脂質異常症(高脂血症)で治療を受けている人の中には、生命保険に入れるのか疑問に思っている人もいるかもしれません。
中性脂肪やコレステロール値によって、通常の保険に加入できるケースもあります。
また、脂質異常症でも比較的入りやすい保険種類もあります。
今回は、脂質異常症でも保険に入れる基準や、おすすめの保険についてプロが解説していきます。
この記事を読んでわかること
コレステロール値や中性脂肪値が基準内であれば、脂質異常症で治療中でも保険に入れる可能性がある
診査に落ちてしまったら、引受基準緩和型保険を検討するのがおすすめ
脂質異常症の人は、入院リスクや三大疾病への罹患リスクが高い
目次
脂質異常症(高脂血症)でも生命保険に入れる可能性がある
保険会社や保険種類によっても異なりますが、脂質異常症で治療をしていても治療状況や最新の数値によっては保険に入れる可能性があります。
また、健康診断の指摘のみで経過観察している場合も、比較的保険に加入しやすくなります。
一方で、治療をしていても数値が改善されていなかったり、合併症を発症している場合は加入を断られる可能性があります。
生命保険に加入するときの告知項目や、保険種類ごとの加入できるかどうかの目安を詳しく見ていきましょう。
生命保険加入時の告知項目
生命保険に加入するときには、健康状態についての告知が必要です。
一般的な生命保険の告知項目は次の通りです。
保険会社によっても告知項目は異なりますが、基本的には次の3点がポイントになります。
- 直近3カ月以内に医師の診察等を受けているか
- 過去5年以内に定期的に通院していた時期があるか、入院や手術を受けたか
- 過去2年以内の健康診断や人間ドックで指摘を受けていないか
脂質異常症で治療中の場合、「3カ月以内の通院歴」や「過去5年以内の治療歴」の項目に該当する可能性があります。
また、健康診断で中性脂肪やコレステロール値の指摘を受けている場合は、「過去2年以内の健康診断結果」の項目に該当します。
脂質異常症(高脂血症)の告知のポイント
脂質異常症で告知に該当する場合、押さえておきたいポイントは次の通りです。
- 治療開始時期
- 投薬名
- 最新の数値(中性脂肪/HDLコレステロール/LDLコレステロール)
- 入院の有無
- 合併症の有無
「いつから」「どんな」治療をしていて、「現在の数値」はどうなのかを告知するようにしましょう。
参考)コレステロール値の基準
上記の数値をクリアしていれば、比較的どの保険種類でも検討しやすいでしょう。
ただし、保険会社によって基準値は異なるので、これ以上の数値が出ていても加入できるケースもあります。
数値の基準は目安のひとつとしてください。
保険会社によっては入院歴がなければ入れる場合もあるので、1度診査に落ちても諦めず他社で検討してみるのがおすすめです。
脂質異常症(高脂血症)でも生命保険に入れる?【保険種類別】
保険種類によって、脂質異常症でも入れるかどうかの基準は異なります。
保険種類ごとの加入目安を見ていきましょう。
医療保険の場合
一般的に、中性脂肪400mg/dl未満、HDLコレステロール31mg/dl以上、LDLコレステロール200mg/dl未満の基準をクリアしていれば、通常の医療保険に加入できる可能性が高いでしょう。
保険会社によっては数値の基準がさらに緩やかな場合もあるので、治療でコレステロール値をコントロールできている場合は通常の医療保険を検討してみるのがおすすめです。
また、脂質異常症で合併症などがなければ、数値に関係なく検討できるとしている保険会社もあります。
一方で、未成年~30代など若いケースでは、厳しい判断になることがあります。
死亡保険などと比較すると、コレステロール値の基準を若干厳しく規定していることもあるため、加入できるかどうかはケースバイケースとなります。
一度加入審査に落ちてしまったとしても、すぐに諦めずその他の保険会社で再度検討してみましょう。
加入が難しい場合は、引受基準緩和型医療保険もおすすめです。
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Q.脂質異常症でも共済に入れる?
