「就業不能保険の審査に落ちてしまった」「そもそも就業不能保険って必要?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
保険に加入する際には、健康状態や職業などを申告する必要があり、それをもとに総合的な審査が行われます。
そのため、申込をしても必ず保険に加入できるというわけではありません。
本記事では、就業不能保険の加入審査に落ちてしまう理由や、就業不能保険の仕組み、給付金の支払条件について保険のプロが詳しく紹介していきます。
この記事を読めば、保険の審査に落ちた際の対処方法や、就業不能保険の必要性について知ることができます。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事を読んでわかること
就業不能保険は、公的保障ではカバーしきれないリスクに備えられる保険
職業や年収、健康状態によっては加入を断られてしまうケースもある
就業不能保険に加入できなかった場合、引受基準緩和型医療保険など別の保険を検討するのがおすすめ
目次
就業不能保険とは働けなくなった期間の生活費をカバーする保険
就業不能保険とは、病気やケガで働けなくなってしまったときに、毎月の給与の補填のような形で給付金を受け取れる保険のことです。
働けない状態が続くと、収入が減少してしまうことが考えられます。
場合によっては傷病手当金などの公的な制度を利用することができますが、それまでの給与が全額保障されるものではありません。
万が一働けなくなってしまったときの生活費をカバーするために検討するのが就業不能保険です。
就業不能保険には、免責期間が設けられているものがあります。
商品によって期間は異なりますが、60日や180日など、就業不能状態になってから一定の期間は保障対象外とするものが一般的です。
短期間の療養ではなく中長期間働けなくなってしまうような状態をカバーできるのが、就業不能保険の特徴です。
就業不能保険の必要性
実際にどんな人が就業不能保険に加入しているのでしょうか。
2022年度の調査によると、男性は30~40代、女性は40代で就業不能保険の加入率が最も高くなっています。
パートナーや子どもがいたり、住宅ローンを組んでいるなど、働き盛りの世代を中心に就業不能保険に加入している人が多いことがわかります。
就業不能保険は、医療保険ではカバーできない在宅療養や、公的保障でカバーしきれない収入減少などに備えられる保険です。
特に働き盛りの世代は、長期間仕事ができなくなってしまうと経済的な影響が大きくなってしまう可能性があるため、就業不能保険の必要性が高いといえるでしょう。
(参考:令和4年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター)
会社員・公務員の場合
病気やケガで働けなくなってしまったとき、会社員や公務員であれば公的保障である傷病手当を受け取ることができます。
また、療養が長期にわたり、国が定める基準に該当した場合は障害年金が受け取れる可能性もあります。
しかし、公的保障だけですべての生活費がまかなえるわけではありません。
傷病手当金は、連続した療養の4日目から給与の約2/3が受け取れる制度で、最長通算1年6カ月の間支給されます。
そのため、傷病手当金は療養時の重要な収入源となりますが、それまでの給与が全額保障されるわけではなく、支給期間にも限度があるため注意が必要です。
さらに、障害年金を受給するには国が定める基準に該当しなければならず、通常は就業不能状態になってすぐに受け取れるというものではありません。
会社員や公務員の場合は、公的保障を加味したうえで不足する分を就業不能保険で補う考え方が良いでしょう。
個人事業主・フリーランスの場合
個人事業主やフリーランスの場合、公的保障である傷病手当金を受け取ることができません。
また、会社員のように有給休暇もないため、働けなくなることによるリスクは高いといえます。
そのため、いざというときのために保険で備えておくことが大切です。
特に個人事業主の場合、自分が働けなくなってしまうと途端に収入が途絶えてしまう人も多いでしょう。
入院や手術にかかる費用は、医療保険である程度まかなうことができますが、入院が長引いてしまうと医療保険の保障対象外となってしまうケースもあります。
また、在宅療養は医療保険ではカバーすることはできません。
そのため、医療保険だけでなく就業不能保険を組み合わせ、長期間働けなくなってしまったときの収入減少に備えられるようにしておくのがおすすめです。
就業不能保険の保障額も、毎月の生活費などを把握したうえで決めるのが良いでしょう。
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収入保障保険・所得補償保険・就業不能保険の違い
就業不能保険と収入保障保険はいずれも生命保険ですが、所得補償保険は損害保険の一種です。
就業不能保険と収入保障保険の違いは、死亡保障の有無です。
就業不能保険は入院や在宅での長期療養を給付金の支払条件としていますが、収入保障保険は死亡保障が主な支払条件です。
目的によってどちらを選ぶかは異なってくるため、保障内容の違いには注意しておきましょう。
一方、所得補償保険は就業不能保険と同じように働けなくなってしまったときのための保険ですが、就業不能保険に比べ、保険期間は1年など短いため、免責期間も短期間であることが一般的です。
就業不能保険の場合、保険期間は60歳や65歳までの一定期間にすることが多く、免責期間も60日や180日などが一般的です。
免責期間中は給付金の支払対象外となるため、商品を選ぶ際には注意が必要です。
就業不能保険と医療保険の違い
就業不能保険と医療保険は、どちらも病気やケガに備えるための保険ですが、保障内容には大きな違いがあります。
