「がん保険を検討しているけど、入れるか心配」「がん保険の診査に落ちてしまった」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
持病があってもがん保険に入れるかどうかはケースバイケースですが、がん保険は医療保険と比較すると申込み時の告知が緩和されているため、持病があっても検討できることが多いです。
今回は、持病があってもがん保険に入れるケースや、おすすめの保険についてプロが詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
持病があってもがん保険に入れるケースもある
がん検診や肝炎検査等で指摘を受けている場合は、がん保険の検討が難しい可能性がある
がん保険に入れない場合は、引受基準緩和型保険を検討するのがおすすめ
目次
持病があってもがん保険に入れるケースもある
結論、持病があってもがん保険に入れるケースも多くあります。
がん保険に申込む際の質問事項(告知事項)では、基本的にがんのリスクが高いかどうかを判断されます。
そのため、がんの発症に影響がない持病であれば、問題なくがん保険に入れる可能性もあります。
がん保険に入れる可能性がある持病の一例
- 高血圧
- 糖尿病
(合併症があったり入院歴があると加入が難しい場合もある) - 高脂血症・脂質異常症
- うつ病等の精神疾患
(統合失調症や双極性障害は加入が難しい場合もある) など
その他、虚血性心疾患や脳血管疾患などの罹患歴があった場合でも、保険会社によってはがん保険の検討ができることもあります。
ただし、保険会社によって告知事項や診査基準は異なります。
もし、がん保険の診査に落ちてしまったら、すぐに諦めず他の保険会社で検討してみるのも良いでしょう。
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がん保険の申込みに必要な「告知」とは?
がん保険に申込む際は、健康状態に関する「告知」をする必要があります。
がん保険の告知について、具体的に見ていきましょう。
一般的ながん保険の告知項目
がん保険に申込む際は、上記のような告知事項に回答する必要があります。
基本的にはがんを引き起こす可能性がある病気についての質問が中心になっています。
告知に該当する持病がある場合は、治療経過や発症時期などを詳しく申告します。
告知に該当したからといってがん保険に入れないわけではありません。
健康状態を詳細に申告した結果、問題なく保険に入れるケースもあります。
また、一部の保険会社では告知事項を更に緩和した、引受基準緩和型がん保険も販売されています。
しかし、加入しやすい分保険料は割高に設定されています。
持病があっても、まずは通常のがん保険から検討していくのが良いでしょう。
告知はなぜ必要?
保険会社が告知事項を設けているのは、加入者間での公平性を保つためです。
保険は、加入者が少しずつ保険料を負担し、加入者の誰かが亡くなったり病気になったりしたときに集まったお金の中から給付金が支払われる仕組みになっています。
この仕組みを「相互扶助」とよびます。
がん保険の場合、すでにがんを発症するリスクが高い人が加入してしまうと、その他の健康な加入者との間で公平性が保たれなくなります。
また、がんのリスクが高い人ばかり加入すると給付金の支払いが多くなってしまい、保険会社が健全に運用できなくなる可能性もあります。
加入時には必ず健康状態の告知が必要になります。
Q.持病を隠してがん保険に入っても良い?
