「前立腺がんと診断されたけれど、治療にどれくらいの費用がかかる?」「高額な医療費を支払えるのか不安」と悩んでいませんか?
自身や家族が前立腺がんと診断されたら、身体のことはもちろん費用面での心配も出てくるでしょう。
前立腺がんの治療の多くは公的医療保険が適用されるため、毎月の治療費は一定額まで抑えることができます。
本記事では、前立腺癌の治療法ごとの費用目安から、公的制度や民間保険を活用して自己負担を軽減する方法まで詳しく解説します。
治療に専念するためにも、まずは経済的な不安を解消しましょう。
この記事を読んでわかること
前立腺がんの手術費用は3割負担で約30~60万円が目安
前立腺がんの治療には公的医療保険が適用されるため、実際の自己負担額はさらに抑えられる可能性がある
民間の医療保険やがん保険でも給付金を受け取れる場合がある
まず知っておきたい「高額療養費制度」と使い方
前立腺癌の治療費を考える上で、知っておくべきなのが「高額療養費制度」です。
まずは、高額療養費制度の仕組みと使い方について見ていきましょう。
高額療養費制度とは
高額療養費制度は、1カ月にかかった医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超過分が支給される制度です。
年齢別の上限額は次のとおりです。
例えば、70歳未満で年収が約370万円〜約770万円の場合、仮に医療費が100万円かかったとしても自己負担額は9万円以下で済む計算になります。
8万100円+(100万円ー26万7000円)×1%=8万7430円
ただし、上記はあくまでも1カ月の計算です。
入院が2カ月に及んだ場合、それぞれの月で費用が計算されるため、自己負担はおおよそ倍になります。
また手術後の放射線や抗がん剤治療が長引くと、毎月医療費の負担が発生することになり、家計に影響を与える恐れもあります。
また、入院時の食費や希望して個室を利用した場合の差額ベッド代は対象外となり、別途自己負担が必要になるため注意が必要です。
いくつか注意点がある高額療養費制度ですが、治療費の負担を抑えるためには必要不可欠です。まずは制度の利用方法からみていきましょう。
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限度額認定証を使う
高額な医療費がかかることが事前に分かっている場合、「限度額適用認定証」を取得しておくのがおすすめです。
認定証の申請は加入している健康保険組合で行います。
認定証を事前に取得しておけば、医療機関での会計時に提出するだけで、支払額が高額療養費制度の限度額までになり高額な負担をせずに済みます。
マイナ保険証を使う
マイナ保険証を利用をしている場合、会計時に高額療養費の情報提供に同意すれば、認定証を取得しなくても同様の扱いを受けることができます。
限度額認定証の取得には時間がかかるため、急遽治療が決まった場合は申請が間に合わないケースもあります。
高額な医療費の立て替えを避けたい人には、マイナ保険証の利用がおすすめです。
事後申請をする
限度額認定証やマイナ保険証を利用せずに医療費を支払った場合でも、後から払い戻しを受けることができます。
まず医療機関では3割負担分を支払い、あとから加入している健康保険組合の窓口に支給申請書を提出することで、自己負担限度額を超えて支払った金額は返還されます。
一度は立て替えが必要ですが、払いすぎた医療費は後から返ってくるので、忘れずに申請手続きを行いましょう。
ただし、事後申請は振り込みまでに時間がかかるため注意が必要です。申請から振り込みまではおおよそ3カ月を見ておきましょう。
参考)高額療養費制度が適用できない費用
高額療養費制度は、全ての医療費が対象になるわけではありません。
公的医療保険制度が適用されない費用は、別途全額負担が必要です。
高額療養費制度が適用できない主な費用
- 差額ベッド代
- 食事代
- 日用品等のレンタル費用
- 先進医療・自由診療にかかる費用
特に入院時の差額ベッド代は、1日ごとに加算されるため、入院が長引くとその分負担も大きくなります。
個室療養を希望する人は、あらかじめ治療費とは別に予算しておく必要があるでしょう。
また、入院時は食費や日用品のレンタル費用などの雑費も発生します。
実際には、高額療養費制度の上限額以上の支払いが必要になる点には注意しましょう。
その他、先進医療や自由診療といった最先端の治療を選んだ場合、公的医療保険が適用されず数百万円から数千万円の自己負担が発生するケースもあります。
