共済への加入を検討している人の中には、持病があって診査に通るか心配な人もいるでしょう。
民間の保険と同様、共済に申し込む際には健康状態に関する告知が必要です。
そのため、持病の内容によっては共済に入れないケースもあります。
今回は、各共済組合の診査基準や、保険選びのポイントについてプロが解説していきます。
この記事を読んでわかること
共済の告知事項に当てはまると、加入を断られる可能性がある
共済に加入できなくても、民間の保険で加入できるケースもある
加入審査に落ちてしまったら、引受基準緩和型共済や、民間の保険会社の商品を検討するのがおすすめ
持病があっても共済に入れるケースもある
持病があるからといって、すぐに加入を諦める必要はありません。
持病の種類や治療歴によっては、問題なく入れるケースもあります。
共済組合によっても診査基準は異なるため、検討している共済組合の告知項目を確認してみましょう。
共済に入れないケース
では、共済に入れないケースについて具体的に見ていきましょう。
告知事項に該当する場合
共済加入時には、健康状態に関する告知に回答する必要があります。
共済の中には、ノックアウト方式といって告知項目に該当する時点で加入できないと定めているところも多くなっています。
持病があって告知項目に該当した時点で加入を断られてしまう可能性があります。
告知項目は共済組合によって異なるため、加入前に一度確認しておくのが良いでしょう。
参考)県民共済の告知事項
各組合によっても少しずつ異なりますが、都道府県民共済の告知項目の一例は次の通りです。
- 現在、医師の診察・検査・治療・投薬・指導・経過観察(以下「治療」といいます)を受けています。
- 過去1年以内に、健康診断、人間ドック、がん検診などで異常(要再検査・要精密検査・要治療)を指摘されたことがあります(「要経過観察」は含みません)。※再検査・精密検査の結果が異常なしの場合、または治療が終了し、今後の治療の必要がないと医師より伝えられている場合は含みません。
- 過去1年以内に、連続8日以上の入院(正常分娩による入院を除きます)または同じ病気やケガで14回以上の通院による治療をしたことがあります。
- 過去1年以内に、手術を受けたことがあります。
- 過去5年以内に、同じ病気やケガで治療終了日までの期間が1年以上の入院・通院による治療をしたことがあります。
- 過去5年以内に、医師により「次のいずれかの病気」と診断されたことがあります。※統合失調症、そう病、うつ病、そううつ病、神経症、自律神経失調症、拒食症、適応障害、アルコール依存症、不眠症、薬物依存症、認知症
- 身体の障害や先天性の病気により、常に他人の介護を必要とする状態です。
- <女性の方はご回答ください>
現在、医師から妊娠分娩に関する異常(帝王切開を含みます)を指摘されています。または、過去3年以内に、妊娠分娩に関する異常(帝王切開を含みます)により入院をしたことや手術を受けたことがあります。
かながわ県民共済の規定では、上記の1~8のいずれかに該当した時点で加入できないとされています。
ただし、高血圧や脂質異常症の場合は、治療歴や数値等によっては加入できる可能性もあります。
告知事項は主に、現在の健康状態や、過去5年以内の受診歴等について尋ねられる内容となっています。
5年以内に通院していた時期がある人は、告知に該当するかどうかしっかり確認しておくようにしましょう。
参考)コープ共済の告知事項
コープ共済の場合、検討する商品によっても告知事項に多少の違いはあります。
入院保障や死亡保障がセットになった「たすけあい」の告知項目は次の通りです。
- 現在、入院中ですか?
- 現在、医師から、入院または手術をすすめられている状況ですか?
- 過去1年以内に、病気やケガで、医師の診療(検査・診察・治療・薬の処方・通院指示など)を受けたことがありますか?
※診療が終了し、今後の診療の必要がないと医師から伝えられている場合は「いいえ」となります。
- 過去1年以内に、健康診断、妊婦健診、乳幼児健診などで、異常を指摘されたこと(要再検査・要精密検査・要治療の判定が出たこと)がありますか?
