「もしがんになったら抗がん剤治療にいくらかかる?」「がん保険は必要?」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。
抗がん剤治療のほとんどは公的医療保険制度が適用されるため、自己負担額は一定まで抑えることができます。
ただし、抗がん剤治療は数年にわたって行うケースもあり、毎月の医療費負担が家計を圧迫するリスクが高くなります。
今回は、抗がん剤治療にかかる費用を具体的にシミュレーションしながら、がん保険で備えておく必要性があるのかを考えていきましょう。
この記事を読んでわかること
がん入院にかかる費用は3割負担で平均20万円~30万円。がんの外来治療は1回あたり平均1万円~3万円
ウィッグ代や通院にかかる交通費、収入の減少など、医療費以外の経済的リスクも加味しましょう
長引く抗がん剤治療に備えておきたい人には、抗がん剤治療特約がおすすめ
目次
抗がん剤治療にかかる費用はいくら?
抗がん剤治療は、公的医療保険が適用されるものがほとんどです。
しかし使用する薬剤によっては薬価が数十万円になることもあるため、実際の自己負担がいくらになるか気になるところです。
実際の医療費について見ていきましょう。
がんの入院治療にかかる費用
がんに罹患すると、まず入院して手術を受けるケースが多いです。
また、抗がん剤治療のために数日間入院が必要になることもあります。
2022年の厚生労働省による調査によると、がんの入院1件あたりの医療費は次の通りです。
がんの種類によっても3割負担後の金額は異なりますが、平均して20万円~30万円程度の医療費負担が発生することがわかります。
ここから、高額療養費制度を利用することで実際の自己負担額はさらに軽減できる場合があります。
ただし、入院時の差額ベッド代や食費など、高額療養費制度の対象とならない費用がある点には注意が必要です。
がんの平均入院日数は13.4日と、比較的短期化の傾向にあります。
がんの治療は通院で行うことが増えているため、入院時の備えだけでは不十分な可能性があります。
(参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省)
関連記事
がんの通院治療にかかる費用
抗がん剤治療のために入院が必要になるケースもありますが、基本的には通院(外来)治療で行うのが一般的です。
2022年の厚生労働省による調査によると、がんの通院治療1件あたりの医療費は次の通りです。
3割負担後の金額は、1万円~3万円程度になっています。
ただし、この金額には検査のみで終了するような比較的医療費が少ないケースも含まれています。抗がん剤は薬価自体が高額なものも多く、場合によっては自己負担額が高額になることもあるため注意が必要です。
抗がん剤治療を通院で行う場合、薬剤費用はもちろん、通院交通費、診察料、採血検査費用なども必要になります。
また、公的医療保険制度が適用されない抗がん剤を使用する場合、全額自己負担となるため数百万円の支払が必要になることもあります。
治療にかかる費用はケースバイケースです。
万が一がんと診断されたらどんな治療を受けたいか、どこまで備えておくべきかを整理しておくことが必要でしょう。
関連記事
参考)高額療養費制度
日本の公的医療保険制度では、高額な医療費負担を軽減するために高額療養費制度が設けられています。
高額療養費制度とは、1カ月の医療費負担額が上限額を超えたときにその差額が返還される制度のことです。
上限額は年齢や収入によって定められており、69歳以下の場合は次の通りです。
例えば年収500万円の人の場合、1カ月の医療費負担の上限は約8万円から9万円となります。
また、自己負担上限額を超える医療費が発生した月が1年以内に3回以上あった場合、4回目からは多数回該当としてさらに自己負担額を抑えられる仕組みもあります。
抗がん剤は薬価が高額なものもあり、場合によっては高額療養費の自己負担上限額を超えることもあります。
もしもの時に備え、まずは公的医療保険制度や高額療養費制度の仕組みをしっかり確認しておきましょう。医療費負担のイメージができてから、不足する部分をがん保険で補うようにすると、無駄なく保障を準備することができます。
(参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年6月1日-2025年6月30日)
公的医療保険が適用されない費用
抗がん剤治療にかかる費用について考えるときは、公的医療保険が適用されない費用についても考慮しておく必要があります。
先進医療や自由診療、分子標的薬などの一部の治療法は、全額自己負担が必要です。
がん治療の過程で必要となるウィッグ、通院治療に伴う交通費、入院時の差額ベッド代や食費も自己負担となります。
また抗がん剤治療のために通院することで、仕事を休まざるを得なくなり、収入が減少するおそれもあります。
会社員であれば有給がある限り使えますが、欠勤や休職となればそれまでの給与を維持することができなくなります。
パートで働いている人や、自営業の人などで、仕事を休むことですぐに収入が途絶えてしまうリスクがある人ははさらに注意が必要です。
関連記事
Q.分子標的薬は公的医療保険制度が適用されますか?
