地震のニュースを見るたびに、「もし自分が地震で亡くなったら、のこされた家族に保険金は下りるのか」という不安がよぎる人は多いのではないでしょうか。
住宅ローンや子どもの教育費を抱える世帯ほど、万一の備えが機能するかどうかは大切な問題です。
地震・津波・噴火が原因の死亡でも、生命保険の死亡保険金は原則として支払われます。
ただし、傷害保険では例外になるなど、注意点もあります。
保険にくわしくない人でも順番に読めば全体像をつかめるよう、専門用語をかみ砕いて説明します。
まずは結論から確認していきましょう。
この記事を読んでわかること
生命保険の死亡保険金は原因を問わず、地震・津波・噴火による死亡でも原則支払われる
「地震で下りない」という不安は、住宅向けの地震保険との混同が主な原因
災害割増特約や傷害特約の上乗せ分は約款上は削減の余地があるものの、近年の大地震では全額支払いが続いている
目次
【結論】地震・津波・噴火で死亡しても生命保険(死亡保険金)は原則支払われる
生命保険の死亡保険金は死亡の原因を問わないしくみのため、地震・津波・噴火による死亡でも原則支払われます。
ただし上乗せ部分の特約には例外があります。
生命保険の主契約となる死亡保険金は、病気・事故・災害といった死亡の原因を区別せず支払われる設計です。
地震で亡くなった場合も、支払いの対象から外れることは原則ありません。
免責(保険金が支払われない事由)にあたるのは、契約から一定期間内の自殺や、受取人による故意など、限られたケースです。
地震そのものは免責事由に含まれていないため、「地震だから支払われない」という不安は、主契約に関しては当てはまりません。
まず手元の保険証券で、加入している保険の死亡保険金額を確認し、今の保障内容を把握しておきましょう。
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なぜ「地震だと支払われない」と誤解されるのか
「地震では保険が下りない」というイメージが広まっている背景には、2つの原因があります。
1つは、住宅の損害を補償する「地震保険」と、人の死亡に備える「生命保険」が混同されていることです。
もう1つは、生命保険の約款に「地震等による災害の場合、保険金を削減できる」という条項が存在することです。
約款の条文だけを読むと、地震では支払われないように見えてしまいます。
しかし削減はあくまで例外的な措置であり、実際の運用では今のところ適用されていません。
とはいえ、大地震や大災害で保険会社の支払余力を超えてしまった場合、保険金が削減される可能性はゼロではありません。
例外的なケースと、基本的な決まり事を整理しておきましょう。
まず整理:地震で使う「地震保険」と「生命保険」はまったくの別物
地震保険は住宅や家財という「モノ」の損害を補償する損害保険、生命保険は「人」の死亡に備える保険です。
守る対象が根本から異なります。
地震で亡くなったときに死亡保険金を支払うのは、地震保険ではなく生命保険です。
地震保険は、地震・噴火・津波を原因とする建物や家財の火災・損壊・埋没・流失といった損害を補償し、対象は居住用の建物と生活用の家財に限られます。
保険金額は火災保険の30〜50%の範囲で設定し、建物5000万円・家財1000万円が上限です。
人の死亡は地震保険の補償範囲に入っていません。生命保険は、死亡という事実に対して契約した保険金額を支払う仕組みです。それぞれの役割の違いを整理しておきましょう。
(参考:地震保険制度の概要|財務省)
比較表|地震保険・生命(死亡)保険・災害特約の違い
地震保険と、死亡保険、死亡保険に付加する災害特約は、それぞれ守る対象も支払われる場面も異なります。
| 地震保険 | 生命保険(死亡保険) | 災害割増特約 | |
| 守る対象 | 住宅・家財(モノ) | 人の死亡 | 人の死亡(上乗せ) |
| 支払われる場面 | 地震等での建物・家財の損害 | 原因を問わない死亡 | 不慮の事故・災害による死亡 |
| 地震での扱い | 損害の程度に応じ支払い | 原則支払い | 約款上は削減の余地/実務では全額支払い |
| 加入方法 | 火災保険とセット | 単独で加入 | 死亡保険に特約として付加 |
地震保険は火災保険とセットでしか加入できず、単独では契約できないのが特徴です。
生命(死亡)保険と災害割増特約は、地震での死亡時にも支払われる保障です。
自宅の損害には地震保険、家族の生活保障には生命保険で備えるのが基本です。
(参考:地震保険Q&A|日本損害保険協会)
代HS-24-275-430(2024.11)
代HS-24-275-430(2024.11)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年8月1日―2026年8月31日)
地震で死亡したとき支払われる保険金の種類
地震による死亡で受け取れる保険金は、生命(死亡)保険の保険金と、特約による上乗せ部分があります。
契約内容ごとに受取額が変わり、災害割増特約や傷害特約を付加していない場合は、主契約(死亡保険金)のみの支払いとなります。
「災害割増特約」なら死亡保険金が上乗せされる可能性
