医療保険の加入を検討する際、「健康診断は必要?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
原則として、医療保険の加入に際して健康診断の受診は必須ではありませんが、健康状態の告知は求められます。
この記事では、プロの視点から、健康診断の結果が医療保険の加入にどう影響するのか、告知の重要性、そして持病があっても加入できる保険の種類までを詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
医療保険に加入する際、健康診断は原則不要だが、告知は必須
健康状態が悪くても加入できる保険もある
健康なうちの加入で保険料がお得になることもある
目次
医療保険に加入する際は、健康状態などの告知が必要
医療保険に加入するには、加入手続き時点での健康状態を保険会社に告知しなければなりません。
告知した内容に基づいて、保険会社が保障を引き受けられるかどうかを判断します。
健康診断の提出が求められるケース
告知すべき内容は保険会社によって異なりますが、一般的に過去5年以内の病院の受診歴、および過去2年以内の健康診断の指摘事項が求められます。
どちらも単に「あり」「なし」で答えるだけではありません。
「あり」と回答する場合は、その詳しい内容も告知する必要があります。
通常、健康診断の結果表そのものの提出は求められません。
しかし、病院の受診歴や健康診断で指摘事項がある場合は、詳細告知として結果表の提出が必要になることがあります。
例えば、糖尿病などで、保険会社が病気に関連する複数の検査項目を確認し、総合的に判断するようなケースです。
より詳しい検査結果を提出することで、引受審査がより正確になり、保険に加入できる可能性が高まる場合もあります。
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医療保険の告知義務とは
医療保険は、病気やケガで入院・手術をした場合に給付金を受け取れます。
そのため、保険会社にとっては、保険に加入しようとする人が、入院・手術を受ける可能性がどの程度あるかを事前の審査で見極めることがポイントになります。
持病があったり、健康診断で重大な指摘を受けていたりして、通常より明らかに入院・手術を受ける可能性が高い人が保険に加入すると、加入者間の公平性や、将来の不測の事態に備える保険の本来の意味が失われるためです。
健康状態の告知は保険会社からの質問に答える形で行います。質問に対してありのままを回答することが、保険法で義務付けられています。
逆にいうと、保険会社から質問されていないことについて回答する必要はありません。
Q.2年以内に健康診断を受診していない場合はどうすれば良い?
A.2年以内に健康診断を受診していない場合は、その旨を告知します。保険加入のために健康診断を受診しなければならないという決まりはありません。
健康診断を受診をしていない以上、保険加入の妨げとなる不利な指摘もないため、保険加入が認められるケースが多いようです。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年6月1日-2025年6月30日)
Q.2年以上前に健康診断で受けた指摘は告知しないで大丈夫?
医療保険に加入するための健康状態の告知では、保険会社からの質問にありのまま回答しなければならない反面、質問されていないことについては回答する必要はありません。
そのため、2年以上前に受診した健康診断の指摘は、ただ指摘を受けただけなら告知する必要はありません。
ただし、2年以上前の健康診断で受けた指摘がきっかけとなり、その後病院を受診しているケースでは、過去5年以内の受診歴として告知する必要があるため、注意が必要です。
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健康診断の結果は医療保険の加入に影響する?
