入院や手術の費用よりも、加入している医療保険から受け取った給付金の金額が多くなることは珍しくありません。
「確定申告はどうなるのか」「差額に税金はかかるのか」と戸惑う人もいるでしょう。
受け取った給付金には基本的に税金はかかりません。
しかし、医療費控除を利用する際は受け取った給付金を加味する必要があり、注意が必要です。
医療費よりも保険で受け取ったお金が多かったときの、確定申告や医療費控除のルールについて解説します。
この記事を読んでわかること
支払った医療費より受け取った給付金が多い場合は、医療費控除の対象外となる
給付金が上回って出た利益に対して税金はかからない
e-Taxを利用する際は、支払額と受取額をそのまま入力する
目次
7.まとめ
支払った医療費よりも保険金(給付金)の方が多い場合の「2つの結論」
民間の医療保険で受け取った金額が支払った医療費を上回った場合の、確定申告と医療費控除のルールについて解説します。
1. その病気やケガに関する医療費控除は受けられない(申告不要)
支払った医療費よりも受け取った給付金が多い状態は、実質的な医療費の負担がなかったものとみなされます。
医療費控除は、自己負担した医療費が一定額を超えた際に適用される制度であるため、給付金で全額をカバーできた病気やケガに関しては、控除の対象外となります。
例えば、入院費が10万円かかり給付金を15万円受け取った状態では、自己負担額がゼロとなるため、対象の入院に関する申告は必要ありません。
他の家族の医療費や別の病気の治療費が10万円を超えていなければ、医療費控除の申請自体が不要になります。
2. 多く受け取った保険金(給付金)の差額(利益)に税金はかからない
給付金が実際の医療費を上回り、手元にプラスの差額が出たとしても、原則として所得税や住民税などの税金はかかりません。
所得税法上、身体の傷害に起因して支払われる給付金は非課税と定められています。
そのため、入院費が10万円で給付金を15万円受け取り、5万円のプラスが出た状態でも、5万円に対して課税されることはありません。
確定申告時にも所得として申告する必要はないため、安心してください。
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余った保険金(給付金)を「他の医療費」から差し引くのは損?
受け取った給付金が医療費の負担額を上回った際、余った金額を他の医療費から差し引いてしまうと控除額が減少します。
医療費を差し引く際のルールについて確認しておきましょう。
保険金(給付金)は「その給付の目的となった病気の医療費」からのみ差し引く
国税庁のルールでは、受け取った給付金は給付の目的となった病気やケガの医療費からのみ差し引くことになっています。
引ききれずに余った給付金を、別の病気や別の家族の医療費からマイナスする必要はありません。
入院費10万円に対して給付金15万円を受け取った状態で、5万円が余ったとしても、余剰分はそこで計算を打ち切ります。
医療費控除を申告する際は、どの治療でいくら給付金を受け取ったかを整理し、他の医療費とは分けて計算しましょう。
(参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁)
【計算例】夫の入院で受け取った保険金(給付金)は、妻の入院費用から差し引く必要はない
夫婦で同じ年に入院した場合でも、受け取った給付金は合算して差し引く必要はありません。
たとえば、夫の入院費が10万円、夫が受け取った給付金が15万円、妻の出産費用が40万円かかったと仮定します。
夫の入院費で余った5万円を妻の出産費用40万円から差し引き、実質負担を35万円としてしまうのは誤りです。
夫の入院費に関する計算はゼロで打ち切り、妻の出産費用40万円はそのまま全額を医療費控除の対象として計上するのが正しいルールです。
家族全員の医療費を合算する前に、給付金は対象となる入院の費用からのみ差し引くようにしましょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年4月1日―2026年4月30日)
「年をまたいで保険金(給付金)を受け取る」場合の計算方法
医療費を支払った年と、給付金を受け取る年が異なるケースもあるでしょう。
年をまたいだ場合の計算方法について解説します。
まだ受け取っていなくても「見込額」を差し引いて申告する義務がある
12月に医療費を支払い、翌年の1月に給付金を受け取った場合でも、医療費を支払った年の確定申告で給付金を差し引く必要があります。
国税庁の規定により、年内に受け取っていない状態でも受け取れると予想される金額を見込額として差し引いて申告しなければなりません。
保険会社に問い合わせて給付金の見込額を確認し、確定申告書には見込額を補填される金額として記載します。