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参考)差額ベッド代
差額ベッド代とは、患者が希望して個室や少人数の病室に入院した際に発生する追加料金のことです。
公的医療保険が適用されないため、治療費とは別に全額自己負担が必要です。
個室(1人室)を利用した場合、1日あたりの平均費用は8437円です。
2週間入院すれば合計で11万円以上の負担になります。
治療費そのものが高額療養費制度で抑えられたとしても、差額ベッド代によって入院費用が高くなってしまう可能性があるため、入院前に個室の希望や料金について確認しておくことが大切です。
民間の医療保険やがん保険に加入している人は、給付金を差額ベッド代の支払いに充てるのもひとつの方法です。
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【治療法別】前立腺癌の費用目安
前立腺癌の治療費は、選択する治療法によって大きく異なります。
治療法別の費用目安について見ていきましょう。
手術療法
前立腺癌の手術では、前立腺と精のうを摘出する「前立腺全摘除術」が基本となります。
手術方法には、開腹手術、腹腔鏡手術、そしてロボット支援手術があります。
ロボット支援手術(ダヴィンチ)は、術者の手ぶれを防ぎ、より精密な操作が可能で、現在主流となりつつある治療法です。
ロボット手術自体にかかる費用は次の通りです。
ロボット支援腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術
診療報酬点数:9万5280点
医療費 :95万2800円
3割負担分 :28万5840円
※2025年11月時点
※その他麻酔管理費用等がかかります
入院は10日~14日ほどで、手術費用と入院費用なども含めて3割負担で45~60万円程度の負担になることが一般的です。
開腹手術の場合、入院費用も含めて3割負担で30~45万円、腹腔鏡下手術の場合は43~58万円程度が目安となります。
放射線治療
放射線治療は、高エネルギーのX線などを照射してがん細胞を破壊する治療法です。
手術と同様に根治を目指す治療として利用されます。
近年主流となっているIMRT(強度変調放射線治療)は、がんの形状に合わせて放射線の強さを調整し、正常な組織への影響を抑えることができる治療法です。
費用は治療回数によって変動しますが、3割負担の場合で約35万円〜45万円が目安です。
高額療養費制度は1カ月ごとの計算のため、IMRTのように複数回治療を行う場合、月をまたいで各月で上限額までの支払いが必要になることがあるため注意が必要です。
その他の放射線治療の種類と費用の目安は次の通りです。
小線源治療(ブラキセラピー):公的医療適用
3割負担分:約30~40万円 ※入院費用含む
陽子線治療・重粒子線治療:転移の無い前立腺がんの場合公的医療適用
3割負担分:約30万~50万円
HIFU(ハイフ、高密度焦点式超音波治療):公的医療保険適用外
自己負担目安:約80~150万円 ※自由診療のため費用のばらつきあり
薬物療法(ホルモン療法・抗がん剤)
薬物療法は、主に進行・転移性の前立腺癌に対して行われる治療です。
代表的なものに、男性ホルモンの働きを抑える「ホルモン療法(内分泌療法)」と、がん細胞の増殖を直接抑える「細胞障害性抗がん薬(抗がん剤)」があります。
ホルモン剤や抗がん剤治療は長期間継続することが多く、薬剤の種類や治療期間によって費用が大きく異なります。
そのため一概に費用を明示することはできませんが、目安となるおおまかな費用は次の通りです。
ホルモン療法(内分泌療法)
3割負担分:1回あたり約1.5~2.5万円 ※薬剤の種類によって異なる
抗がん剤(化学療法)
3割負担分:1回あたり約2~10万円 ※薬剤の種類によって異なる
抗がん剤の場合、中には非常に薬価が高額なものもあり、3割負担でも100万円近い費用がかかるものもあります。
ただし、保険適用の治療であれば高額寮費制度が利用できるため、実際の自己負担は上限額までに抑えることができます。
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【一覧表】治療法別 費用比較まとめ
前立腺がんの治療法別の費用をまとめました。
実際にかかる治療費は、入院期間や使用する薬剤によっても大きく異なります。
前立腺がんの治療で民間の保険はおりる?
