死亡保険を検討している人の中には、「保障額はいくらあれば安心?」「保険料は月々どれくらいが適正?」と悩んでいる人もいるでしょう。
死亡保障の必要性は家族構成や収入によって異なります。
そのため、どれくらいの保障額があれば安心か、保険料はどれくらいが適正かは明確ではなく、保険選びの際に何を参考にしたらよいかわからない人も多いでしょう。
働き盛りの世代や、小さな子どもがいる家族の場合、数千万円の死亡保障が必要になるケースもあります。
しかし、保障を大きくすればするほど毎月の保険料も高くなってしまいます。
本記事では、死亡保険に支払う保険料や必要な保障額について、データをもとに保険のプロが詳しく解説をしていきます。
この記事を読んでわかること
保険で備えておくべき必要保障額は、ライフステージが変われば変化する
死亡保障は定期保険と終身保険を組み合わせて用意するのがおすすめ
死亡保険の保険金額が3000万円であれば課税対象とはならない
生命(死亡)保険の必要保障額はいくら?
どれくらいの死亡保障が必要かは、家族構成や収入によって異なるため一概にはいえません。
一般的に、パートナーや子どもがいる人に万一があった場合、のこされるご家族の経済的な負担が非常に大きくなるため、死亡保障の必要性が高いとされています。
中には、「貯蓄しておけば保険は必要ない」と考える人もいますが、貯蓄と保険にはそれぞれのメリットがあり、まったく違う特徴を持っています。
貯蓄は必要な金額を貯めるまでにある程度の時間がかかりますが、保険は加入した直後から一定金額の死亡保障を準備することができます。
そのため、「貯蓄は三角、保険は四角」といわれることもあります。
万が一のことはいつ起こるかわかりません。
加入後すぐに保障を用意できる特徴は保険のメリットのひとつです。
家族を守るために、最低限必要な保障を準備しておくようにしましょう。
最低限必要な保障額の考え方
自分にとって必要な死亡保障の額を算定するために、「必要保障額積み上げ方式」がよく使われます。
必要保障額積み上げ方式には5つのステップがあります。
STEP1:末子独立までの遺族の生活費の計算
現在の生活費を参考に、のこされた家族にとってどれくらいの生活費が必要かを計算します。
末子が独立するまでの期間は、現在の生活費の約70%が目安とされています。
STEP2:末子独立後の配偶者の生活費の計算
末子が成人し独立した後、配偶者が1人で平均余命まで生活するとして計算します。
現在の生活費の約50%が目安とされています。
STEP3:別途必要資金の計算
子どもの教育資金や結婚資金に加え、葬儀費用や住居費用、相続費用、予備費など生活費以外で別途必要になるまとまった資金を計算します。
STEP4:収入見込
遺族年金、死亡退職金、預貯金、のこされた配偶者が働いて収入が見込める場合はその金額などを計算します。
STEP5:必要保障額の算定
STEP1~3で算出した必要額と、STEP4で算出した収入見込の差額から、必要保障額を算定します。
末子独立までの遺族の生活費+末子独立後の配偶者の生活費+別途必要資金ー収入見込
葬儀費用
葬儀費用は、家族構成など関係なくほとんどの人にとっていつか必要になるものです。
自分に万が一のことがあったとき、せめて葬儀費用だけでも家族にのこしたいと考える人も多くいます。
どのような規模の葬儀を行うかによって必要な費用はまちまちですが、平均費用は一般葬で約161万円、家族葬で約105万円となっています。
コロナ禍を経て家族葬をする人は増えていますが、それでも平均100万円前後の費用がかかることはおさえておきましょう。
(参考:鎌倉新書 【第6回】お葬式に関する全国調査)
のこされた家族の生活費
のこされた家族の生活費がどれくらい必要かは、家族構成や収入、いつ亡くなってしまうかによって大きく異なります。
万が一のことが若くして起これば、それだけのこされた家族が過ごす期間も長くなるため、必要な保障額が大きくなる傾向にあります。
では、実際に必要な保障額に対しどれくらいの死亡保障を用意している人が多いのでしょうか。
世帯主が万が一のときに必要な生活費は、全世代で平均5691万円ですが、世帯主が加入している平均保険金額は1386万円で、充足率が24.4%とかなり低い水準になっています。
必要な資金を十分に保険でまかなえている人が少ないことがわかります。