A.現在のコレステロール値によっては入れる可能性があります。
脂質異常症でも、コレステロール値をコントロールできていれば共済に入れる可能性はあります。
例えばかながわ県民共済の場合、脂質異常症に関して次のように定めています。
保障開始日現在、被共済者の年齢が満30歳以上であること
契約申込日から過去において、「高血圧(症)」もしくは「脂質異常症(高脂血症)」を原因とする入院をしたことがないこと
契約申込日から過去90日以内の治療時に、医療機関で測定した最新の血圧、コレステロールまたは中性脂肪の数値が組合の定める一定の範囲内であること
(引用:「高血圧(症)」「脂質異常症(高脂血症)」で治療中の方|かながわ県民共済)
共済組合によって診査基準は異なるため、検討中の共済組合に一度問い合わせしてみても良いでしょう。
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がん保険の場合
がん保険は、脂質異常症を抱えていても比較的入りやすい保険です。
保険会社によっては、コレステロール値の基準を設けていなかったり、入院歴があっても検討できる場合もあります。
がん保険に加入する際の告知項目は、がんの発症に関係する症状や疾患について尋ねられることが一般的です。
脂質異常症は直接的にがんの発症と関連が無いため、比較的加入しやすくなっています。
万が一がん保険の診査に落ちてしまっても、他社で再度検討すれば加入できるものが見つかる可能性が高いでしょう。
三大疾病保険の場合
「がん」「心疾患」「脳血管疾患」に備える三大疾病保険ですが、医療保険と同様に保険会社が定める基準にコレステロール値や中性脂肪値が収まっていれば検討できる可能性があります。
ただし、脂質異常症の合併症などで入院歴がある場合、厳しい判断になることが考えられます。
脂質異常症は進行すると心疾患の発症リスクが高まるため、保険会社としてもリスクが高いと判断する場合があります。
三大疾病に備えておきたい人は、投薬治療等で数値がコントロールできているうちに加入を検討しておくのが良いでしょう。
もし診査に落ちてしまったら、引受基準緩和型三大疾病保険の検討もおすすめです。
生命(死亡)保険の場合
医療保険と同様、コレステロール値や中性脂肪値が保険会社の基準値内に収まっていれば、加入できる可能性があります。
ただし、入院歴があったり合併症を発症していると、保険料が割増になる条件が付いたり、加入を断られることもあります。
死亡保険の場合、医療保険よりも基準値を緩やかに定めている保険会社もあります。
一度通常タイプの死亡保険を検討してみて、加入が難しければ引受基準緩和型死亡保険を検討するのも良いでしょう。
Q.脂質異常症でも団信に入れる?
A.コレステロール値や中性脂肪値によっては検討できるケースもあります。
住宅ローンを組む際に検討する団信(団体信用生命保険)ですが、一般の生命保険と同様に健康状態に関する告知が必要です。
明確な診査基準は明らかにされていませんが、脂質異常症だからといって団信に入れないというわけではなく、数値や治療歴によって結果が異なります。
通常の団信へ入れなかった場合は、ワイド団信とよばれる引受基準緩和型の団信を検討するか、民間の死亡保険を団信代わりに活用する方法もあります。
就業不能保険の場合
病気やケガで働けなくなったときに備える就業不能保険ですが、脂質異常症でも加入を検討できる可能性があります。
ただし、他の保険種類と比べてコレステロール等の基準値が厳しめに設定されている場合もあります。
そのため、医療保険や死亡保険には加入できても、就業不能保険は断られてしまうケースもあります。
脂質異常症(高脂血症)で保険に入れないケース
保険加入に制限がかかる要因は、コレステロール値や中性脂肪値が高いこと以外にもあります。
脂質異常症で保険には入れないケースについて、詳しく見ていきましょう。
過去に脂質異常症やその合併症が原因で入院歴がある
脂質異常症を直接の原因として入院することは稀ですが、脂質異常症が進行して合併症による入院をすることはあります。
脂質異常症が原因で過去に入院歴があると、がん保険以外の保険種類は検討が難しくなります。
退院から1~2年経過していれば引受基準緩和型保険に加入できる可能性があるので、比較検討してみることをおすすめします。
抗血栓薬を服用している
脂質異常症の治療の中で、血液をサラサラにする「抗血栓薬」が処方される場合があります。
脂質異常症が進行すると動脈硬化が起こり、動脈に血栓(血液の塊)ができる恐れがあります。
虚血性心疾患等を予防する目的や、発症後の再発を抑えるために処方されます。
そのため、抗血栓薬を服用していると脂質異常症が進行していてリスクが高いと保険会社に判断され、保険に加入できない可能性があります。
主な血栓薬の一例
抗血小板薬:バイアスピリン錠、エフィエント錠、バファリン配合錠A81、プラビックス錠、パナルジン錠 など
抗凝固薬:ワーファリン錠、プラザキサカプセル、イグザレルト錠、エリキュース錠 など
年齢が若い
未成年~30代で脂質異常症の治療をしていると、保険会社によっては加入できないこともあります。
特に、先天的に発生する「家族性脂質異常症(高脂血症)」の場合、通常の保険への加入は難しくなります。
がん保険であれば比較的検討しやすいですが、それ以外の保険種類に関しては、引受基準緩和型保険を検討するのがおすすめです。
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脂質異常症を隠して生命保険に加入したらバレる?
