「持病があると就業不能保険に入れない?」と悩んでいる人もいるでしょう。
保険に加入する際には、健康状態を告知する必要があり、内容によっては加入を断わられるケースもあります。
就業不能保険の場合、持病があるからといって必ず加入できないわけではなく、持病の種類や治療歴によっては検討できることもあります。
今回は、就業不能保険の診査基準や告知事項について、保険のプロが徹底解説していきます。
この記事を読んでわかること
持病があるからといって就業不能保険に入れないわけではない
生活習慣病やがんに関係する病気に罹患していると、加入できないことが多い
医療保険やがん保険でリスクをカバーできる場合もある
目次
就業不能保険の診査基準
就業不能保険は、死亡保険などと比較すると診査基準が厳しい傾向にあります。
特に、長期療養や働けなくなるリスクがある病気は、厳しく判断される可能性があります。
ただし、持病があるからといって必ず加入できないわけではありません。
例えば、高血圧や高脂血症等で治療をしていたとしても、薬剤治療で数値がコントロールできていれば問題なく加入できることもあります。
保険会社によって診査の基準は異なるため、もし就業不能保険の診査に落ちてしまったら、他の保険会社で再度検討してみるのも良いでしょう。
関連記事
就業不能保険に入るのが難しいケース
では、就業不能保険に入るのが難しいケースにはどんなものがあるのでしょうか。
プロが詳しく解説します。
生活習慣病で治療をしている
三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)や、糖尿病、腎不全、肝疾患などの生活習慣病に罹患している場合は、就業不能保険の加入が難しくなります。
生活習慣病は一度罹患すると完治が難しく、症状が悪化すると長期入院が必要になる可能性もあるため、保険会社はリスクが高いと判断します。
ただし、高血圧の場合は投薬治療で血圧がコントロールできていれば加入できる可能性があります。
関連記事
がんの発症に関係のある病気に罹患している
がんを引き起こす可能性がある病気に罹患していると、就業不能保険への加入が難しくなる可能性があります。
代表的な疾患の例
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 肝炎、肝硬変
- 膵炎
- 慢性腎炎、腎不全
- 間質性肺炎や肺気腫などの呼吸器系疾患
- 子宮頸部高度異形成 など
がんは一度罹患すると治療が長引く傾向にあり、抗がん剤治療の副作用で働けなくなることもあります。
そのため保険会社は、がんの発症に関係のある病気に罹患している人をリスクが高いと判断し、加入を断ることがあります。
しかし、完治して一定期間経過していれば、就業不能保険に加入できるケースもあります。
また、子宮頸部高度異形成の場合、手術後一定期間経過しており再発等がなければ、加入できる可能性もあります。
関連記事
精神疾患での通院歴がある
過去5年以内に、うつ病などの精神疾患による通院歴があると基本的に就業不能保険への加入は難しくなります。
代表的な精神疾患の例
- うつ病
- 睡眠障害
- 適応障害
- 双極性障害
- 統合失調症
- パニック障害
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)
- 自律神経失調症 など
関連記事
就業不能保険の告知事項
就業不能保険に加入する際は、健康状態の告知が必要になります。
告知事項は保険会社によって異なりますが、代表的な例は次のとおりです。
主にポイントになるのは、次の3点です。
- 直近3カ月に医師の診察等を受けているか
- 過去5年以内に定期的に通院していた時期があるか、入院や手術を受けたか
- 過去2年以内の健康診断や人間ドックで指摘を受けていないか
過去の治療歴等の記憶が曖昧な人は、おくすり手帳などを参考に正確な告知ができるようにしましょう。
就業不能保険の審査結果は主に4つ
就業不能保険の審査結果は、主に次の4つになります。
健康状態等に問題がなければ、申込み内容のまま無条件で契約が成立します。
しかし、持病の種類や治療歴によっては、不担保の条件がついたり割増保険料になる場合もあります。
例えば椎間板ヘルニアの場合、腰椎等の部位が一定期間不担保となる可能性があります。
不担保期間中に腰椎の疾患が原因で就業不能状態になったとしても、給付金は支払われません。
不担保期間が終了すれば、すべての疾病が保障の対象となりますが、場合によっては不担保期間が「永年」と定められることもあります。
診査の結果、不担保の条件や割増保険料になった場合はその内容を確認し、承諾するかどうかを決めましょう。
健康状態によっては、就業不能保険の加入を断られる可能性もあります。
その場合は保険料等は発生せず、申込みが不成立となります。
就業不能保険とは
就業不能保険の仕組みや、給付金の支払条件について詳しく見ていきましょう。
就業不能保険の支払条件
就業不能保険は、病気やケガで働けない状態が続いたときに、毎月給付金が受け取れるタイプの保険のことです。
給付金の支払いにはいくつか条件が設けられており、働けなくなってすぐに受け取れるわけではありません。
主な就業不能保険の支払条件は次の通りです。
保険会社が定める「所定の就業不能状態」はそれぞれ異なっていることもあるため、申込み前に確認しておきましょう。
また、就業不能保険は基本的に、病気やケガなど原因を問わず保障されます。
しかし中には、保障対象をがんや三大疾病のみに絞った商品もあります。
保障対象が特定の病気に絞られている場合、通常の就業不能保険と比べて保険料は割安になる傾向にあります。
Q.精神疾患は就業不能保険で保障される?