また、若い世代の保険金額充足率の低さだけでなく、65歳以降の世代では充足率が15%~20%前後にとどまっていることも特徴です。
自分たちにとって必要な保障を準備できているか、今一度確認する必要があるでしょう。
子どもの教育資金
子どもがいる家庭であれば、これから必要になる教育資金についても考えておく必要があります。
子ども1人あたりにかかる教育費は、幼稚園から高等学校まですべて公立に進学した場合でも、平均で150万円ほどかかるとされています。
さらに、大学入学と在学中にかかる費用は平均で約677万円というデータがあります。
どのような進路を選ぶかによって費用は多少変わりますが、子どもの教育資金は大学進学以降に、もっともお金が必要になることはおさえておく必要があるでしょう。
両親のどちらかに万が一のことがあっても子どもの望む進路をかなえてあげられるよう、死亡保障を検討する際は教育費についても加味しておきましょう。
生命(死亡)保険の保障額の目安
人それぞれ必要な保障額は異なるとはいえ、他の人がどれくらいの保険に加入しているかは気になるところです。
実際の統計データをもとに、死亡保障の保険金額の目安について見ていきましょう。
万一の際に必要な保障額
自身に万が一のことがあったときどれくらいの保障が必要になるかの目安は、平均1662万円です。
また、男性の回答は平均2247万円、女性は平均1145万円と1000万円以上の差があり、男性のほうが女性よりも死亡保障の必要性を高く感じていることが見て取れます。
年代別に見ていくと、30代40代の働き盛りの世代では3000万円以上の保障を必要だと感じている人が多くなっています。
しかし、実際に加入している保険金額は、男性で 874 万円、女性で 316 万円不足しており、必要と感じている保障額を準備できていないケースもあることがわかります。
生命(死亡)保険の加入金額
生命保険加入者全体の平均保険金額は、男性で1373万円、女性で674万円となっており、全体では平均957万円です。
年代別にみていくと、男性は30歳代で2065万円、女性は40歳代で807万円と最も加入額が高くなっています。
男性は世帯主として家計を担っている人も多いと考えられるため、保険金額が高い傾向にあるようです。
職業別では、男性では公務員が最も加入金額が高く平均1952万円、次いで常雇被用者つまり会社員等で平均1728万円となっています。
そのほか自営業者も平均1398万円の加入額となっており、平均して1000万円を超える保障を準備している人が多いことが分かります。
女性の場合も公務員が最も加入金額が高く平均1270万円、常雇被用者は平均891万円となっています。
全体として、万が一のときに必要と感じている額よりも実際の加入額は少なくなっており、保障が不足していることが考えられます。
世帯主の場合
死亡保険を検討する際、まずは世帯主の保障を優先する人が多いでしょう。
世帯主に万が一のことが起こると、のこされた家族には経済的な負担が降りかかることになります。
子どもがいる家庭の場合は、遺族年金を収入として頼りにすることになりますが、それだけですべての必要資金をまかなうことは難しいといえます。
のこされた家族がその後生活していくための費用に加え、子どもの教育費をどのように準備するかも考えなくてはなりません。
特に、まだ子どもが小さい家庭であったり、配偶者が専業主婦などの場合はより大きな死亡保障が必要になります。
万が一のことがあったときに家族を守るためにも、世帯主の死亡保険は重要です。
配偶者の場合
世帯主だけでなく、配偶者の死亡保障も検討しておく必要があります。
世帯主と比べて後回しにされがちですが、実際に配偶者に万が一のことがあったとき、のこされた家族に経済的な負担がまったくないというわけではありません。
例えば、専業主婦の妻が亡くなった場合、18歳未満の子どもがいれば遺族基礎年金を受け取ることができますが、子どもが18歳を過ぎてからは受け取れる年金はありません。
また、妻が会社員であった場合、会社員の夫が亡くなったときと比較すると遺族厚生年金の支給要件が厳しくなってしまいます。
加えて、これまで家事や育児を担ってくれていた配偶者が亡くなってしまうと、のこされた側は1人で働きながら家事育児もしなければならなくなります。
子どもを預かってもらうための費用や、シッターを雇う費用がかかることもあるでしょう。
