「就業不能保険ってどんな人に必要?」「公務員は公的保障が手厚いから就業不能保険は必要ない?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
就業不能保険は病気やケガで働けなくなってしまったときのための保険です。
しかし、公務員の場合は傷病手当や病気休暇の制度を利用できるため、就業不能保険は不要と考える人もいます。
確かに、公務員は自営業者や会社員と比べて、働けなくなってしまったときの公的保障が手厚く用意されています。
とはいえ、家族構成や経済状況、また住まいの状況によっては、就業不能保険で備えておいた方が良いケースもあるため注意が必要です。
本記事では、働けなくなってしまったときに公務員が受けられる公的保障についてや、就業不能保険はどんな人にとって必要か、詳しく解説していきます。
この記事を読んでわかること
公務員は、働けなくなったときに受けられる福利厚生や公的保障が充実している
家族構成や経済状況によっては、公的な制度を利用してもいざというときに経済的負担がかかることもある
公的保障だけではまかなえないリスクには、就業不能保険で備えておくのがおすすめ
公務員に就業不能保険が必要ないといわれる理由
公務員は福利厚生や公的保障が充実しているため、就業不能保険は必要ないと考える人もいます。
公務員が働けなくなってしまったときに利用できる制度について、詳しく説明していきます。
福利厚生が充実している
一般的に、公務員は会社員よりも福利厚生が充実しているといわれています。
有給休暇とは別に、病気やケガの治療のための休暇制度や休職中の給与保障などの制度が整えられており、もし働けなくなったとしてもすぐに収入が途絶えてしまうことはありません。
また、公務員には「互助会」という福利厚生のための組織があり、傷病見舞金や療養見舞金といった手当を受け取ることもできます。
病気休暇
病気休暇とは、公務員が取得できる休暇制度です。
病気やケガの治療のために最長で連続90日間の病気休暇が取得でき、その期間中は給与が満額支払われます。
そのため、病気やケガが原因で働けなくなってしまったとしても、90日以内に職場復帰できるのであれば収入が減少することはありません。
この制度は公務員特有のもので、自営業者や会社員と比較すると手厚い保障を受けられることから、公務員には就業不能保険は必要ないといわれる理由のひとつになっています。
休職
有給休暇や病気休暇を利用しても治療が終わらなかった場合は、休職することになります。
公務員の休職期間は最長で3年間です。
休職後1年間は給与の80%が支払われ、2~3年目は無給となります。
一般の会社員の場合、休職中は無給になることがほとんどです。
休職後1年間給与が支払われる公務員は、その他の職種の人と比べて働けなくなってしまったときの福利厚生が手厚いといえるでしょう。
とはいえ、給与が満額保障されるわけではないので、治療費の負担と収入減には備えておくと安心です。
公的保障が手厚い
公務員は手厚い福利厚生に加え、会社員と同様の公的保障を受けられます。
働けなくなってしまったときに受け取れる傷病手当金や、障害状態に該当すれば受け取れる障害年金など、もしものときの公的保障が充実しています。
そのため、就業不能保険の必要性は低いと考える人もいるでしょう。
ここからは、公務員が受けられる公的保障について解説していきます。
傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガで働けなくなってしまったときに、加入している共済組合等から給与の約2/3を受け取ることができる制度です。
傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガで働けなくなってしまったときに、加入している共済組合等から給与の約2/3を受け取ることができる制度のこと
傷病手当金は、3日以上連続して仕事を休んだ時に休業4日目から支給され、支給期間は1年6カ月までと定められています。
公務員の場合は、病気休暇で90日間は給与の満額保障、その後休職した場合1年間は給与の80%が保障されるため、傷病手当は休職2年目以降から利用するのが良いでしょう。
病気休暇や休職の給与保障期間を終えても、傷病手当金で最大1年6カ月間は保障されるため、一般的な会社員と比較しても手厚い保障といえます。
障害年金
障害年金
障害年金とは、病気やケガで仕事や生活が制限されるような状況になったときに受け取れる公的年金のこと
