「糖尿病でもがん保険に入れる?」と疑問に思っている人もいるでしょう。
がん保険は、糖尿病の人でも比較的加入しやすい保険です。
治療状況によっては、問題なく加入できるケースも多いでしょう。
本記事では、がん保険の診査基準や糖尿病の人におすすめの保険について、プロが解説していきます。
この記事を読んでわかること
糖尿病でも問題なくがん保険に入れる可能性が高い
糖尿病の合併症を発症している場合など、加入を断られるケースもある
糖尿病に罹患しているとがんのリスクが高くなる可能性がある
目次
糖尿病でもがん保険に入れる可能性がある
結論、糖尿病でもがん保険に入れる可能性は高いです。
がん保険の加入時には健康状態に関する告知が必要ですが、がんの発症に関係のある症状や病気について尋ねられることがほとんどです。
近年、糖尿病ががんリスクを高めるという報告もされていますが、糖尿病だからといってすぐにがんを発症するわけではありません。
そのため、がん保険の診査では糖尿病で治療をしていても問題ないと判断されることもあります。
糖尿病でがん保険に入れないケース
治療歴等によっては、糖尿病でがん保険に入れないケースもあります。
詳しく見ていきましょう。
Ⅰ型糖尿病の場合
Ⅰ型糖尿病の場合、がん保険への加入を断られる可能性があります。
Ⅰ型糖尿病は未成年など若い人でも発症することがあり、若い段階で糖尿病の治療をしていると、がん保険への加入が難しくなることがあります。
ただし、Ⅰ型糖尿病だからといってすべての保険会社で加入できないわけではありません。
そのため、もしⅠ型糖尿病でがん保険の診査に落ちてしまったら、別の保険会社で再度検討してみるのがおすすめです。
参考)Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病
Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病は、発症の原因などが異なります。
Ⅰ型糖尿病は比較的若い人に多く、急激な高血糖により症状が現れることが特徴です。
一方、Ⅱ型糖尿病は中高年に多く、生活習慣等が原因となっているケースが多く見られます。
血糖値をコントロールするため、食事の改善や適度な運動を行うことが大切です。
症状によっては、飲み薬やインスリン注射を行うこともあります。
糖尿病の合併症を発症している場合
糖尿病の合併症を発症している場合は、合併症の内容によって診査の基準が異なります。
そのため、合併症によってはがん保険への加入を断られることもあります。
特に、糖尿病性網膜症や脳梗塞、虚血性心疾患を発症していると、がん保険に加入できない場合があります。
保険会社によって診査基準は異なるため、一度診査に落ちてしまってもすぐに諦めず、別の保険会社で再度検討してみるのも良いでしょう。
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30歳未満の場合
30歳未満など比較的若い人で糖尿病を発症している場合、がん保険への加入ができないこともあります。
ただし、保険会社によって診査基準は異なっており、年齢による制限を設けていない保険会社もあります。
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がん保険の申込みに必要な「告知」とは?
がん保険に申込む際は、現在の健康状態や既往歴について告知する必要があります。
ここからは、がん保険の告知事項について詳しく見ていきましょう。
一般的ながん保険の告知項目
保険会社によって多少異なりますが、一般的ながん保険の告知項目は次の通りです。
がん保険の告知項目は、がんの発症に関連する症状や疾病についての質問が中心となっています。
しかし、保険会社によっては上記の告知に加え、糖尿病の治療歴についても申告が必要になることもあります。
がん保険に申込む際は、必ず告知項目にしっかり目を通し、該当することがないか確認するようにしましょう。
告知はなぜ必要?
がん保険やその他の生命保険に申込む際は、健康状態等の告知をしなければなりません。
告知は、保険加入者間の平等性を保つために必要なものです。
例えばがん保険の場合、がんの罹患リスクが高い人ががん保険に加入し、すぐに給付金を受け取ることがあれば、他の加入者と平等とはいえません。
またリスクが高い人ばかりが保険に加入してしまうと、保険会社の経営に影響を与える可能性もあります。
そのため、保険会社の加入審査によりリスクが高いと判断された人は、加入を断られるケースもあるのです。
Q.持病を隠してがん保険に入っても良い?