A.公的医療保険制度の適用になるケースと、ならないケースがあります。
分子標的薬は通常、公的医療保険が適用されます。
ただし、がんの種類や進行度によって適用範囲が決められており、適用外の場合は自由診療として全額自己負担が必要になります。
また、公的医療保険制度が適用された場合でも、分子標的薬の費用は高額になることが珍しくありません。
高額療養費制度を利用して自己負担額を軽減させたり、がん保険で治療費をまかなうことが大切になります。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?

抗がん剤治療は何回続く?
抗がん剤治療を何回しなければならないかは、がんの進行度や種類によって異なります。
手術後の再発予防のための抗がん剤治療や、抗がん剤の効果がすぐに現れた場合は、比較的短期で治療を終わることもあります。
一方、がんが進行している場合は、抗がん剤の種類を変えながら治療を数年間続けていくケースもあります。
実際に抗がん剤治療が必要になったとき、どれだけの期間治療を続けるかはわかりません。治療が長引いたときのリスクに備えておくことが大切といえるでしょう。
関連記事
抗がん剤治療のサイクル
抗がん剤治療は、患者の体調やがんの種類、治療の目的に応じてさまざまなサイクルが設定されます。
一般的に、1サイクル3~4週間で組まれることが多く、がんの進行が見られなければ4~6サイクル繰り返して治療を受けることになります。
1クールが終了すると、休薬期間→治療再開→薬剤を変化させながら治療といったように、がんが大きくならないよう治療を続けていきます。
休薬期間は、副作用を軽減し抗がん剤の作用を十分に得るために必要で、経過を見ながら治療を進めていきます。
また、近年では分子標的薬などの新しい治療薬も加わり、多様な治療の進め方が提案されるようになっています。
医師と相談しながら、自分の体調に合った治療のスケジュールを立てていくことになります。
1年間抗がん剤治療を続けた場合の自己負担額概算
仮に、がんと診断されてから1年間抗がん剤治療を毎月受けたと想定すると、自己負担額の概算は次の通りになります。
【年収500万円の人の場合】
1カ月目~3カ月目 :約9万円×3カ月=27万円
4カ月目以降(多数回該当適用) :4万4000円×9カ月=39万6000円
1年間の医療費負担合計額:66万6000円
ただし、この金額には病院に通うための交通費や、入院時の差額ベッド代、食費等は含まれないため注意してください。
また、この概算は、治療を受けたときに高額療養費の自己負担額の上限に達した場合のものです。
ホルモン剤治療など、薬価が抗がん剤と比べて安価な治療で高額療養費の上限額に達しない場合、逆に自己負担が増えるケースもあります。
自由診療の抗がん剤治療にかかる費用はいくら?
自由診療を受けた場合、患者がすべての医療費を全額自己負担しなければなりません。
治療に必要な薬剤費や診療費、検査費も全額含まれるため、公的医療保険が適用される場合と比較して経済的負担は大きくなります。
必要な費用はケースバイケースですが、1カ月の薬剤費だけで100万円を超えるケースも多く、一般的な家庭の場合貯蓄だけで自由診療の費用を全額まかなうのは難しいといえます。
近年では、民間のがん保険で自由診療の保障を付加できるものも増えています。がんと診断されたとき、費用を理由に治療の選択肢を狭めたくないと思う人は、がん保険の自由診療特約を検討するのがおすすめです。
約4割の人ががん保険で備えている
では、実際にどれくらいの人ががん保険に加入しているのでしょうか。
2022年の生命保険文化センターの調査によると、がん保険・がん特約の加入率は39.1%となっています。
年代別にみると40代の加入率が最も高く、男性では45.5%、女性では50.6%と約5割の人ががん保障を準備していることがわかります。
がんは年齢を重ねるほどリスクが高くなる病気のため、若いうちにがん保険に入る必要はないと考える人もいるかもしれません。
しかし、がん検診で指摘を受けたり持病の治療をしていると、がん保険に加入できない可能性があります。
また、実際にがんの罹患リスクが高まる年齢になると、毎月の保険料も高くなります。
いずれがん保険に加入しておきたいと思っているのであれば、若くて健康なうちに検討しておくのがおすすめです。
まずは、自分の年齢で毎月の保険料がどれくらいになるのかを確かめましょう。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?