A.精神疾患は入院時のみ保障としている保険会社が一般的です。
近年は、うつ病等の精神疾患で休業する人も増えています。
就業不能保険で精神疾患が保障されるか気になっている人も多いのではないでしょうか。
現在販売されている就業不能保険では、精神疾患による入院のみが保障対象となっていることがほとんどです。
一部の商品で、入院後の療養期間も保障対象となるケースもありますが、いずれにせよ入院は必須要件となります。
Q.給付金はいつから支払われる?
A.保険会社が定める「免責期間」を超えて就業不能状態が続いたときに支払われます。
就業不能保険では一般的に「免責期間」が定められています。
60日間の免責期間を設けているものや、同一の月に10日以上の療養を行えば給付金が支払われると定めているものもあります。
いずれにせよ、就業不能状態に該当してすぐに給付金が受け取れるわけではありません。
保険選びをするときは、事前に免責期間の確認をしておくのが良いでしょう。
就業不能保険の保険期間
就業不能保険は基本的に「有期タイプ」の保険で、保険期間をあらかじめ決める必要があります。
保険期間は、60歳や65歳など定年退職や老齢年金受取のタイミングまでと設定する人が多くなっています。
保険期間が満了すれば、その後の保障はなくなります。
就業不能保険の保険期間を決めるときは、自分がいつまで働くかや老後のライフプランをもとに考えるのが良いでしょう。
医療保険と就業不能保険の違い
医療保険と就業不能保険は、保障の範囲が異なります。
医療保険は病気やケガによる入院・手術を保障するのに対し、就業不能保険は中長期的に働けなくなってしまったときに備えるものです。
医療保険は必ず「入院」が保障の条件となりますが、就業不能保険は「在宅療養」でも保障されるのが一般的です。
医療保険で入院に備えながら、その後の在宅療養には就業不能保険で備えておくと、療養が長引いたときも安心です。
所得補償保険と就業不能保険の違い
就業不能保険がいわゆる「生命保険」の一種であるのに対し、所得補償保険は「損害保険」の一種で、損害保険会社が販売しています。
働けなくなるリスクに備えるという大きな目的は同じですが、次のような違いがあります。
所得補償保険は保険期間が1年更新など比較的短期間であることが特徴です。
免責期間も就業不能保険と比べて比較的短い物が多く、働けなくなったときの短期的な所得減少に備える目的で検討する保険です。
それに対し、就業不能保険は保険期間を任意の年齢までにすることができ、長期間の保障を持つことができるのが特徴です。
持病のある人が就業不能保険を検討する際の注意点
持病のある人が就業不能保険を検討する際、注意しておくべきポイントがいくつかあります。
ここからは、後悔しない保険選びのための注意点を保険のプロがご紹介します。
持病についてありのままを告知する
抱えている持病や過去の治療歴が告知に該当する場合、必ずありのままを正確に告知するようにしましょう。
また、治療歴についてはできるだけ時系列順に、わかりやすく記入するのがポイントです。
告知時によく聞かれるポイントは次の通りです。
- 診断時期
- 入院の有無
- 投薬の有無、薬剤名
- 現在の状況(完治/治療中/経過観察中など)
- 最新の数値
細かく色んなことを記入すると診査で不利になってしまうのでは、と考える人もいるかも知れません。
しかし、実際にはできるだけ治療歴などを詳細に告知したほうが、保険会社が判断しやすくスムーズな診査につながるなどのメリットがあります。
逆に治療歴が曖昧だと、再度告知を求められたり診断書の提出が必要になるなど、手続きに時間がかかる可能性もあります。
関連記事
Q.持病を隠して就業不能保険に加入しても良い?
A.あとから大きなトラブルになる可能性があるので、絶対に持病を隠して加入するのはやめましょう。
事実と異なることを告知した場合、「告知義務違反」とみなされ、いざというときに給付金が支払われなかったり契約を解除されてしまうこともあります。
保険会社は医療機関へのヒアリングや健康保険の利用履歴を参照することで、告知内容が正しいかどうか調査をすることがあります。
「バレないから大丈夫だろう」と安易に考えずに、告知は必ず正しく行うようにしましょう。
関連記事
診査の結果特別条件がついたら、内容を確認する
診査の結果、特定部位・疾病不担保の条件がついたり、割増保険料となるケースもあります。
特別条件となったら、まずはその内容を確認しましょう。
特定部位・疾病不担保であれば、その部位が何年間保障対象外となるかを確認します。
割増保険料になった場合は、保障と保険料のバランスを改めて検討しましょう。
特別条件の内容を承諾できるのであれば、保険会社から送られてくる承諾書にサインをすれば保険契約が成立します。
承諾できない場合は、その旨を保険会社に伝えることで契約は不成立となります。
就業不能保険の加入審査に落ちたらどうすれば良い?
