「日本の公的医療保険は手厚いから、万が一のときも高額療養費制度を使えば自己負担は少なくて済む」 これは決して間違いではありません。日本の国民皆保険制度は世界でもトップクラスに優秀であり、私たちの生活を守る強固な基盤です。
しかし、少子高齢化や医療技術の高度化が進むなか、持続可能な制度にしていくため、2026年8月および2027年8月の2段階で、高額療養費制度の自己負担上限額が見直される予定となっています。
ほけんのコスパでは、外部のインターネット調査会社を通じて男女700名を対象に「高額療養費に関する意識調査」を実施しました。見えてきたのは、現行の優れた制度に対する認知度の低さと公的保障があっても残る不安でした。
【調査概要】
調査名:健康と医療費に関するアンケート
調査主体:株式会社モニクルフィナンシャル
調査対象:20歳以上の男女700名
調査期間:2026年3月9日から2026年3月15日
調査方法:クロス・マーケティング QiQUMOを利用した調査
目次
時代に合わせた見直し、しかし制度の認知には課題
62.1%が「制度が変わること自体を知らない」
高額療養費制度が見直しされることはニュースでも見かけることが多くなりました。しかしこの社会保障の根幹に関わる重要な変更について、「見直されること自体を知らなかった」人が全体の62.2%にのぼりました。
さらに、現行の制度において現在の自分の所得に応じた「自己負担上限額」を正確に把握している人もわずか11.6%にとどまっています。「制度の名前も内容も知らない」(22.1%)、「内容はほとんど理解していない」(24.3%)など、理解不足の層が約半数を占めています。
自分たちを守ってくれるかもしれない保障がどうなっているのかも、そして保障が小さくなろうとしていることも正しく把握しきれていない現状が伺えます。
半数は見直し内容に不安。理由のトップは「物価高」と「見えない金額」
見直しの内容を伝え、将来の医療費負担の不安について尋ねると55.8%(「非常に大きくなった」23.2%+「やや大きくなった」32.6%)の人が将来の医療費に対する不安が大きくなったと回答しています。
不安が大きくなった理由のトップ2は、「物価高騰などの家計への負担」(47.4%)と、「具体的な自己負担額が不明」(47.2%)でした。また、「預貯金だけで足りるか不安」という声も38.7%に上ります。
不安の根本的な原因は制度そのものへの不満というよりも、昨今のインフレによる家計のゆとりの減少と、自身の将来の支出額が把握できないことによる「見通しの立たなさ」にあるとも考えられます。
公的な制度による恩恵はあっても、なお残る医療費の自己負担への懸念
2人に1人が直面するリスクと、約7割が感じる「負担感」
過去の入院・手術の経験の有無と、高額療養費制度の利用状況について尋ねたところ、全体の過半数(53.8%)が「入院・手術の経験あり」と回答しました。そのうち、半数以上が高額療養費制度を利用していたと回答しました。
最終的な自己負担額を見てみると、ボリュームゾーンは「5万円~10万円未満」(27.3%)でした。一方で、「覚えていない・わからない」と答えた人も30.6%いました。
過去の出来事で単に記憶が薄れていたり、家族が支払いをしたためいくら払ったのかわからなかったという可能性もあります。しかし、「自分が過去にいくら負担したのか、明確な基準を持っていない人」が約3割もいるとも考えられます。「過去の出費がわからない」という実態が、前述した「制度が変わったとき、自分はいくら払うことになるのか想像できず不安になる」という心理に直結していると考えられます。
しかし、高額療養費制度を利用した人でさえ、全体の68.1%(「非常に負担・不安を感じた」29.6%+「やや負担・不安を感じた」38.5%)が支払いに対して負担や不安を感じていました。
差額ベッド代や食事代といった「対象外の出費」があったりすると、一定の金額が制度による医療費の上限に加算されます。人によっては、長期入院による継続した負担が重くのしかかることが不安の原因になっているのかもしれません。
医療費の支払い、民間保険の活用は3割程度
いざという時の医療費の支払いに対して、自己負担額をどうまかなったかという質問に対し、トップは「ご自身やご家族の預貯金」で圧倒的な70.7%を占めました。
一方、「民間の医療保険・がん保険からの給付金」を活用した人は31.5%にとどまっています。
保険に加入していなかった人に加えて、加入していたが短期入院だったため思ったほど給付金を受け取れず医療費をまかなえなかった人もいる可能性があります。
現在加入している保険が最新の医療事情に適しているか、確認が大切です。
多くの人が「手元の現金」で支払いをしている実態がわかりましたが、7.4%の人が「クレジットカードの分割払いやローン」に頼らざるを得ない状況であることも見逃せません。十分な貯蓄がない世帯にとって、突発的な医療費は大きなリスクであることがわかります。
制度の見直しで、5割以上が「生活が苦しくなる・貯蓄を切り崩す」
多くの家庭が医療費の自己負担額を貯蓄で支払っている現状において、上限額の引き上げは家計へ影響を与える可能性があります。万が一入院や手術をした場合、今回の見直しが家計へ与える影響について、過半数の52.9%が「貯蓄を切り崩すレベル」(33.3%)あるいは「生活が苦しくなるレベル」(19.6%)の影響があると考えています。
まずは制度の理解を。貯蓄だけで不安なら民間保険を検討しましょう。
今回の調査では6割以上の人が高額療養費制度の見直しについて知らず、現状の制度においても「自身の自己負担上限額を知っている」と答えた人は1割に留まりました。
いつ病気やケガで入院するかは誰にもわかりません。
公的制度について正しい知識がないと、想定外の出費に慌ててしまうこともあるでしょう。
万が一のときに貯蓄を減らさず、安心して治療に専念するには、公的保障をベースにした上で足りない部分をカバーする民間の医療保険が必要です。
医療費の負担に不安を感じる人は、まず自分が加入している保険の中身を確認したうえで、保障内容が今の医療事情に適しているかをチェックしましょう。
過去に加入した保険を長年そのままにしている場合、高額療養費制度の改定をきっかけに見直しを検討するのがおすすめです。

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