データから見るがん保険の必要性
ここからは、がんに関する統計データからがん保険の必要性について見ていきます。
がんの罹患率
日本ではがんは非常に身近な病気で、生涯で男性は65.5%、女性は51.2%の人が何らかのがんに罹患するとされています。
その一方で、がんで死亡する確率は男性で26.2%、女性で17.7%。がんは徐々に治る病気になっていることがわかります。
年齢別に罹患率見ていくと、男性は60代以降から罹患率が大きく上昇するのに対し、女性は30代後半から緩やかに罹患率が高くなっています。
女性は比較的若い世代でも、乳がんや子宮がんなど女性特有のがんに罹患するリスクがあります。
高齢になるほどがんのリスクが高まるのは事実ですが、若い人でもがんになる可能性はゼロではありません。
がん治療は年々進歩を遂げており、早期発見ができれば治癒率も高くなります。いざというときに安心して治療に向き合えるよう、がん保険の必要性について考えておくと良いでしょう。
関連特集
がんの平均在院日数
がんによる入院は短期化の傾向にあり、2023年の調査では平均13.4日となっています。
近年のがん治療は通院による薬剤治療が主流となっており、長期間入院するケースは少なくなっています。
とはいえ、大きな手術を伴う場合や抗がん剤治療の副作用が強く出た場合は、平均よりも長い入院になる可能性もあります。
がんの通院治療はもちろんですが、医療保険などで入院への備えもできているかを改めて確認しておくと良いでしょう。
(参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省)
がんの入院患者数・外来患者数
がんの入院患者数と外来患者数の差は年々大きくなっており、外来治療を受ける患者が増加傾向にあることがわかります。
2023年は、入院患者数が118万8000人に対し、外来患者数は258万2000人と倍以上になっています。
近年では、抗がん剤やホルモン剤による治療は通院で行われることが一般的になっています。
がん治療に備えるには、入院と手術が保障される医療保険では不十分といえます。いま一度、がん保険や抗がん剤治療特約の必要性について考えましょう。
がん患者の6割が収入減を経験している
治療費負担だけでなく、がんに罹患したことによる収入減のリスクも無視できません。
一般社団法人患者家計サポート協会が行った2025年の調査によると、働くがん患者の6割が収入の減少を経験しているという結果が出ています。
またそのうちの約9割が収入減少後も高額療養費制度の区分が変わらず、預金の切り崩しや治療間隔の変更などを余儀なくされている人もいることがわかっています。
がんに罹患すると、通院のために仕事をセーブしなければならず、結果的に収入が減少してしまうことは珍しくありません。
がんへの備えを検討するときは、収入減少についても考慮しておきましょう。
(出典:【高額療養費の現実|独自調査結果発表】働くがん患者の6割が収入減でも医療費支払いは変わらず、治療継続が困難に|一般社団法人 患者家計サポート協会)
関連記事
がん保険を選ぶときの5つのポイント
がん保険の必要性は感じていても、がん保険の選び方がわからない人も多いのではないでしょうか。
保険のプロが、がん保険を選ぶときのポイントをわかりやすく解説します。
通院治療に対応しているか
がん治療は入院だけでなく、通院しながら行うケースが増えています。
特に抗がん剤治療やホルモン剤治療、分子標的薬を用いた治療では、通院を前提に進められることが一般的です。
通院治療には、薬剤費用だけでなく診察費用や検査費用、病院までの交通費も必要になります。
がん保険を選ぶときには、通院治療に対応できる保障内容になっているかを確認しましょう。
「がん診断一時金」や「抗がん剤治療(薬剤治療)給付金」は、入院の有無に関係なく保障されるため、がんの通院治療に備えるのに適しています。
関連記事
Q.がん保険に「抗がん剤治療特約」は必要ですか?
