保険にはさまざまな種類がありますが、自分の必要に合った保険を取捨選択する必要があります。
なかには、保険は「死亡保険」「自動車保険」「火災保険」だけで十分と考える人もいるようです。
実際に必要な保険は3つだけなのか、保険のプロが詳しく解説していきます。
この記事を読んでわかること
必要な保険は3つだけといわれる理由は、多大な金銭的負担を被る状況にだけ、保険で備えておけばよいと考える人がいるから
保険は大きく分けて「生命保険」と「損害保険」の2種類がある
最低限入っておくべき生命保険は、年代によって異なる
必要な保険は3つだけといわれる理由
よく挙げられる理由は、「多大な金銭的負担を被る状況にだけ保険で備えておけばよい」という理由です。
一家の大黒柱が亡くなってしまうと、のこされた家族には経済的な負担がのしかかります。
また、自動車事故で相手方がケガをしたり亡くなった場合、大きな賠償責任が生じます。
火災が起こると最悪の場合、家を建て替える費用が必要になるかもしれません。
これらの最悪の状況に備えておくために、「死亡保険」「自動車保険」「火災保険」に加入しておけば良いと考える人もいます。
しかし、人生で考えられるリスクはこれだけではありません。
本当に必要な保険は3つだけで十分といえるのか、見ていきましょう。
生命保険と損害保険の違い
必要な保険として挙げられる「死亡保険」は生命保険、「自動車保険」「火災保険」は損害保険に分類されます。
保険は大きく分けて「生命保険」と「損害保険」の2種類があります。
生命保険とは、病気や死亡といった人の生命に関わるリスクに備える保険です。
一家の大黒柱に万が一のことがあると、のこされた家族に大きな経済的負担がのしかかる可能性があります。
特に家族がいる人にとっては、死亡保険の必要性は高いといえるでしょう。
損害保険とは、モノにかける保険で、自動車事故や火災、自然災害など物的損害を補償する保険です。
2つの保険の違いを理解することで、自分に本当に必要な保険の種類を見極めることができ、無駄な保険料支払いを省けます。
一般的に、自動車事故や火災が起きると、賠償金や家の建築費用など、貯蓄ではまかない切れない大きな負担が発生する可能性があります。
そのため、車を持っている人は自動車保険を、自分の名義で家を借りていたり購入している人は火災保険を検討しなければなりません。
医療費は公的医療保険でまかなえる
日本には公的医療保険制度があり、もしものときに自己負担額を軽減できるようになっています。
入院や手術が必要になっても、高額療養費制度を活用すれば自己負担が大幅に軽減されるため、ある程度の貯蓄があれば民間の医療保険の必要性は低いかもしれません。
しかし、公的制度が充実しているといっても、入院や手術をすると少なからず自己負担は発生します。
また、先進医療や自由診療など、公的医療保険制度が適用されない治療法もあります。
入院時に個室療養をした場合は、差額ベッド代も全額自己負担になります。
さらに、がんなどの治療が長引く病気に罹患した場合、抗がん剤やホルモン剤による治療を何年も続けなければならないケースもあるでしょう。
医療保険やがん保険は不要と思っていても、治療に伴う費用を貯金でまかない切れないリスクについては考慮しておく必要があります。
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健康な場合は保険料が無駄になる
保険はリスクに備えるためのものですが、健康な状態が続く場合、支払った保険料が無駄になるのではと思う人もいるでしょう。
特に若くて健康な年代の人であれば、医療保険やがん保険に加入してもなかなか使う機会がなく、保険料をもったいないと感じるかもしれません。
一方で、保険は病気になってからでは、保険に加入しづらくなる点には注意が必要です。
健康なうちに加入しておくことで、比較的お手頃な保険料で一生涯の保障を準備できるメリットもあります。
一概に医療保険やがん保険が不要と言い切ることはできません。
保険は損得で考えるのではなく、もしものことに備えておきたいかどうかで決める必要があります。
いつ大きな病気になるかは誰にもわかりません。
健康で生涯を過ごせば確かに保険料が無駄になったと感じるかもしれませんが、それはあくまでも結果論です。
自分に合った保険を無駄なく選ぶことが最も大切といえるでしょう。
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保険よりも貯蓄や投資などの資産形成が大切
老後2000万円問題が注目されて以降、老後のための資産形成への関心は高まっています。
中には、もしものことに保険で備えるよりも投資などに予算を回したほうが良いと考える人もいるようです。
もちろん、将来に向けての資産形成は大切です。
保険料を払いすぎて貯蓄や運用が一切できないのは問題でしょう。