A.持病を隠してがん保険に入ると、いざというときに給付金が支払われないなどのトラブルに繋がります。絶対にやめましょう。
保険に加入するときには、健康状態等を正しくありのままに告知する義務が発生します。
この義務に違反して事実と異なることを告知すると、「告知義務違反」と判断され、自分自身が不利益を被る可能性があります。
保険会社は加入者から給付金請求があった場合などに、加入時の告知内容が正しかったかを調査することがあります。
調査は医療機関への聞き取りや、健康保険の利用歴を参照するなどして行われます。
その際に告知の内容が正しくなかったことが判明すると、給付金が支払われなかったり、契約解除となってしまうこともあります。
告知は必ず正しく行うようにしましょう。
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がん保険の加入審査に落ちるケース
では、がん保険の加入審査に落ちてしまった場合、どんな理由が考えられるのでしょうか。
ここからは、保険のプロががん保険の加入審査に落ちるケースを詳しくご紹介していきます。
過去にがんに罹患している
がんは再発や転移のリスクがある病気です。
そのため、過去にがんに罹患している場合はがん保険への加入は非常に難しくなります。
申込み時の告知事項にも、「過去にがんに罹患したことがありますか」という項目があり、該当すると加入を断られることが一般的です。
がんの罹患歴がある人は、一部の保険会社が販売している「引受基準緩和型がん保険」や「がんを経験した方向けがん保険」を検討するのが良いでしょう。
ただし、保険料は通常のがん保険と比較して割高に設定されています。
保障内容と保険料のバランスを考慮するようにしましょう。
がんを引き起こす可能性のある病気に罹患している
がんと関連性のある持病を抱えている場合も、がん保険への加入を断られる可能性があります。
保険会社によって診査基準は異なりますが、上記の病気で治療中の場合はがん保険への加入を断られてしまう可能性が高いでしょう。
健康診断や人間ドックで異常を指摘されている
健康診断や人間ドックで、次の項目の異常を指摘されている場合も診査結果に影響を与える可能性があります。
- レントゲン検査
- 内視鏡検査
- CT検査
- 超音波検査
- 便潜血検査
- マンモグラフィ、乳房超音波等の乳がん検診
- 子宮頸がん検診
- PET検査
- 肝炎ウイルス検査
- 腫瘍マーカー
医療保険や死亡保険のように健康診断のすべての項目について尋ねられるわけではありませんが、がんの発症と関連性のある検査の結果は重要視されます。
また、「要再検査」以上の指摘を受けていて、その後再検査を受けていない場合はより厳しい判断になります。
再検査を受けていない項目がある人は、まず再検査を受けるようにしましょう。
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持病がある人向け がん保険の選び方
持病を抱えている人は、どのようにがん保険を選ぶのが良いでしょうか。
ここからは、がん保険の賢い選び方についてプロが詳しく解説します。
一般的ながん保険の告知事項に該当がないかを確認する
まずは、がん保険の告知事項に該当がないかを確認しましょう。
保険会社によって告知事項は少しずつ異なるため、いくつかの保険会社で比較をしてみるのもおすすめです。
告知事項に該当がなければ、健康状態を理由に加入を断られることは基本的にありません。
また、告知事項に該当があったとしても、治療歴によっては問題なく加入できるケースもあります。
複数のがん保険を比較する

必要な保障額を決める
検討できそうながん保険があれば、次に必要な保障額を決めます。
がん保険は、基本的に次の保障がメインとなっています。
がん診断一時金は、近年1年ごとに複数回受け取れるものが増えています。
2回目以降の受取には条件が定められているため、加入前に確認しておくのがおすすめです。
抗がん剤治療給付金は、薬剤治療を受けた月ごとの保障です。
主に薬剤治療にかかる医療費をまかなうことを目的としています。
この2つの保障以外にも、がんの入院や手術に備える特約、女性特有のがんに手厚く備える特約を付加できるがん保険もあります。
ニーズに合わせて保障額や付加する特約を決めていきましょう。
Q.がん保険の診断一時金はいくらにすれば良い?