医療保険は、入院や手術などの治療にかかる医療費に備えるための保険です。
一方で、就業不能保険は、働けない間の収入減少に備える保険です。
医療保険では入院している期間は保障の対象となりますが、在宅療養やリハビリ期間は保障の対象外です。
長期の療養が必要になった場合は、就業不能保険で給付金を受け取ることができるため、医療保険と就業不能保険を組み合わせることにはメリットがあります。
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就業不能保険の支払い条件
どのような状況に該当すれば給付金が支払われるかは、保険商品によって異なります。
一般的には、医師の指示で在宅療養をしている状態や、入院している状態を支払条件としているものが多いですが、そのほかにも細かい条件が設けられている場合もあります。
就業不能保険の支払条件について、詳しく見ていきましょう。
免責期間(就業不能状態から一定期間経過している)
一般的に就業不能保険は、働けない状態になってすぐに給付金が支払われるものではありません。
保険会社が定める期間を越えて就業不能状態が継続していれば、給付金が支払われるという仕組みです。
この期間のことを「免責期間」といいます。
免責期間の長さは商品や選択するプランによって異なりますが、60日や180日と定めているものが一般的です。
つまり、保険期間中に就業不能状態が60日もしくは180日以上継続した場合、給付金が支払われるということになります。
しかし、中にはそれよりも免責期間が短く、同一月内に10日以上の療養をすれば給付金が支払われるような商品もあり、保険会社によって特徴が異なっています。
就業不能保険を選ぶ際には、免責期間が何日間設けられているのか、事前に確認しておくことが大切です。
就業不能状態になっている
就業不能保険で給付金を受け取るには、保険会社が定めている「就業不能状態」に該当している必要があります。
就業不能状態の定義は保険会社によって異なる部分がありますが、一般的には「入院」や「医師から在宅療養を指示されている」等の条件が定められています。
在宅療養の場合、通院以外の外出ができない状態であることを条件としていたり、家での事務作業ができる状態でも支払対象とするなど、保険会社ごとに細かな違いがあります。
また、就業不能状態が継続されている限り、給付金が毎月支払われるタイプのものと、一度就業不能状態に該当すれば、死亡しない限り保険期間満了まで給付金が支払われるタイプのものもあります。
特定の病気での療養のみを保障対象としている商品もあるため、実際に給付金を受け取れる条件は商品ごとに異なります。
いざというときに給付金が支払われなかったとならないよう、加入前に就業不能状態の定義については確認しておくのが良いでしょう。
Q.うつ病やパニック障害など精神疾患は保障される?
精神疾患での給付金支払いは、「入院」を必須条件としている商品が一般的です。
そのため、うつ病やパニック障害などで仕事を休むことになっても、在宅療養をしている段階では保障されないことがほとんどです。
一部の商品では、「精神疾患による入院後の在宅療養」も保障対象としていますが、いずれにせよ「入院」をしていることが必須の条件となっています。
近年では精神的な病気で休職する人も増えており、リスクと感じている人も多いでしょう。
しかし、就業不能保険では比較的保障される条件が厳しくなっており、入院が必要になることがほとんどである点には注意が必要です。
就業不能保険の加入審査に落ちる2つの理由
就業不能保険に申込をしたが、審査に落ちてしまった場合、どんな理由が考えられるでしょうか。
保険に加入する際には、健康状態や職業について申し出る必要がありますが、その内容によっては加入を断られてしまうケースもあります。
ここからは就業不能保険の加入審査に落ちてしまう理由について解説していきます。
職業や年収などの条件が満たされていない
就業不能保険に加入するためには、職業や年収などの保険会社が定める条件を満たしている必要があります。
保険会社によって条件は異なりますが、無職の人や年収が100万円以下の場合には加入を断られてしまうこともあります。
また、長距離運転をする運転士や潜水士など、特定の職種の人は加入に制限がかかったり、加入できる保障額に限度が設けられていることもあります。
一方、パートやアルバイト、主婦(夫)であっても、問題なく加入できる商品もあります。
就業不能保険の加入審査に落ちてしまったときは、まずは自身が加入条件を満たしているかを確認しましょう。
健康状態に問題がある
既往歴や現在の健康状態によっては、就業不能保険に加入できないケースもあります。
健康状態の診査基準は保険会社によって異なりますが、治療中の病気があったり入院歴がある場合、就業不能保険に加入できなかったり保障金額が減少してしまう可能性があります。
さらに、保険に加入する際には、過去の健康診断結果も尋ねられます。
要検査や要精密検査といった指摘を受けていたり、数値が保険会社の定める基準を越えてしまったりしていると、加入を断られてしまうこともあります。
また、審査基準は保険種類によっても異なるため、「死亡保険やがん保険には加入できたのに就業不能保険は断られてしまった」ということもあるでしょう。
就業不能保険の加入審査に落ちたときの対処法
もし就業不能保険の審査に落ちてしまったときは、どうすればよいでしょうか。
対処法について保険のプロが詳しく解説していきます。
働けないときに受けられる公的保障を確認する
まずは、そもそも自分にとって就業不能保険が必要かどうかを改めて考えましょう。
そのためには、働けなくなってしまったときに受けられる公的保障の内容を知ることが必要です。
