死亡保険を検討している人の中には、「死亡保険は1000万円だと少ない?」「保障額はいくらにすればいい?」と悩んでいる人もいるでしょう。
死亡保険の保障額は家族構成や収入によって異なります。
そのため、死亡保険が1000万円で少ないかどうか一概にはいえません。
「死亡保険1000万円は少ない?」といった疑問について、 保険のプロがケース別に詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
死亡保険には「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3つのタイプがある
死亡保険の保障額の目安は、「必要保障額積み上げ方式」で計算できる
2人以上世帯の死亡保険の保障額の平均は、世帯主で1258万円、その配偶者で691万円
死亡保険の種類
ここでは、死亡保険の3つのタイプについて解説していきます。
まず一つ目は「定期保険」です。
定期保険は「掛け捨てタイプ」の保険であり、「〇歳満了」や「〇年間」といった保険期間が定められています。
その期間中に亡くなってしまった場合は死亡保険金を受け取ることができますが、その期間を過ぎると契約満了となり、払ったお金は戻ってきません。
二つ目は「養老保険」です。
養老保険も定期保険と同じように保険期間が定められています。
ですが、養老保険の場合は、満期を迎えた時点で満期保険金が戻ってきます。
三つ目は「終身保険」です。
終身保険は満期の設定がなく、解約さえしなければ必ず死亡保険金を受け取ることができます。
死亡保険は1000万円だと少ない?
死亡保険金が1000万円で足りるかどうかは、ずばり「人によって大きく異なる」が正解です。
生活水準や家族構成、収入状況などは世帯によってさまざまです。
よって、死亡保険金が1000万円で足りる世帯もあれば、もっと大きな死亡保険金が必要な世帯もあるでしょう。一概に1000万円が適正額かどうかは判断しにくいといえます。
子どもの教育資金としてのこしたい場合
子どもの教育資金として死亡保険金をのこしたい場合は、1000万円の死亡保険金は妥当なのでしょうか。
これも明確な金額を出すことは難しく、子どもの選ぶ進路が大きく関わってきます。
高校までの費用を準備するのか、それとも大学4年間の費用も含めて準備するのかで、必要な金額は大きく異なります。
また、進路が公立なのか私立なのかによっても、準備する金額の違いは大きくなるでしょう。
教育資金と聞くと主に学費をイメージする人が大半だと思いますが、万が一があった際に必要になるのは学費だけではありません。
通学に必要になる交通費や受験費用、塾代なども必要になるため、注意が必要です
専業主婦のパートナーの生活費としてのこしたい場合
専業主婦のパートナーの生活費を残したい場合は、1000万円の死亡保険金はどうでしょうか。
配偶者に万が一のことがあった場合、「遺族年金」を受け取れる可能性があります。
遺族年金とは、その名の通り亡くなった人の遺族に対して支払われる年金で、受け取るには亡くなった人が国民年金や厚生年金に加入していることが条件となります。
遺族年金の受給額は、年金の加入状況によって異なるため、「遺族年金があるから死亡保険金は不要だ」と結論付けるには注意が必要です。
受け取れる遺族年金の金額によっては生前の生活水準をキープすることができず、大きな苦労をする可能性があります。
特に、遺族基礎年金は子どもがいない場合は受け取ることができないため、自営業やフリーランスで働いていて子どもがいない夫婦の場合は注意が必要です。
また、住宅の購入状況やローンの有無などもその後の生活に大きな影響があります。
自分自身の状況に合わせた準備をするように心がけましょう
共働きのパートナーの生活費としてのこしたい場合
共働きのパートナーの生活費として死亡保険金をのこしたい場合についてもみていきましょう。
共働きの場合はお互いに収入があるため、特に大きな死亡保険金は不要のように思えます。
ですが、場合によっては死亡保険で備えておく方が良いケースもあるため、注意が必要です。
例えば、パートナーに万が一のことがあったときに、住宅ローンの返済がなくなる場合は、生活費や住宅費用で大きく困る可能性は低いと考えられます。
ただ、逆に家賃の支払いや住宅ローンがのこる場合などは、引っ越しの費用や住宅ローンの返済にかかる金銭的な負担が大きく残るため、生活が苦しくなる可能性があります。
また子どもがいる家庭の場合、1人で子育てをしていかなければならないため、経済的にも精神的にも負担が大きくなるかもしれません。
自分のケースに当てはめて、準備すべきかどうかを考えてみると良いでしょう。
葬儀費用としてのこしたい場合
葬儀費用として死亡保険金をのこしたい場合、一般的には1000万円の金額を組めば十分対応できるかと考えられます。
鎌倉新書が公表した「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」によると、葬儀の平均的な費用は118.5万円でした。
詳しく見てみると、一般葬で161.3万円、家族葬で105.7万円、一日葬で87.5万円、直葬で42.8万円となっています。
こうしてみると、葬儀の種類によってかかる費用は異なるものの、1000万円の死亡保険金はどの葬儀をするにしても十分だと考えられます。
一般的には大きな死亡保険金を組むほど支払う保険料は高くなっていくため、葬儀費用をカバーするくらいの死亡保険金でよい場合は、保険金を下げて保険料の負担を小さくしても良いかもしれません。
