がんは生涯で2人に1人が罹患するといわれている、非常に身近な病気です。
実際の罹患率は高齢者の方が高く、若い世代では低いものの、若くしてがんになるケースもゼロではありません。
がん保険の必要性について考える人も少なくないでしょう。
本記事では、がん保険は何歳から加入しておくのが良いのか、統計データから保険のプロが詳しく解説していきます。
がん保険に入るか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
いつかがん保険に入りたいと思っているなら、早めに検討しておいた方が良い
若いうちに加入しておくと、保険料を抑えて一生涯の保障を確保できる
年齢を重ねると健康状態が理由でがん保険に加入できないケースもあるので要注意
目次
がん保険は何歳から加入すると良い?
結論、いつか加入すると決めているのであれば、今加入しておくほうが良いでしょう。
理由はいくつかあります。
まず1つめの理由として、保険料が挙げられます。
保険は加入時の年齢で保険料が決まる仕組みとなっており、年齢が高くなるほどがんの罹患リスクも高くなるため、毎月の保険料も高くなってしまいます。
30歳で加入した場合と40歳で加入した場合で平均余命まで保険を継続したと仮定すると、累計保険料は30歳で加入したときのほうが抑えられる傾向にあります。
2つめの理由は、健康面のリスクがあるためです。
がん保険に加入するときには、健康状態に関する告知が必要です。
そのため、健康診断やがん検診で異常を指摘されてからでは、がん保険に加入できない可能性があります。
若くて健康に不安がないときにこそ、将来のためにがん保険を検討しておく必要があるといえるでしょう。
3つめの理由は、経済的なリスクに備えるためです。
一般的に保険は、貯蓄に余裕がないときほど必要性が高くなります。
もし若くしてがんに罹患してしまったら、毎月の治療費に貯蓄だけでは対応できなくなってしまうかもしれません。
がん保険の加入を迷っている人は早めに検討しておくことをおすすめします。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?
参考)がん保険の加入率【年齢別】
では、実際にがん保険に加入している人はどれくらいいるのかを見ていきましょう
生命保険文化センターの調査によると、がん保険・がん特約加入率の全年齢平均は39.1%となっています。
年齢別に見ていくと、20代では男性が14.0%、女性が21.9%と比較的低くなっていますが、30代以降は40%を超える加入率となっていることがわかります。
加入率が最も高いのは男性で50代の45.5%、女性で40代の50.6%です。
男女で比較すると女性のほうが加入率が高い傾向にあることも見て取れます。
女性は比較的若い年代から女性特有のがんに罹患するリスクがあるため、がん保険への関心も高いことがわかります。
(参考:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター)
参考)がん保険の加入率【年収別】
基本的に、年収が高くなるにつれて、がん保険の加入率も高くなる傾向にあります。
年収が300万円を超えたあたりから加入率は高くなり、男性では年収500万円~1000万円、女性では500万円以上の場合、加入率が50%を超えています。
しかし、女性の場合、収入がない人や年収が100万円未満の人でも35%以上の加入率があり、100万円~300万円未満の人で41.3%。300万円~500万円未満の人で47.7%と比較的高い水準であることがわかります。
(参考:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター)
参考)がんの罹患率【年齢別】
20代のがん累積罹患率は約0.1%~0.2%と非常に稀であることがあります。
年齢が上がるにつれて罹患率は高くなり、30代後半では約0.4%~1%、40代後半では約1%~2.4%と、年齢が10歳上がるごとに罹患率が3倍ほど高くなっています。
一見罹患率は低く見えるかもしれませんが、若くしてがんになるリスクはゼロではありません。
また、最も罹患率が高くなる70代前半では、約17%の割合になっています。
若いうちから将来のがんリスクに備えておくことは、損とはいえないでしょう。
(参考:がんの統計|公益財団法人がん研究振興財団)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年10月1日―2025年10月31日))
