「腎不全でも保険に入れる?」「どんな保険に入っておけば安心?」と保険選びに悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
腎不全を抱えていると、生命保険の加入に制限がかかる可能性があります。
しかし、中には腎不全でも入りやすい保険種類もあるので、保険加入をすぐに諦める必要はありません。
今回は、腎不全でも入りやすい保険のご紹介や、保険選びのポイントについてプロが詳しく解説していきます。
この記事を読んでわかること
慢性腎不全では基本的に通常の医療保険や死亡保険への加入は難しい
急性腎不全の場合、一部の保険会社では完治後1年以上経過していれば加入できるケースもある
引受基準緩和型の保険であれば、腎不全でも入りやすい
腎不全でも生命保険に入れる?
腎不全には、大きく分けて次の2種類があります。
- 急性腎不全・・・数時間~数日の間に急激に腎臓の機能が低下する状態
- 慢性腎不全・・・数カ月~数十年かけて、腎臓の機能が徐々に低下し、腎臓の濾過能力が悪くなる状態
急性腎不全の場合、一部の保険会社では完治後1年以上経過していれば加入できるケースもあります。
一方、慢性腎不全では基本的に通常の医療保険や死亡保険への加入は難しくなります。
腎不全でも入りやすい保険種類もあるので、すべての保険に加入できないわけではありません。
持病がある方向け医療保険の保険料を確認する

腎不全でも入りやすい保険
腎不全でも入りやすい保険の特徴や、メリット・デメリットについて保険のプロが解説します。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、通常の保険よりも加入時の告知項目が緩和されていて、持病があっても入りやすい保険のことです。
医療保険や死亡保険、三大疾病保険で引受基準緩和タイプを取り扱っている保険会社が多く、ニーズに合わせて商品を選ぶことができます。
通常の保険と比べると保険料が割高になっているデメリットはありますが、腎不全を抱えていても比較的検討しやすく、持病の悪化も保障される点はメリットといえるでしょう。
保険会社によっては、加入から一定期間、保障が削減されるものもあるため、加入時には注意しておきましょう。
参考)引受基準緩和型保険の告知項目
保険会社によっても告知項目は異なりますが、一般的な引受基準緩和型保険の告知項目は次のとおりです。
腎不全であれば、過去1年~2年の間に入院・手術歴がなければ申込みが可能です。
引受基準緩和型医療保険にがんや三大疾病の特約を付加する場合、追加の告知が必要になることがあります。
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無選択型保険
無選択型保険とは、加入時に健康状態に関する告知がいらない保険のことです。
どんな健康状態の人でも加入できるメリットはありますが、その分引受基準緩和型保険よりも保険料は割高になります。
また、加入から一定期間は保障されない「免責期間」が設けられている商品が多くなっています。
まずは引受基準緩和型保険で加入できる商品がないかを確認したうえで、難しい場合に無選択型保険を検討するのが良いでしょう。
がん保険
急性腎不全の場合、がん保険へは問題なく加入できる可能性があります。
保険会社によっても診査基準は異なりますが、急性腎不全が完治していればさらに検討しやすくなります。
ただし、慢性腎不全の場合はがん保険への加入も難しくなってしまいます。
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腎不全の人が備えておきたいリスク
腎不全を抱えていると、病状が悪化することへの不安など、さまざまなリスクを感じるかもしれません。
ここからは、腎不全の人が備えておきたいリスクと、おすすめの保険について解説します。
入院が長引くリスク
慢性的な腎臓病を抱えていると、いざというときの入院が長引く可能性があります。
医療保険を検討するときは、長期の入院もカバーできるようにしておくと安心です。
長期入院をカバーするには、次のような方法があります。
- 支払限度日数を長くする(120日型など)
- 入院日額を多めにしておく
- 生活習慣病での入院を無制限で保障する特約を付加する
既に腎不全に罹患している場合は通常の医療保険への加入が難しくなるため、引受基準緩和型医療保険を検討しましょう。
参考)慢性腎臓病の平均在院日数
2023年の厚生労働省による調査では、慢性腎臓病の平均在院日数は57.3日となっています。
全体の平均在院日数の28.4日と比較すると、非常に長いことがわかります。
また、慢性腎臓病の平均在院日数は高齢になるとさらに長期化する傾向にあり、70歳以上では平均70日を超えます。
長期入院のリスクに備えて、医療保険の保障内容を検討しておくと安心です。
(参考:令和5年 患者調査の概況|厚生労働省)
通院治療が長引くリスク
腎不全などの慢性的な腎臓病を抱えていると、退院後にも定期的な通院が必要になることがあります。
また、腎不全が進行して透析治療が必要になる可能性もあります。
医療保険に通院特約を付加していれば、入院前後の通院も一定期間保障対象になるため、腎不全を抱えている人にはおすすめです。
近年では、引受基準緩和型医療保険に通院特約を付加できる商品も増えています。
ただし、通院特約の保障対象となるには必ず「入院」が必要になります。
保障対象となる通院の日数も保険会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