※再検査や精密検査の結果が異常なしの場合、または、診察、治療などが終了し、今後の診療の必要がないと医師から伝えられている場合は「いいえ」となります。
- 過去5年以内に、つぎの病気で、医師の診療(検査・診察・治療・薬の処方・通院指示など)を受けたことがありますか?
【がん】悪性新生物 白血病 肉腫 骨肉腫 悪性リンパ腫
【脳】脳卒中 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 脳動脈瘤
【心臓】狭心症 心筋梗塞 心臓弁膜症 先天性心疾患 心筋症 上室性頻拍 心室頻拍 心房細動 心房粗動
【肝臓】脂肪肝 肝硬変 肝炎 肝炎ウイルスキャリア 肝機能障害
【その他】高血圧症 糖尿病 統合失調症 アルコール依存症 薬物依存症
- 15歳以上の女性のみ回答
過去5年以内に、帝王切開を受けたことがありますか? - 15歳以上の女性のみ回答
現在、妊娠中で、妊娠や分娩にともなう異常(※)により、健康保険適用の検査、診察、治療、薬の処方、通院指示などを受けていますか?※妊娠や分娩にともなう異常の一例
切迫流産、切迫早産、逆子、子宮頸管無力症、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、妊娠糖尿病、貧血やつわりなどによる薬の処方など
上記の1~6に該当した場合は加入を断られる可能性が高くなりますが、次の疾病が原因の場合は治療歴等によっては条件付で加入できるとされています。
- 子宮筋腫
- 痔
- 不妊治療(不妊症)(告知事項①・②・③のみが「はい」となる場合)
- 帝王切開(告知事項⑥のみが「はい」となる場合)
- ぜんそく※1(告知事項③・④のみが「はい」となる場合)
- 脂肪肝・肝機能障害※2(告知事項③・④・⑤のみが「はい」となる場合)
- 高血圧症(または高血圧)※3(告知事項③・④・⑤のみが「はい」となる場合)
- 脂質異常症・高脂血症※3(告知事項③・④のみが「はい」となる場合)
※1ぜんそくで、過去2年以内に入院または手術をしている場合は加入いただけません。
※2満18歳以上の方に限ります。脂肪肝・肝機能障害で、過去5年以内に入院をしている場合は加入いただけません。
※3満30歳以上の方に限ります。高血圧症・脂質異常症・高脂血症で、過去5年以内に入院をしている場合は加入いただけません。
コープ共済の場合、検討する商品やコース、年齢によっても告知事項が異なるため、事前に確認しておくようにしましょう。
参考)JA共済の告知事項
JA共済の告知事項は、商品によって異なります。
例えば入院や手術に備える医療共済の場合、最近の健康状態や過去の病歴、身体の障害状態や職業について告知する必要があるとされています。
細かい告知事項については、JA共済の担当者に確認してみるのも良いでしょう。
また、診査医扱の契約の場合は、組合が指定した医師の診査を受けて問診に回答する必要があります。
共済は民間の保険より審査基準が厳しい?
共済の場合、告知事項に該当した時点で加入できなくなるノックアウト方式を採用している組合も多く、持病があると加入できない可能性があります。
一方、民間保険会社の医療保険や死亡保険の場合、告知事項に該当しても治療歴等によっては加入できるケースもあり、柔軟に判断してくれる可能性があります。
そのため、共済には加入できなかった人でも民間の保険では加入できる保険が見つかることもあります。
関連記事
共済の加入審査に落ちてしまったらどうすれば良い?
