「医療保険に入っていない人の割合はどのくらい?」と疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。
日本では世界的に見ても生命保険の加入率が高い一方で、医療保険の加入率は家族構成や年齢、性別によって差が見られます。
特に独身者の約3割は医療保険に加入していないデータもあります。
この記事では、生命保険のプロが医療保険に入っていない人の割合を、世帯や年齢、性別、年収などのデータをもとに詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
医療保険に未加入の割合は既婚者で約5%、独身者で約33%
医療保険に入っていない人が一番後悔するのは、保険に加入できなかったとき
医療保険加入の判断ポイントは、家計への影響、治療や入院環境の選択肢、貯蓄減少への不安の3つ
目次
生命保険に加入している既婚者世帯は89.2%
日本は世界で最も生命保険が普及している国といわれます。2024年の生命保険文化センターの調査によると、2人以上世帯の加入率は89.2%。
1990年代からわずかに低下傾向が見られるものの、それでも約9割の世帯が何かしらの生命保険に加入していることになります。
2人以上世帯を既婚者世帯と考えると、結婚を機に保険加入を考える世帯が多いと考えられます。
民間の生命保険会社が長年にわたって積み上げてきた契約が大半ですが、農協や生協などの共済も存在感があります。
生命保険加入世帯のうち医療保険に入っていない既婚者世帯の割合は約5%
何かしらの保険に加入している既婚者世帯は、どんな保険に入っているのでしょうか。
際立って加入率が高いのが、病気やケガで入院したり、手術を受けたりした時に給付金を受け取れる医療保険や医療特約です。2024年の調査では実に95.1%の世帯が加入しています。医療保障を持っていない世帯は約5%ということになります。
加入者の内訳をより細かく分析すると、世帯主の約90%、配偶者の約70%が加入しています。世帯主の保障を優先的に準備している状況がうかがえます。
世帯主年齢別の加入率
世帯主の年齢別に医療保険・医療特約の世帯加入率を確認してみましょう。
全体では95%が加入しているため、概ね満遍なく高い加入率となっていますが、現役世代で平均を超える加入率となっている一方、70歳超の世代では加入率が90%程度にとどまります。
医療保険は年をとってから加入すると、毎月支払う保険料が上がります。
そのため、リタイア後に収入が下がると新規で加入する人が減ったり、更新のタイミングで保険を見直して解約する人が一定数いることが原因と考えられます。
世帯年収別の加入率
次に世帯年収別の加入率を確認してみましょう。
全体で95%の加入率となっているため、世帯年収による顕著な差はありませんが、年収が高いほど加入率も高まる傾向があります。
医療費については高額療養費制度を利用すれば自己負担額が抑えられるため、医療保険に加入しなくてもよいと考える人もいます。
しかし、年収が高くなると自己負担額の上限も上がり、差額ベッド代や食事代などはもともと高額療養費制度の対象にはなりません。
実際には収入に関係なく、医療保障を持っている人が多いことがわかります。
あなたの年齢で医療保険の保険料はいくら?

生命保険に加入している独身は45.6%
既婚者世帯で約90%に上る生命保険の加入率ですが、生命保険文化センターの調査では、単身者世帯でも45.6%に上ります。
独身など同居家族のいない人でも、半数近くが万一時に親族に死亡保険金の支払われる保険に加入していることになります。
年齢が上がるほど加入率が高まり、65歳以上では約60%が加入しています。男女別では男性42.4%、女性49.6%で、女性の加入率が高くなっています。
生命保険加入者のうち医療保険に入っていない独身の割合は約33%
既婚者世帯では、生命保険とあわせて医療保険・医療特約で入院や手術の保障を持つ人は、実に95%に上っていました。
独身者ではこの割合が一気に下がり、67.2%に留まります。独身者の33%は死亡保障のみで、医療の保障を持っていないことになります。
生命保険の中には貯蓄や運用の機能を持つ商品があり、独身者は将来に向けた資産形成を目的に生命保険を活用している可能性があります。
独身者は病気やけがの際にパートナーに負担をかけることがないため、保険に加入する動機が乏しい面があります。
一方で医療費は自己責任で工面しなければならないため、それが67.2%という、決して低くはない加入率につながっているのかもしれません。
性別・年齢別の加入率
医療保険・医療特約に加入している独身者について、さらに詳しく確認してみましょう。
加入率を男女別に比較すると、男性63.1%に対し、女性71.7%となっており、女性の加入率が高くなっています。
女性は男性と比べて、比較的若いうちから女性特有のがんなどのリスクが高くなります。医療保険は持病があると加入できないこともあるので、がんなどの備えとして、女性の方が独身のうちから加入を検討する傾向があるようです。
年齢別では、29歳以下では54%に留まりますが、30歳以上ではほとんどの世代で加入率が70%を超えるようになります。
30歳が、自分の健康や保障の持ち方と向き合う一つの節目の年齢になっているようです。
年収別の加入率
続いて医療保険・医療特約の年収別の加入率を確認してみましょう。
最も加入率が高いのは年収500~600万円未満の層となっています。加入率は75.4%に達し、平均の67.2%を大きく上回っています。
医療保険は毎月のコスト(保険料)を払って、将来のリスク(病気やケガによる医療費支出や収入減少)に備える仕組みです。
コストを負担する経済的余裕がなければ保険加入が難しくなりますし、逆に十分な余裕があってリスクが小さく感じられる場合は保険加入の動機が生まれません。
コストとリスクのつり合いが取れ、医療保険を持っておくことにメリットを感じやすいのが、年収500~600万円未満の世帯なのかもしれません。
あなたの年齢で医療保険の保険料はいくら?

