昨年度に年末調整を実施した500名の方を対象に、年末調整と生命保険料控除に関する意識調査を実施しました。
【調査概要】
調査名:年末調整と生命保険料控除についての意識調査
調査主体:株式会社モニクルフィナンシャル
調査対象:昨年度年末調整を実施した、生命保険等に加入している500名
調査期間:2025年9月5日から2025年9月9日
調査方法:クロス・マーケティング QiQUMOを利用した調査
【調査背景】
10月頃から、年末調整に必要な保険料控除証明書が各家庭に届き始めます。社会人となれば毎年の恒例行事として書類を提出している方も多いかと思います。そこで「ほけんのコスパ」では、年末調整で申請する所得控除の一つである生命保険料控除について、どれくらいの方が理解・活用し、その節税効果についてどう考えているのかを調査しました。
生命保険料控除はどの程度活用されてる?
「知っていて、控除を受けている」は8割以上
回答者500名のうち87.2%が『制度を知っていて、控除を受けている』と回答しています。年末調整における、生命保険料控除の制度が広く認知・活用されていることがみてとれます。これは、年末調整における基本的な節税対策として生命保険料控除が定着していることの表れといえるでしょう。
一方、年代別に見てみると、20代では『知らない』と回答した割合が13.9%にのぼり、他の世代と比べて高くなっています。年末調整を行う機会も他の世代と比べて少ないことが影響しているからと考えられます。
広く活用される一方、約8人に1人が控除を未利用
また、全世代で『知っているが、控除を受けていない』、『知らない』と答えた割合は合わせて12.8%と、およそ8人に1人が控除を受けていないことになります。生命保険等に加入しつつも控除を“取りこぼしている”人が一定数いることもわかりました。
なぜ控除を使わないのか?
最大の理由は「手間や労力に見合わない」
制度を認知していながら利用しない方にその理由を尋ねたところ、最も多かった回答は『控除される金額がわずかだと思ったから』(47.7%)でした。これは、節税できるというメリットよりも、申請にかかる手間や心理的な負担が上回っている、つまり「労力に見合わない」と判断されている可能性があります。
生命保険料控除は、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの枠があります。
それぞれ年間8万円以上保険料を支払っている場合、4万円ずつ、合計12万円が所得から控除されます。
所得から控除される額が12万円ですので、12万円が手元に戻ってくるわけではありません。
生命保険料控除で戻ってくる額は、「控除額×所得税率」「控除額×住民税率」で計算され、税率は収入によって異なります。
平均的な収入で、3つの生命保険料控除枠をすべて使ったとすると、戻ってくる額は3万円前後となります。
複雑な手続きという「見えない壁」
さらに、『申告手続きが面倒に感じたから』(18.2%)、『申告書類の書き方がわからなかった』(15.9%)という回答が続いており、合わせると約34%が手続きの煩雑さを理由に挙げています。制度の複雑さが、活用への「見えない壁」となっているのかもしれません。
生命保険料控除の制度をどの程度理解しているのか
なんとなく申請が多数派?
『大体の内容は理解している』の回答は3~4割にとどまり、しっかりと制度を理解している人は少ないことがわかります。自身の控除額がいくらになるかの仕組みについて尋ねたところ、『概要は理解しているが、詳細はわからない』(40.2%)、『全く理解していない』(23.8%)を合計すると、実に64%に達しました。利用者のおよそ3人に2人が、自身が受ける節税の根拠を詳細まで理解しないままなんとなく申請していることになります。
年末の恒例行事は毎回混乱?
この理解不足は、実際の手続きにおける混乱にも直結しています。申請書類を書く際に、控除証明書からどの金額を転記すればよいか迷った経験があるかという質問に対し、『よく迷う』(28.2%)、『たまに迷う』(46.1%)を合わせると、74.3%が何らかの混乱を感じていました。多くの利用者にとって、年末調整が「よくわからないまま進める、年に一度の面倒な作業」となっていると考えられます。
苦労に見合う節税メリットは実感できていない?
『大変寄与している』という強い実感を持つ層は限定的であり(11.9%)、多くは『多少寄与している』(42.9%)と感じるに留まっています。強いメリットを感じられないため、制度を深く知ろうとせず、「なんとなく」申請や、面倒だから申請しないを繰り返すのかもしれません。
年末調整は保険加入・見直しのきっかけになっているか
「節税」はあくまでも付加価値
「節税効果を期待して新たな保険に加入することに前向きか」という質問に対し、『節税効果のためだけに加入することはしたくない』(21.0%)、『今の保障で十分』(33.2%)といった慎重な意見が目立ちました。一方で、『必要な保障がある上で、節税効果があれば検討したい』(21.8%)、『必要な保障が得られるなら、積極的に加入したい』(12.6%)という声も多く、節税は保険加入の主要な動機ではないものの、保障という本質的なニーズがあれば、後押しする一因となっていることがうかがえます。
約3割が年末調整を機に「保険の見直しを意識」
「年末調整がきっかけで保険を見直したことはありますか」という質問では、『見直したことがある』(13.4%)、『見直しを検討したことがある』(19.2%)を合わせると、32.6%、約3人に1人が意外にも年末調整を機に自身の保険について何らかの形で意識を向けていることが判明しました。
保険は保障を準備することが目的で、所得控除はあくまでもリスクに備える自助努力をサポートするものです。
一方、平成24年の制度改定に伴い新設された「個人年金保険料控除」は、将来のための積立を行いながら所得控除も受けられるため、メリットを感じやすくなっています。
毎月貯蓄しているお金の一部を個人年金保険に支払うことで、年末調整の際いくらか控除を受けられるのであれば、新たに検討したいと感じる人もいるかもしれません。
また、年末調整時に「控除枠を活用できていない」ことを意識し、必要な保険について考えるきっかけになることもあるでしょう。
まとめ
年末調整と生命保険料控除についての意識調査を通して、実際に控除を活用している人の割合や、制度への理解度が明らかになりました。
多くの人が生命保険料控除を活用している一方、8人に1人は「手続きが面倒」「労力に見合わない」などの理由で控除を取りこぼしている現状です。
制度への理解が進むことで、手続き自体も分かりやすくなり、年末の恒例行事としてよりスムーズに受け入れられるようになるかもしれません。
せっかく保険に加入しているのであれば、これを機にぜひ保険料控除を活用しましょう。
10月ごろから順次、控除証明書が保険会社から送られてきます。
最近ではWEBで証明書を発行している保険会社も増えていますので、ご自身の加入されている保険会社の状況を一度確認しておくことをおすすめします。



















