住宅ローンを組む際、がん保障付きの団信に加入しておくべきか、悩む人も多いのではないでしょうか。
がんと診断された時点で住宅ローンの返済が免除される点は魅力ですが、一方で金利が上がる点は気になるところです。
今回は、がん団信に加入して後悔した例、加入せずに後悔した例を見ていきながら、がん団信の必要性について考えます。
また、民間のがん保険との違いについても解説します。
この記事を読んでわかること
がん団信で保障されないがんや、免責期間に注意
がん団信に加入すると住宅ローン金利が上乗せされることが一般的。毎月の支払額を確認しましょう
がん団信だけでは治療にかかる費用をまかなえない可能性も。必要に応じてがん保険を検討しましょう
目次
4.まとめ
なぜがん団信に後悔する人がいるのか?4つの典型的な失敗事例
住宅購入は非常に大きなイベントのため、できるだけ後悔したくないと思う人がほとんどでしょう。
まずは、がん団信に加入していて後悔したケースと、がん団信に加入していなくて後悔したケースの両方を見ていきましょう。
失敗例①がんになっても団信が使えず、ローン返済に困窮したケース
がん団信は一般的に、がんと診断された時点でローン残高がゼロになる保険です。
そのため、そもそもがんの治療費をまかなう目的ではない点に注意が必要です。
もちろん住宅ローンの返済が不要になることで、毎月の家計に余裕が生じ、その分治療費に充てることも可能でしょう。
しかしがん治療は何年にもおよぶことも珍しくなく、治療費の負担は想像以上に大きくなる可能性もあります。
また、がんになっても団信が使えないケースでは、次のような理由が考えられます。
- 免責期間中にがんと診断された
- がん保障50%型に加入していた
- 上皮内がんと診断された
上記のようなケースでは、がんと診断されてもそもそもローン返済が免除されないため、こんなはずではなかったと後悔する人もいるでしょう。
がん団信の保障の範囲と免責期間
がん団信の保障範囲は、金融機関や保険会社によって大きく異なります。
がん診断時にローン残高がすべてゼロになるタイプと、50%型のようにローン残高の半分だけが免除されるタイプなど、さまざまな種類があります。
加入しているがん団信の保障内容を理解していないと、いざというときに後悔する可能性があるため注意しましょう。
また、がん団信には免責期間が設けられていることが一般的です。
加入後、責任開始日から90日間が免責期間となっていることが多く、その間にがんと診断されても団信の保障対象とはなりません。
免責期間は保険会社によっても異なる可能性があるため、団信加入時に確認しましょう。
関連記事
上皮内がんはがん団信の保障範囲外である場合が多い
がん団信では、上皮内がん(早期発見のがん)など一部のがんが保障の対象外とされていることがあります。
そのため、保障内容をしっかり理解していないと「保障対象だと思ったのにがん団信が使えなかった」と後悔することにつながるでしょう。
上皮内がんは早期発見のがんで予後が良好とはいえ、「がん」の一種であることには変わりなく、団信の保障対象になると期待する人もいるかもしれません。
また、一度上皮内がんになると、その後民間のがん保険に加入することも難しくなるため、金銭的な不安を抱える可能性もあります。
団信に加入する際は、保障対象外のがんはあるか、どんな条件で保障されるのかを確認することが大切です。
参考)告知義務違反とは
がん団信に加入する際は、既往歴や現在の健康状態について正確に告知することが義務付けられています。
しかし、加入時の告知内容に誤りがあったり、故意に事実を隠して加入したと認められた場合、告知義務違反とされ、いざというときに保障が適用されなくなる可能性があります。
後々トラブルにならないよう、団信の加入手続きをする際は健康状態について申告漏れがないように注意しましょう。
関連記事
失敗例②がん団信だけではがんの治療費をまかなえなかったケース
がん団信はがんと診断された時点でその後の住宅ローンの返済が免除されるものです。
一部のがん団信では、診断一時金や先進医療給付が受けられるものもありますが、多くはローン残高に対する保障のみです。
そのため、がん団信だけではがんの治療にかかる費用がまかなえず、経済的な負担が大きくなるケースもあります。