災害割増特約は、不慮の事故や災害を原因とする死亡・高度障害のときに、主契約の死亡保険金へ上乗せして保険金を支払う特約です。
交通事故や自然災害での死亡が対象となり、通常の病気による死亡よりも受取額が増えます。
ただし、請求が一時的に集中すると、保険会社の経営を圧迫する恐れがあるため、地震・津波・噴火については、約款上は保険金を削減または支払わない余地が定められています。
とはいえ削減はあくまで可能性の話であり、近年の大規模地震では適用されていません。
手元の証券で災害割増特約の有無と保険金額を確認し、上乗せ分がいくらになるかを把握しておきましょう。
損害保険(傷害保険など)の死亡保険金の扱い
ケガによる死亡に備える傷害保険は、生命保険とは扱いが異なります。
単体で契約する普通傷害保険では、地震・噴火・津波を原因とするケガや死亡は、原則として補償の対象外です。
地震での補償を用意するには、「天災危険補償特約」を付加する必要があります。
特約を付けていない傷害保険では、地震による死亡で保険金が支払われない点に注意が必要です。
生命保険の死亡保険金とは免責の範囲が違うため、傷害保険に加入している人は、天災危険補償特約が付いているかどうかを確認しておきましょう。
(参考:風水雪災等による損害を補償する損害保険|日本損害保険協会)
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【要注意】地震で生命保険が支払われない・減額される可能性があるケース
生命保険の主契約は地震でも原則支払われますが、契約状況によっては支払われない例外もあります。
注意点を整理します。
支払われるケース・支払われないケース早見表
地震に関連する死亡で、保険金が支払われるかどうかを整理しましょう。
| 主契約の死亡保険金 | 災害割増特約の上乗せ | |
| 地震・津波・噴火による死亡 | 支払われる | 約款上は削減の余地/実務では全額支払が一般的 |
| 保険料未払いで失効中の死亡 | 支払われない | 支払われない |
| 告知義務違反があった場合 | 支払われないことがある | 支払われないことがある |
早見表からわかるとおり、支払いを左右するのは地震かどうかではなく、契約が有効に維持されているかどうかです。
近年の大規模地震では、生命保険会社が地震による免責条項を適用せず、災害関係の保険金・給付金を全額支払う対応を取っています。
契約を有効に保っておくことが大切なポイントといえるでしょう。
(参考:令和6年能登半島地震による免責条項等の不適用について|生命保険協会)
巨大地震で保険会社が破綻したら保険金はどうなる?
大地震で保険会社が破綻しても、契約が消えるわけではありません。
生命保険には「生命保険契約者保護機構」というセーフティーネットがあります。
国内で営業するすべての生命保険会社が加入しており、会社が破綻した場合は資金援助などで契約者を保護する仕組みです。
補償の限度は、破綻時点の責任準備金等の90%とされています。
責任準備金とは将来の保険金支払に備えて積み立てられているお金です。
破綻後に発生した保険事故については、責任準備金が削減される影響で受け取れる保険金額も元より減額される可能性が高いですが、決してゼロになるわけではないという点を押さえておきましょう。
(参考:生命保険会社の保険契約者保護制度Q&A|生命保険契約者保護機構)
地震などの災害に備えるなら死亡保険はいくら必要?
では、万が一の事態に備えるために、いくら死亡保障を用意していればよいのでしょうか。
「いくら備えれば足りるのか」は、家族構成や住まいの状況によって変わります。
考え方はシンプルで、まず家族に必要な支出(生活費・教育費・住居費など)を積み上げ、そこから遺族年金などの公的保障や貯蓄を差し引きます。差し引いて残った金額が、死亡保険で用意すべき保障額です。
総務省の家計調査では、二人以上の世帯の消費支出は1カ月あたり平均31万4001円となっています。
あくまで目安であり、世帯人数が多い家庭では金額が上振れするため注意しましょう。
また教育費は進路によって幅があるため、子どもの人数や年齢に合わせて死亡保障を上乗せしておくことが大切です。
基本的な考え方は、病気やケガで亡くなったケースの必要保障額と大きく変わりません。
家を再建する費用などは、後述する地震保険で備える仕組みです。
(参考:家計調査報告 家計収支編 2025年平均|総務省統計局)
(参考:令和5年度子供の学習費調査|文部科学省)
関連記事
死亡による遺族の生活保障は死亡保険/自宅の損害は地震保険で備える
地震のリスクは、「家族の生活」と「住まいの再建」の2つに分けて考えましょう。
世帯主が亡くなったあとの生活費や教育費は、死亡保険でまかなう部分です。
一方、家の再建や家財の再取得は、地震保険でまかなえます。
それぞれの役割の違いを正しく把握した上で、適切な備えをしておくことが大切です。
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地震・災害への備えとして選ばれている死亡保険のタイプ
死亡保険は大きく3タイプに分かれ、保障期間や保険料の考え方が異なります。
目的に応じて選び分けるのが基本です。
| 保険期間 | 貯蓄性の有無 | 保険料 | |