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死亡保険はいくら必要?必要保障額の計算方法
実際に死亡保険金はどの程度必要なのでしょうか。
ここでは、「必要保障額積み上げ方式」についてご紹介します。
必要保障額の計算については、「必要保障額=公的年金+貯蓄額-葬儀費用-生活費-子どもの教育資金」の計算式に当てはめて考えてみましょう。
遺族年金と貯蓄を足し合わせ、これからかかる葬儀費用や生活費、子どもの教育資金を引き算して不足する金額が、死亡保険で備えておきたい金額です。
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死亡保険の必要保障額の計算例
ではここからは、実際にどれくらいの死亡保険金が必要になるのか、共働き会社員の場合と自営業の場合に分けて、それぞれ具体的に必要保障額を計算していきます。
共働きの会社員の場合
まずは、「40歳の共働き会社員夫婦」を例に紹介します。
先ほどご紹介した必要保障額の計算式に当てはめて考えていきます。
万が一世帯主がなくなってしまった時の遺族年金が月に15万円、貯蓄額が500万円、葬儀費用が200万円、月々の生活費が30万円、子どもの教育資金が1000万円必要だと仮定します。
また、65歳まで就労すると仮定したときの必要保障額を計算してみます。
この場合だと、死亡保険金額1000万円では非常に心許ない金額であることがわかります。
自営業の場合
では次に自営業の場合を例にとって考えてみたいと思います。
先ほどと同じ条件で計算し、会社員の場合と自営業の場合でどういった違いがあるのかを確認していきます。
気を付けないといけないポイントは、「遺族年金」になります。
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金から成り立っており、自営業者の場合は「遺族厚生年金」の受給がありません。
つまり、万が一があったときに受け取れる遺族年金の金額自体が小さくなってしまうのです。
仮に遺族基礎年金を月に6万円とした場合、どれくらいの必要保障額が出てくるのでしょうか。
一般的に会社員と比べても必要保障額が大きくなることが考えられます。
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死亡保険の保障額の平均はいくら?
生命保険協会が公表した「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、2人以上世帯の死亡保険の保障額の平均は、世帯主で1258万円、その配偶者で691万円という金額となっています。
世帯の普通死亡保険金額の平均
先ほど紹介した生命保険協会が公表した資料によると、2人以上世帯の普通死亡保険金額の平均額は1936万円となっています。
また、かけられている死亡保険金額の大きさを見てみると、世帯主と配偶者を比較した場合、世帯主に対してより大きな死亡保険金がかけられている傾向にあることもわかります。
参考)月々の保険料の目安
では、死亡保険に加入するにあたって、毎月支払っていく保険料はどれくらいが目安になるでしょうか。
まず、最も世帯年間払込保険料が高い世帯は、「夫婦のみ(40歳未満)」および「末子高校・短大・大学生(最も小さい子どもの年齢が高校生以上)」であり、年間40万円を超えています。
最も高い「夫婦のみ(40歳未満)」で年間44.3万円、つまり月々約3.7万円の保険料負担となっています。
一方で、末子乳児(最も小さい子どもが乳児)の世帯と高齢無職夫婦(60歳以上)では、年間保険料が25万円を下回っており、月平均に直すと約2万円という結果になっています。
ただし、このデータには死亡保障以外の保険料も含まれていることには注意が必要です。
年齢別
民間の生命保険会社やJA、県民共済など全生命保険会社で加入されている死亡保険金額の大きさを「年齢別」で確認していきます。
世帯主の年齢別でみた場合、「30歳〜34歳」の世代で最も大きい死亡保険金額がかけられており、2526万円というデータが出ています。
次いで、「55歳〜59歳」で2504万円、「40歳〜44歳」で2475万円となっており、いずれの世帯においても2500万円ほどの死亡保険金額となってることがわかります。
まとめてみると、30代〜50代という「働き世代」や「子育て世代」に該当する世帯で大きな死亡保険金が掛けられている傾向にあるようです。
住宅ローンや教育費といった大きな出費があることも大きな要因ではないかと考えられます。
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年収別
次に年収別でみた場合はどうでしょうか。
全体を通していえることは「年収が高くなるにつれて加入している死亡保険金額は大きくなっている」ということです。
日本人の平均年収帯である400万円~500万円未満の世帯においては、1478万円の死亡保険金がかけらえているのに対して、年収が1000万円を超える世帯においては、3090万円の死亡保険金額が掛けられているようです。
年収が高いことで生活水準も高くなっており、日々の生活に必要なお金が多くなると考えられます。
よって、万が一のことが起こった後、生活水準をキープするために大きな死亡保険金が必要であることが見受けられます。
