60代は定年退職を迎え、ライフステージが大きく変化する年代です。
同時に健康不安も高まる年代で、病気やケガのリスクにどのように備えておけば良いか悩む人も少なくないでしょう。
特に、三大疾病とよばれる「がん・心疾患・脳血管疾患」は日本人の死因上位を占め、一度罹患すると長期的な治療により経済的な負担も大きくなる可能性がある病気です。
今回は、60代にとっての三大疾病保険の必要性や、自分に合った保険を選ぶためのポイントを保険のプロが徹底解説します。
「医療保険だけで十分?」「三大疾病保険ってどう選べば良い?」と悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
60代以降に三大疾病の罹患者数は増加する
三大疾病は治療が長引いたりリハビリが必要になるケースも少なくないため、保険で備えておくことが大切
病気の再発や長引く治療に備えるには給付金を複数回受け取れるタイプの三大疾病保険がおすすめ
60代に三大疾病保険は本当に必要か?知っておくべき3つのリスク
年齢を重ねるごとに三大疾病に罹患する可能性は高くなりますが、保険で備えておく必要性はあるのでしょうか。
まずは60代が直面するリスクについて詳しく見ていきましょう。
60代から急増する三大疾病のリスク
60代後半になると、病気やケガで入院・通院する割合(受療率)が全年齢の平均を上回ります。
特に三大疾病は、加齢とともに罹患リスクが高まるとされており、60代の死因トップは男女ともに「悪性新生物(がん)」となっています。
また、心疾患や脳血管疾患も60代の死因上位を占めています。
三大疾病は命の危険がある大きな病気ですが、一方で治療技術の進歩により、命をとりとめ治療やリハビリを続ける人も増えています。
死亡時だけでなく、治療が長引くリスクや働けなくなるリスクについても検討する必要があるでしょう。
三大疾病の中には、高血圧などの生活習慣病が罹患リスクを高めるものもあります。
普段から生活習慣には気を遣いながら、もしもに備えて健康なうちに三大疾病保険を検討することがおすすめです。
(参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省)
(参考:令和6年(2024) 人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省)
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?
三大疾病が家計に与える金銭的リスク
三大疾病に罹患すると、治療費はもちろん、その他にさまざまな経済的負担が生じる可能性があります。
- 治療費負担:三大疾病は罹患してすぐに完治させることが難しく、退院後も定期的な通院治療が必要なることも珍しくありません。公的医療保険制度があるといえど、何年間も治療費を支払い続ける状況になれば家計への負担は大きくなります。
- 公的医療保険適用外の費用:先進医療や自由診療など全額自己負担が必要な治療にも注意が必要です。また、入院時の個室利用料(差額ベッド代)、食費、交通費なども治療費以外に別途自己負担が必要になります。
- 収入減少のリスク:三大疾病による長期療養や後遺症により、仕事を休職・退職せざるを得なくなり、収入が大幅に減少する可能性があります。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年10月1日―2025年10月31日))
参考)がんによる収入減少リスク
一般社団法人患者家計サポート協会の独自調査によると、がん治療開始後に「収入が減った」と回答した人は6割にのぼります。
また、そのうち9割は収入減少前の高額療養費所得区分のままの医療費負担が続いていると回答しています。
つまり、収入が減ったにも関わらず、公的医療保険で負担しなければならない医療費は変わらないケースが多いことがわかります。
60代の場合、近年は生活費をまかなうために定年退職後も働く人が増えています。
がんや三大疾病などの大きな病気に罹患すると、これまで通り働くことができなくなり、収入が減少してしまう事も考えられます。
がんや三大疾病のリスクを考えるときには、治療にかかる費用だけでなく収入減少のリスクについても検討する必要があるでしょう。
(参考:【高額療養費の現実|独自調査結果発表】働くがん患者の6割が収入減でも医療費支払いは変わらず、治療継続が困難に|一般社団法人 患者家計サポート協会)
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公的医療保険(高額療養費制度)でカバーできる範囲
日本には充実した公的医療保険制度があり、医療費の自己負担割合は年齢や所得に応じて1~3割に抑えられています。