一方、子どもがいない家庭の場合、配偶者に万が一のことがあっても経済的な負担はそこまで大きくないかもしれません。
子どもがいない家庭であれば、配偶者の死亡保障は葬儀費用をまかなえる程度のもので良いかもしれません。
毎月払う保険料と保障額の平均
2021年度の調査によると、民間の保険に対して支払っている保険料の平均は年間18.9万円となっています。
1カ月あたりに換算すると1万5750円です。
回答の分布を見ていくと、年間の保険料負担が「6万円未満」「6~12万円未満」と答えた人が22.4%と最も多く、次いで「12~18万円」と答えた人が20.7%となっています。
年齢や職業によって異なりますが、毎月5000円~1万5000円ほどの保険料を支払っている人が多いことが分かります。
この額は死亡保険に対する保険料だけでなく、医療保険なども含めた保険料の合計です。
保険料は毎月の固定費です。
死亡保険だけでなく、医療保険やがん保険も検討している人は多いでしょう。
保険料として合計で毎月どれくらいの負担になるかは、加入時に把握しておくことが大切です。
保険料の支払い方を「月払」ではなく年に1度まとめて支払う「年払」にすることで、保険料の総負担額を抑えることができます。
少しでも保険料を節約したい人は、保険料の払い方を工夫してみるのも良いでしょう。
生命(死亡)保険3000万円の月額保険料の目安
保険料は加入時の年齢や保険金額、商品ごとに変わるため、どれくらいの保険料が目安になるかは一概にはいえません。
参考として、年代別の生命保険に支払っている保険料の平均データを見ていきましょう。
世帯主が45歳~49歳の場合、年間払込保険料は37.5万円となっており、1カ月あたり3万1250円です。
ただし、この額には医療保険やがん保険など、死亡保険以外に対して支払っている保険料も含まれています。
自分の年齢で死亡保険に加入する場合、月々の保険料がどれくらいになるかは、保険検索ツールから確認することができます。
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定期保険と終身保険の違い
代表的な死亡保険の種類として、保障が一定期間で満了する「定期保険」と、一生涯保障が継続される「終身保険」があります。
死亡保障を準備する目的によって、どちらの保険が合っているかが異なります。
定期保険は、一定期間の保障かつ掛け捨てであるという特徴があるため、大きな保障を比較的低廉な保険料で用意することができるメリットがあります。
子どもがまだ小さい家庭で一定期間大きな保障を用意したい人にはおすすめです。
終身保険は、一生涯の死亡保障を準備することができ、かつ途中で解約した場合には解約返戻金を受け取れる特徴があります。
死亡保障として一生涯保険を持ち続けるか、途中で解約をして自分自身でお金を使うかを選ぶことができるのはメリットといえるでしょう。
終身保険は、いつ必要になるかわからない葬儀費用を準備しておきたい人や、老後に備えて資産形成をしておきたい人にはおすすめです。
定期保険と終身保険にはそれぞれメリットがありますが、もし死亡保険金額を3000万円ほど準備しておきたいようであれば、終身保険にしてしまうと毎月の保険料が高額になってしまいます。
そのため、定期保険と終身保険を組み合わせて必要な保障を準備しておくのが一般的です。
更新型の保険に注意
定期型の保険であれば、保険期間満了時に「自動更新」となり保険を継続できる場合があります。
しかし、自動更新の際には保険料が上がるため、注意が必要です。
保険期間が1年や5年といった短期間の定期保険は加入時の保険料はお手頃ですが、更新時に保険料が上がっていくため最終的な負担額が大きくなってしまうリスクがあります。
本当に死亡保障が必要な年齢になったとき、保険料が大きく上がってしまい保険を継続できないことも考えられます。
いざというときに保障を持てない事態を避けるため、保険を継続した場合の負担についても考慮しておくのが良いでしょう。
死亡保険金3000万円を受け取った場合に発生する税金
死亡保険を検討する際、特に30代40代では3,000万円前後の保障を必要と考えている人が多いようです。
では、実際に万が一のことがあり遺族が死亡保険金として3,000万円を受け取ったとき、発生する税金はあるのでしょうか。
結論からいうと、保険金額が3000万円であれば課税対象とはなりません。
