から入院給付金などを受け取った場合、収入として福祉事務所へ申告する義務があります。
生活保護は世帯の収入が最低生活費に満たない部分を補う制度のため、収入が増えれば支給額が調整される仕組みになっています。
申告の対象は入院給付金や手術給付金だけではありません。解約返戻金、満期保険金、死亡保険金、共済の割戻金なども含まれます。
金額の大小にかかわらず、受け取った事実を伝えてください。
調整の方法は状況によって異なります。
受け取った額に応じて保護費が減額される場合もあれば、既に支給された保護費の返還を求められる場合もあります。
給付金の請求手続きを行う前に、担当のケースワーカーへ一報を入れておくと安心です。
(参考:生活保護制度|厚生労働省)
申告しないと不正受給とみなされるおそれ
申告義務があるにもかかわらず収入を伝えなかった場合、生活保護費の不正受給と判断される可能性があります。
意図的に隠したと認められれば、扱いはさらに厳しくなる点に注意してください。
不正受給と認定されたときのリスク
|
迷いやすいのは、少額の給付金や、家族の口座で受け取ったケースです。
金額の大小や受け取り方にかかわらず、申告の対象になると考えてください。
判断に迷う入金があれば、その都度担当のケースワーカーへ伝えておけば安心です。
申告の時期や書式は自治体によって異なります。生活保護の受給が始まった時点で、収入申告書の提出時期を確認しておきましょう。
生活保護を脱した後(自立後)に医療保険へ加入するには
自立して生活保護の受給を終了したあとであれば、民間の医療保険に加入できるのでしょうか。
保険会社の審査基準や、健康状態をふまえた保険選びのポイントをご紹介します。
受給廃止後は民間の医療保険へ自由に加入できる
就労などによって収入が最低生活費を上回り、生活保護が廃止されると、民間の保険への加入制限も無くなります。
保険料をどこから支出するかを問われることもありません。
受給の廃止にともない、国民健康保険またはその他の健康保険へ加入する手続きが必要です。
手続きには期限が設けられているため、廃止後は早めに市区町村の窓口へ向かいましょう。
健康保険の空白期間が生じると、医療費が全額自己負担になる可能性があります。
民間の医療保険については、公的医療保険の加入が整ったあとに検討します。
公的保障でどこまでまかなえるかを確認してから、不足分を補う考え方が合理的です。
自立直後は家計に余裕がないケースも多いでしょう。
保険料の負担が重くならない水準に抑えることを優先しましょう。
【要注意】自己破産歴がある場合
生活保護に至る過程で自己破産を経験している人は、健康状態とは別の観点で引き受けを断られる場合があります。
自己破産後一定期間経過していなければ、加入を受け付けない保険会社もあります。
ただし1社で断られても他社では判断が異なることがあるため、複数社で確認を進めてみると良いでしょう。
健康状態に不安がある場合の選び方(告知と引受基準緩和型の基礎)
持病や治療歴があると、通常の医療保険では引き受けを断られることがあります。
しかし、選択肢は残されています。
まずは通常型の医療保険に加入できるかを検討してみましょう。
症状が落ち着いていたり、病気が完治して一定の年数が経過していれば加入できるケースもあります。
また、特定の部位や疾病を一定期間保障対象外とする「特別条件付き」で加入を認められることも少なくありません。
審査の結果通常の医療保険に加入できなかった場合は、持病がある方向け医療保険(引受基準緩和型医療保険)が選択肢となります。
健康状態に関する質問事項が通常の保険よりも緩やかに設定されており、持病があっても検討しやすいのが特徴です。
ただし、加入しやすい分保険料は通常型よりも割高になっているため、毎月の生活を圧迫しないかシミュレーションしておくことが大切です。
(参考:健康状態に不安がある人でも、契約できる医療保険とは?|生命保険文化センター)
自立後は高額療養費制度など公的保障が再び利用できる
生活保護が終了すれば、公的医療保険に加入できるため、高額療養費制度を利用できるようになります。
1カ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分があとから払い戻される仕組みです。
2026年8月から、自己負担限度額の水準が見直されました。
自立直後に該当しやすい区分を中心に整理します。
| 所得区分(70歳未満) | 2026年8月から | 多数回該当 | 年間上限 |
| 年収約370万〜約770万円 | 8万5800円+1% | 4万4400円 | 53万円 |
| 年収約370万円以下 | 6万1500円 | 4万4400円 | 53万円 |