持病が原因で共済の加入審査に落ちてしまっても、すぐに諦める必要はありません。
共済の審査に落ちたときの対処法についてお伝えします。
持病がある方向けの共済を検討する
コープ共済やこくみん共済、JA共済では持病がある方向けの「引受基準緩和型共済」が用意されています。
引受緩和型の共済とは、通常の共済と比べて健康状態に関する告知事項が緩やかで、持病があっても加入しやすいタイプの共済です。
コープ共済の緩和型保険
- たすけあい 告知緩やかコース
こくみん共済の緩和型保険
- 総合医療共済 終身引受基準緩和型プラン
JA共済の緩和型保険
- 引受緩和型終身共済
- 引受緩和型医療共済
もし、通常の共済に加入ができなかった場合は、上記のような緩和型共済を検討するのもひとつです。
ただし加入しやすい分、毎月の掛金(保険料)は通常の共済と比べて割高に設定されている点には注意が必要です。
また、都道府県民共済グループでは緩和型の商品は用意されていません。
(参考:《たすけあい》告知緩やかコース|co·op共済)
(参考:引受基準緩和型プラン|こくみん共済<全労災>)
(参考:「ひと」に関する保障|JA共済)
参考)持病がある方向け共済の告知事項
緩和型共済の告知事項は、通常のものと比べて数が少なく緩和されています。
コープ共済 告知緩やかコースの告知項目
こくみん共済 終身医療保障引受基準緩和タイプの告知事項
- 現在、入院中ですか。あるいは医師より入院または手術をすすめられていますか(今後、予定がある場合を含みます)。
- 過去2年以内に、病気やけがで「手術」または「連続して7日以上の入院(正常分娩による入院を除きます)」をしたことがありますか。
- 過去5年以内に、がん※1または肝硬変の診断※2・治療・投薬・入院・手術を受けたことはありますか。
※1がんとは、白血病・骨髄腫・悪性リンパ腫・肉腫・骨肉腫などを含む、すべての悪性新生物をいいます。
※2がんまたは肝硬変の疑いがあると医師に指摘された場合を含みます。
共済組合によっても告知事項は異なりますが、主に「入院中・もしくは入院の予定があるか」や「過去2~5年以内の罹患歴や入院歴」について尋ねられます。
自身の健康状態で申込みできるものがあるか、一度確認してみましょう。
民間の医療保険を検討する
共済への加入を断られた場合、民間の医療保険等を検討するのもおすすめです。
持病の種類や治療歴によっては、共済へは加入できなくても民間の保険であれば加入できるケースもあります。
特に医療保険の場合、告知事項に該当しても治療歴等を詳細に申告することで診査に通ることもあります。
共済の引受基準緩和タイプよりも、民間の通常の医療保険のほうが保険料を抑えられる可能性もあるので、両者を比較してから検討を進めてみるのが良いでしょう。
参考)民間の医療保険で加入を検討できるケース
保険会社によって診査基準は異なりますが、高血圧や高脂血症、痛風、糖尿病などの場合、数値や治療歴によっては通常タイプの医療保険に加入できる可能性があります。
入院・手術歴があると厳しい判断になることが多いですが、投薬治療等で病状をコントロールできていれば加入を検討できる場合もあります。
関連記事
民間の持病がある方向け保険を検討する
民間の保険会社でも、引受基準緩和型保険を取り扱っています。
共済の引受基準緩和タイプと同様、告知事項が緩和されており、持病があっても加入しやすくなっています。
持病の悪化も保障対象となるため、健康に不安を抱えている人にはメリットがあるでしょう。
一方、加入しやすい分通常の保険と比べて保険料が割高になっている点には注意が必要です。
メリットとデメリットを整理してから、検討を進めていきましょう。
緩和型の共済と民間の緩和型保険を、保障内容や保険期間、毎月の保険料を比較してから決めるのも良いでしょう。
緩和型医療保険の保険料を比較する

まとめ
今回は、持病があっても共済に加入できるのかや、加入審査に落ちてしまった場合の対処方法について解説してきました。
共済は、告知事項に該当した時点で加入できない場合もあり、持病を抱えていると検討が難しい可能性もあります。
引受基準緩和型の商品や、民間の保険会社の商品も視野に入れて、保険選びを進めていくのがおすすめです。
ほけんのコスパでは、持病がある方向けの医療保険を複数取り扱っています。
年齢と性別を入力するだけで簡単に保険料の見積もりもできるので、ぜひ試してみてください。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年4月1日-2025年4月30日)