保険の契約者(保険料負担者)と被保険者が同一であれば、配偶者が受け取った死亡保険金は相続税の対象となりますが、基礎控除などの非課税枠があるため必ず税金がかかるわけではありません。
配偶者の場合、実質1億6000万円までは非課税となっており、1億6000万円を超えていても法定相続分の範囲内であれば非課税となります。
そのため、死亡保険の保険金を受け取ることによって相続税の対象となることは稀です。
一方で、税の計算は非常に複雑でひとりひとり状況も異なるため、詳しくは必ず税理士に相談するようにしましょう。
参考)生命保険の非課税金額
生命保険の非課税金額は、以下の計算式で算出されます。
500万円×法定相続人の数
法定相続人とは民法で定められた相続の権利がある人のことで、亡くなった人の配偶者と亡くなった人の血族が法定相続人となります。
例えば、配偶者や子どもを併せて法定相続人が3人いる場合、500万円×3人=1,500万円が非課税額となります。
参考)相続税の基礎控除額
相続税には基礎控除があり、以下の計算式で算出されます。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人が3人の場合、3000万円+600万円×3人=4800万円が基礎控除額となります。
また、配偶者が相続する分については、さらに税額が軽減される制度が設けられており、1億6000万円までは実質非課税となる仕組みです。
健康なうちに加入を検討する
保険の加入時には、過去の傷病歴や健康診断の結果を申告する必要があります。
そのため、健康状態によっては保険の加入を断られてしまったり、保険料が割増しになる可能性があります。
死亡保険に限らず、保険の検討は健康なうちに進めておくのがおすすめです。
年齢を重ねると、定期的な通院をしなければならなくなったり、健康診断で指摘を受けることも増えてくるかもしれません。
また、健康状態には問題がなかったとしても、保険料は年齢が上がると高くなっていく仕組みになっているので、若く健康なうちに保険を検討しておくのが最も良いでしょう。
複数の商品を比較する
死亡保険の場合、「亡くなったときもしくは高度障害状態に該当したときに保険金が支払われる」条件はほとんどの商品で同じです。
そのため、複数社の比較をせずに死亡保険の申込をしてしまう人もいます。
しかし、同じ条件で同じ保障額でも、保険会社によって保険料には違いがあります。
そのため、希望の保障額や保障期間などが決まっている場合、同条件で複数の保険商品を比較するのがおすすめです。
また、保険商品によっては付加できる特約に違いもあります。
三大疾病での保険料払込免除や、事故での死亡に手厚く備えられる特約を付加できる商品もあるので、それぞれの違いを比較してから加入するようにしましょう。
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ライフステージごとに保険の見直しをする
保険で備えておくべき必要保障額は、ライフステージが変われば変化していきます。
子どもが小さいうちは手厚く死亡保障を準備しておく必要がありますが、子どもが独立して老後を迎えたあとはそこまで大きな死亡保障は必要ないかもしれません。
保険に加入したらそのままにしておくのではなく、定期的に見直しをすることが大切です。
また、保険商品も日進月歩で、毎年のように新しい商品が発売されています。
定期的に見直しをすることで、同じ保障でも保険料を抑えられたり、同じような保険料で手厚い保障を用意できるケースもあります。
自分が加入している保険の内容が古くなっていないか、3年ごとを目安に定期的な見直しをしていくのがおすすめです。
まとめ
今回は、死亡保険の保障額の決め方や保険料の目安について詳しく解説してきました。
保険を選ぶときのポイントは、自分にとって必要な保障を、毎月無理のない保険料で用意しておくことです。
とはいえ、複数の保険商品の保険料比較をするのは面倒で分かりにくい、と思う人もいるのではないでしょうか。
ほけんのコスパでは、年齢と性別を入力するだけで簡単に各社の死亡保障の保険料を比較することができます。
気に入った商品があればそのままWEB上で申込までできるので、わずらわしい勧誘を受けることもありません。
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