さらに「高額療養費制度」を利用すれば、1カ月の医療費の自己負担額が上限を超えた場合、超過分が払い戻され、治療にかかる費用を軽減できます。
高額療養費制度の自己負担上限額は年齢や収入によってそれぞれ異なります。
69歳以下の場合、医療費負担の上限額は次のとおりです。
例えば年収が370~770万円の場合、1カ月の医療費上限は約8万円~9万円です。
三大疾病に罹患した場合も同様で、1カ月あたりの費用は一定に抑えることができますが、治療が長引いたときにも負担し続けられるかは注意が必要です。
三大疾病保険の必要性を考えるときには、治療が長引いたときに医療費を支払い続けられるか、働けなくなって収入が減少しても家計に問題はないかを確認しましょう。
経済的な不安がある人は、公的医療保険だけではまかないきれない部分を民間の保険で補うと良いでしょう。
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60代からの三大疾病への備え方
「三大疾病保険ってどう選ぶのが良い?」と悩む人もいるでしょう。
ここからは、保険で三大疾病に備える方法について詳しく解説します。
三大疾病保険の基本:仕組みと特徴
三大疾病保険は、「がん・心疾患・脳血管疾患」の3つの病気を保障対象とする保険です。
三大疾病のいずれかに罹患し保険会社が定める条件に該当したとき、まとまった一時金を受け取れる保障内容が一般的です。
保険会社によっては、保障範囲を「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」と定めている場合もあるので注意してください。上記の場合、心疾患・脳血管疾患と定めているものよりも保障範囲が狭くなります。
また、三大疾病保険を選ぶ際は次のポイントにも注意しましょう。
- 一時金を受け取れる回数:1回切りか、1度受け取っても保障が継続するか
- 保険期間:定期型か一生涯保障の終身型か
- 受取条件:各疾病ごとの受取条件は「診断や入院」か「◯日以上の入院・後遺障害があること」
など細かい条件が定められているか
特に給付金の受取回数や受取条件は保険を決めるうえでとても重要です。
三大疾病のいずれかに罹患するとすぐに給付金を受け取れる保険商品もあれば、入院日数や障害状態などの条件が定められている商品もあります。
また、1度三大疾病のいずれかに該当した時点で保障が終了するタイプでは、他の病気に罹患するリスクや再発等のリスクに備えることが難しくなります。
保障内容を見比べたうえで、保険商品を選ぶことが大切です。
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?
60代におすすめ!三大疾病保障の3つのタイプ
三大疾病に備える方法はいくつかあります。
ここからは、60代におすすめの三大疾病保障について解説します。
三大疾病に特化して手厚く備える「三大疾病保険」
三大疾病保険は、がん・心疾患・脳血管疾患に罹患し、所定の状態になった場合にまとまった一時金を受け取れる保険です。
その他の病気やケガは対象になりませんが、治療が長引きがちな三大疾病に手厚く備えることができます。
三大疾病保険には、保険期間や保障範囲などによっていくつかの種類に分けられます。
- 無解約返戻金型三大疾病保険:掛け捨てで三大疾病に備える保険。終身型で一生涯保障が続くことが一般的。複数回給付金を受け取れるタイプもある。
- 三大疾病終身保険:三大疾病もしくは死亡時に保障される終身保険。解約時に解約返戻金を受け取ることができる貯蓄型の保険。一度給付金を受け取った時点で契約が終了する。
- 三大疾病定期保険:三大疾病もしくは死亡時に保障される定期保険。保険期間が一定で、更新時に保険料が上がることが一般的。一度給付金を受け取った時点で契約が終了する。
三大疾病のみに備えるのであれば、無解約返戻金型三大疾病保険がおすすめです。
三大疾病のいずれかに罹患したときに一時金を受け取れ、さらに保障は一生涯で再発や転移にも備えることができます。
三大疾病終身保険、三大疾病定期保険は死亡時にも保障されるタイプですが、いずれかの理由で給付金を受け取ればその時点で契約が終了する点に注意が必要です。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年10月1日―2025年10月31日))
持病があっても入りやすい「引受基準緩和型タイプ」
60代になると、すでに持病を抱えている人も少なくありません。
通常の三大疾病保険では加入が難しい場合でも、「引受基準緩和型」の三大疾病保険であれば加入できる可能性があります。
健康状態に不安がある方でも加入しやすいのはメリットですが、通常の保険に比べて保険料が割高になる傾向があり、加入から一定期間は給付金が削減されるなどの条件が付く場合もあります。