ローン支払いが免除になる分、毎月の家計にはゆとりができるでしょう。
しかし、何年も治療が続いた場合の医療費や、先進医療などの公的医療保険が適用されない治療にかかる費用は、自費でまかなうことが難しいかもしれません。
がん団信だけでなく、最低限のがん保険に加入しておくことで、いざというときに後悔せず治療に向き合うことができます。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年12月1日―2025年12月31日)
参考)がん治療にかかる費用
がん治療には、手術や放射線、抗がん剤治療などが用いられます。
費用は非常に高額で、医療費として100万円以上かかることも珍しくありません。
しかし、実際の支払額は公的医療保険で現役世代であれば3割、さらに高額療養費制度を使うことで自己負担額を抑えることができます。
高額療養費制度では1カ月の医療費負担の上限が収入や年齢ごとに定められており、例えば年収500万円の現役世代であれば、1カ月あたり約9万円前後の自己負担となります。
また1年間で3回以上高額療養費制度を利用した場合は、多数回該当として翌月からの自己負担をさらに抑えられる仕組みもあります。
しかし、公的な制度をすべて活用したとしても、毎月治療を受ければ年間で約70万円の医療費支払いが発生する計算になります。
また、入院時の差額ベッド代やウィッグ購入費用など、公的保険を適用できない費用にも注意が必要です。
がん団信でローンは免除されたとしても、その後も続く医療負担をどう捻出するかは考えておく必要があるでしょう。
関連記事
参考)先進医療にかかる費用
先進医療とは厚生労働省が定めた特定の治療法で、公的医療保険が適用されないため治療にかかる技術料は全額自己負担となります。
「重粒子線治療」や「陽子線治療」ががん治療に用いられる先進医療として知られており、いずれも1クールの治療で300万円前後の費用がかかります。
一部のがん団信では先進医療給付が受けられるものもありますが、ほとんどの場合で団信はローン残高のみが保障対象とされています。
また、先進医療給付が受けられるがん団信に加入していたとしても、ローンを返済すれば保障自体がなくなってしまいます。
がんの高額な治療に備えておきたい人は、先進医療特約を付加したがん保険や医療保険を検討しましょう。
失敗例③別の保険でカバーできるのに、二重加入してしまったケース
すでに民間のがん保険で大きな保障に加入している場合、がん団信の加入がもったいないと感じるケースもあるでしょう。
加入している保険の保障内容を確認せずにがん団信に加入すると、保障が重複して保険料の無駄が発生してしまうかもしれません。
がん団信の保障範囲とがん保険の保障範囲の重複を比較
がん団信がローン残高を保障対象としている一方で、がん保険は治療費や生活費を支えるためのものです。
目的が異なるため、どちらか片方だけで良いと一概にはいえませんが、民間のがん保険で手厚い保障を確保している場合、敢えてローン金利を高くしてまでがん団信に加入しなくても良い可能性があります。
がん保険の場合、終身型を選べばローン返済後も一生涯がん保障を確保できるのもメリットです。
とはいえ、がんに罹患したときに「ローンがゼロになる」のは経済的な効果も大きく、精神的な面でも安心を得ることができます。
それぞれの保障範囲や保障内容の違いを確認したうえで、自分に合ったものを選ぶよう心がけましょう。
関連記事
失敗例③金利の上乗せ額を見て無駄だったと感じたケース
団信にがん特約を付加すると、住宅ローンの金利が上乗せされるのが一般的です。
「保障は幅広い方が良い」と思って加入したけれど、毎年の返済額が増えて後悔している人も中にはいるかもしれません。
ローン返済期間中にがんにならなければ無駄だったと感じるかもしれませんが、がんになるかどうかは今の時点では誰にもわかりません。
「安心料」と考えて必要な保障は準備しておく方が良いでしょう。
死亡保障だけの団信と比べて、毎年どれくらいの負担が増えることになるのか、加入前に確認したうえで判断することが大切です。
民間のがん保険とも比較し、自分はどの程度がん保障を用意しておく必要があるかを考えておくことで、あとから後悔する事態を避けられます。
年間数万円の上乗せ額は、本当に無駄?