どんな公的保障を受けられるか、詳しく解説していきます、
傷病手当金
傷病手当金とは、会社員や公務員の人が受けられる公的保障のひとつです。
病気やケガで働けなくなってしまってから4日目以降、それまでの給与の約2/3を受け取ることができます。
受け取れる期間は通算1年6カ月と定められています。
傷病手当金は重要な収入源となりますが、給与が満額保障されるわけではなく、受け取れる期間にも通算限度があります。
そのため、働けない状況が続くと治療費などの出費が必要になるうえに、収入も減少してしまうことになります。
さらに、傷病手当金を受け取っている間も社会保険料の支払いは免除されることはありません。
働けなくなってしまったときに経済的に援助してくれる家族がいれば良いですが、自身が家計を支えていたり1人暮らしをしている人は特に注意が必要です。
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障害年金
障害年金とは、病気やケガなどが原因で生活や仕事が制限される状態になったときに受け取れる、公的年金のひとつです。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
個人事業主やフリーランスなど国民年金に加入している人は「障害基礎年金」を、会社員や公務員で厚生年金に加入している場合は「障害厚生年金」、もしくは「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の両方を受け取ることができます。
障害状態によって、障害基礎年金の場合は1級・2級、障害厚生年金の場合は1級~3級までが設けられています。
いずれも一定の障害認定が必要になり、1級が最も重く他人の介助がなければ日常生活を送れない状態であることが条件になります。
障害年金を受け取るための申請にもさまざまな手続きが必要で、受給までにはそれなりの時間がかかります。
一時的な療養ですぐに受け取れるものではない点には注意が必要です。
引受基準緩和型保険に加入する
就業不能保険に加入できなかった場合、別の保険でカバーすることを検討しましょう。
通常の保険に加入ができない人は、持病があっても加入しやすい「引受基準緩和型保険」を検討するのが一般的ですが、残念ながら就業不能保険には引受基準緩和型の商品はほとんどありません。
そのため、緩和型医療保険や収入保障保険を活用して保障を準備するのがおすすめです。
緩和型医療保険の場合、180日型や365日型といった長期の入院を保障できるタイプを選択したり、介護特約を付加するという方法もあります。
また、緩和型収入保障保険は、死亡保障がメインの保険ですが、特約として介護保障を付加できる商品もあります。
就業不能保険以外の方法で、長期間働けない場合や介護に備えられるよう検討してみましょう。
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就業不能保険の必要性が高い人
家族構成や経済状況によって、保険で備えておくべきリスクは変わってきます。
では、就業不能保険の必要性が高いのはどんな人でしょうか。
ケース別に解説していきます。
個人事業主やフリーランスの人
個人事業主やフリーランスの場合は、有給休暇や傷病手当金がないため、働けなくなってしまったときのリスクは大きいといえます。
病気やケガで働けなくなってしまうと、すぐに収入が途絶えてしまう人も多いでしょう。
そのため、就業不能保険で保障を準備しておくことをおすすめします。
また、病気やケガの治療にかかる費用についても考えておく必要があります。
公的医療保険制度があるとはいえ、がんなどの大きい病気に罹患してしまうと毎月ある程度の治療費が必要になります。
就業不能保険だけでなく、医療保険やがん保険についても併せて検討しておくのが良いでしょう。
預貯金が少ない人
現在預貯金が少なく、何かあったときの一時的な出費に対応できない人は、就業不能保険の必要性が高いといえます。
もしも働けなくなって収入が減少してしまったとき、預貯金がある程度ないと治療費やその後の生活費をまかなうことができない可能性があります。
向こう半年間の生活ができるくらいの貯蓄があるかどうかを、ひとつの判断基準として考えてみましょう。
また、預貯金が少ない人の場合、突然入院が必要になった場合に治療費が支払えないというリスクもあります。
就業不能保険と併せて、医療保険やがん保険で最低限の保障を準備しておくのがおすすめです。
住宅ローンを返済中の人
住宅ローンを返済しているなど、収入が減少してしまうと家計に大きな影響を与えてしまう人は、就業不能保険の必要性が高いといえるでしょう。
住宅ローンだけでなく、奨学金や自動車ローンなどを抱えている人も同様です。
病気やケガで働けなくなっても、ローンが免除されることはありません。
収入が減少しても支払いを続けていかなければならないため、就業不能保険で備えておくと安心です。
一方で、住宅を購入していて団信に加入している人の場合、団信の保障内容をふまえたうえで保険選びをすることが大切になります。
例えば、がんと診断されれば住宅ローンが免除になる団信に加入している場合、がんで長期間働けなくなっても住宅ローンの支払いがなくなるためその分治療費に充てることができます。
団信でカバーできないリスクを重点的にカバーできるよう、保障を組み立てるのがポイントです。
まとめ
今回は、就業不能保険で審査に落ちてしまう理由や対処法、就業不能保険の仕組みについて解説してきました。
職業や健康状態から加入が難しい場合は、引受基準緩和型医療保険など、別の方法で備えることを検討してみましょう。
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