| 住民税非課税 | 3万6900円 | 2万4600円 | 29万円 |
住民税非課税の区分なら、1カ月の医療費がいくらかかっても自己負担は3万6900円までとなります。
入院しても医療費が青天井になることはないため、自己負担額を目安に民間の医療保険のプランを組むことが大切です。
自己負担額は引き上げとなりましたが、多数回該当が据え置かれ、新たに年間上限が設けられたことは長期療養を続ける人にとってメリットです。
さらに2027年8月からは所得区分が細分化され、年収200万円未満の区分では多数回該当が3万4500円へ引き下げられます。
年間上限も41万円に設定される予定です。低い所得層ほど手厚くなる方向の見直しです。
年間上限は、当面は本人からの申し出を前提とした運用で始まります。自動で払い戻されるとは限らないため、医療費がかさんだ年は加入先の保険者へ確認してください。
(参考:高額療養費制度の見直しについて|厚生労働省)
自分に必要な保障を見極める判断軸
生活保護を終了した後、保険選びで迷ったときには次の3つの軸で考えてみましょう。
1つ目は、公的保障でまかなえない部分を洗い出すことです。
高額療養費制度があるため、治療費そのものは青天井になることはありません。
一方、差額ベッド代や食事代、通院の交通費、働けない期間の生活費は自身で備えておく必要があります。
2つ目は、入院給付日額を現実的な水準に設定することです。
給付日額を上げれば保険料も上がります。
自立直後で家計に余裕がない時期は、保障を厚くするより保険料を抑えることを優先する考え方も合理的です。
日額5000円と1万円で保険料がどれだけ変わるかを比べてみてください。
3つ目は、掛け捨て型で保険料を抑えることです。
貯蓄性のある商品は保険料が高くなります。
保障と貯蓄は分けて考え、保険は保障に絞るほうが家計への負担は軽くなります。
3つの軸を踏まえたうえで、実際の保険料を確かめる段階に進みましょう。
「ほけんのコスパ」の保険料シミュレーションなら、年齢と性別を入力するだけで各社の保険料を比較できます。

Q1
入院時の費用は?
よくある質問
生活保護と医療保険をめぐって寄せられることの多い疑問を整理しました。
個別の判断は担当のケースワーカーへ確認してください。
Q. 受給中に傷害保険やがん保険には加入できますか
A. 医療保険と考え方は同じで、原則加入は認められません。
傷害保険やがん保険であっても保険料を保護費から支出することになるため、受給中の新規加入は原則として認められません。
既に加入している契約については、掛け捨て型で保険料が低額、解約返戻金が少額であれば継続できる可能性があります。
Q. 家族名義なら加入できますか
A. 同一世帯の家族名義であれば、世帯単位で判断されるため加入できない可能性が高くなります。
世帯外の親族が契約者となり保険料を負担する形であれば、認められる場合があります。
ただし受給者本人が給付金を受け取れば、収入として申告する対象になる点に注意してください。
Q. 医療券がないと病院にかかれませんか
A. 原則として事前に医療券の発行を受ける流れですが、急病時は受診が優先されます。
まずは指定医療機関で受診し、生活保護を受けている旨を伝えてください。
医療券の手続きは事後に行うことになります。
落ち着いたら担当のケースワーカーへ速やかに連絡しましょう。
Q. 生活保護を受けると加入中の保険会社に知られますか
A. 申請時の資産調査では、保険会社へ契約内容の照会が行われる場合があります。
ただし調査が行われても、契約が自動的に解約されたり失効したりすることはありません。
保険料の支払いを続けている限り、保障は継続します。
まとめ
生活保護を受給している間は、民間の保険に新たに加入することは難しいのが実情です。
すでに加入している保険は、解約返戻金の有無や毎月の保険料などで継続可能かが判断されます。
まずは生活を立て直し、福祉に頼ることが最優先です。
治療は医療扶助で自己負担なく受けることができます。
そして自立後の備えを考える段階になったら、「ほけんのコスパ」の保険料シミュレーションで実際の金額を確かめてください。
年齢と希望する保障を入力するだけで、各社の保険料を比較できます。
FP橋本
筆者も、生活保護受給者の方のご相談を受けたことが複数回あります。
保険会社の審査で、受給中の加入は断られることがほとんどです。
とはいえ、そもそも生活保護を受給していれば医療費はかからないので、民間の保険に慌てて加入する必要はありません。
まずは、生活を立て直すこと、治療中の方は治療に集中することが大切です。


