健康診断の指摘事項は、内容によっては保険加入に影響します。
数値によっては保険会社の定める基準から外れてしまい、保険加入が制限されたり、条件が付いたりする場合があります。
要経過観察と指摘された場合
健康診断の指摘のうち「要経過観察」は、その時点では治療や精密検査が必要ないものの、経過を観察して数値の変化などを見守る必要がある状態を指します。
指摘の中では程度が軽いため、保険会社の中には要経過観察については告知を求めない会社も少なくありません。
告知を求められた場合は、ありのままを告知する必要があります。
しかし、健診での指摘が要経過観察に留まっている場合は、そもそも数値自体が正常値の基準から大きく逸脱しているわけではないケースがほとんどです。
そのため、健康リスクを評価する保険会社の審査基準には収まっていることが多いと考えて差し支えないでしょう。
要再検査・要精密検査と指摘された場合
健康診断で、要経過観察よりも重い指摘が要再検査・要精密検査です。
数値の異常があるため、改めて同じ検査を実施して、異常が一時的なものか持続しているものかを調べたり、さらに詳しい検査を行って状態を確認することになります。
医療保険の申込みで、2年以内の健康診断で要再検査・要精密検査の指摘を受けている場合は指摘内容を告知する必要があります。
その後、申込みまでに実際に医療機関で再検査や精密検査を受けている場合は、その検査内容や結果についても告知します。
保険会社は健康診断で異常のあった項目について、最新の検査結果を求めています。
要治療と診断された場合
要再検査・要精密検査よりもさらに重い指摘が要治療です。
検査結果から病気の可能性が高いため、速やかに病院を受診して治療を開始する必要があります。
医療保険の申込み手続きは、要再検査や要精密検査のときと同じです。
健康診断結果を告知したうえで、手続きまでに病院を受診していた場合は最新の検査結果を告知します。
治療が始まっていればその内容も告知することになります。
最新の状態を詳しく告知できるように、診断名や治療内容を医師に確認しておきましょう。
健康診断の結果が悪くても加入できる可能性のある医療保険
健康診断の結果に不安がある場合でも、医療保険への加入を諦める必要はありません。
特定の条件を満たせば、通常の保険以外にも選択肢があります。
引受基準緩和型医療保険
「引受基準緩和型」の医療保険は、「限定告知型」と呼ばれることもあります。
申込み時の告知の質問が少ないため、持病があったり健康診断で指摘を受けたりしていて、通常の医療保険には加入できない人でも保障を引き受けてもらえる可能性のある保険です。
健康に不安のある人が加入しやすい分、保険料は通常の医療保険に比べて割高です。
また、保障内容に制限が設けられている場合もあります。
通常の医療保険に加入できない場合に、初めて検討する選択肢といっていいでしょう。
あなたの年齢で持病がある方向け医療保険の保険料はいくら?

無選択型医療保険
医療保険の中には加入申込みの際に健康状態の告知が必要ない「無告知型」と呼ばれる商品もあります。
告知そのものがないため、どんな病気を患っていても加入することができます。
保険会社にとっては給付金を支払う可能性が高いため、引受基準緩和型以上に保険料は割高となります。
引受基準緩和型の医療保険にも加入できない場合は選択肢となり得ますが、保障内容が毎月支払う保険料と見合っているか、加入にあたっては十分に検討する必要があるといえるでしょう。
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健康状態が良いときに医療保険に加入するメリット
健康なうちに医療保険へ加入すると、選べる商品の幅が広がり、保険料もお得になる可能性が高まります。
健康状態が良いときに医療保険に保険に加入するメリットについて解説します。
多くの保険会社から選べる
健康状態が保険会社の基準の範囲内であれば、引受基準緩和型や無告知型を利用せずに、通常の医療保険に加入できる可能性が高まります。
多様な商品が選択肢となるため、細かく比較して自分のニーズにあった保険商品を選ぶことができます。
保険料も比較的抑えられるため、健康なうちに保険加入を検討することは、メリットが大きいといえるでしょう。
保険会社によって強みの異なる商品が販売されており、保険料も異なるため、最初から1社に限定せず、複数の商品を比較して決めることがポイントです。
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健康体割引(優良体割引)が受けられる
医療保険の保険料は性別と年齢で決まっていますが、保険会社によっては、「健康体割引(優良体割引)」と呼ばれる保険料の割引制度を導入している会社もあります。
健康診断結果表で、特定の項目の数値が保険会社の求める基準に収まっていれば、同性・同年齢の標準的な保険料よりも安い保険料で保険に加入することができます。
特定の項目としてはBMIや血圧、喫煙歴などが問われることが一般的です。
これらの数値が基準内であれば、病気やケガで入院・手術を受けるリスクが低いと考えらえることが割引の理由です。
保険料を数十パーセント抑えることもできるため、商品比較の際に確認しましょう。
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健康診断の費用は公的医療保険でカバーされる?