がん保険に早く加入する3つのメリット
若い間はがんのリスクが低いので、がん保険に入るともったいないのではと感じる人もいるかもしれません。
しかし、がん保険に早く加入しておくことにはいくつかのメリットがあります。
詳しく見ていきましょう。
メリット①保険料が抑えられる
最も大きなメリットとして、毎月の保険料を抑えられることが挙げられます。
がん保険は基本的に加入時の年齢で保険料が決まります。
若い人は比較的がんの罹患リスクが低いため、その分毎月の保険料も年齢が高い人と比べると低廉になります。
毎月お手頃な保険料でがん保障を用意できるのはメリットといえるでしょう。
若いうちに終身タイプとよばれる一生涯のがん保険に加入しておけば、老後も変わらない保険料で保障を確保することができます。
累計で支払う保険料に関しても、年齢が上がってから加入するよりも若いうちに加入しておくほうが抑えられる傾向にあります。
あらゆる面で保険料負担を軽減できるため、若いうちに加入しておくことにはメリットがあるといえます。
メリット②がん保険の診査に通りやすい
がん保険の加入時には、健康状態に関する告知を行う必要があります。
健康診断やがん検診で指摘を受けていたり、持病の治療をしていると、がん保険への加入を断られる可能性があります。
年齢を重ねると、何かしらの健康不安を抱えている人が増えてきます。
がんのリスクを感じて「いざ保険に入ろう」と思ったときに、加入できないケースがある点には注意しましょう。
若くて健康なうちにがん保険に申込んでおくと、診査に通りやすいメリットがあります。
メリット③大きなリスクに効率的に備えられる
保険は、いざというときの経済的なリスクをカバーするためのものです。
貯蓄に余裕がない人ほど、保険の必要性は高いといえるでしょう。
特に若い人の場合、収入がまだ安定しておらず貯蓄も不十分な人も多いかもしれません。
万が一がんに罹患してしまうと、治療費の負担で生活に支障が出てしまうリスクがあります。
将来への積立を行いながら、並行してリスクへの備えを用意しておくと、将来設計がしやすくなります。
がん保険に早く加入する際の注意点
がん保険を選ぶときには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
ここからは、がん保険に加入するときの注意点について解説します。
定期タイプのがん保険は更新時に保険料が上がる
がん保険には、保障が一生涯続く「終身タイプ」と、保障が5年や10年など一定期間毎に更新が必要になる「定期タイプ」があります。
がんは年齢を重ねるにつれてリスクが上がる病気なので、基本的には終身タイプで一生涯の保障を用意しておくと良いでしょう。
定期タイプの場合は更新時に保険料が上がるため、年齢が高くなるにつれ継続がしづらくなるリスクがあります。
また、更新できる年齢にも限度があり、基本的に一生涯の保障を持つことはできません。
もちろん、明確に特定の期間だけがん保険で備えたいなどの要望があれば、定期タイプでも問題ありません。
それぞれの特徴を理解した上でがん保険選びをするように心がけましょう。
定期的に保障内容の見直しが必要
若いうちにがん保険に加入したからといって、長年そのままにしておくことはおすすめできません。
保険会社は日々商品開発に力を入れており、新しい保険に見直すことで同様の保障内容でも保険料を抑えられたり、同じ保険料でも保障内容が手厚くできることがあります。
また、医学の進歩に合わせて必要な保障が変わることも考えられます。
現時点では抗がん剤や放射線による治療が主流となっていますが、今後まったく違う治療法が誕生することもあるかもしれません。
がん保険を見直さずにそのままにしておくと、保障内容が古くなりいざという時に役に立たない可能性があります。
がん保険に入ったら入りっぱなしにするのではなく、3年から5年ごとに見直しをすると良いでしょう。
負担にならない保険料で加入する
保険はいざというときの備えです。
毎月の保険料が家計を圧迫し、契約の継続ができなくなってしまうと、肝心な時に保障が受けられなくなってしまいます。
また、がんは年齢とともに罹患リスクが高まるため、途中で解約することは避けたいものです。
がん保険を選ぶときは、必ず保険料の支払が負担にならないかを確認するようにしましょう。
がん保険は何歳から加入できる?
