大切なパートナーとの将来を考えたとき、もしもの事態に備える保険は大切な役割を果たします。
しかし、「同性のパートナーは生命保険の受取人になれる?」「ホルモン治療中だと保険には入れないのでは?」とLGBTQ+当事者特有の疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、LGBTQ+と保険に関する知識を、専門家が徹底解説します。
自身とパートナーを守る保険選びのために、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
死亡保険金の受取人に同性パートナーを設定できる保険会社が増えている
受取人指定には保険会社ごとに規定があり、住民票やパートナーシップ証明書の写しが必要なケースが多い
ホルモン治療中でも「引受基準緩和型医療保険」であれば加入を検討できる可能性がある
目次
3-1.窓口でカミングアウトは必要?
6.まとめ
【知識1】同性パートナーを「死亡保険金の受取人」にする条件
近年、社会の多様性への理解が進み、同性パートナーを生命保険の死亡保険金受取人に指定できる保険会社が増えています。
自治体によるパートナーシップ制度の普及などを背景に、保険業界でも年々柔軟な対応ができるようになりました。
一方で、法律婚の配偶者とは異なる点がいくつか存在します。
具体的に見ていきましょう。
法律婚との違い
死亡保険金の受取人は、原則「戸籍上の配偶者か2親等以内の血族」と定められています。
同性パートナーは戸籍上は家族とは認められないため、保険金の受取人に設定するためには特別な手続きが必要になります。
同性パートナーは民法上の「法定相続人」になることができません。
法定相続人とは、法律で定められた遺産を相続する権利を持つ人のことで、配偶者や子、親などが該当します。
遺言書がない場合、亡くなった人の財産は法定相続人に引き継がれるため、長年連れ添ったパートナーであっても財産を受け取ることはできません。
この法的な壁があるからこそ、生命保険は大切な役割を果たします。
生命保険金は、受取人に指定された人の「固有の財産」とみなされ、遺産分割の対象にはなりません。
つまり、確実にパートナーへ財産をのこすことが可能になるのです。
一方、税制面では法律婚と比べて不利な点があります。
- 生命保険料控除が使えない
- 相続税の非課税枠が使えない
- 配偶者の税額軽減が適用されない
通常、支払った保険料は生命保険料控除の対象となりますが、受取人が親族でない場合は控除の対象外となります。
また、相続税の非課税枠や配偶者の税額控除など、家族であれば利用できる税制優遇措置を利用することができません。
さらに、相続人以外の人が財産を受け取る場合、相続税額が2割加算される規定の対象となる可能性もあるため注意が必要です。
(参考:No.4157 相続税額の2割加算|国税庁)
同性パートナーを受取人にする際に必要な書類
同性パートナーを生命保険の受取人に指定する際、二人の関係を証明するためにいくつかの書類を準備する必要があります。
ただし、必要になる書類は保険会社によって大きく異なるため、事前の確認が大切です。
一般的に、次にいずれかの書類を求められることが多いです。
- 住民票(同居の実態証明)
- 自治体が発行する「パートナーシップ証明書」の写し
- 保険会社所定の確認書や同意書
- 公正証書(準婚姻契約や任意後見契約など)
2015年にパートナーシップ制度が導入されたことを契機に、多くの保険会社が同性パートナーを受取人に指定できるようになりました。
当初は「パートナーシップ証明書」を必須とする会社もありましたが、現在では制度を導入していない自治体に住んでいるカップルに配慮し、住民票や公正証書、あるいは保険会社独自の書類で代替できるケースが増えています。
ただし、公正証書は作成に1~2カ月程度必要です。費用も総額で数万円~10万円程度かかることもあります。
住民票やパートナーシップ証明書写しで対応できる保険会社のほうが、手続きに際しての負担は少ないでしょう。
同居期間の要件
保険会社によっては、同性パートナーを受取人に指定するための条件として、一定期間以上の同居や生計を共にしていることを定めている場合があります。
具体的な同居期間の条件は保険会社ごとに異なり、一律の基準はありません。
そのため保険を申込む前に、検討している保険会社の条件を個別に確認しておくと良いでしょう。
また、同居期間や戸籍上の配偶者の有無などの条件によっては、設定できる保険金額に上限が設けられる場合もあります。
希望する保障額を確保できるかどうかも含めて、複数の保険会社で比較検討しておくと良いでしょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年1月1日―2026年1月31日)
【知識2】トランスジェンダーの医療保険加入
トランスジェンダー当事者が医療保険への加入を検討する際には、いくつかの注意点があります。
特に、ホルモン治療や性別適合手術を受けている人は、その事実を告知する必要があります。
詳しく見ていきましょう。
性別の扱いは「戸籍」か「見た目」か?