A.がんの薬剤治療に効率よく備えておきたいのであれば、「抗がん剤治療特約」はおすすめの特約です。
近年のがん保険では、がんと診断されたときにまとまったお金を受け取れる「診断一時金」と、抗がん剤などの薬剤治療を受けた月ごとに保障される「抗がん剤治療」の保障が主流となっています。
診断一時金の保障額を、通院治療にかかる費用や収入の減少等に備えられるだけの金額に設定しておくのも一つの方法です。
しかし、診断一時金だけで大きな保障額を設定するよりも、抗がん剤治療特約と組み合わせてプランを組んだ方が、保険料を抑えられるケースが多いです。
保険料とのバランスを見ながら、薬剤治療に効率的に備えたい場合は抗がん剤治療特約の付加を検討してみましょう。
関連記事
がんの再発や転移に備えられるか
がんは再発や転移のリスクがある病気です。一度治療を終えても、再び治療が必要となるケースも珍しくありません。
がん保険を選ぶ際には、再発や転移が発覚した場合にも保障が受けられる内容になっているか確認しましょう。
特に、がん診断一時金の受取りが1回切りとなっているものや、抗がん剤治療の保障回数に上限が定められているタイプの場合、再発時に保障を受け取れない可能性があります。
給付金を受け取れる条件や回数にどんな制限が設けられているか、申込前に確認しておくと安心です。
関連記事
治療費や収入減少を加味した保障額になっているか
がん保険の保障額を決めるときには、治療費の負担はもちろん、収入減少についても考慮しておく必要があります。
抗がん剤治療を継続する場合、治療費が月ごとにかかるだけでなく、副作用によって働く時間が減少したり、休職を余儀なくされることがあります。
日常生活の費用や家族の生活も考慮し、収入減少分もカバーできる保障額を設定しておくと安心です。
まずは、高額療養費制度の自己負担額から1年間の治療にかかる費用を概算しましょう。加えて、収入の減少なども加味して最終的な保障額を決めると良いでしょう。
抗がん剤治療特約では毎月の医療費負担をカバーできるだけの金額を、診断一時金では毎月の生活費や雑費をまかなうための金額を、それぞれ役割を分けて設定するのもおすすめです。
関連記事
先進医療や自由診療に備えておきたいか
先進医療や自由診療は公的医療保険が適用できないため、自己負担額は大きくなります。
「少しでも可能性がある治療は試したい」「費用のことで治療を諦めたくない」と考える人は、がん保険に先進医療特約や自由診療特約を付加しておくと良いでしょう。
先進医療特約は、通算2000万円まで先進医療にかかった技術料が保障されるものが一般的です。
自由診療特約は、自由診療で抗がん剤治療を受けたときに一定の給付金を受け取れるものと、自由診療にかかった費用を実費で保障してくれるものがあります。
保障内容については、加入時に確認しておくようにしましょう。
また、先進医療に対する保障を医療保険で付加している場合は、重複してがん保険に付加する必要はありません。
がん保険を検討するときは、今加入している保険と重複しないかを確認したうえで、効率よく備えられるように意識すると良いでしょう。
保険期間はいつまでか
がん保険には終身タイプと定期タイプがあります。
がんは年齢を重ねるほどリスクが高くなる病気のため、老後の保障も確保しておきたいのであれば終身タイプのがん保険がおすすめです。
定期タイプのがん保険は、一見加入時の保険料は終身タイプと比較して低廉に思えるかもしれませんが、更新の度に保険料が上がる仕組みとなっています。
そのため、実際にがんのリスクが高まる年齢になると保険料が高くなり、がん保険の継続が難しくなるケースもあります。
子どもが小さい間やローンを支払っている間だけがん保障があれば良い人には定期タイプのがん保険がおすすめですが、将来のがんリスクにも備えるのであれば終身タイプで一生涯の保障を用意しておくほうが安心です。
関連記事
がん治療で利用できる公的制度
高額療養費制度以外にも、がん治療で利用できる公的制度があります。
がん治療には高額な費用がかかることもあるため、利用できる制度については事前に知っておくと良いでしょう。
医療費控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費の合計が一定額を超えた場合に、所得税や住民税の負担を軽減できる制度です。
がん治療に伴う入院費用や抗がん剤治療にかかる費用、通院時の交通費なども控除の対象となる場合があります。
また、がん以外の病気やケガでかかった医療費も合算可能で、控除できる金額の上限は200万円までとなっています。
医療費控除を申請するには、領収書や明細書を保管し、確定申告を行う必要があります。
公的医療保険が適用されない自由診療の費用も対象になることがあるため、まずは実際の医療費を整理し、申請可能か確認しましょう。
傷病手当金
傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだときに健康保険から支給される手当金です。
会社員と公務員が対象で、支給額は給与の約3分の2、支給期間は通算1年6カ月間と定められています。
抗がん剤治療の副作用やがん治療のために働けなくなった場合でも、傷病手当金によって一定の収入は確保できます。
ただし、給与の満額が保障されるわけではない点や、自営業やフリーランスで働く人は対象にならない点には注意が必要です。
関連記事
障害年金
がん治療による後遺症や長期間にわたる治療の影響で日常生活に困難をきたす状態になった場合、障害年金を受給できる可能性があります。
受給の判定は、がんの病状や治療による影響の重さなどを基に医師の診断や書類を審査されるため、主治医と相談しながら申請準備を進めていきましょう。
また、障害年金は原則初診日から1年6カ月経過した日が障害認定日となります。
がんと診断されてすぐに生涯年金が受け取れるわけではないため、ある程度がん保険などで治療費の負担に備えておくことが大切です。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?

