家は人生で最も大きな買い物の一つです。
「家を買ったら入っておくべき保険はある?」「ローンを組んだら保険の見直しをしたほうが良い?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
住宅購入を機に検討しておくべき保険もあれば、反対に必要性が低くなる保険もあります。
今回は、住宅購入時の保険の選び方についてプロが詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
火災保険・地震保険の加入は必須
大きな病気に罹患したときなど、ローンの支払いに影響が出るリスクは保険でカバーがおすすめ
団信に加入した人は、死亡保障の額を見直しておきましょう
目次
住宅を購入したらどんな保険が必要?
住宅を購入したら、火災や地震への備えだけでなく、病気による治療費負担や収入減少に対する保障を含め、ライフステージに合った保険を選びましょう。
まずは、住宅購入時に検討するべき主な保険について解説します。
火災保険・地震保険
火災保険は、住宅が火災や自然災害などによる損害を受けた場合に、その修理費用や建て替え費用を補償する保険です。
補償対象は建物と家財に分けられ、建物のみで契約をすることも可能です。
その場合、保険料は抑えることができますが、家の中の家財が損害を受けても補償されないため、注意が必要です。
火災保険を検討するときは、損害保険会社や保険代理店に問い合わせるか、ハウスメーカーで取り扱いがあれば見積もりを取ることも可能です。
ただし、ハウスメーカーで取り扱っている損害保険会社は限られているため、複数の商品で比較したい人は、乗合保険代理店等で検討すると良いでしょう。
住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、火災保険の加入はほぼ必須となります。
また、地震保険は火災保険ではカバーされない地震や津波による損害を補償するものです。
日本は地震大国といわれています。
新築住宅であっても、災害リスクを考慮して必ず加入を検討しましょう。
地震保険は火災保険に付帯する契約のため、基本的に地震保険のみでは加入できません。
住宅購入時に火災保険と併せて検討することをおすすめします。
Q.分譲マンションでも火災保険は必要?
A.分譲マンションの場合でも、火災保険への加入は必要です。
マンションの共用部分(廊下やエントランスなど)については、管理組合が保険に加入していることが一般的ですが、自宅部分に対する保障は個別に加入しなくてはいけません。
住宅ローンの契約時に、火災保険への加入を必須としている場合がほとんどです。
自分の部屋が火災を起こした場合や、隣室から被害を受けた場合に重要な補償となります。
戸建てと同様、補償対象は「専有部分のみ」「専有部分と家財」のいずれかから選択することが一般的です。
また、地震保険についても併せて加入することが可能です。
団体信用生命保険
団体信用生命保険(通称「団信」)は、住宅ローン返済中に契約者が亡くなったり高度障害を負った際に、ローン残高の支払いが免除される保険です。
団信への加入は、住宅ローンの契約条件となっていることが一般的です。
最近では、死亡や高度障害だけでなく、がんや生活習慣病まで保障対象を広げた団信も登場しています。
保障範囲を広げることでローン金利が上乗せされるため、総支払額と保障内容のバランスを見て、どのプランにするかを決めましょう。
死亡保険
死亡保険は、万が一のことがあったときに、遺族のその後を支えるための大切な保険です。
住宅を購入するとほとんどの人が団信に加入するため、万が一のことがあっても家族は住宅費用を負担する必要がなくなります。
一方、その後の生活費や子どもの教育費に対する備えは、死亡保険で準備しておく必要があります。
死亡保険に加入していない人は、ライフステージに合わせて検討を進めましょう。
すでに死亡保険に加入している人は、団信への加入を機に保険金額を削減できる場合もあります。
加入中の保険の見直しがおすすめです。
また、フラット35でローンを組むと団信への加入は任意になるため、独身の人など団信に加入しないケースもあるかもしれません。
団信に加入しない場合、万一の際にのこされた親族に負担をかけないため、死亡保険の検討がおすすめです。
あなたの年齢で死亡保険の保険料は?

医療保険
住宅を購入したら、病気やケガのリスクに備える医療保険も検討しましょう。
毎月大きな出費となる住宅ローン返済を抱える中、もしものことがあって入院や手術が必要になると、医療費負担が家計を圧迫する可能性があります。
日本は公的保障が充実しており、高額療養費制度である程度医療費の支払を軽減させることができます。
しかし、差額ベッド代や入院時の食費等の雑費は、公的医療保険が適用されません。
また、先進医療や自由診療など、全額自己負担となる治療法もあります。
病気やケガのリスクは誰もが抱えているものです。
医療費負担が家計を圧迫しないよう、民間の医療保険で最低限の保障を用意しておくと安心です。
最低限の保障で保険料はいくら?