医療保険の申込において、性別は保険料の算出やリスク評価に関わる重要な項目です。
基本的には、保険契約上の性別は「戸籍上の性別」に基づいて判断されます。
しかし医療現場の実態として、画一的な扱いが当事者に心理的な負担を強いる場面も少なくありません。
例えば、病院の問診票で性別欄が「男性・女性」の二択しかない場合、トランスジェンダーの方は自身の性自認と異なる性別を選択せざるを得ず、それが精神的な苦痛となることがあります。
実際に、見た目と保険証の性別が異なることで、受付で本人確認に時間がかかったり、待合室で名前を呼ばれた際に周囲の視線を集めてしまったりすることが、病院から足を遠のかせる一因になることもあるかもしれません。
保険会社によっては、申込時の相談に応じて柔軟な対応を検討するケースもありますが、原則は戸籍上の性別となることを理解しておく必要があります。
ホルモン治療・性別適合手術(SRS)は「告知」が必要?
生命保険や医療保険に加入する際には、過去の病歴や現在の健康状態、治療状況などを保険会社に正しく申告する「告知義務」があります。
ホルモン治療や性別適合手術(SRS)は医療行為、つまり「治療」と見なされるため、告知が必要です。
もし事実を告知せずに保険に加入した場合、「告知義務違反」と判断される可能性があります。
告知義務違反になると、いざ給付金を請求する際に保険金が支払われなかったり、契約そのものが解除されたりする恐れがあるため注意が必要です。
告知項目に該当する場合は、必ず事実を申告しましょう。
ホルモン治療を受けている状態で保険に加入できるかどうかは、保険会社によって基準が異なるため一概に言えません。
長期間ホルモン剤治療を続けていて健康状態に問題がない場合、通常の医療保険で加入できるケースも稀にあります。
正直に告知をしたうえで、加入できない場合は引受基準緩和型医療保険など、告知項目が緩和されている商品を検討しましょう。また、ホルモン剤治療をしていても加入できることを明記している「パートナー共済」も選択肢のひとつです。
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これから手術を受ける場合、給付金は出る?
医療保険は、加入後に発生した予期せぬ病気やケガによる治療を保障する保険です。
そのため、保険加入前から予定されている手術や治療では、給付金がおりないことが一般的です。
性別適合手術を保険加入後に受ける場合、公的医療保険適用の治療であれば給付金が支払われる可能性があります。
しかし、現状では保険適用の性別適合手術は稀です。
高額な費用を支払って手術を受けることが多く、民間の医療保険でも給付金を受け取ることができないため、全額自己負担が必要になります。
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【知識3】アウティングを防ぐ「手続きとプライバシー」
保険の申込や相談の過程で、自身のセクシュアリティについて話すことに不安を感じる方は少なくありません。
意図せずアウティングにつながることを懸念するのは当然のことです。
プライバシーを守る手続き方法について、見ていきましょう。
窓口でカミングアウトは必要?