見込額を記載せずに申告を行うと、後日修正が必要になるため注意が必要です。
(参考:保険金などの補てん金が未確定の場合|国税庁)
後日、見込額と実際の保険金(給付金)が違っていたら「修正申告」を行う
確定申告時に記載した見込額と、実際に翌年受け取った給付金の金額が異なっていた場合、申告内容の修正が必要です。
逆に、実際の給付金が見込額よりも少なく医療費控除額が増える場合は、更正の請求を行って納めすぎた税金の還付を受けましょう。
保険会社から給付金の明細書が届いたら、確定申告書に記載した金額と必ず照らし合わせて確認することが大切です。
e-Tax(確定申告書等作成コーナー)での具体的な入力手順
国税庁のe-Taxを利用して、給付金を受け取った際の医療費控除を正しく入力する方法を解説します。
「支払った医療費」と「補填される金額」をそのまま入力すればOK
e-Taxを利用して申告を行う際は、自身で引き算をする必要はありません。
入力画面の指示に従い、病院の領収書に記載された支払った医療費と、保険会社から送られてくる明細書の補填される金額をそれぞれの入力欄にそのまま入力します。
システムが自動的に給付の目的となった病気やケガの医療費から補填される金額を差し引き、余った金額はゼロとして計算してくれます。
自身で事前に差し引いた金額を入力すると計算がずれてしまうため、必ず実際の支払額と受取額を正確に入力してください。
受け取った保険金(給付金)が多かった場合こそ、今後の備えを確認する
医療保険で受け取った金額が実際の医療費より多かった場合、医療保険の保障が過剰になっている可能性も考えられます。
加入中の保険の保障内容について、再確認してみましょう。
現在の医療保険の保障内容が「過剰」になっていないか確認する
受け取った給付金が実際の医療費を大幅に上回った場合、現在の保障内容が手厚すぎる可能性があります。
高額療養費制度などの公的医療保険制度を利用することで、実際の自己負担額は想像より少なく済むこともあるでしょう。
また入院日額給付金だけでなく、手術を受けたことで別途手術給付金も支払われ、合計での受け取りがまとまった金額になるケースもあります。
保障が過剰と感じた際は、加入中の保険の保障額を下げたり、他社でシンプルなプランの医療保険を探すなど工夫をしてみましょう。
ただし、直近で入院や手術歴があると、新しい保険の加入審査に通らない可能性があります。その場合、加入している保険を減額して保険料を抑えられないか検討してみましょう。

Q1
入院時の費用は?
今の家計に合った、無理のない保険料へシミュレーションを行う
保障額を減額すれば、その分毎月の保険料も抑えることができます。
余った保険料分を、老後資金の貯蓄や子どもの教育費など、将来に向けた別の資産形成に回すのも合理的な選択です。
現在加入している生命保険の保障内容を整理し、不足している保障はないか、逆に不要な特約が付いていないかを確認しましょう。
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医療費控除と保険金に関するよくある質問(FAQ)
医療費控除の計算や、給付金の差し引きに関するよくある疑問について、現役のFPがわかりやすく回答します。
Q. 傷病手当金や出産手当金も、医療費から差し引く必要がありますか。
A. 傷病手当金や出産手当金は、休業中の生活費を補う目的で支給されるため、医療費から差し引く必要はありません。
差し引く対象は、入院給付金や出産育児一時金など、医療費そのものを補填する目的で支払われる給付金に限られます。
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Q. 交通費(タクシー代など)からも保険金(給付金)を差し引きますか。
A. 入院給付金などの給付の目的となった病気やケガに関する通院のための交通費であれば、受け取った給付金から差し引く必要があります。
対象の病気やケガにかかった治療費や交通費などを合計した金額から、給付金をマイナスして計算してください。
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まとめ
今回は、支払った医療費よりも医療保険で受け取った金額が大きかった場合の、医療費控除や確定申告のルールについて解説しました。
医療費控除の正しい計算方法を理解することで、損をせずに確定申告を進められます。
また、給付金の額が想定よりも大きかった場合は、保険を見直す良い機会かもしれません。
生命保険の比較サイト「ほけんのコスパ」を利用して、自身に最適な保険プランを見つけてみましょう。
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