A.10万単位で選択できる保険会社が多いですが、一般的に50万円~100万円の間で設定する人が多くなっています。
がん診断一時金は、がんの治療費や、がんと診断されたことによる収入減少に備えるために用意することが一般的です。
1年ごとに診断一時金を受け取れる商品であれば、一時金の額は1年間分として考えましょう。
仮に診断一時金を100万円としておけば、「100万円÷12カ月=約8万3000円」で、1カ月あたり使える金額は約8万3000円となります。
受け取った診断一時金は、毎月の治療費として使うこともできますし、収入の補填として活用することも可能です。
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参考)高額療養費制度
高額療養費制度とは、1カ月の医療費負担が上限額を超えた場合に、差額があとから返還されるという制度です。
公的医療保険制度のひとつで、医療費の負担を軽減させるために設けられています。
1カ月の上限額は年齢や収入によって異なります。
例えば年収500万円の人の場合、1カ月の医療費が仮に100万円かかったとすると、高額療養費制度を利用した後の自己負担額は次のようになります。
8万100円+(100万円ー26万7000円)×1%=8万7430円
また現行の制度では、高額療養費制度の上限額に達した回数が3回以上になったら、「多数該当」としてさらに負担が軽減される仕組みになっています。
もし、同じく年収500万円の人が1年間がんで治療を受けた場合、想定される自己負担額は次のとおりです。
8万7430円×3カ月+4万4000円(多数該当の限度額)×9カ月=65万8290円
がん診断一時金の保障額を決める際には、上記の考え方を参考にしてみてください。
(参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省)
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参考)傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガで一定期間働けなくなった場合に受け取れる保障で、会社員や公務員が対象です。
給与の約2/3が保障され、受け取れる期間は通算1年6カ月と定められています。
がん治療の副作用等が原因で休業しなければならなくなった場合には、傷病手当金を受け取れる可能性があります。
自営業やフリーランスの人は受け取ることができない点には注意が必要です。
(参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会)
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加入が難しい場合、引受基準緩和型保険を検討する
もし、がん保険に申込んだ結果加入を断られてしまったら、まずは諦めずに他の保険会社で再度検討してみるのも方法のひとつです。
しかし、がんの罹患リスクが高い持病を抱えている場合は、通常のがん保険は検討できない可能性が高くなります。
その場合、引受基準緩和型医療保険に特約としてがん保障をつける方法もあります。
保険料は通常タイプと比べて割高になりますが、告知事項ががん保険よりも緩やかになっているケースもあるため、一度検討してみても良いでしょう。
保険会社によっては「引受基準緩和型がん保険」や「がんを経験した方向けがん保険」を販売していることもあります。
引受基準緩和型医療保険の保険料を比較

持病があっても入りやすい生命保険
持病を抱えている人でも比較的検討しやすい保険にはどんなものがあるか、詳しく見ていきましょう。
一般的ながん保険
一般的ながん保険は、医療保険や死亡保険と比較して告知項目が緩やかに設定されていることが多くなっています。
そのため、通常の医療保険の診査に落ちてしまった人でも、がん保険は加入できたケースもあります。
持病を抱えているからといってすぐにがん保険の加入を諦めず、まずは通常タイプのがん保険で検討してみるのが良いでしょう。
引受基準緩和型医療保険
持病があっても入りやすい保険のひとつに、引受基準緩和型医療保険があります。
引受基準緩和型医療保険は、通常の医療保険と比較して告知が緩やかで、がんに限らず病気やケガによる入院・手術が保障されます。
引受基準緩和型医療保険はがん特約を付加できるものも多く、がん保険に加入できなかった人でも検討できる可能性があります。
医療保険にすでに加入している人や、医療保障は不要と考えている人には合わない可能性があります。
引受基準緩和型三大疾病保険
がんだけでなく、心疾患や脳血管疾患にも備えておきたい人には、引受基準緩和型三大疾病保険がおすすめです。
一部の保険会社で販売されており、通常のがん保険や三大疾病保険に加入できなかった人でも検討できる可能性があります。
引受基準緩和型がん保険(がん経験者向けがん保険)
販売している保険会社は少ないですが、引受基準緩和型がん保険や、がん経験者向けがん保険を検討するのも方法のひとつです。
ただし、通常の保険と比べて保険料は割高に設定されています。
まずは通常の保険を検討し、どうしても加入が難しいとなった場合に検討するのが良いでしょう。