A.事実と異なることを告知した場合、「告知義務違反」とみなされ大きなトラブルにつながることもあります。絶対にやめましょう。
告知事項に該当しない持病に関しては申告する必要はありませんが、告知事項に該当することに関してはすべてありのままを申告する必要があります。
もし、がん保険の告知事項に持病の治療が当てはまるのであれば、必ず告知しましょう。
保険会社は、医療機関へのヒアリングや健康保険の利用歴を参照するなどして、告知内容が正しかったかどうかを調査することがあります。
その際に告知内容に偽りがあったとわかった場合、給付金が支払われなかったり、保険契約が解除されてしまうこともあります。
トラブルにつながるのを防ぐためにも、告知は必ず正しく行いましょう。
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糖尿病とは
糖尿病とは、インスリンが十分に働かず、血糖値が増加する病気です。
糖尿病が進行すると様々な合併症を発症する恐れもあります。
ここからは、糖尿病患者が抱えているリスクについて見ていきましょう。
罹患者数
令和5年の調査によると、糖尿病で治療をしている推計患者数は約218万人です。
内訳は男性が約122万人、女性が約97万人となっています。
2023年の調査では、男性で16.8%、女性で8.9%の人が糖尿病が強く疑われるとされており、治療をしている人以外にも糖尿病予備軍が多くいることがわかります。
糖尿病の治療
Ⅱ型糖尿病の治療は、まず食事改善や運動による血糖値マネジメントが大切になります。
加えて、血糖値によっては飲み薬での治療やインスリン注射を行います。
血糖値を下げるには、まず食事から摂取する糖やエネルギーを減らす必要があります。
また、運動によって糖が消費されたり、筋肉量が増えることで糖代謝が高くなるため、適度な運動も大切になります。
血糖値が高いと診断されたら、まずは正常化を目指して食事療法や運動をしていくことになります。
合併症を予防するためには、HbA1cの数値を7.0未満に改善することが良いとされています。
また、投薬治療の副作用などの理由から治療を強化していくのが難しい場合には、HbA1cの目標を8.0未満とすることもあります。
参考)糖尿病の治療にかかる費用
糖尿病の治療にかかる費用は、進行度や合併症の有無などによって一人一人異なります。
2023年の調査によると、糖尿病の治療1日あたりの平均費用は次のようになっています。
仮に糖尿病で1週間入院した場合、医療費の総額は26万6140円となり、3割負担で約8万円前後になります。
高額療養費の自己負担上限額がそれを下回る場合は、差額が返還されるため多少自己負担額は軽減できます。
通院治療の場合の自己負担額は、投薬やインスリン治療があるとさらに高くなる傾向にあります。
また、病状が進行して合併症を発症するとその分医療費負担も高くなります。
通院治療であれば自己負担は1日あたり数千円~1万円前後でおさまることもありますが、糖尿病治療を続けていくと一生涯にかかる医療費は想像以上に高額になるリスクがあります。
糖尿病とがんの関連性
糖尿病が進行すると、虚血性心疾患や脳梗塞、糖尿病網膜症や腎疾患を併発することが知られています。
さらに近年の研究では、主にⅡ型糖尿病がある人は、がんのリスクが20%ほど高くなることが報告されています。
日本人の場合、男性では胃がん、大腸がん、肝臓がん、すい臓がん、腎臓がんのリスク上昇、女性では胃がん、肝臓がん、卵巣がんのリスク上昇に糖尿病が関連しているとみられています。
なぜ糖尿病だとがんのリスクが高まるかは現在はっきりとわかっていませんが、インスリン濃度や血糖値の高さが発がんに関係する可能性があるといわれています。
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糖尿病でがん保険を選ぶときのポイント
糖尿病に罹患している人ががん保険を選ぶときには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
ここからは、糖尿病でがん保険を選ぶときのポイントを、保険のプロがわかりやすく解説します。
一般的ながん保険の告知事項に該当ないかを確認する
まずは、検討しているがん保険の告知事項に糖尿病での治療歴が該当しないかを確認しましょう。
告知事項に該当するからといって、がん保険に加入できないわけではありません。
ただし、告知に該当する場合は、糖尿病の診断時期や治療歴、現在の数値などについて詳細を告知する必要があります。
スムーズな手続きのため、事前におくすり手帳や健康診断結果を手元に用意しておくと良いでしょう。
必要な保障額を決める
がん保険を選ぶときには、保障額についても決めておく必要があります。
主にがん保険のメインとなる保障は次の通りです。
がん診断一時金は、保険商品によって「1回切りの支払」と定めている場合と、「条件に該当すれば1年ごとに何度でも支払」と定めている場合があります。
がんの再発や転移に備えておきたい場合は、診断一時金も複数回受け取れるものにしておくと安心でしょう。
抗がん剤治療給付金は、がんによる薬剤治療を受けた月ごとに受け取れるものです。
保険商品によっては、がんによるホルモン剤治療や、自由診療なども対象になるものもあります。
保険選びの際は、必ず保障範囲についても確認しておくようにしましょう。
メインの診断一時金と抗がん剤治療給付金以外にも、がんによる入院や手術に備える特約などを付加することも可能です。
Q.がん保険の診断一時金はいくらにすれば良い?