では、就業不能保険の加入審査に落ちてしまったときはどうすれば良いのでしょうか。
ここからは、加入審査に落ちたときの対処法をお伝えします。
別の保険会社で再度検討する
診査基準は保険会社によって異なります。
そのため、同じ持病を抱えていてもA社では加入できなかったがB社では加入できることもありえます。
診査に落ちてしまったからといってすぐに諦めず、他の保険会社で再度検討してみるのもおすすめです。
当サイトにおける申込URLクリック数順(2025年3月1日-2025年3月31日)
別の商品で代替できないか検討する
一般的に、就業不能保険には「持病がある方向け保険(引受基準緩和型保険)」がありません。
就業不能保険への加入が難しい場合は、他の商品で代替できないかを検討することになります。
例えば、中長期の入院に備えておきたい場合は医療保険や引受基準緩和型医療保険でカバーできます。
また、がんによる療養に備えておきたいのであれば、がん保険が適しています。
実際に、就業不能保険に加入している人の中にも、がんが原因で給付金請求をする人がいます。
自分がリスクに感じている点を洗い出し、就業不能保険以外の方法でカバーできないか考えていくのが良いでしょう。
関連記事
期間を空けて再度検討する
手術直後や完治後すぐは比較的保険に加入しづらいため、一定期間を空けてから再度検討するのもひとつの方法です。
基本的に告知で問われるのは最長で過去5年の健康状態のため、完治から5年経過すれば告知の対象外となります。
しかし、保険加入を先延ばししている間に別の病気が発覚するなどして、保険加入が難しくなるリスクもあります。
働けなくなったときに利用できる公的制度
民間の保険の必要性を考えるときには、公的制度への理解も必要です。
ここからは、病気やケガで働けなくなったときに利用できる公的制度について、詳しく見ていきましょう。
傷病手当金
傷病手当金は、病気やケガで働けなくなったときの生活を保障するために設けられた公的制度です。
病気やケガで連続して3日以上休業した場合、4日目から給与の約2/3が保障されます。
受け取れる期間は通算で1年6カ月までとなっています。
働けなくなったときの重要な収入源となりますが、給与が満額保障されない点や、社会保険料の支払いも免除にならない点には注意が必要です。
傷病手当金を受け取れるのは会社員か公務員のみです。
フリーランスや自営業の人は受け取れないため、民間の就業不能保険等で準備しておくことが大切です。
関連記事
障害年金
障害年金は、病気やケガで生活や仕事が制限されるようになったときに受け取ることができる公的年金のひとつです。
国民年金に加入している人は障害基礎年金を、厚生年金に加入している人は障害厚生年金を受け取ることになります。
障害基礎年金は、障害等級表1級または2級に該当することが必要になり、該当すれば厚生年金加入者も受け取ることができます。
障害厚生年金は、2級よりも軽い3級に該当したときに支給されます。
障害年金の受取には、公的年金の加入期間等の条件もあります。
制度の内容について、いまいちど確認しておくと良いでしょう。
(参考:障害年金|日本年金機構)
生活保護
生活保護は、病気やケガ、障害、失業など様々な理由で収入がなくなり、生活に困窮する人が受けられる保護制度です。
生活保護を受けるには、居住している市町村区の福祉事務所へ出向き、申請を行う必要があります。
生活保護を受けられるのは、次のような場合とされています。
- 働くことができない、または働いていても必要な生活費を得られない。
- 不動産、自動車、預貯金等のうち、直ちに現金化して活用することができる資産がない。
- 年金や手当、保険など、他の制度を活用しても必要な生活費を得られない。
自治体の支援制度
働けない人への支援制度を設けている自治体もあります。
障害の程度に応じた手当金の支給や、医療費の減免措置など、自治体によって保障内容は異なります。
詳しくは、居住している自治体のサイト等で確認してみましょう。
まとめ
今回は、就業不能保険の診査基準や、持病がある場合の保険選びのポイントについて解説してきました。
持病があるからといって就業不能保険に加入できないわけではありません。
また、もし就業不能保険に加入できなくても、代替の方法はいくつかあります。
まずは、どんなリスクに備えておきたいかを明確にし、そのリスクをカバーできる保険を選ぶようにしましょう。
ほけんのコスパでは、複数の保険会社の商品を掲載しています。
就業不能保険だけでなく、医療保険やがん保険の人気ランキングも掲載中です。
ぜひ、ほけんのコスパで自分にあった保険を見つけてください。
当サイトにおける申込URLクリック数順(2025年3月1日-2025年3月31日)