がん団信を選んだ場合、住宅ローンに0.1%から0.3%程度の金利が上乗せされることが一般的です。
借入金額によっても負担額は異なりますが、年間数万円から十数万円の追加負担が発生することになります。
この金額が後に「無駄だった」と感じる原因となるケースもあるでしょう。
ただし、本当に無駄だったのかは、実際にがんになった際の経済的安心感や保障内容による効果を総合的に考慮する必要があります。
フラット35の利用者を対象にした調査によると、2024年度の建売住宅の融資金額は平均3260万円となっています。
極端な例ですが、住宅購入後早い段階でがんと診断された場合、3000万円近い金額が団信で保障されることになります。
住宅ローンへの備えと考えると、民間のがん保険で備えるよりも効率的な可能性があります。
そもそも民間の保険で数千万円の一時金を用意できるがん保険はほとんど販売されておらず、仮に大きな保障額で契約できたとしても保険料は非常に高額になります。
もちろん、ローン返済後も保障が続くなどのメリットはありますが、基本的には団信とがん保険は目的別に使い分けると良いでしょう。
(参考:2024年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構)
保険料 見積シミュレーション
人気の商品をカンタン比較

がん団信は必要?いらない?判断の鍵となる4つのポイント
自分にとってがん団信が必要かどうか、判断に困っている人もいるのではないでしょうか。
ここからは、保険のプロが「がん団信の必要性を判断するポイント」を4つご紹介します。
ポイント①世帯構成や家計状況から必要性を判断する
がん団信に加入するかどうかを判断する際には、まず世帯構成や家計状況を考慮することが重要です。
もしがんになったら家計がどうなるか、住宅ローンの返済や治療費負担、日々の生活費、子どもの教育資金を準備できるかを考えてみましょう。
例えば、小さい子どもがいる家庭では、世帯主ががんを患い住宅ローンの返済が困難になった場合、家計全体に大きな影響を与える可能性があります。
ローン金利の上乗せ分を加味してもがん団信に加入しておく必要があるのか、それとも貯蓄やすでに加入している保険で対応できそうか、シミュレーションしてみると良いでしょう。
例)未就学児がいる家庭の場合
未就学児がいる家庭の場合、世帯主の収入に家計が大きく依存している可能性が高く、がんや重病で働けなくなった場合のリスクが非常に大きくなります。
夫が会社員、妻が専業主婦、未就学児1名の3人家族を例にシミュレーションしてみましょう。
<年収700万円の世帯主ががんになった場合>
【1年間の治療にかかる費用】
高額療養費制度を利用した場合の1カ月の医療費負担:約9万円
4カ月目からの多数回該当:4万4000円
9万円×3カ月+4万4000円×9カ月=66万6000円
【がんで働けなくなった場合の収入減】
傷病手当金で受け取れる金額 年収の約3分の2:約467万円
700万円-467万円=約233万円
【治療費+収入減少】
66万6000円+233万円=約300万円
上記以外にも、入院時の差額ベッド代や病院への交通費などの雑費が発生する可能性があります。
仮に、がん団信に加入していてローン返済が免除されれば、収入が減少しても生活は成り立つかもしれません。
最低限の治療費をがん保険で別途カバーできていれば、医療機関での支払いに困ることもないでしょう。
もしもの時に家族の生活を守れるよう、住宅購入をきっかけに必要な保障について考えておきましょう。
ポイント②がん団信とがん保険の違いを理解する
「がん団信」と「がん保険」は似ているようで目的が異なる保険です。
両者の違いやそれぞれの特徴を把握し、重複や不足を防ぐことで、最適な選択ができます。
団信はローン残高をゼロにする
がん団信は、がんと診断された場合に住宅ローンの残債をゼロにする保険です。
50%保障のがん団信の場合は、ローン残債が半分になります。
ほとんどの団信で上皮内がん(早期発見のがん)は保障対象外となるため、注意しましょう。
がん団信に加入しておけば、診断時に住宅ローンの返済が免除され、家計の大部分を占める固定費を削減することができます。
ただし、治療費や生活費の補填はできないため、別途がん保険の検討が必要なケースもあります。
また、がん団信はあくまでもローン返済期間中の保障です。
老後のリスクに備えておきたい人も、別途がん保険を検討する必要があるでしょう。
がん保険は治療費や生活費をまかなう
がん保険は、がんの治療費や生活費を補うための保険です。
診断時に一時金が支給されたり、入院や通院の医療費がカバーされたりすることで、経済的な不安なく治療に向き合うことができます。
一方、基本的に民間のがん保険では、住宅ローンを完済できるような大きな金額は受け取ることができません。