医療保険に入ってないと後悔する?
病気やケガになったときの保障は、高額療養費制度など公的医療保険でまかない、自分では民間の医療保険に加入しない考え方もあります。
ですが、公的医療保険でも自己負担は発生します。
医療保険に未加入で後悔するケースについて、生命保険のプロが解説します。
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一番後悔するのは医療保険に加入できなかったとき
医療保険に加入していなかった人が一番後悔するのは、将来、健康に不安を感じて医療保険に加入したいと思ったときに、加入できなかった瞬間です。
医療保険の加入には、健康状態の告知が必要です。
過去5年以内の病院の受診歴や2年以内の健康診断結果について告知を求められることが一般的で、持病歴や健康診断の指摘内容によっては、保険の引き受けを断られるケースもあります。
今は健康でも、明日がどうなっているかは、実際のところわからないものです。
個室に入院した際の自己負担費用が負担に感じたとき
高額療養費制度によって、医療費の自己負担額には毎月、一定の限度額が定められています。
どんな大病を患っても毎月の医療費は限度額を超えることはありませんが、入院時にかかる費用は医療費以外にもあることに注意が必要です。
代表的な例が個室や少人数部屋を希望した場合の差額ベッド代です。
差額ベッド代は医療費に含まれず、希望して利用する場合は自己負担が必要です。
1日1万円以上かかるケースもあるため、医療保険から給付金を受け取ることができれば、個室で安心して療養に専念できるかもしれません。
先進医療の治療費が高額で選べなかったとき
医療保険に加入するメリットの一つとして、特約によって保障内容をカスタマイズできる点があります。
中でも先進医療特約は人気の特約の一つです。
先進医療は公的医療保険制度の対象となっていないため、治療を受ける場合の技術料は全額自己負担となります。
中には、技術料が数百万円に上る治療もあるため、金銭的な理由で治療をあきらめざるを得ないケースもあるでしょう。
先進医療特約は、技術料を保険会社が負担してくれるため、治療の幅を広げられる可能性があります。
入院が長引いてしまったとき
高額療養費制度を利用すれば毎月の医療費の自己負担が限度額を超えることはありません。
入院が短期間かつ一度きりなら、数万円から十数万円の自己負担で済むことが一般的ですが、入院が月をまたいで長引いたり、何度も入退院を繰り返すような事態になれば、負担が長期間継続することになります。
毎月数万円の支出でも何カ月も続くとなれば、家計を圧迫するでしょう。
早めに医療保険に入っておけばよかったと後悔する可能性があります。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年5月1日-2025年5月31日)
将来のための貯蓄が減ってしまったとき
医療保険に加入していない人は、病気やケガの際にかかる医療費は自分の貯蓄でまかなうことになります。
十分な貯蓄があれば医療保険は必要ないとも考えられますが、一方で医療費のための貯蓄を準備している人は多くないでしょう。
目的を定めた貯蓄は老後資金や教育資金であることが一般的なため、思いのほか医療費がかかった場合は将来のための貯蓄を取り崩すことになります。病気が原因でセカンドライフに向けた資金準備ができなかったり、子どもの進路選択に影響がないように、医療保険で備えておくと良いでしょう。
医療保険に加入するかの判断ポイント
医療保険に加入するかの判断ポイントについて、プロが解説します。
入院や手術をしても家計に支障が出ないか
入院や手術をすることになっても家計に支障が出ないか、考えましょう。
その際、一度きりの短い入院を想像して問題ないと判断するのでなく、治療が長引いた場合など、大きなリスクを想定することが大切です。自分に必要な保障に迷った際は、ほけん必要度診断の利用がおすすめです。
受けられる治療や入院する環境の選択肢をできるだけ増やしたいか
「先進医療も含めて幅広い選択肢の中から自分にあった最適の治療方法を選びたい」「入院するならプライバシーが守られる個室で安心して療養に専念したい」といった人は、医療保険に加入すると良いでしょう。
標準的な治療は公的医療保険が適用になり、高額療養費制度で自己負担も抑えられますが、上乗せの治療を選んだり、手厚いサービスを受けたりする場合は自己負担となります。
医療保険に加入しておけば、給付金で治療費や差額ベッド代などの費用をまかなえるでしょう。
貯蓄が減る不安に耐えられるか
医療費を自己資金でまかなう場合は、貯蓄を取り崩すことになります。
貯蓄が十分でなく、取り崩すことに不安がある場合は、やはり医療保険の活用が解決策になる可能性があります。
貯蓄は目的を決めて管理することが大切です。
老後資金や教育資金など、将来必ず必要になる資金は口座そのものを別にしておくと良いでしょう。
将来のための資金を医療費のために取り崩してしまうと、家族のライフプランそのものが崩れてしまうことになりかねません。「目的のない資金」が潤沢にある場合を除けば、医療保険によって得られる安心感は大きいといえます。
まとめ
医療保険は、病気やケガによる経済的なリスクに備えるための重要な手段の一つです。
加入率は年齢や家族構成、年収によって異なりますが、万が一の事態に備えておくことで、経済的な不安を軽減し、治療の選択肢を広げることができます。
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自分や家族の将来設計を踏まえ、医療保険を検討してみてはいかがでしょうか。
あなたの年齢で医療保険の保険料はいくら?