前立腺がんと診断され治療が必要になった場合、民間の保険で給付金を受け取れる可能性があります。
医療保険
前立腺がんで入院・手術をした場合、基本的に医療保険の保障対象となります。
入院給付金:入院日数に応じて受け取れる「日額タイプ」、もしくは入院1回ごとに受け取れる「一時金タイプ」
手術給付金:手術の種類に応じて受け取れる。入院日額の◯倍、のように倍率が定められていることが一般的
その他、先進医療特約を付加している場合は、保険適用とならない陽子線治療や重粒子線治療にかかる費用も保障される可能性があります。
加入している医療保険がある人は、保障額と支払条件について再度確認しておきましょう。
がん保険
がん保険は、がんと診断されたときやがん治療を受けたときに給付金が支払われる保険です。
前立腺がんと診断された場合、がん保険で給付金を受け取れる可能性があります。
ただし、がんのステージによっては保障対象外になるなど、条件を定めているがん保険もあります。
特に、早期発見とされる「上皮内がん」は対象外となるケースもあるため注意が必要です。
がん保険に加入している人は、まず保障内容を確認したうえで、不明点があれば保険会社に事前に問い合わせておくのがおすすめです。
参考)前立腺がんの治療で受け取れる給付金額シミュレーション
医療保険とがん保険に加入していた場合、どれくらいの給付金を受け取れるのでしょうか。
次の例でシミュレーションしてみましょう。
【医療保険】入院日額5000円/手術給付金倍率10倍
【がん保険】診断一時金100万円/入院日額5000円
前立腺がんで10日間入院し、手術を受けた場合
【医療保険】
入院給付金:5000円✕10日間=5万円
手術給付金:5000円✕10倍=5万円
【がん保険】
診断一時金:100万円
入院給付金:5000円✕10日間=5万円
合計:115万円
仮に医療保険とがん保険のどちらにも入院保障が付いていた場合、両方の保険から重複して入院給付金を受け取ることが可能です。
前立腺がんに備える保険選びのポイントとおすすめの保険
「今加入している保険では保障内容が手薄で不安」「保険未加入でがんと診断されてしまった」と心配している人もいるのではないでしょうか。
ここからは、前立腺がんに備える保険選びのポイントをご紹介します。
がんと診断されてからでも入れる保険はある?
一度がんと診断されると、一般的な医療保険やがん保険への加入は難しくなります。
しかし、治療から一定期間経過すれば、告知項目が少ない「引受基準緩和型保険」や「がん経験者向けがん保険」を検討できる可能性があります。
一般的に、がん治療が終了してから5年以上経過すれば、緩和型の保険で検討できるものが増えてきます。
また、保険会社によっては、手術もしくは放射線治療から1年経過していれば加入を検討できる緩和型の商品もあります。
加入しやすい分保険料は割高に設定されていますが、がんの再発や転移に備えたい人にとっては選択肢のひとつになるでしょう。
引受基準緩和型保険保険でも検討が難しい場合は、健康状態に関する診査が必要ない無選択型保険も検討できますが、緩和型よりも保険料は割高で保障内容も限定されているため、あくまでも最後の砦として検討する人が多い保険です。
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前立腺がんとは
前立腺がんは、男性特有の臓器である前立腺に発生するがんです。
近年、日本人男性の罹患数が最も多いがんとなっており、特に50歳を過ぎてからリスクが高まるとされています。
ここからは、前立腺がんの基本的な知識について解説していきます。
前立腺はどこにある? どんな臓器?
前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱のすぐ下、尿道を取り囲むように位置しています。
大きさはクルミほどで、精液の一部である前立腺液を分泌する働きがあります。
前立腺がんの早期発見には「PSA検査」が有効です。
血液中のPSAを調べる検査で、前立腺がん検診で行われる検査の中でも精度が高いとされています。
特にリスクが高まる50代以降は、定期的に検査を受けるよう心がけましょう。
どんな症状が出る?