保険の相談や申込みにおいて、必ずしも自身の性的指向や性自認をカミングアウトする必要はありません。
多くの保険手続きは、セクシュアリティに言及しなくても進めることができます。
ただし、同性パートナーを死亡保険金の受取人に指定する場合など、二人の関係性を説明する必要がある場面では、事実を伝える必要があります。
その際、自身のセクシュアリティについて話すことに抵抗を感じるかもしれません。
しかし、近年では多くの保険会社がLGBTQ+Q+への理解を深めるための社員研修を実施しており、相談しやすい環境が整備されつつあります。
もし対面での相談に不安がある場合は、事前にその保険会社がどのような取り組みを行っているかをウェブサイトなどで確認してみると良いでしょう。
ネット保険・保険比較サイトのメリット
対面での相談や手続きに心理的なハードルを感じる場合、インターネットで保険に加入する方法もあります。
誰とも会わずに、空いた時間に好きな時間で手続きできる点がメリットです。
また保険比較サイトで保険料の見積もりを取るだけであれば、ほとんどの場合匿名で可能です。
「保険に加入したいけど保険料がいくらになるか知りたい」「まずは気軽にどんな商品があるか見てみたい」という人は、まずインターネットで情報収集をするのがおすすめです。
ただしネットでの申込であっても、健康状態に関する告知義務や、同性パートナーを受取人にする際の書類提出は必要です。
手続きの際に対面で相談できないのはネット保険のデメリットですが、保険会社によってはネット契約の相談窓口を設けていますので、わからないことがあればまずは問い合わせましょう。
申込み前の「セルフチェックリスト」
LGBTQ+当事者が保険への加入を検討する際には、確認すべき点がいくつかあります。
申込手続きをスムーズに進め、後々のトラブルを避けるために、次のリストを活用して自身の状況を整理してみましょう。
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LGBTの保険選びでよくある質問
ここからは、LGBTQ+当事者の保険選びでよくある質問に、保険のプロがお答えします。
Q. HIV陽性でも入れる保険はある?
A.はい、検討できる保険はあります。
HIV陽性の場合、通常タイプの保険に加入するのは難しいですが、「引受基準緩和型保険」など持病がある方向けの保険であれば検討できる可能性があります。
また、保険会社によってはがん保険であればHIV陽性であっても加入できるケースがあります。
その他、「パートナー共済」などLGBTQ+向けの保険では、HIV陽性でも加入できると明記しているものもあります。
Q. パートナーと別れたら受取人は変更できる?
A.はい、いつでも変更可能です。
生命保険の死亡保険金受取人は、保険契約者が保険会社所定の手続きを行うことで、原則としていつでも変更できます。
受取人変更には費用もかかりません。
パートナーとの関係が変化した場合には、速やかに受取人の変更手続きを行いましょう。
Q. 事実婚(異性)との違いはある?
A.保険の受取人指定においては共通点が多いですが、手続き上の違いが生じる場合があります。
異性との事実婚の場合、法律上の婚姻関係にないため「内縁関係の配偶者」として扱われます。
死亡保険金の受取人指定は可能ですが、生命保険料控除や相続税の非課税枠など税制上の優遇を受けられない点で、同性パートナーとの共通点があります。
一方、異性の事実婚と比べて同性パートナーは関係性を客観的に証明する手段が少ないため、パートナーシップ証明書や公正証書の用意が必要なケースがあります。
まとめ
今回は、LGBTQ+当事者が保険を検討するうえで知っておきたい知識を解説しました。
同性パートナーを生命保険の受取人に指定できる保険会社が増え、ホルモン治療中の方でも加入できる商品が登場するなど、保険会社の対応は年々柔軟になっています。
しかし、法律婚の配偶者と比較すると、税制面での不利など、依然として壁が存在するのも事実です。
そのため、生命保険だけに頼るのではなく、遺言書や任意後見契約といった他の法的な備えと組み合わせることが将来の安心のために不可欠です。
大切なのは1人で悩まず、パートナーと将来について話し合うことです。
保険について誰かに相談するのが不安な場合、ネット保険で気軽に検討することも可能です。
ぜひ、2人の未来のために今からできる備えを検討してみましょう。
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