| 定期保険 | 一定期間(◯年/◯歳までなど) | 掛け捨て | 貯蓄型より割安 |
| 養老保険 | 一定期間(◯年/◯歳までなど) | 貯蓄性あり | 定期保険より割高 |
| 終身保険 | 一生涯 | 貯蓄性あり | 定期保険より割高 |
定期保険は一定期間だけ保障する掛け捨てタイプで、保険料を抑えてまとまった保障を確保できます。
子どもが幼い家庭など、一定期間大きな保障を用意しておきたい人におすすめです。
終身保険は一生涯保障が続くタイプなので、葬儀費用などいつ必要になるか分からないもののために備えておくのが適しています。
地震を含む災害に手厚く備えるなら、災害割増特約を付加できる保険を選ぶ方法もあります。
目的が「子どもが独立するまでの生活費」なのか「一生涯の保障」なのかを決めると、選ぶタイプが決めやすいでしょう。
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保険料は、年齢・性別・保障額・保障期間の組み合わせで決まります。
同じ保障額でも、掛け捨ての定期保険と貯蓄性のある終身保険では保険料に差が出ます。
実際の金額は、契約者の条件を入れて計算しないと正確にはわかりません。
「ほけんのコスパ」の保険料シミュレーションを使えば、年齢と性別を入力するだけでそれぞれの保険料を算出できます。
自身の条件で、保障と保険料のバランスが取れた商品を選びましょう。
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地震と生命保険に関するよくある質問
地震と生命保険について、よく寄せられる疑問をまとめました。
現役のFPがわかりやすく回答します。
Q. 津波・噴火・原発事故は対象になる?
A. 生命(死亡)保険の主契約は死亡の原因を問わないため、津波・噴火・原発事故による死亡も原則として支払の対象です。
災害割増特約の上乗せ分は、約款上は削減の余地が定められていますが、近年の大規模災害では免責を適用せず全額支払う対応が取られています。
原因の種類で主契約の支払いが変わることは、原則ないと理解しておいて良いでしょう。
Q. 行方不明で遺体が確認できない場合の扱いはどうなる?
A. 大規模災害では、遺体が確認できなくても保険金を請求できる可能性があります。
通常、生死不明の状態では家庭裁判所での失踪宣告が必要ですが、大災害では、行方不明であることを示す公的な証明などにより、市区町村で死亡届が受理される取り扱いが行われた例があります。
死亡届が受理されれば戸籍上の死亡が確定し、相続や保険金の請求が可能になります。
(参考:御遺体が発見されていない場合でも死亡届を提出できます|法務省)
Q. 地震保険と生命保険は両方入るべき?
A. 守る対象が異なるため、両方に加入する意味があります。
生命保険は世帯主が亡くなったあとの家族の生活費をまかない、地震保険は倒壊した自宅の再建費用を補うためのものです。
どちらか片方だけでは、生活と住まいのどちらかに備えの穴がある状態です。
特に持ち家で家族がいる世帯は、生命保険で生活を、地震保険で住まいを支える二本立てが備えの土台になります。
Q. 請求時に必要な書類は何?
A. 死亡保険金の請求には、一般的に死亡診断書(または死体検案書)、保険会社所定の保険金請求書、受取人の本人確認書類などが必要です。
大規模災害の際は、生命保険会社が必要書類の一部を省略するなど、簡易な取り扱いを行うことがあります。
保険金の請求には時効(一般に3年)がありますが、期間を過ぎても請求できる場合があるため、あわてず手続きを進めて問題ありません。
Q. 海外旅行先で地震・津波・噴火に巻き込まれたときの扱いは?
A. 国内で契約した生命保険は、海外で地震に遭って死亡した場合も原則として支払の対象です。
生命保険は死亡の場所を問いません。
あわせて、海外旅行保険(傷害)は、国内の傷害保険と違い、地震・噴火・津波によるケガも補償の対象としています。
海外旅行の予定がある人は、生命保険に加えて海外旅行保険の補償内容も確認しておくと良いでしょう。
(参考:損害保険Q&A 海外旅行保険|日本損害保険協会)
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まとめ:地震でも死亡保険金は原則支払われる。備えは今の契約確認から
地震で亡くなっても、生命保険の死亡保険金は家族に届きます。
傷害保険の死亡保障など例外はありますが、それでも大規模災害の時は保険会社が保険金を支払うことが一般的です。
まずは、今の保障額が家族の生活を支えるのに足りているかどうかを確認することが大切です。
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FP橋本
日本は地震が多い国なので、「地震で万が一があっても保険金は下りる?」と疑問に思う人も少なくないでしょう。
死亡保険は原因を問わず「万が一の事態」を保障するもののため、基本的に地震であってもその他の災害であっても受け取れると思っていて問題ありません。
あわせて、家や家財を守る地震保険も、しっかり備えられているか確認しておくと安心です。


