医師の診察を受けた時点で公務員として厚生年金に加入していれば、「障害厚生年金」が請求できます。
障害厚生年金は1級から3級まであり、1級と2級の場合は障害基礎年金と障害厚生年金のどちらも請求することができます。
最も軽い障害状態の3級の場合は、障害厚生年金のみを受け取ることになります。
また、初診から5年以内に病気やケガが治癒し、障害厚生年金を受け取るよりも軽い障害がのこった場合には「障害手当金(一時金)」を受け取ることができます。
全体的に、個人事業主などが受け取れる障害基礎年金よりも手厚い保障内容になっています。
とはいえ、障害厚生年金3級の認定には「両眼の視力がそれぞれ0.1に減じていること」「そしゃくまたは言語の機能に相当程度の障害を残していること」など、それなりの条件が定められています。
あくまでも「障害が残ってしまったとき」に利用できる制度である点には注意しましょう。
就業不能の加入率と働けなくなったときの備え
実際にどれくらいの人が民間の就業不能保険に加入しているのでしょうか。
統計データをもとに解説していきます。
就業不能保険の加入率
2021年度の生命保険に関する全国実態調査によると、就業不能保険や生活障害・就業不能特約に加入しているのは18.4%の世帯となっています。
そのうち、世帯主の加入率は15.9%、配偶者の加入率は6.5%で、家計を担っている世帯主の加入率が高いことがうかがえます。
年代別に加入率を見ていくと、30~34歳が最も高く34..6%にのぼります。
また、高年収層ほど就業不能保険の加入率は高くなる傾向にあり、世帯年収500万円以上で2割を超えています。
働き盛りの世代や年収が高い世帯の場合、働けなくなってしまったときの家計に与える影響は大きくなるため、それだけ関心も高くなっているといえるでしょう。
働けなくなったときに備える手段
病気やケガで働けなくなってしまったとき、どのような手段で備えている人が多いのでしょうか。
現在準備している備えのうち期待できるものとして、預貯金等と答えた人が最も多く全体の34.5%を占めています。
一方で民間の生活障害・就業不能保険と答えた人が31.3%と前年比で8.1ポイントも上昇しており、保険で働けなくなったときに備える人が増えていることがわかります。
また、入院時に給付金の出る保険で備えている人も26.8%と比較的多くなっています。
預貯金だけでまかなえないリスクに対しては、民間の保険を活用するのもひとつの選択肢といえるでしょう。
就業不能保険が必要な人・不要な人【ケース別シミュレーション】
福利厚生や公的保障が充実している公務員ですが、家族構成など現在の状況によっては、就業不能保険が必要なケースもあります。
ここからは、就業不能保険が必要な人とそうでない人について、ケース別に解説していきます。
独身の場合
独身の場合、1人暮らしをしている人は就業不能保険の必要性が比較的高くなります。
公務員であれば福利厚生や公的保障を受けることで、すぐに収入が途絶えてしまうことはありません。
しかし、90日の病気休暇を使い切ってしまった後は、休職中の手当や傷病手当金があるとはいえ、収入が減少してしまいます。
1人暮らしで収入が減少してしまうと生活に影響が出る人や、これまでの生活水準を下げたくない人には就業不能保険がおすすめです。
また、家族からの経済的な援助を受けられない、家族に負担をかけたくない人も就業不能保険を検討してみるのが良いでしょう。
一方、独身で実家暮らしをしている人は、もし収入が減少してしまったとしても家族のサポートを受けやすいかもしれません。
独身で実家暮らしをしている人は、1人暮らしの人よりも就業不能保険の必要性は低いといえるでしょう。
既婚者の場合
既婚者の場合、共働きではなくどちらかが世帯主として家計を担っている家庭であれば、世帯主が働けなくなってしまったときに経済的な負担がかかってしまう可能性があります。
特に、長期間の療養で介護が必要になってしまうと、配偶者の負担も大きくなります。
公務員の福利厚生や公的保障をふまえつつ、足りない部分を就業不能保険でおぎなうのが良いでしょう。
もしものことがあっても今の生活水準を下げたくないと考える人は、共働きかそうでないかに関わらず就業不能保険を検討するのがおすすめです。
一方、共働き世帯でどちらかにもしものことがあっても支出を減らすなどして生活することができる場合は、就業不能保険の必要性は低くなります。