がんの治療費が支払えないときはどうしたら良い?
公的な制度を利用しても、がんの治療費の支払が難しくなるケースもあるでしょう。
ここからは、がんの治療費が支払えないときに利用できる制度をご紹介します。
限度額適用認定証
医療機関での支払が高額になった場合、一旦は自己負担をし、その後高額療養費の申請を行うことで還付を受けられる流れが一般的です。
しかし、医療機関での支払自体が難しいときには、限度額適用認定証の交付を受けることで窓口での支払いを最初から高額療養費の上限額までとすることができます。
また、マイナ保険証を利用している人は、マイナ保険証を提出して「限度額情報の表示」に同意することでも利用可能です。
マイナ保険証を持っていない場合やオンライン資格確認を導入していない医療機関の場合、加入中の健康保険組合に直接申請する必要があります。
(参考:限度額適用認定証等について|全国健康保険協会)
高額療養費貸付制度
がん治療にかかる費用が家計にとって大きな負担となり、支払いに苦労するケースもあるでしょう。
医療費の支払が難しい場合、「高額療養費貸付制度」の活用もひとつの選択肢です。
高額療養費貸付制度とは、高額療養費制度の還付を見越して、一定額を無利子で先に貸し付けてもらえる制度です。
通常、高額療養費制度を利用すると自己負担額の一部が数カ月後に払い戻されますが、手元に資金が足りない場合は一時的な支払いも難しいかもしれません。
高額療養費貸付制度を利用すれば、一時的なお金のやり繰りに困ることなく支払を済ませることができます。
この貸付制度を利用するには、健康保険組合に申込書と必要書類を提出し、審査を受ける必要があります。ローンや借金を考える前に、まずは無利子で貸付を受けられないか試してみると良いでしょう。
(参考:高額医療費貸付制度|全国健康保険協会)
無料低額診療事業
経済的に厳しい状況でがん治療が必要になった場合は、「無料低額診療事業」を提供している医療機関を利用する方法もあります。
無料低額診療事業とは、経済的困窮者を対象、医療費の一部または全部を軽減する制度です。
年収によって医療費が免除される割合は異なっているため、医療機関へ事前に確認しておくようにしましょう。
無料低額診療事業の対象となる場合は、申込書と合わせて所定の所得証明となる書類を提出する必要があります。
医療ローン
自由診療や先進医療など、高額な費用が必要な治療法を希望する場合は、医療ローンを組むことも選択肢のひとつとなります。
医療ローンは、民間の金融機関が提供しているものと、病院と提携している信販会社が提供しているものがあります。
実際にがんに直面すると「高額な治療でも、少しでも効果が見込めるのであれば挑戦したい」と思う人も少なくないでしょう。
手元の資金が不足している場合は、ローンを組むという選択肢もあります。
ただし、ローンには利息が付きます。返済期間なども考慮して、無理のないプランを選ぶことが大切です。
あらかじめ医療保険やがん保険に先進医療に備える特約を付加していれば、保険会社が治療にかかる費用を負担してくれます。
いざというときに後悔しないよう、健康なうちに民間の保険の保障内容を見直しておくことも大切です。
まとめ
抗がん剤治療の費用は、がんの種類や治療内容、薬剤の選択によって大きく異なります。
公的医療保険制度を利用すれば自己負担額は軽減されますが、通院治療が長引くと徐々に家計に影響を与える可能性があります。
また、抗がん剤治療の副作用によってこれまで通り働くことができず、収入が減少してしまうリスクもあるでしょう。
抗がん剤治療に効率よく備えておくには、がん保険の抗がん剤治療特約がおすすめです。
ほけんのコスパでは、複数の保険会社のがん保険を掲載しています。
保障内容を見比べながら自分にぴったりのがん保険を見つけてください。