A.基本的に、1年分の治療費や収入減に備えることを前提に金額を決めるのがおすすめです。
近年販売されているがん保険では、診断一時金を1年に1度受け取れるものが増えています。
そのため、診断一時金も1年分の治療費や収入減に備えることを前提として決めるのが良いでしょう。
一般的には、50~100万円前後で設定する人が多くなっています。
例えば、診断一時金を100万円に設定すると、1カ月あたり使える金額は約8万3000円になります。
高額療養費を利用した場合の自己負担額や収入減を見越して、1カ月あたりどれくらいがん保険でカバーできていれば安心かを考えてみましょう。
参考)高額療養費制度
高額療養費制度とは、1カ月の医療費負担が上限額を超えた場合に差額が返還される制度です。
入院や手術を受けると医療費負担が高額になり、3割負担でも大きな金額になる可能性があります。
そんなときのために、自己負担額を軽減する目的で設けられている制度です。
1カ月の上限額は年齢や収入によって異なっており、次の通りです。
年収500万円の人の場合、1カ月の医療費が仮に100万円かかったとすると、高額療養費制度を利用した後の自己負担額は次のようになります。
8万100円+(100万円ー26万7000円)×1%=8万7430円
また、高額療養費制度の上限額に達した回数が3回以上になったら、「多数該当」としてさらに負担が軽減される仕組みがあります。
同じく年収500万円の人が1年間がんで治療を受けた場合、想定される自己負担額は次のとおりです。
8万7430円×3カ月+4万4000円(多数該当の限度額)×9カ月=65万8290円
がん診断一時金の保障額を決めるときには、高額療養費制度をふまえた上で検討していくのがおすすめです。
(参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省)
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参考)傷病手当金
がん治療の副作用等が原因で、仕事を休まなければならなくなる人もいます。
病気などが原因で一定期間働けなくなった場合、会社員や公務員であれば傷病手当金を受け取ることができます。
給与の約2/3が保障され、受け取れる期間は通算1年6カ月です。
ただし、自営業やフリーランスの人は受け取ることができない点には注意が必要です。
(参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会)
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加入が難しい場合、引受基準緩和型保険を検討する
診査の結果がん保険に加入できなかった場合、持病がある方向けの保険(引受基準緩和型保険)を検討するのもひとつの方法です。
がん保険の引受基準緩和タイプは限られた保険会社しか取り扱っていないため、引受基準緩和型医療保険にがん特約を付加したり、引受基準緩和三大疾病保険を検討するのも良いでしょう。
ただし、通常の保険と比べて保険料は割高に設定されているため、加入時には保険料と保障のバランスに注意してください。
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がん以外にも?糖尿病の人が備えるべきリスク
がん以外にも糖尿病の人が備えておきたいリスクがいくつかあります。
ここからは、糖尿病患者が抱えているリスクと、それをカバーするためのおすすめの保険をご紹介していきます。
病気やケガのリスク
糖尿病に罹患していると、健康な人と比べて入院や手術が必要になるリスクは高まります。
糖尿病による入院の平均在院日数は31.8日となっており、年齢が高いほど長引く傾向にあります。
また、糖尿病には合併症のリスクもあります。
糖尿病患者の三大合併症といわれる「糖尿病性神経障害」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」には注意しておく必要があるでしょう。
入院や手術による医療費負担に備えるには、医療保険がおすすめです。
糖尿病でも、食事や運動療法のみの場合や投薬治療のみでインスリン治療をしていない場合は、比較的通常タイプの医療保険にも入りやすくなっています。
過去に糖尿病による入院歴があったり、インスリン治療をしている場合は、持病がある方向けの医療保険(引受基準緩和型医療保険)を検討するのがおすすめです。
持病がある方向けの医療保険を比較する

参考)引受基準緩和型医療保険とは
引受基準緩和型医療保険とは、通常の医療保険よりも加入時の告知事項が緩和されており、持病がある人でも加入しやすい保険のことです。