福利厚生や公的保障の内容をしっかりと把握したうえで、パートナーと話し合いながら保険の必要性について考えてみましょう。
子どもがいる場合
子どもがいる家庭は教育費などの準備も必要になるため、もしもの時のために備えておく必要があります。
病気やケガで長期間働けなくなると、これまでの生活は一変してしまいます。
収入の減少に加え、治療費の負担が重なり支出も大きくなります。
家計に影響を与えてしまったり、計画的に行っていた教育費の貯蓄ができなくなる可能性もあるでしょう。
公務員であっても子どもがいる家庭は就業不能保険を検討することをおすすめします。
もしものことがあっても、子どもの望む進路を叶えてあげられるよう、ある程度準備をしておくことがとても大切です。
保険を検討するときには、福利厚生や公的保障の内容も踏まえたうえで、足りない部分をカバーできるようにしましょう。
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働けなくなったときの備え方
就業不能保険を検討する際には、いくつか注意すべき点があります。
ここからは、働けなくなったときの備えを考えるうえでおさえておきたいポイントをご紹介します。
①働けなくなったときの保障を確認する
まずは、病気やケガで働けなくなってしまったときに自分が受けられる福利厚生や公的保障の内容を確認しましょう。
もしものとき、どのくらいの期間、どのくらいの金額を受け取ることができるかを把握しておくことが大切です。
特に公務員の場合は、働けなくなってから90日間は病気休暇を取得することで給与の全額が保障されます。
それ以降は休職となりますが、1年間は給与の80%が保障され、その後は給与の約2/3を傷病手当として最大1年6カ月の間受け取ることができます。
病気休暇を使い切ったあとの収入減少に備える必要があるかどうか、まずは受け取れるお金がどれくらいになるかを把握しておきましょう。
②受けられる保障と毎月の支出の差を確認する
働けなくなったときに受けられる保障を把握したら、毎月の支出との差を確認して家計にどの程度影響を与えるのかを考えましょう。
公務員の場合は、病気休暇の90日を越えて療養を継続すると収入が減少することになりますが、それでも毎月の生活に影響がないようであれば保険の必要性は低くなるかもしれません。
また、すでに十分な貯蓄があるため、いざというときも保険に頼る必要はない人も中にはいるでしょう。
しかし、収入が減少すると家計に及ぼす影響が大きくなってしまう人や、休職や傷病手当でカバーできるよりもさらに長い療養に備えたい人は、就業不能保険を検討する必要があります。
特に、長期の療養が必要になると収入の減少だけでなく治療費の負担も必要になります。
家計のバランスが崩れてしまうことが考えられるため、事前にシミュレーションをしておくのがおすすめです。
③必要な保障額と補い方を考える
働けなくなったときの備えが必要と判断したら、どれくらいの保障額を準備しておくのかと、その補い方を決めましょう。
もしものとき、どのような生活を送りたいかによっても必要な保障額は異なります。
療養を続けている間は、住居費用や生活費などこれまで通りかかる費用に加えて治療費の負担も必要になります。
できるだけ支出を減らし無駄のない生活をすると決めているのであれば最低限の保障で良いかもしれませんが、これまでの生活水準を下げたくない人や貯蓄が十分にない人は、少し余裕をもって保障を準備するのが良いでしょう。
いつまで保障を用意するかも大切なポイントです。
就業不能保険であれば、60歳や65歳など定年を迎えるまでの保障にしたり、子どもが成人するまでの年数を保障できるようにしたりすることが一般的です。
ライフプランや勤務先の定年制度によって、保険期間をいつまでにするかを決めましょう。
就業不能保険の人気ランキング
家族構成や経済状況によっては公務員でも保険が必要になることもあるため、まずは自分にとって備えておくべきリスクはどんなものがあるか、整理してみましょう。
とはいえ、自分ひとりで必要な保険を選ぶのは難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。
ほけんのコスパでは、家族構成や現在の状況など簡単な質問に答えるだけで、自分にとってどんな保険が必要かを診断できる「ほけん必要度診断」をすることができます。
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