万が一のリスク
自分に万が一のことがあったとき、家族が経済的な負担がかかるリスクがある場合は、死亡保険を検討しましょう。
特に、成人前の子どもがいる家庭であれば、死亡保険の必要性は高くなります。
一方、単身者の場合はそこまで大きな死亡保障を用意しておく必要性はないかもしれません。
両親や兄弟に葬儀費用だけでものこしたい、と考える人は数百万円程度の死亡保障を持っておくと良いでしょう。
腎不全を抱えていると通常の死亡保険に加入できない可能性があるため、引受基準緩和型の死亡保険を検討するのがおすすめです。
腎不全で受け取れる保険金(給付金)
腎不全に罹患したとき、生命保険で受け取れる保険金(給付金)にはどんなものがあるのでしょうか。
生命保険のプロが詳しく解説します。
医療保険
医療保険に加入していた場合、腎不全で入院や手術を受けたら給付金が支払われる可能性があります。
医療保険で受け取れる可能性がある給付金
- 入院日額給付金
- 入院一時金(特約を付加していた場合など)
- 手術給付金
入院日額給付金は、入院した日数ごとに受け取れるものです。
1回の入院で何日まで保障されるかは、保険加入時に選ぶことができます。
入院一時金は、入院日数に関係なく1回の入院でまとまった一時金を受け取れるタイプの保障です。
また、腎不全で手術を受けた場合には、手術給付金を受け取れる可能性があります。
保険会社によっては保障対象になる手術が限られていることもあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
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特定疾病保険
生活習慣病に備える特定疾病保険に加入していた場合、腎不全に罹患した時に給付金を受け取れる可能性があります。
保険会社によって、腎不全で給付金を受け取れる条件は異なります。
入院や通院をした時点で受け取れる場合と、人工透析が必要になった時点で受け取れる場合など、商品ごとに差があります。
保険選びをする際には、いくつかの商品で比較して検討するのがおすすめです。
腎不全は七大・八大生活習慣病に含まれるため、三大疾病保険では保障対象とならない点にも注意しましょう。
Q.人工透析で受け取れる保険金(給付金)はある?
A.医療保険では「入院」が受取り条件となるため、通院による人工透析では受け取れないことが一般的です。
医療保険は基本的に「入院」に備える保険のため、通院で人工透析治療をしている場合には給付金は受け取れません。
ただし、通院特約を付加している場合、入院前後の通院治療が保障対象になります。
通院特約の保障対象となる日数は保険商品によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
また、一部の特定疾病保険では、透析治療が必要になったときに一時金を受け取れるものもあります。
加入している保険の保障内容を再度確認しておきましょう。
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腎不全とは
腎不全とは、なんらかの原因で血液を濾過する腎臓の「糸球体」が詰まり、老廃物を十分に排泄できなくなる状態を指します。
腎臓の働きが正常の30%以下に低下した場合、腎不全と診断されます。
慢性腎不全の状態になると、腎機能は回復不可能になるとされています。
腎不全の主な症状
- 尿の回数、量、色の異常
- 動悸、息切れ
- 貧血
- むくみ
- だるさ、食欲不振、吐き気
- 発熱
- 高血圧 など
自覚症状があると、すでに症状が進行していることも考えられます。
異常を感じたらすぐに医師の診察を受けましょう。
腎不全の原因
腎不全の原因は、急性腎不全と慢性腎不全で異なります。
急性腎不全の原因はさまざまで、腎前性・腎性・腎後性の3つに分類されます。
治療方針も原因によって異なります。
一方、慢性腎不全は肥満や運動不足などの生活習慣が原因で、長い時間をかけて病状が進行していくとされています。
特に、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を抱えていると、動脈硬化が進行して腎不全につながる恐れがあります。
慢性腎臓病の進行度
腎不全の進行度は、GFR(腎機能を表す値)によってステージ1から5までに分けられています。
ステージ1~2の段階であれば、治療や生活習慣の改善によって腎機能が回復する可能性があります。
ステージ3に進行すると、GFRが正常値と比較して半分程度になり、夜間の多尿など自覚症状が現れ始めます。
この段階になると、生活習慣だけでなく薬物治療が検討されます。
ステージ4~5は、腎機能が30%未満にまで低下した状態で、腎不全と診断されます。
この段階になると腎機能を回復させることは難しく、できるだけ透析治療を遅らせるために治療を続けていくことになります。
腎不全の治療
腎不全の治療は、急性腎不全と慢性腎不全で異なります。
急性腎不全は、原因に応じて適切な治療を行うことで腎機能の回復を見込めます。
場合によっては食事療法が必要になることもあります。
慢性腎不全の場合、進行を食い止めることが基本的な治療の考え方になります。
食生活などの生活習慣を改善し、進行度によっては腎臓の炎症を抑えるための薬剤治療や、血圧を下げる治療をすることもあります。
腎機能の低下が進行すると、透析治療や腎移植が検討されます。
Q.腎不全の治療で透析は必ず必要?
