高齢化が進むなか、親世代の病気や介護といった「もしも」の事態に備える子どもの意識は、重要な社会課題の一つです。ほけんのコスパでは、外部調査会社を利用し、親が存命の40~60代の男女500名を対象に「親御さんの保険と将来の備えに関する意識調査」を実施いたしました。
本調査では、子どもが親の保険(生命保険や医療保険)についてどの程度把握しているか、また、把握する必要性を感じているか、コミュニケーション上の課題は何かが明らかになりました。
【調査概要】
調査名:親御さんの保険と将来の備えに関する意識調査
調査主体:株式会社モニクルフィナンシャル
調査対象:40代から60代の男女500名
調査期間:2025年11月4日から2025年11月5日
調査方法:クロス・マーケティング QiQUMOを利用した調査
目次
「必要」でも「知らない」し「行動しない」。“三重のギャップ”が存在
今回の調査では、子どもの「意識」「実態」「行動」に、“三重のギャップ”が存在することがわかりました。親の保険について知ることは「必要だ」と思っているのに、実際には「知るに至らず」、さらに「行動もしていない」という子どもの内情が見えてきました。
「親の保険を知る必要性」を感じているのは6割強
「親御さんの保険について、知っておく必要性を感じますか?」と尋ねたところ、「非常に感じる」(17.8%)「ある程度感じる」(46.2%)を合わせ、64.0%がその必要性を認識していました。
また、「もし今、親御さんが病気や介護で倒れた場合、家計や生活にどの程度の影響があるか」という質問では、60.2%が「影響がある」と回答。
子どもの多くが、親の万が一の事態を「自分たちの問題」として捉えていることがわかります。
現実には、7割弱が「親の保険内容を把握しておらず」
しかし、その「意識」とは裏腹に、「実態」は追いついていません。
「親御さんが加入している生命保険や医療保険等について、どの程度把握していますか?」という質問に対し、「内容は知らない」(30.2%)「加入しているかどうかも、全く知らない」(37.4%)を合わせ、実に3人に2人以上(67.6%)が親の保険内容を『把握していない』実態が明らかになりました。
多くの回答者の親が70代・80代と、いつ病気になったり介護が始まってもおかしくない年齢に達しているにもかかわらず、親が加入している保険について詳しく知らない現状は、リスクが高いといえるでしょう。
さらに、約4割が「聞くという行動」も起こしたことすらない
さらに、親の保険を知る必要があると答えた人に「これまでに、親御さんとお金や保険、将来の備えについて話そうとした経験はありますか?」という質問では、「話そうとしたことはない」と約4割の人が回答しました。
「必要性は感じている」のに、「把握しておらず」、「行動もしていない」。この深刻なギャップは、なぜ生まれるのでしょうか。
なぜ聞けないのか。その理由は「親の反応が不安」と「行動の先延ばし」
親の保険について知ることの「必要性を感じているか」と、話そうと「行動したか」で回答者を分類したところ、「必要性を感じつつも行動できない層」が全体の24.2%でした。
この必要と感じていて、「行動できない層」と「行動した層」の意識を比較すると、“三重のギャップ”の背景が見えてきます。
「親は話したくないかも」という“不安”
「もしあなたが『保険ってどうなっているの?』と親御さんに尋ねたら、どのように反応されると思いますか?」という質問に対して、「『余計な心配はするな』と話を濁されると思う」「『なぜそんなことを聞くのか』と不審に思われるかもしれない」といった「ネガティブな反応をされる」と予想した人の割合は、
- 必要性を感じ行動した層:13.6%
- 必要性を感じつつも行動できない層:39.7%
となり、「行動できない層」は「行動した層」の約3倍も、親からネガティブな反応が返ってくるかもしれないと思っていることがわかりました。この差から、親に保険の話を聞けない原因が心理的なハードルの高さにあることを示しています。
連絡頻度が低いと、保険の話はしづらくなる?