しかし、大きな病気に罹患して治療費が必要になったり収入が減少することで、それまで計画的に行っていた貯蓄ができなくなるリスクもあります。
資産形成を計画通り行っていくうえで、保険は有効であるといえます。
毎月無理のない範囲で、自分にとって必要な最低限の保障を確保しておくことは重要です。
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最低限入っておくべき生命保険【年代別】
最低限入っておくべき生命保険は、年代によっても異なります。
ここからは、年代別に必要な保険について解説していきます。
20代
20代は、比較的健康な時期であり、公的医療保険で医療費を十分にまかなえるケースが多いでしょう。
そのため、20代の保険選びで最も重要なポイントは、将来のリスクやライフステージの変化に備えた保険選びを始めることです。
独身であれば、医療保険やがん保険といった医療リスクに対応できる保険を検討するとよいでしょう。
また、万が一の事態による家族への金銭的負担を軽減する目的で、最低限の死亡保険への加入を考えるのも選択肢の一つです。
過剰な保険料負担は避け、無理なく資産形成に繋げられる計画性が重要です。
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30代~40代
30代から40代は、結婚や子育てを通じてライフスタイルが大きく変化する時期です。
自分と家族に必要な保険を、目的に応じて見直すことが重要です。
30代から40代では、特に家計を支える大黒柱に万が一のことが起きた場合に備えて、死亡保険を確保しておきましょう。
教育費や住宅費、のこされた家族の生活費をカバーできるだけの保障額を設定することがポイントです。
医療保険やがん保険の必要性も引き続き高くなります。
特に女性は30代以降女性特有のがんのリスクが高まるため、注意が必要です。
保険選びをするときは、保障内容や保障額を過剰にしないように、必要性を見極めることが大切です。
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50代~60代
50代から60代は、子どもの独立や住宅ローンの返済が進み、支出や必要な保障範囲に変化が生じる年代です。
遺族の経済的な負担が減少するため、多額の死亡保険が必要でなくなるケースもあります。
そのため、保険の無駄を見直す良いタイミングです。
一方で、自身の老後の医療費や介護リスクに備えた医療保険やがん保険を検討する必要があります。
また、収入が途絶えた後の生活費を補填するための貯蓄や資産形成も視野に入れながら、保険と資産のバランスを考えるようにしましょう。
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70代以降
70代以降になり、生活費や終活に備えた資産が充実している場合は、保険に頼らずに十分対応できる可能性があります。
一方で、自身の葬儀費用や相続をスムーズにする目的で、小規模な終身保険に加入するケースもあります。
また、医療費負担が増加する年代であるため、適切な医療保険の見直しも必要になります。
保険料の負担が大きくなりすぎないよう注意し、老後資金を圧迫しない範囲で最適な選択をすることが重要です。
特に医療費に関しては、公的医療保険制度を利用することで負担を軽減させることができます。
75歳以上の後期高齢者になると原則として自己負担が1割から2割となります・
民間の医療保険では最低限の保障を用意しておくよう意識すると良いでしょう。
自分に必要な生命保険の選び方

最適な保険選びは、将来の安心に繋がります。
あなたに必要な保障を『ほけん必要度診断』で診断してみましょう。
生命保険を選ぶ際には、まず自分や家族の経済状況を把握し、本当に必要な保険を見極めることが大切です。
「必要な保険は3つだけ」といわれる理由の一つとして、日本では公的な制度や保障が充実しており、過剰な保険加入が場合によっては無駄になる点が挙げられます。
無駄のない保険料で必要な保障を得られる保険を選ぶことが重要です。
まず、生命保険の選び方の基本として、自分にとって必要な保障内容を明確にしましょう。
例えば、家族がいる場合には死亡保険が必要になることが多いですが、独身で経済的な負担が軽い場合は、必ずしも大きな死亡保障が必要とは限りません。
医療保険についても、日本の公的医療保険制度を考慮したうえで、過剰な保障内容にならないよう気を付ける必要があります。
次に、保険料のバランスを見極めることも大切です。
高額な保険料を負担し続けると、日常生活や資産形成が圧迫される可能性があります。
まずは自身の収入や貯蓄を基に、支払いやすい保険料を設定することを考えましょう。
場合によっては、比較的保険料を抑えることができる掛け捨て型の保険を選ぶ選択もあります。