A.透析治療は、CKDステージ4(腎機能が正常の30%未満)から検討されます。
腎機能障害の初期の段階では、生活習慣の改善等で腎機能が回復する可能性もあります。
しかし、腎機能が正常の30%未満となって腎不全と診断された場合、透析治療の検討段階に入ります。
すぐに透析治療をするわけではありませんが、できる治療を行って可能な限り透析治療を遅らせることが基本的な治療方針です。
腎不全で利用できる公的制度
腎機能障害や腎不全と診断されると、定期的な治療が必要になり、医療費の負担も大きくなっていきます。
ここからは、腎不全で治療をしている人が利用できる公的制度について解説していきます。
高額療養費制度
入院や手術で医療費が高額になった場合、高額療養費制度を利用して自己負担額を軽減させることができます。
高額療養費制度とは公的医療保険制度のひとつで、1カ月間で負担した医療費が上限額を超えたとき、差額が返還される仕組みになっています。
自己負担の上限額は、年齢や収入によって異なっており、現役世代の場合次の通りです。
例えば年収500万円の人で、1カ月の医療費が仮に100万円かかったとすると、高額療養費制度を利用した後の自己負担額は次の通りです。
8万100円+(100万円ー26万7000円)×1%=8万7430円
入院時の差額ベッド代や日用品のレンタル料金、先進医療の技術料など高額療養費制度の対象外となる費用もあることは念頭に置いておきましょう。
(参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省)
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医療費控除
医療費控除とは、1年間で支払った医療費が10万円(総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額×5%)以上だったときに適用される所得控除です。
医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。
確定申告時に、国税庁のサイトからダウンロードできる「医療費控除の明細書」を添付すれば、別途領収書の提出は必要ありません。
内容確認のために税務署から領収書の提出を求められる可能性もあるため、5年間は領収書の保管をしておくようにしましょう。
(参考:医療費控除の明細書|国税庁)
身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害があると認められたときに交付される手帳です。
1級から7級まで、障害の程度によって分けられており、1級が最も重くなります。
腎不全で透析を受けている場合、基本的に1級に認定されます。
身体障害者手帳を持っていると、一定の所得控除を受けられたり、医療費助成や支援制度を利用することができます。
(参考:障害者手帳|厚生労働省)
障害年金
障害年金とは、病気やケガで生活や仕事が制限されるようになったときに受け取ることができる公的年金の一種です。
国民年金加入者と厚生年金加入者で、受け取れる年金種類が異なります。
厚生年金加入者の場合、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金の受給資格よりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)を受け取ることができます。
人工透析を受けていると、原則として障害等級2級に認定されます。
ただし、初診日よりも前に一定期間の年金保険料を収めていることなど、受給には条件があります。
(参考:障害年金|日本年金機構)
まとめ
今回は、腎不全でも入りやすい保険や、保険選びのポイントについて解説してきました。
腎不全を抱えていると、通常の医療保険や死亡保険への加入は難しくなります。
引受基準緩和型保険であれば、過去1~2年以内の入院歴がなければ検討できる可能性があるため、通常の保険に加入できなかった人にもおすすめです。
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