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世帯構成別
加入している死亡保険金額の大きさは、世帯の構成や人数によっても大きく変わってくることが考えられます。
世帯構成の中で最も死亡保険金額を多くかけているのは「夫婦+末子保育園児・保育園児世帯」となっており、世帯主で1784万円、配偶者で945万円となっています。
次いで「夫婦+末子小学生・中学生世帯世帯」で、世帯主が1668万円、配偶者が773万円となっています。
その他にも、扶養している子どもがいる世帯においては、いずれも世帯主の死亡保険金額は1500万円を超えています。やはり「子育て世代」においては、掛けている死亡保険金額は大きくなる傾向にあるようです。
万が一のことがあった場合に必要になるお金が大きいと考え、死亡保険に加入している人が多いのではないかと考えられます。
就労状況別
最後に、就労状況ごとに掛けている死亡保険金額の大きさを確認していきたいと思います。
掛けられている死亡保険金額については、世帯主と配偶者どちらにおいても「共働き(配偶者はフルタイム)世帯」が最も大きい金額となっており、世帯主で1490万円、配偶者で892万円でした。
夫婦ともに共働きかつフルタイムで仕事をしている場合は世帯年収が大きくなるでしょう。
よって、どちらか一方に万が一のことがあった場合には世帯年収が一気に少なくなり、収支のバランスが崩れてしまうことが想定されます。
そうならないように、世帯主、配偶者ともにある程度大きな死亡保険金額を準備しているのではないかと考えられます。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年4月1日-2025年4月30日)
死亡保険に加入する際のポイント
ここからは死亡保険に加入する際のポイントについて解説していきます。
加入を検討する場合は、自分の目的や意向に合った商品を選ぶことが大切です。
目的に合った死亡保険を選ぶ
まず大切なことは自分の目的にあった死亡保険を選ぶことです。
冒頭でもお伝えした通り、死亡保険には「定期保険」、「養老保険」、「終身保険」の3つのタイプがあります。
それぞれ特徴が違うので、自分にはどれが合うのかをはじめに考えてみましょう。
できるだけ毎月の保険料を抑えつつも大きな死亡保険が必要な場合は「定期保険」との相性が良いでしょう。
逆に掛け捨てではなく、お金が貯まっていくタイプの方がよければ「養老保険」や「終身保険」といった選択肢になるかと思われます。
また、養老保険には満期があるため、一生涯の保障が必要な場合は「終身保険」となるなど、商品ごとの特徴を把握した上で加入を検討しましょう。
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Q.学資保険と終身保険はどっちがいい?
学資保険と終身保険はどちらをかけるのが良いでしょうか。
商品性の違いを理解した上で、どちらの方が自分に合うのかを考えましょう。
学資保険は、一般的に「子どもの教育資金」を確保する目的で加入する保険です。
契約者である親が万が一亡くなってしまった場合、その後の保険料の払い込みは免除され、子どもが進学するタイミングで契約時に定めた満期保険金が受け取れる仕組みになっています。
終身保険は、「亡くなった直後からの生活資金」を確保する目的で加入するのが一般的です。
もちろん子どもの教育資金も含めた死亡保険金を設定することもできます。
親に万が一のことがあった場合は、将来の教育資金だけでなく、当面の生活費も不足する可能性があります。[object Object]
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定期的に保障額を見直す
契約する際に一度決めた死亡保険の金額はそのままにしておくのではなく、定期的に保障額を見直すことが大切です。
ライフステージの変化に伴って、必要な保障額は変わっていきます。
例えば、教育資金を例にとってみましょう。
子どもが小学一年生の時に万が一のことがあった場合、その後の小学校5年間から大学を卒業するまでの教育資金を準備する必要があります。
一方で子どもが大学1年生の時に万が一のことがあった場合は、残り2年分の教育資金が準備できていれば事足りるでしょう。
このように、どのタイミングで亡くなるかによって、その後に必要な保障額は変わってきます。
入ったら入りっぱなしではなく、定期的にメンテナンスをすることが大切です。
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まとめ
今回は「死亡保険は1000万円だと少ない?」という疑問について、解説していきました。
そもそも死亡保険には大きく分けて3種類の商品があり、それぞれに特徴があります。
加入を検討する際には自分の目的や現状に合ったタイプを選ぶことが大切です。
また、どれくらいの死亡保険をかけるかは人によってそれぞれです。
自分と家族のこれからの生活を考えた上で適正な保険をかけるように心がけましょう。
1人で考えるのは難しいこともあると思います。
そんなときは、一度ほけん必要度診断を利用して、過不足のない死亡保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。
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