参考)高額療養費制度
高額療養費制度とは、1カ月の医療費負担が自己負担限度額を超えた場合に、超過分が払い戻される公的な医療制度です。
自己負担限度額は年齢や収入に応じて設定されており、69歳以下の人の場合は次の通りです。
年収500万円の人であれば、1カ月の医療負担額は最終的に9万円前後となります。
ただし、入院が月をまたぐと上限額は再計算となります。2カ月間入院した場合は自己負担額が倍になるため注意が必要です。
また、個室療養を希望した場合の差額ベッド代や、入院中の食費は別途自己負担が必要です。
先進医療や自由診療など、そもそも公的医療保険が適用されない治療に対する備えも検討しましょう。
参考)差額ベッド代
差額ベッド代とは、入院時に個室や少人数部屋を利用する際にかかる追加費用のことです。
令和5年度の厚生労働省の報告によると、1日あたりの平均額は1人部屋で8437円となっています。
差額ベッド代は公的医療保険制度の対象外で、全額自己負担が必要です。
入院が長引くとその分負担額も大きくなるため、個室での療養を希望する人は、民間の医療保険での備えを検討しましょう。
(参考:主な選定療養に係る報告状況|厚生労働省)
がん保険・三大疾病保険
がんや心疾患、脳血管疾患などの大きな病気に罹患すると、治療が長引いたり、後遺症で働けなくなる可能性もあります。
医療費負担や収入の減少により、住宅ローンの返済が難しくなることも考えられます。
住宅を購入した際、がんや三大疾病に備える保険を検討しましょう。
がん・生活習慣病団信に加入すれば、所定の条件に該当すればローン支払が免除になります。
しかし、民間の保険のほうがトータルでの支払額を抑えられる可能性もあります。
ローン完済後の保障を確保する意味でも、団信のプランを決めるときは民間の保険と比較して検討することがおすすめです。
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就業不能保険
就業不能保険は、病気やケガなどで一定期間働けなくなった場合の収入減に備えるための保険です。
団信は基本的に死亡と高度障害が保障の対象となっており、病気やケガで一時的に働けない場合は対象外になることがほとんどです。
高度障害とは、両眼の完全な失明や、一生涯常に介護を要する状態など、比較的重い状態を指します。
病気やケガで一定期間働けなくなると収入は減少してしまいますが、ローンはそのまま支払い続ける必要があるため、家計に大きな影響を及ぼすことが考えられます。
住宅ローンを抱えている人にとっては、団信でカバーできない就業不能への備えは重要といえるでしょう。
また、自営業やフリーランスで働く人の場合、傷病手当金が受け取れないため、さらに働けなくなったときのリスクが高くなります。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年5月1日-2025年5月31日)
【ライフステージ別】住宅を購入したときの生命保険選び
必要な保険は、ライフステージによっても異なります。
ここからは、住宅購入時の保険選びについて家族構成別に解説します。
独身の場合
独身で住宅を購入した場合、自分自身が住宅ローンを返済できなくなったときのリスクに備えることが重要です。
まずは、医療保険やがん・三大疾病保険、就業不能保険で、ローンが支払えなくなる状況に備えておきましょう。
がんや生活習慣病は団信で特定の病気に備えておくこともできますが、住宅ローンの返済後は保障が受けられません。
若くしてがんに罹患することがあれば、がん団信に加入しておくことで免除されるローン額は大きいものになります。
しかし、がんは年齢が高くなるほど罹患率も上がる病気です。
実際に罹患する可能性が高くなる年齢まで保障を用意しておきたいのであれば、民間の終身タイプの保険がおすすめです。
独身におすすめの保険を比較する

30代など若いうちであれば、がん保険には比較的お手頃な保険料で加入できます。
独身であれば死亡保険の必要性は低いですが、フラット35で団信に加入しない場合はのこされた親族のために代替となる死亡保険を検討しましょう。
独身の場合、毎月のローン返済や火災保険の支払に影響が出ないよう、生命保険は保険料を抑えて、効率よくリスクに備えておくことがおすすめです。
夫婦(共働き)の場合
夫婦で共働きの場合、ローンの組み方やそれぞれの収入によって生命保険の選び方も変わります。
ペアローンの場合、夫婦のどちらかに万が一のことがあっても、のこされた人のローン残高は免除されません。
そのため、お互いの死亡保険を準備しておくことが重要になります。
金融機関によっては、どちらかに万が一のことがあった場合、残債がすべて免除される「夫婦連生団信」が利用できることもありますが、住宅ローン金利が上乗せになります。