ケース別 持病がある人向けのおすすめ保険
持病がある人が備えておきたいリスクやおすすめの保険について、プロがケース別にご紹介します。
独身の場合
独身の場合、まずは自分自身の医療保障やがん保障を優先するのがおすすめです。
持病を抱えていると、入院や手術のリスクは高くなります。
自分自身が経済的に困らないよう、民間の保険で備えておくと安心です。
特に医療保険は引受基準緩和型の商品も多く販売されているため、自分が加入できるものを見つけやすいでしょう。
男性の場合、30代以降は生活習慣病に注意が必要です。
一人暮らしで食生活が乱れがちになる人も多いかもしれません。リスクを感じる人は三大疾病や生活習慣病に備える保険も併せて検討しましょう。
女性の場合、30代以降から徐々に女性特有のがんの罹患リスクが高まります。
健康なうちから、がん保険を検討しておくのがおすすめです。
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パートナーや配偶者がいる場合
既婚者の場合は、お互いの医療保障やがん保障を基本にしたうえで、必要に応じて死亡保障を準備しておくのも良いでしょう。
死亡保障の必要額は、専業主婦(夫)か共働きかによっても異なりますが、最低限葬儀費用をまかなえる程度の死亡保障を準備しておくのがおすすめです。
また、男女ともに30代以降はがんや生活習慣病のリスクが高まります。
特に女性は、30代以降に女性特有のがんの罹患リスクが高まるため、がん保険で備えを用意しておくことをおすすめします。
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子どもがいる場合
まだ成人していない子どもがいる場合は、まず死亡保障を優先するのが良いでしょう。
自分やパートナーに万が一のことがあったとき、のこされた家族に経済的な負担がかからないよう考えておく必要があります。
加えて、医療保険やがん保険でいざというときの治療費負担に備えておくことも大切です。
特にがん治療は長引く傾向にあります。
治療費の負担が原因で子どもの進路に影響を与えてしまうリスクもあります。
がん保障治療費をしっかりまかなえるよう、がん保険の検討もしておきましょう。
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持病がある人のがん保険選びでよくある質問
ここからは、持病がある人のがん保険選びでよくある質問にプロが回答していきます。
ぜひ保険選びの参考にしてください。
Q.がんと診断されたことがありますが、すでに寛解しました。がん保険に入れますか?
A.通常のがん保険に入るのは難しいため、がん経験者向けのがん保険を検討しましょう。
がんは再発転移の可能性があるため、保険会社は過去にがんと診断されたことがある人の加入をリスクが高いと判断し、断ることが一般的です。
治療を終了してから年数が経っていても、加入を断られる可能性が高くなります。
がんの罹患歴がある人は、がん経験者向けのがん保険を検討するのがおすすめです。
Q.がん保険に加入したらすぐに保障されますか?
A.がん保険には90日間の免責期間が設けられていることが一般的です。すぐに保障は開始されないので注意しましょう。
免責期間とは、その期間にがんと診断されても保障対象とならない期間のことです。
加入から90日間を免責期間と定めている保険会社が一般的です。
万が一免責期間中にがんと診断されると、がん保険自体が無効になるか、契約は継続となっても今回のがんは保障対象外となるかのいずれかです。
がん検診を控えて慌てて保険に加入するのではなく、余裕を持って検討しておくことをおすすめします。
Q.がん検診を受けましたがまだ結果が出ていません。結果が出る前にがん保険に入れますか?
A.検診の結果待ちの状態では加入できません。結果が出てから検討しましょう。
すでにがん検診等を受けており、まだ結果が出ていない状況では、保険を検討することができません。
必ず検診の結果が出てから申込みするようにしましょう。
Q,がん保険の加入審査中にがんと診断されました。どうすれば良いですか?
A.まずは保険会社に連絡しましょう。
がん保険には90日間の免責期間が設けられているのが一般的です。
そのため、加入審査中にがんと診断された場合は申込み自体が無効となる可能性があります。
保険会社に連絡しないままでいると告知義務違反と判断されることもあるので、必ず申告するようにしましょう。
まとめ
今回は、持病があってもがん保険に加入できるケースや、保険選びのポイントについて解説してきました。
持病の種類や治療経過によっては、問題なくがん保険に加入できる可能性があります。
また、保険会社によって診査基準は異なるため、一度加入を断られたからといってすぐに諦める必要はありません。
通常のがん保険への加入が難しい場合は、引受基準緩和型保険を検討する選択肢もあります。
まずは、自分の健康状態でも加入できる保険があるかどうか、複数の商品を見比べながら検討してみるのが良いでしょう。
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