健康診断の費用は、原則として公的医療保険の対象外であり、自己負担となります。
ただし、治療を目的として検査を受ける場合は、公的医療保障の対象になります。
公的医療保険適用にならないケースとなるケースに分けて、保険のプロが解説します。
健康診断の費用は原則、公的医療保険の対象外
健康体割引を利用する場合など、保険加入にあたって、健康診断を受診していることが加入の条件となっているケースがあります。
勤務先の定期健康診断を活用することが一般的ですが、個人事業主や主婦など勤務先がない場合は、個人で健康診断を受診することもあるでしょう。
この場合の健康診断は公的健康保険制度の対象とならず、費用は原則、すべて自己負担となることに注意が必要です。
ただし、保険会社の指定する病院で検査を受ければ、費用が保険会社負担となるケースもあるため、保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。
公的医療保険が適用となるケース
一般的に、検査費用が保険適用となるのは医師の指示で治療を目的として検査を受けるケースに限られます。
保険に加入するための健康診断は治療目的には該当しないため、費用は原則自己負担となります。
医療保険の加入前にできる健康管理のポイント
医療保険は万が一の備えですが、何よりも健康な生活を送ることが重要です。
普段の生活習慣の見直しや定期的な健康診断の受診など、医療保険の加入前にできる健康管理のポイントを紹介します。
普段の生活習慣を見直す
医療保険は病気やケガによる入院・手術費の備えとなりますが、経済的にも生活の質の観点でも、病気やケガは経験しないに越したことはありません。
病気やケガのリスクを遠ざける普段の健康管理が、最大の備えになることを忘れてはいけません。
適度な運動や栄養バランスの取れた食事が生活習慣病のリスクを下げることは広く知られています。
保険について考えることを機に、生活習慣の見直しもあわせて考え、総合的にリスクに備えると良いでしょう。
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定期的に健康診断を受診する
厚生労働省の「国民生活基盤調査」によると、20歳以上で過去1年間に健診や人間ドックを受けたことがある人は、男性が73.1%、女性が65.7%となっています。
男女ともに「50~59歳」が最も多く、男性で81.6%、女性で73.4%でした。
定期的な健康診断の受診は健康管理に役立ちます。
身体の異変に早いタイミングで気づくことができるためです。
早期発見から速やかに治療につなげれば、異変が長期間放置されることによる重症化のリスクを避けることができます。
健康診断は受ければ終わりではなく、診断結果と向き合うことが大切です。
(参考:令和4年国民生活基礎調査|厚生労働省)
健康診断で異常があった場合は早期に受診する
健康診断の結果は必ず確認しましょう。
要再検査以上の異常指摘があった場合は、自己判断で先送りにするのではなく、早めに病院を受診することが大切です。
生活習慣の改善や治療の開始が早ければ、症状の悪化を防ぎ、病気の完治につなげられる可能性も高まります。
持病があると医療保険の加入に制限がかかることがありますが、将来にわたって決して覆らないわけではありません。
病気が完治したり、症状が安定したりすると、一定期間を経て保険に加入することができるケースもあります。健康診断の結果表は自分の健康と向き合う貴重な手がかりです。
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まとめ
医療保険の加入に健康診断は原則不要ですが、健康状態の告知は必須です。
過去の受診歴や健康診断の指摘事項(要再検査・治療など)は正確に伝えましょう。
健康に不安があっても、告知項目が少ない引受基準緩和型医療保険や、告知不要の無選択型医療保険といった選択肢があります。
健康なうちに加入すれば、選べる保険の幅が広がり、健康体割引でお得になる可能性もあります。
定期的な健康診断と適切な健康管理は、病気の早期発見・治療に繋がり、結果的に保険加入にも有利に働きます。
もしものときに安心して治療を受けるためにも、この機会に医療保険への加入を検討してみると良いでしょう。
あなたの年齢で医療保険の保険料はいくら?