一般的な緩和型医療保険の告知事項は次の通りです。
保険会社によっても告知事項は異なるため、検討する際は複数社で比較してみるのが良いでしょう。
引受基準緩和型医療保険であれば、糖尿病が原因で通常の医療保険に入れなかった人でも、直近での入院が無ければ検討できる可能性があります。
引受基準緩和型医療保険にはメリットとデメリットがそれぞれあります。
糖尿病の悪化や合併症による入院・手術にも備えることができる一方、加入しやすい分保険料は割高に設定されています。
通常の医療保険に加入できなかった人は、メリットとデメリットを理解したうえで検討を進めてみましょう。
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がんを含む三大疾病や生活習慣病のリスク
糖尿病に罹患していると、がんや心疾患、脳血管疾患などのいわゆる「三大疾病」のリスクが高くなるとされています。
近年の研究では、糖尿病患者は心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが健康な人と比べて2~4倍高いと報告されています。
また日本WHO協会は、2021年の心血管疾患による死亡者の約11%が高血糖によるものだったと発表しています。
生活習慣の改善や治療に取り組み、合併症を起こさないよう心がけることも大切ですが、併せて三大疾病保険などまとまった一時金を受け取れる保険で備えておくのもおすすめです。
糖尿病の治療歴によっては、通常の三大疾病保険への加入ができないケースもあるため、その場合は引受基準緩和型三大疾病保険を検討してみましょう。
(参考:ヘモグロビンA1c(HbA1c)と心血管疾患リスクとの関連について|国立研究開発法人 国立がん研究センター)
(参考:糖尿病|公益社団法人 日本WHO協会)
万が一のリスク
万が一の時、家族に金銭的な負担がかかる場合は、死亡保障を検討しておきましょう。
死亡保険には代表的な次の2種類があります。
それぞれに特徴があり、目的に応じて選ぶ保険種類は異なります。
数百万円程度の葬儀費用を準備しておきたい人や、掛け捨ての保険に抵抗がある人には「終身保険」がおすすめです。
一方、まだ子どもが小さい家庭など、一定期間大きな死亡保障が必要になる場合には「定期保険」が適しています。
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糖尿病の人の生命保険選びでよくある質問
ここからは、糖尿病の人の生命保険選びでよくある質問に、プロが詳しく答えていきます。
Q.糖尿病でも共済に入れますか?
A.共済組合によっても診査基準は異なりますが、加入を断られる可能性があります。
共済も民間の保険と同様、加入時に健康状態の告知が必要になります。
共済の場合は、告知事項に該当すると基本的に加入できないと定めており、民間の医療保険よりも厳しい判断になるケースもあります。
糖尿病で定期的な通院治療をしていると、告知事項に該当するため加入を断られる可能性があります。
共済組合によって告知事項は異なるため、気になる人は一度検討中の共済組合に問い合わせしてみるのが良いでしょう。
Q.糖尿病でも団信に入れますか?
A.治療歴によっては難しい可能性があります。ワイド団信か、民間の死亡保険を検討するのもおすすめです。
住宅購入の際に、ローンの契約と併せて加入する団信(団体信用生命保険)ですが、健康状態によっては加入を断られることがあります。
団信の診査基準は公表されていないので明確には分かりませんが、糖尿病で治療している場合加入できないこともあるでしょう。
糖尿病が原因で団信に入れなかった場合、ワイド団信とよばれる引受基準緩和型の団信を検討するか、民間の死亡保険を団信代わりに契約するという方法もあります。
Q.糖尿病で給付金は受け取れますか?
A.入院や手術をすれば、医療保険で保障対象になる可能性があります。
糖尿病や糖尿病の合併症が原因で入院・手術をした場合、医療保険に加入していれば給付金が受け取れる可能性があります。
また、一部の生活習慣病に備える保険では、糖尿病のインスリン治療を継続していれば給付金が受け取れるものもあります。
まずは、加入中の保険の保障内容を確認しておきましょう。
まとめ
今回は、糖尿病でもがん保険に入れるのかや、おすすめの保険について解説してきました。
治療歴によっては、糖尿病でも問題なくがん保険に入れることもあります。
糖尿病を抱えていると、がんや三大疾病の罹患リスクが高くなるため、保険に加入できるうちに検討しておくことをおすすめします。
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