加入時には保障内容と保険料のバランスを慎重に検討しましょう。
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医療保険に保障を上乗せする「三大疾病特約」
医療保険に三大疾病特約を付加することで、三大疾病に手厚く備える方法もあります。
医療保険は病気やケガによる入院・手術に備える保険ですが、基本的に入院時のみが保障対象になるため、退院後の通院や収入の減少には対応できません。
医療保険に特約として三大疾病の保障を付加することで、三大疾病保険と同じような保障を準備することができます。
医療保険と三大疾病保険のどちらも検討している人は、医療保険に特約を付加してひとつの契約にまとめるプランもおすすめです。
すでに医療保険に加入しており、三大疾病の保障を追加で検討している人は、別途三大疾病保険を検討すると良いでしょう。

Q1
性別をお伺いします
60代向け三大疾病保険の「失敗しない選び方」5つのポイント
さまざまな保険会社が三大疾病保険を取り扱っており、どう選んだら良いかわからない人も多いでしょう。
保険は長く付き合うものですから、あとで後悔するのは避けたいものです。
ここからは、60代向けの三大疾病保険の選び方について解説します。
ポイント①保障範囲と支払条件を確認する
三大疾病保険の保障範囲と支払条件は、保険会社や商品によって大きく異なります。
それぞれの病気で、どんな状態になれば給付金を受け取れるのか確認することが大切です。
主な確認事項は次のとおりです。
基本的に、がん・心疾患・脳血管疾患にそれぞれ給付金を受け取れる条件が定められています。
がんの場合は診断された時点で受け取れるものがほとんどですが、心疾患や脳血管疾患は保険会社ごとに条件が定められています。
入院や手術で保障対象になるものもあれば、20日以上の入院・60日以上の労働制限など、より厳しい条件を定めているものもあります。
「保障されると思っていたのに給付金を受け取れなかった」ということがないよう、加入前に確認しておくことが大切です。また、1度給付金を受け取った後、2回目以降の受取条件も併せて確認しましょう。
ポイント②一時金の給付回数と免責期間をチェックする
三大疾病は再発リスクや治療の長期化が考えられるため、一時金を受け取れる回数は重要なポイントです。
1回のみの給付か、複数回(回数無制限)の給付かを確認しておきましょう。
長引く治療や再発等のリスクに備えるのであれば、複数回給付金を受け取れるタイプがおすすめです。
複数回受け取れるタイプの場合、給付金を受け取ってから次の給付まで一定の期間(180日や1年)が必要とされていることが一般的です。
保障を受けられるインターバルについても確認しておきましょう。
がんに関しては加入から90日間の免責期間が設けられていることが一般的です。免責期間中にがんと診断されても給付金は受け取れないため、注意が必要です。
ポイント③保険料と保障内容のバランスを検討する
三大疾病保険は、保障範囲が広くなったり、給付回数が増えたりするほど保険料が高くなる傾向があります。
60代で保険に加入する場合、保険料負担が家計を圧迫しないよう、自身の経済状況に合ったバランスを見つけることが大切です。
その他に加入している医療保険や死亡保険なども合わせて、保険料総額が今後も無理なく支払える範囲にとどまっているかを確認しましょう。
特に60代は定年退職を迎え、現役時代よりも収入が減少することが考えられます。
「老後も保険料を払っていけるか」を冷静に判断し、必要な保障を絞ってプランを組むように心がけましょう。
ポイント④保障期間を「終身」と「定期」のどちらを選ぶか
三大疾病保険には、保障が一生涯続く「終身型」と、一定期間のみ保障する「定期型」があります。
60代で新たに加入する場合は、基本的に終身型の検討がおすすめです。
定期型は保障が一定期間のみのため保険料は抑えやすいですが、更新時には大幅に保険料が上がることも珍しくありません。
また、基本的に三大疾病のリスクは年齢を重ねるごとに高くなるため、途中で保障が途切れない終身型が良いでしょう。
保険料を抑えたい人は、掛け捨てで一生涯保障の「無解約返戻金型三大疾病保険」がおすすめです。
また、将来退職金など大きな収入があり、保障が必要無くなる可能性が高いのであれば、定期タイプで一時的に備えておく方法もあります。
ポイント⑤複数の保険商品を比較・検討する
三大疾病保険は、さまざまな保険会社から販売されています。
同じような保障でも保険会社によって保険料は異なるため、できるだけ保険料を抑えたい人は複数社で見積もりを取ってみると良いでしょう。
保険料以外にも、細かい保障内容や支払条件の違い、付帯サービスなども比較ポイントになります。
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?