がん団信とがん保険は役割が異なるため、どちらが必要か、どちらも加入しておくべきなのか、十分に検討することが大切です。
ポイント③金利の上乗せ額と保障内容のバランスを考える
がん団信に加入する際は、金利の上乗せ額によるコストと保障内容が見合っているかを確認しておくことで、あとから後悔する事態を避けられます。
がん団信でローン残債分の大きな保障を持てることは、大きなメリットといえます。
支払う保険料と保障額を見たうえで、納得できるかどうかが決め手になるでしょう。
毎月のローン返済額をシミュレーションし、家計に影響がないかも考えましょう。
計算例)がん団信の金利上乗せ額
がん団信に加入した場合、どの程度返済額に違いが出るのでしょうか。
借入金額3000万円、返済期間35年、適用金利が年利0.5%とした場合を例に見てみましょう。
<がん団信上乗せ金利0.1%の場合>
月々の返済額:7万7875円
がん団信に加入した場合の月々の返済額:7万9208円
1カ月あたりのがん団信にかかる費用:1333円
<がん団信上乗せ金利0.2%の場合>
月々の返済額:7万7875円
がん団信に加入した場合の月々の返済額:8万556円
1カ月あたりのがん団信にかかる費用:2681円
毎月の費用を確認したうえで、がん団信に加入しておいた方が安心できるか、保障内容が見合っているかを判断ポイントとしましょう。
ポイント④自分の健康状態を正確に告知する
団信に加入する際は、健康状態に関する告知が必要です。
故意に病歴を告知しなかったり、告知内容が事実と大きく異なる場合、「告知義務違反」とみなされてもしものことがあっても保障を受けられない可能性があります。
加入時には、自分の健康状態を偽らず正しく告知しましょう。
がん団信は、がん検診で異常を指摘されていたり、すでにがんの罹患歴があると、加入できなくなることが一般的です。
また、住宅ローン契約後に、健康状態が不安になったからがん団信を追加することもできません。
「家族にがん罹患者がいて心配」「がんになるのではないかと不安」と感じている人は、がん団信の加入を検討しましょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年12月1日―2025年12月31日)
住宅ローン契約前にチェック!後悔しないための3つの行動
住宅購入は人生で最も大きな買い物です。
ローン契約後に後悔しないよう、契約前にやっておくべき行動3つをご紹介します。
複数の金融機関の団信を比較検討する
住宅ローンを契約する際は、複数の金融機関でがん団信の保障内容や金利の上乗せ額を比較しましょう。
がん団信は金融機関によって保障範囲が異なり、「重度がんのみ対象」「がん診断で100%保障」など内容が細かく分かれています。
非常に大きな金額を借入することになるため、必ず複数の金融機関で比較検討し、自分の条件に最も適したものから検討を進めていきましょう。
団信と生命保険の専門家(FP)に相談する
がん団信は、一度加入するとその後見直すことは基本的にできません。
加入している生命保険の内容も合わせて、自分にとってどんな保障が必要かを考える必要があります。
自分一人で考えることが難しい人は、住宅ローンや生命保険に詳しいFPに相談することもおすすめです。無料相談を実施している場合もあるため、ローン契約時には上手に活用しましょう。
団信の保障内容と免責事項を契約前に必ず確認する
がん団信の加入で後悔しないためには、契約前に保障内容や免責事項をしっかり確認することが必要です。
特に、上皮内がんが保障範囲外であるケースや、一定の免責期間が設定されている場合がある点には注意しましょう。
保障の条件を把握していないと、いざというときに「保障されると思っていたのに対象外だった」といった失敗につながる可能性があります。
契約時には重要事項説明を聞き、約款等で保障内容についても確認しておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、がん団信で後悔するケースと、団信を選ぶ際の注意点について詳しく見てきました。
がん団信は、がんと診断されたときにローン返済が免除になる心強い保障ですが、保障対象外となるケースや免責期間が設けられているといった注意点もあります。
また、がん団信を付加することで住宅ローンの金利が上乗せされるため、実際に毎月どれくらいの返済額になるのかを確認しておくことが大切です。
住宅購入は人生の一大イベントです。
あとから後悔することがないよう、加入中の生命保険の保障内容も確認しながら、自分に合った団信のプランを選びましょう。
保険料 見積シミュレーション
人気の商品をカンタン比較




