民間の死亡保険とどちらのほうが負担を抑えられるか、比較してから検討を進めましょう。
また、共働きの場合、夫婦でそれぞれ収入があることで経済的安定性は高まりますが、どちらか一方が働けなくなった際、もう一方に返済負担が集中する可能性があります。
医療保険やがん・三大疾病保険、就業不能保険などで、もしものときのために備えておくと安心です。
万が一に備える死亡保険を探す

夫婦(専業主婦・夫)の場合
専業主婦(夫)の家庭が住宅を購入した場合、稼ぎ手に万が一のことがあったときの保障を重点的に検討する必要があります。
住宅ローンは団信でカバーされますが、のこされた家族の生活費を支えるための死亡保険はある程度用意しておくと安心です。
ただし、子どもがいなければそこまで大きな死亡保障は必要ない可能性もあります。
稼ぎ手に万が一のことがあったとき、のこされた側が働くことができそうか、家族の支援を得られそうかなどをふまえて検討を進めましょう。
その他、団信でカバーできない就業不能への備えも必要度が高くなります。
医療保険やがん・三大疾病保険に関しては、夫婦揃って検討するのがおすすめです。
専業主婦(夫)である側にもしものことがあると、経済的な負担だけでなく家事の負担も大きくなります。
最低限の医療保障は確保しておくようにしましょう。
最低限の医療保障で比較する

子どもがいる場合
子どもがいる世帯が住宅を購入する場合、子どもの教育費や生活費も考慮に入れて保険選びをする必要があります。
万が一のときは団信で住宅ローンは免除されますが、学費や普段の家計支出までカバーするには死亡保険が必要です。
また、ローン契約者ではない側が亡くなったときの備えにも注意が必要です。
ローンが免除にならないことに加え、子どもを一人で育てていなければならず経済的負荷も大きくなります。
その他、学費が必要になる時期に収入減が重なるリスクを想定し、医療保険やがん・三大疾病保険、就業不能保険を必要に応じて検討しましょう。
夫婦の収入バランスを考慮し、各保険の内容を見直すことで、家族が安心して暮らせる環境を整えることが保険選びの最重要ポイントとなります。
子どもの教育費に備える死亡保険を探す

住宅を購入したら生命保険の見直しは必要?
住宅を購入すると、自身のライフスタイルや家族構成に応じて生命保険を見直す必要が出てきます。
住宅ローンを組んだ場合は、ローン契約時に団体信用生命保険(団信)に加入することが一般的ですが、それだけでは遺族の生活費や教育費などを完全にまかなうことは難しいでしょう。
死亡リスクや働けなくなるリスク、医療費の負担など、さまざまなリスクを総合的に検討し、適切な保障を準備しておくことが重要です。
また、団信に加入することによって、加入している死亡保障の額を減額できるケースもあります。
ローンの支払に影響が出ないよう、できるだけ固定費は削減しておきたいものです。
過剰に保険料を支払うことが無いよう、改めて加入している保険の内容を確認しておきましょう。
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住宅購入時に生命保険を見直すときの3つのポイント
住宅購入は大きなライフイベントのひとつで、保険の必要性にも変化が生じます。
ここからは、生命保険を見直すときに押さえておきたいポイントを紹介します。
死亡保障額と保険期間を見直す
住宅を購入すると、住宅ローンを組んで団体信用生命保険(団信)に加入する人がほとんどでしょう。
ローンの契約者が万が一死亡したり、高度障害になった場合、保険金で住宅ローンが返済される仕組みになっています。
そのため、住宅購入後は団信が住宅ローン分をカバーしていることを考慮に入れ、必要な死亡保障額を見直すことが重要です。
小さい子どもがいる家庭であれば、教育費やのこされた家族の生活費を考慮し、必要な保障額を計算しましょう。見直しの際は保険期間も検討する必要があります。
子育て世帯の場合、子どもが独立するまでを目安に保険期間を設定すると良いでしょう。
病気やケガのリスクに備えられているか確認する
住宅を購入した後は、病気やケガなどによって医療費負担が必要になるリスクに目を向けることも重要です。
団信では、もしものときの治療費負担や、働けなくなったときの収入の減少はカバーできません。
医療保険や就業不能保険への備えは十分か、いま一度確認しておきましょう。
また、最近では、三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に備える保険もさまざまな保険会社から販売されています。
三大疾病は治療が長期間に渡る場合が多く、医療費の負担が大きくなったり、一定期間働けないことで収入が減少してしまう場合もあります。