また、保険選びでは種類の多さに惑わされないこともポイントです。
現在の生活やこれからのライフステージに応じて必要なものだけを選ぶことで、無駄なく保険に加入できます。
特に死亡保険、医療保険、がん保険などの選択肢については、それぞれの役割を理解した上で、自分に本当に必要な保障内容を見極めましょう。
最後に、定期的に保険を見直すことも大切です。
家族構成や経済状況が変化することで、必要な保障額が変わることがあります。
また、保険業界では常に商品競争が活発に行われており、今後さらに良い条件の保険商品が登場する可能性もあります。
積極的に情報収集をしながら、自分に最適な生命保険を選ぶことを心がけましょう。
必要最低限の保険金額の考え方【保険種類別】
保険に入るなら無駄のない保障で備えておきたい、と思っている人がほとんどでしょう。
ここからは、必要最低限の保障額(保険金額)の考え方について、保険種類別に見ていきましょう。
死亡保険
死亡保険は、万が一のことがあったとき、のこされた家族の生活を守るために必要な保険です。
必要保障額は家族構成やライフスタイルによって異なりますが、基本的には配偶者や子どもの生活費、教育費を補うことができる金額にしておく必要があります。
例えば、小さな子どもがいる家庭であれば、教育費やのこされた家族の生活費をカバーするため、比較的大きな死亡保障が必要でしょう。
持ち家であれば万が一の際に団信でローン返済は不要になりますが、賃貸の場合はその後の住居費用も負担しなければなりません。
一方、独身者や扶養家族がいない人にとっては、死亡保険が不要とされる場合もあります。
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医療保険
医療保険の保障額を考えるときには、公的医療保険制度や高額療養費制度について押さえておく必要があります。
日本では公的医療保険制度が充実しているため、入院や手術が必要になっても莫大な医療費が必要になるわけではありません。
医療保険ではもしもの時にかかる費用をまかなえる程度の保障を用意しておけば良いでしょう。
一方、1人部屋を利用した場合の差額ベッド代や、入院時の食費、先進医療の技術料など、公的医療保険制度が適用されない費用について考慮しておくことも大切です。
特に先進医療にかかる費用は高額になりがちです。
医療保険の先進医療特約は毎月数十円~数百円程度で付加できるため、最低限の保障として持っておくことがおすすめです。
あなたの年齢で医療保険の保険料はいくら?

がん保険
がん保険とは、がんと診断された場合の治療費や療養費を補うために必要です。
がん治療は基本的に公的医療保険が適用されますが、薬剤治療を何年も行うケースでは、累計の医療費負担が高額になり、家計に影響を及ぼすこともあります。
そのため、がん保険の保障額を考えるときには、治療が長引く可能性を考慮しておく必要があります。
近年のがん保険では、再発や転移に備えられるよう、診断一時金を複数回受け取れるものが一般的です。
給付金の支払条件も確認したうえで、保障額を決めるようにしましょう。
保障内容を決める際には、抗がん剤治療や通院治療にも対応できるプランを検討することが大切です。
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就業不能保険
就業不能保険とは、病気やケガで長期間働けなくなった場合の収入を補填する保険です。
就業不能保険が適しているのは、万が一収入が途絶えた際に生活費をカバーできる貯蓄が不十分な場合です。
例えば、住宅ローンが残っている家庭や子どもの教育費が必要な家庭であれば、就業不能保険に加入する価値は高いといえます。
また、自営業やフリーランスの場合、働けなくなってしまっても傷病手当を受け取ることができないため、就業不能保険の必要性が高くなります。
ただし、必要な保障金額は、生活費の規模や家族構成に合わせて設定する必要があります。
家計状況や資産形成の進捗状況を確認した上で、無駄のない保障を選びましょう。
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まとめ
「必要な保険は3つだけ」といわれる理由と、無駄なく賢い保険選びをするためのポイントについて解説しました。
死亡保険、自動車保険、火災保険はそれぞれ大きな金銭的リスクをカバーするために有効な保険です。
しかし、人によっては死亡保険が必要ないケースもありますし、逆に医療保険やがん保険で備えておく必要性が高いケースもあります。
一つの意見を鵜呑みにするのではなく、自分にとって本当に必要な保険を選べるように情報収集をすることが大切です。
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