では、なぜ「行動できない層」はネガティブな反応をすると予想するのでしょうか?その背景には、親や兄弟姉妹との「関係性」も影響しているように考えられます。
親との関係性
「親との連絡頻度」別に「予想する親の反応」の割合を見ると、連絡頻度が月に1回未満になると、保険について尋ねたときにネガティブな反応が返ってくると予想する割合は急増し6割を超えます。
普段連絡を取らないことで、「親は話したくないだろう」「たまにの連絡が保険のことだとがっかりされそう」という“不安”も強まり、保険について話せない悪循環が起きている可能性があります。
兄弟姉妹との関係性
また、親の保険という問題は兄弟姉妹間でも共有されていない現状があります。
兄弟姉妹がいる回答者(N=447)に、親の将来の備えについて話したことがあるかという質問では、72%が「話し合ったことがない」(「いずれ話すべき」「必要感じない」の合計)と回答しています。
さらに、この「兄弟姉妹との連携」と「聞いたときの親の反応」をクロス集計したところ、「兄弟姉妹と話した」層は、親がネガティブな反応をすると予想したのは16.8%に対し、「兄弟姉妹と話していない」層では43.2%という結果になりました。
親とも頻繁に連絡をせず、兄弟姉妹間でも話し合わない。この状況がさらに保険について話題にするのをためらってしまっているのかもしれません。
いつ行動する?自身が「60代」になるまで動かない現実
では、子どもが先延ばしをやめ、親に保険の話を聞こうとするのはいつなのでしょうか。
回答者の年代別に「親の保険について知る必要性」と「親の保険について話した(そうとした)ことがあるか」を分析したところ、「必要性」の認識はどの年代でも6割前後が必要と認識しています。
しかし、実際の「行動」では、「40代」「50代」では低いまま停滞し、「60代」になってようやく必要性の認識に追いつくことがわかります。
自身が60代になったタイミング、つまり、親の高齢化が「リスクの現実化」として認識されるまで先延ばしにしている可能性が示唆されます。
しかし、高齢になるほど保険の見直しや新規加入は困難になります。
両親が80歳を超えてから、保障が十分でないことを知り慌てて保険を検討しても、理想の保障を準備するのは難しい可能性があります。
できるだけ健康なうちに、両親の保険がどうなっているのか確認しておくことは非常に大切です。
話しやすいきっかけは「親から切り出してほしい」
では、どうすれば「必要性を感じつつも行動できない層」は親と保険の話をしようと行動できるのでしょうか?
「親から」を待つ子どもたち
「どのような『きっかけ』があれば、親御さんに保険の話を聞きやすいと思いますか?」という質問では、「必要性を感じつつも行動できない層」が望む、保険の話を聞きやすいきっかけは、「親の方から話を切り出してくれた時」が49.6%と最多でした。
「子から聞くのは失礼(怖い)だが、親から話してくれれば聞きたい」という受け身の期待を抱いていることがわかります。
自分から聞けない理由は「多忙」と「聞き方がわからない」
「必要性を感じつつも行動できない層」は、親の保険について聞けない理由として自覚しているのは、「自分自身のことで精一杯で、そこまで頭が回らないから」(21.6%)「何からどう話せばいいかわからないから」(19.6%)が上位を占めました。
この「時間的な余裕のなさ」や「話すキッカケのなさ」、そして「親を不快にさせてしまうかもしれない」という誤解から、子どもにとって「自分から切り出す」というハードルが高くなっているのかもれません。
話す切り口は「手続きのため」が一番?
では、その「話すキッカケのなさ」を解決するものとして有効なのは何でしょうか。
「親の保険について知っておくことの一番のメリットは何だと思いますか?」という質問に対しては、「親がどんな準備をしているかわかり、安心できるため」といった精神的なメリット(24.2%)よりも、「万が一の時、手続き等で慌てずに済むため」という実務的なメリット(49.8%)が1位でした。
子どもは、親が倒れた後の「実務(手続き、費用負担)」を担う当事者としての意識を持っていることがわかります。
「心配だから教えて」という切り口では、親の「まだ元気だ」「心配するな」という感情的な反発を招きやすいと感じるかもしれません。
しかし、「万が一のとき、お互いが事務手続きで困らないように」という実務的な切り口であれば、「心配」ではなく「業務連絡」に近いため、話のきっかけとしてはお互いに話しやすくなるのではないでしょうか。
話しやすい理想の状況は大きく3つ
親から保険について伝えられる理想の状況は、「みんながいるリビングで、夕食後のリラックスした雰囲気の中、雑談の延長で」「保険証券のコピーや連絡先をまとめたメモを渡される」「自分(とその配偶者)、親御さんだけで、まじめな話として時間を設けて」と、回答がほぼ三分割されました。
理想とする伝えられ方は人によってさまざまであり、「保険について話す完璧なシチュエーション」はなく、方法は雑談でも、メモの依頼でも、自分たちの親子関係に合った形で、まずは「共有する」という行動そのものが大切であると考えられます。
保険のプロからのコメント
今回の調査では、子どもの6割以上が親の保険を知っておく必要性を感じていることがわかりました。しかし、現実の行動では「必要性を感じつつ行動できない層」が一定数存在し、「親を不快にしてしまうかもしれない」という誤解や「親からの切り出してくれるのを待つ」という受け身の姿勢があることがわかります。
親が倒れるタイミングは誰にもわかりません。
「自分のことで精一杯」、「親がまだ元気だから」と先延ばしにしていると、いざというときに慌ててしまう可能性もあります。
また高齢になってからでは保険の見直しはどんどん難しくなっていきます。
保障が不十分であることに気づいても、年齢や健康状態の問題から、新しい保険に加入できない可能性があるため、注意が必要です。
親が高齢になってはじめて話すのではなく、早いうちから話しておくことで万が一のときにも備えられるでしょう。