もしものときにローン返済に影響を与えないよう、三大疾病に対する備えも検討しておくことをおすすめします。
参考)入院1回あたりの自己負担額
生命保険文化センターの調査によると、入院1回あたりの自己負担額は19万8000円です。
最も多かった回答は10~20万円で、全体の33.7%となっています。
一方、入院日数が長くなるほど自己負担費用が高くなることもわかっており、入院日数61日以上の場合の自己負担額は75万9000円と非常に高額です。
脳卒中などの脳血管疾患や、精神疾患での入院は日数が長引く傾向にあります。
入院日数が長くなり医療費負担が高額になったときへの備えも、検討しておくことが大切です。
働けなくなるリスクについて検討する
住宅ローンは長期間にわたる返済が必要なため、収入が途絶えるリスクへの備えが不可欠です。
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった際の収入を保障する保険であり、団信ではカバーできないリスクを保障することができます。
団信では高度障害状態は保障対象となりますが、高度障害は両目の完全な失明や一生涯介護が必要な状態など、非常に重い状態を指します。
そのため、病気やケガで一定期間働けなくなってしまっても、基本的にローンが免除されることは少ないでしょう。
会社員や公務員の場合、傷病手当金を通算1年6カ月間は受け取ることができますが、給与が満額保障されるわけではないため手取りの収入は減少します。
また、自営業やフリーランスの場合は傷病手当金は受け取れないため、収入が途絶えてしまう可能性があります。
加入している保険で働けなくなるリスクに十分に備えられていない場合、就業不能保険を追加で検討することをおすすめします。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年5月1日-2025年5月31日)
住宅を購入したらもらえる補助金・減税制度
住宅を購入したときに受け取れる補助金や減税制度があります。
ここからは、2025年5月時点の国や自治体の支援制度について解説します。
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金
「ZEH住宅」とは、太陽光発電などで電力創出を行うことに加え、省エネ性能を最大限に高めてエネルギー消費をゼロに近づける住宅のことです。
ZEH住宅の新築、もしくはリフォームを行った際に、ZEH補助金を受け取ることができます。
補助金の額は建物の規模や設備によって異なります。
詳しくは執行団体窓口、または環境省の担当室に問い合わせしてみると良いでしょう。
(参考:住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・省CO2化促進|環境省)
住宅ローン減税
「住宅ローン減税」は、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、所得税や住民税の一部が控除される制度です。
年末のローン残高の0.7%が最大13年間控除されます。
ただし、既存住宅(中古物件)を購入した場合の控除期間は10年となります。
その他、住宅ローン減税にはいくつかの条件があります。詳しくは所管の税務署等に問い合わせをしてみましょう。
住宅ローン減税|国土交通省
税についての相談窓口|国税庁
新築住宅に係る税額の減額措置
新築住宅を購入した場合、一定条件を満たすと固定資産税が軽減される「新築住宅に係る税額の減額措置」が適用されます。
戸建ての場合は3年間、マンション棟の場合は5年間、税額が50%減額される特例措置が受けられます。
この減額措置については、市町村が問い合わせ窓口となります。
新築購入を検討している人は、一度制度の内容について確認しておくと良いでしょう。
新築住宅に係る税額の減額措置|国土交通省
まとめ
今回は、住宅購入時に検討しておくべき保険について詳しく解説してきました。
住宅を購入することは、人生で最も重要なライフイベントの一つです。
火災保険や地震保険はもちろんのこと、住宅ローンの支払いに影響が出るリスクに備えておく保険選びが重要になります。
死亡保険や医療保険、がん・三大疾病保険、就業不能保険など、個々のライフステージや家族構成に応じて選びましょう。
ただし、すべての保険に手厚く加入しておく必要はありません。
毎月の固定費となる保険料は、できるだけ抑えておきたいものです。
考えられるリスクに優先順位を付け、効率よく備えておくことが大切です。
どの保険を優先したら良いか自分ではわからない人には「ほけん必要度診断」がおすすめです。
簡単な質問に答えるだけで、自分にとって必要な保険を診断することができます。
ぜひ、保険選びに迷っている人は参考にしてください。