三大疾病保険についてよくある質問
ここからは、三大疾病保険についてよくある質問に保険のプロがわかりやすく回答します。
Q.60代で三大疾病保険に入ると保険料は高い?
A.一般的に、年齢が上がるほど病気のリスクが高まるため、保険料は若年層よりも高くなる傾向があります。
ただし、掛け捨て型の三大疾病保険であれば比較的保険料を抑えられる可能性があります。
一時金の保障額を高くすると保険料も高くなるため、毎月支払える保険料とのバランスを考慮しましょう。
タバコを吸わない人は「非喫煙者料率」として保険料が割安になる保険会社もあるため、複数の保険会社で保険料を比較することがおすすめです。
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?
Q.がん保険と三大疾病保険、どちらにすべき?
A.どちらを選ぶべきかは、ご自身の健康リスクや心配な病気によって異なります。がんだけでなく心疾患や脳血管疾患のリスクも感じる人は、三大疾病保険で幅広く備えておきましょう。
がん保険はがんに特化した保険で、診断一時金、手術、入院、通院、抗がん剤治療、放射線治療など、がんに関する幅広い保障を用意できます。
三大疾病保険は、がんに加えて心疾患と脳血管疾患も保障対象とする保険です。
家族や親戚で心疾患または脳血管疾患の罹患者がいる人や、リハビリ等で長期間働けなくなったときの経済的な不安が大きい人は三大疾病保険を検討しましょう。
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Q.告知書で病歴をどう書けばいい?
A.告知書には、自身の健康状態や病歴について事実を正確に記載する必要があります。過去の病歴や現在の持病、服薬状況などを正直に告知しましょう。
保険会社によっても違いはありますが、過去5年以内の病歴について問われることが一般的です。
診断時期や治療の経過、投薬内容についてできるだけわかりやすく時系列順に記入することを心がけましょう。
告知の際は健康診断書や医師の診断書、お薬手帳などを準備しておくとスムーズです。
告知内容に虚偽があった場合、「告知義務違反」とみなされて給付金が支払われなかったり、保険契約を解除されてしまう可能性もあります。
あとからトラブルにならないよう、必ず正しい告知を行いましょう。
関連記事
Q.60代からの加入で、保険料を安くする方法はありますか?
A.保障内容の見直しや掛け捨て型の保険を利用するなどして保険料を抑える方法があります。
保障額を調整したり、付加する特約を絞るなど工夫をすれば保険料を抑えられる可能性があります。
また、タバコを吸わない人の場合、非喫煙者の割引がある保険会社を選択するのも良いでしょう。
保険料を抑えたい場合は、基本的に掛け捨て型の保険がおすすめです。
最適な保険選びは、将来の安心に繋がります。
あなたに必要な保障を『ほけん必要度診断』で診断してみましょう。
まとめ
60代は三大疾病のリスクが上昇し、治療費の負担や収入の減少など、経済的負担が大きくなる可能性がある年代です。
がんだけでなく心疾患や脳血管疾患のリスクも感じている人は、三大疾病保険で手厚く保障しておくことをおすすめします。
ほけんのコスパでは、60代におすすめの三大疾病保険を複数掲載しています。
年齢と性別を入力するだけで一括見積りも可能です。
ぜひ保険選びの参考にしてください。
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?






