保険会社によって規定は異なりますが、0歳から加入できると定めているがん保険も多くあります。
小児がんに備えるため、子どもが生まれた時点でがん保険に加入させておきたいと考える人もいるようです。
ただし、インターネットでの加入の場合は18歳以上からと定められていることが一般的です。
Q.子どもにがん保険は必要?
A.必ず必要というわけではありませんが、小児がんのリスクに備えておきたいのであれば、がん保険に加入しておくのも選択肢のひとつです。
一度がんに罹患すると、その後がん保険に加入するのは難しくなります。
小児がんの治療費への備えと、将来のがん保障を確保する目的で、子どものがん保険を検討するのも良いでしょう。
一方、幅広く病気やケガに備えておきたいのであれば、医療保険や共済に加入しておくことがおすすめです。
特に子どもはケガのリスクも高いので、ケガの保障も付加できる保険を検討しておくと安心でしょう。
がん保険は何歳まで入れる?
保険会社によっても異なりますが、85歳まで加入できることが多いです。
ただし、がん保険に加入するためには年齢の制限だけでなく、健康状態に関する診査もクリアする必要があります。
また、加入時の年齢が高ければ高いほど、毎月の保険料も高くなります。
年齢や健康状態は問題なくても、保険料が予算を超えてしまい加入できないケースもあるでしょう。
そのため、がん保険は早めに検討をはじめておくことをおすすめします。
まずは、今の年齢でどれくらいの保険料になるのかを確認してみましょう。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?
Q.高齢者にがん保険は必要?
A.年齢が高くなるほどがんの罹患リスクは高くなるため、がん保険の必要性は高いといえるでしょう。
一方で、高齢になるとがんの進行自体が遅く、治療に体が耐えられないため、自然にまかせて積極的に治療しない人もいます。
高齢になり、がんと診断されても治療はしないのであれば、がん保険を新たに検討する必要性は低いでしょう。
また、すでにがん保険に加入している人は、高齢になった時点でがん保険を解約するのもひとつの方法です。
がん診断一時金などまとまったお金を受け取れるがん保険に加入している人は、治療の有無にかかわらず給付金を受け取れるため、敢えて解約しないほうが良いケースもあります。
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Q.県民共済のがん保険は何歳まで加入できる?
A.県民共済は、64歳までが加入する総合保障型と、65歳以降が加入する熟年型に分けられています。
熟年型の場合、新しく加入できるのは69歳までと定められています。
入院保障がメインとなっており、がん特約を付加する形でがん保障を用意することができます。
また、県民共済は定期タイプのため、保障が最長85歳までとなっています。
長生きの時代、退職後のセカンドライフも長くがん保障を持っておきたい場合は、民間の終身タイプのがん保険がおすすめです。
がん保険の保障内容
ここからは、がん保険で受け取れる給付金と保障内容について解説します。
診断給付金
近年がん保険の主流となっているのが「診断給付金タイプ」です。
がんと診断された時点でまとまった一時金を受け取ることができるため、治療費だけでなく生活費の補填などさまざまな使い道があるのがメリットです。
また、治療の長さや有無にかかわらず、ある程度まとまったお金を受け取れることも、いざというときの安心につながるでしょう。
保険商品によって、診断給付金を複数回受け取れるものと1回きりしか受け取れないものがあります。
保障内容は加入前に確認しておきましょう。
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通院給付金
がん保険の通院給付金とは、がん治療による通院1回ごとに受け取れる保障のことです。
受け取れる金額は1回あたり数千円~1万円の間で設定できるのが一般的です。
保険会社によっては、通院の回数や年数に制限を設けていない場合もあり、がん治療が長引いても無制限で保障されるメリットがあります。
ただし、通院給付金だけで抗がん剤や放射線治療にかかる費用をまかなうのは難しいため、通院時の交通費や雑費などをまかなう目的で検討するのが良いでしょう。
入院給付金