前立腺がんは、初期の段階では無症状であることがほとんどです。
がんが進行し、尿道を圧迫するようになると、次のような排尿に関する症状が現れることがあります。
- 尿が出にくい、切れが悪い
- 排尿の回数が多い(頻尿)
- 残尿感がある
- 排尿時に痛みを感じる
- 血尿が出る
症状は前立腺肥大と似ていますが、自己判断は禁物です。気になる症状がある場合、早めに泌尿器科を受診しましょう。
前立腺癌の患者数
前立腺癌は、日本人男性において罹患数が最も多いがんです。
2021年の全国がん登録罹患データによると、年間の診断数は9万5584件となっており、死亡数は1万3429人です。
50代から徐々に罹患率が高くなり、70代前半でピークを迎えます。
前立腺がんは、早期発見の場合予後は良好とされています。定期的ながん検診が早期発見の鍵となります。
特に高齢者ほどリスクが高くなるため、50代以降は定期的ながん検診を受けることが大切です。
(参考:がん種別統計情報 前立腺|国立がん研究センター)
前立腺癌の5年生存率
前立腺癌は、他のがんと比較して進行が緩やかで、予後が良いとされるがんのひとつです。
がんが前立腺内にとどまっている限局性の段階で発見された場合、5年相対生存率は100%と報告されています。
これは、適切な治療を受ければ、がんでない人とほぼ同じように生存できることを意味します。
一方で遠隔転移がある場合、5年生存率は53.4%と約半分まで低下します。
早期発見・早期治療が大切であることが、生存率のデータからも見て取れます。
(参考:がん種別統計情報 前立腺|国立がん研究センター)
前立腺がんの病院選びのポイント
前立腺がんの治療は、泌尿器科が専門です。
気になる症状があれば、まずは泌尿器科を受診しましょう。
「治療はどの病院で受けるのが良い?」「名医はどうやって見つける?」と悩んでいる人も少なくないでしょう。
しかし、個人で名医を見つけるのは簡単ではありません。
インターネット上の口コミやランキング以上に、治療実績を重視して病院選びをすることがおすすめです。
特に前立腺がんの手術の場合、ロボット手術(ダヴィンチ)の実績が多数ある病院を選ぶと良いでしょう。
また、手術だけでなく放射線や薬物療法など、さまざまな治療の選択肢を持っている総合病院、がん専門病院を中心に病院選びをすると、その後の治療方針も立てやすくなります。
前立腺がんに関するよくある質問
ここからは、前立腺がんに関するよくある質問にわかりやすく回答していきます。
検査にも費用がかかる?
A,はい、診断が確定するまでの検査にも費用がかかります。
ほとんどすべての検査には公的医療保険が適用され、自己負担は現役世代の場合3割になります。
検査にかかる費用の目安(3割負担)
PSA検査(血液検査):約800円
MRI検査:約2万5000円
骨シンチグラフィ:約7000円
上記に加え、薬剤料や画像診断管理料、診察費用などがかかります。
高齢者(80代など)の治療や費用は?
A.高齢者の場合でも、体力があり根治を目指せる場合は手術や放射線治療を行う場合もあります。
治療法はひとりひとりの病状に合わせて選択されますが、進行が遅い場合は治療をせず経過観察をする「監視療法」や、体に負担の少ない「ホルモン療法」が選ばれることもあります。
治療費用自体は本記事でご紹介したとおりですが、後期高齢者の場合自己負担の割合や高額療養費精度の自己負担上限が低く設定されている場合があります。
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民間のがん保険や先進医療特約は使うべき?
A.加入している保険を利用できる場合は、最大限利用して経済的負担を軽減しましょう。
例えば、加入している保険に先進医療特約が付加されている場合、保険適用外の先進医療が治療の選択肢となるケースもあるでしょう。
がん保険で給付金を受け取ることができれば、一定期間仕事を休んで治療に専念することができるかもしれません。
民間の保険はいざというときの経済的負担を軽減するのに役立ちます。
「加入していたのに給付金を請求するのを忘れていた」といったことがないよう、あらためて加入している保険の保障内容をすべて確認し、利用できる保険がないかを調べておきましょう。
光免疫療法は前立腺癌に使える?費用は?
A.2025年現在、光免疫療法は前立腺癌に対しては保険適用外です。
一部の医療機関で自由診療として行われていますが、費用は数百万円かかることが一般的です。
保険適用外のため全額自己負担しなければならず、治療効果もまだ明確になっていません。
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まとめ
今回は、前立腺がんの治療にかかる費用について詳しく解説してきました。
手術や放射線治療には、3割負担で30万~60万円と高額な費用がかかりますが、高額療養費精度を利用することで1カ月の自己負担額は大幅に抑えることができます。
まずは、自身の収入と年齢から高額療養費の上限額目安を確認し、費用を概算しておきましょう。
また抗がん剤治療やホルモン剤治療が長引いたときのために、加入している医療保険やがん保険の保障内容をいまいちど確認しておくことをおすすめします。
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