がん保険の入院給付金は、がん治療を目的として入院した時、入院1日ごとに受け取れる保障です。
医療保険に加入していない人など、入院保障も用意しておきたい場合にはおすすめの保障です。
ただし、がんによる入院のみが保障対象となる点には注意してください。
また、近年はがんの入院日数は短期化の傾向にあります。
入院保障を重視するよりも、その後の治療保障や診断一時金をメインに保障を考える方が、現在の医療事情に合っているといえるでしょう。
先進医療特約
先進医療とは、厚生労働省が認める最先端の医療技術のことで、公的医療保険が適用できない全額自己負担の治療です。
がん保険で先進医療特約を付加した場合、先進医療を受けてかかった技術料は全額保険会社から支払われます。
近年、がん保険の先進医療特約で、がん以外の病気の治療に使われる先進医療も保障対象となるケースが増えています。
特約の正式名称が「がん先進医療特約」となっていればがんの先進医療のみが保障対象、「先進医療特約」となっていればがん以外の先進医療も保障対象となります。
加入前に、保障範囲を確認しておくようにしましょう。
抗がん剤・ホルモン剤治療給付金
診断給付金と併せて検討されることが多いのが、抗がん剤・ホルモン剤治療給付金です。
対象の薬剤治療を受けた月ごとに給付金を受け取ることができるため、薬剤治療にかかった費用をまかなうのに適しています。
保険会社によっては、支払回数に制限が設けられている場合もあります。
長期のがん治療に備えておきたい人は、無制限で給付金を受け取れるタイプを選ぶと良いでしょう。
抗がん剤・ホルモン剤治療給付金の保障額は、高額療養費制度の1カ月の自己負担額を参考に決めましょう。
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がん保険の選び方
まずは、保障のベースを何にするかを決めます。
最近のがん保険では、診断給付金や抗がん剤・ホルモン剤治療給付金を主契約とする商品が増えています。
自分のニーズに合わせて、まずは主契約の保障内容を決めましょう。
次に、付加する特約を決めます。
保険会社によって付加できる特約には違いがあります。
いくつかの商品で比較してみるのがおすすめです。
特約が決まったら、保険料の払込期間を決めましょう。
終身タイプのがん保険の場合、契約を継続する限り保険料を支払い続ける「終身払」と、一生涯の保障に対してある一定の年齢で保険料を払い終える「有期払」を選択することができます。
終身払のほうが毎月の保険料を抑えることができますが、老後に負担を残したくない場合は有期払を選択するのも良いでしょう。
がん保険にはがんに罹患した時点で保険料の支払が免除される特約を付加することもできます。
終身払の場合、免除特約を付加しておくとより安心です。
プランが決まったら、最後に複数の保険会社での比較を忘れずに行いましょう。
同じような保障内容でも、保険会社によって毎月の保険料は異なります。
いくつかの商品で見比べてみると、保険料を抑えられる商品が見つかるかもしれません。
がん保険の保険料を比較する
Q.がん保険は複数加入できる?
A.複数加入することも可能です。
現在加入中のがん保険の保障内容が手薄と感じる人は、追加する形で新たにがん保険を検討するのも良いでしょう。
ただし、複数の保険会社でがん保険に加入していると、がんと診断されたときに診断書をそれぞれ用意しなければならなかったり、給付金請求に手間がかかる恐れもあります。
1つの契約にまとめておくほうが、保険の管理が楽になるメリットがあります。
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まとめ
今回は、がん保険は何歳から必要なのか、早いうちから検討しておくメリットはあるのかを解説してきました。
若く健康なうちにがん保険に加入しておくことで、保険料を抑えて一生涯の保障を用意できるメリットがあります。
がん保険の診査にも通りやすく、多くの選択肢の中から保険選びをすることもできます。
まずは必要な保障を決め、いくつかの保険会社で比較してみることで、保険料を抑えて納得のいく保障を持つことができます。
ぜひ、ほけんのコスパで各保険会社のがん保険を比較してみてください。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?


