「持病を隠して保険に入っても問題ない?」と考える人もいるようですが、給付金請求の際に発覚して大きなトラブルになる可能性があるので告知は必ず正しく行いましょう。
保険会社は、加入者から給付金請求があった際に、申込時の告知が正しかったかどうかを調査することがあります。
医療機関への調査を行ったり、健康保険の利用歴を参照することで、告知時の嘘が発覚するようになっています。
告知の内容に嘘があると「告知義務違反」と判断され、給付金が支払われなかったり保険契約が解除になることもあります。
不利益を被らないためにも、持病を隠して保険に入ろうとするのはやめましょう。
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脂質異常症でも入りやすい保険は2種類
脂質異常症を抱えていても比較的入りやすい保険があります。
それぞれのメリットとデメリットを詳しくお伝えします。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは
告知事項が緩和されている、持病がある方向けの保険のこと
脂質異常症でコレステロール値等が高かったり、過去に入院歴がある場合でも検討できる保険のひとつとして、引受基準緩和型保険があります。
主に医療保険や三大疾病保険、死亡保険で引受基準緩和型の商品が販売されています。
引受基準緩和型保険にはメリットとデメリットがあります。
脂質異常症でも比較的加入しやすく、持病の悪化も保障対象となる点は大きなメリットです。
一方、保険料が通常の保険と比べて割高な点には注意が必要です。
保障と保険料のバランスを見て、プランを決めることが大切です。
また、引受基準緩和型保険であっても、直近1~2年以内に入院・手術歴があると検討が難しくなります。
一般的な引受基準緩和型保険の告知項目は次の通りです。
保険会社によっても告知項目は異なるため、いくつかの商品で比較しながら加入できるものがあるかを探してみるのが良いでしょう。
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無選択型保険
無選択型保険とは、申込時に健康状態を問われない保険のことです。
健康状態に関係なく加入できるのはメリットですが、その分保険料は引受基準緩和型保険よりも割増しされています。
そのため、まずは通常の保険や引受基準緩和型保険で申込みをし、加入できるものが見つからなかった場合に無選択型保険を検討するのがおすすめです。
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脂質異常症(高脂血症)とは
脂質異常症(高脂血症)とは、血液中の資質濃度が基準値を超えている状態を指します。
原因のひとつとして考えられるのは、飽和脂肪酸が多い食事です。
飽和脂肪酸は肉の脂身やバター、インスタントラーメン等に多いといわれています。
コレステロール値が高いと指摘された人は、まず食事内容を見直すことが大切です。
脂質異常症の診断は、次の数値が基準となります。
治療方法
脂質異常症の治療は、低脂肪の食事を心がける食事療法や、運動療法など、生活習慣の改善から始まります。
お酒や喫煙を控えることも大切です。
コレステロール値がコントロールできない場合は、投薬治療を行うケースもあります。
また、脂質異常症の状態が続くことで動脈硬化のリスクが高まります。
そのため、定期的な血液検査や心臓や動脈の検査をして、動脈硬化を起こしていないかを見ていく必要もあります。
月に1回程度の通院治療が必要になることが一般的で、検査や投薬が必要な場合別途費用がかかります。
脂質異常症(高脂血症)の合併症
コレステロール値が高い状態が続くと、血管内に脂質が溜まり、血管が狭くなったり詰まったりすることで動脈硬化を引き起こす恐れがあります。
血液中の資質が多いと血栓(血液の塊)ができやすくなるため、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患や脳梗塞になるリスクが高まります。
脂質異常症自体に症状はほとんど見られませんが、気づかないうちに病状が悪化すると命を脅かす病気に罹患する恐れがあるため、注意が必要な病気です。
脂質異常症(高脂血症)の人が備えておきたい3つのリスク
脂質異常症の指摘を受けている人や、現在治療中の人が備えておきたいリスクについて詳しく見ていきましょう。
入院や手術のリスク
脂質異常症が進行すると、合併症により入院が必要になるリスクもあります。
医療保険で突発的な医療費負担に備えておくと安心です。
通常の医療保険の診査に落ちてしまったら、引受基準緩和型医療保険を検討してみましょう。
持病の悪化も保障対象となるため、健康に不安を抱えている人にもおすすめです。
参考)入院時の自己負担費用と逸失収入の総額
実際に入院が必要になったとき、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか。
生命保険文化センターの調査によると、入院1日あたりの自己負担額は平均2万700円となっています。
また、逸失収入(入院をすることで得られなかった収入)があったと答えた人は全体の17.4%で、1回の入院で平均30.2万円の逸失収入があったと回答しています。
入院時の医療費負担に備えておくだけでなく、その間の収入についてもあらかじめ考えておく必要があります。
特に自営業者やフリーランスの場合、入院が必要になるとすぐに収入が途絶えるリスクがあるため、注意が必要です。
三大疾病のリスク
脂質異常症は動脈硬化を引き起こす恐れがあり、虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが高いとされています。
がん・心疾患・脳血管疾患に備える三大疾病保険で備えておくと安心です。
三大疾病保険は、診断時や入院時にまとまった一時金を受け取れる保障内容になってるのが一般的です。
治療の結果コレステロール値が基準値に収まっていれば、通常の三大疾病保険を検討できる可能性があります。加入に制限がかからないうちに、保険で備えておくのが良いでしょう。
診査に落ちてしまったら、引受基準緩和型の三大疾病保険を取り扱っている保険会社もあるので、一度検討してみましょう。
参考)心疾患・脳血管疾患の平均在院日数
心疾患の平均在院日数は18.3日となっており、65歳以上では20日以上と長い傾向にあります。
また脳血管疾患の平均在院日数は68.9日と、他の病気と比べても非常に長いことが分かります。
入院日数の短期化が進む現在ですが、特に脳血管疾患はリハビリが必要になることもあり、長期入院のリスクがあります。
参考)心疾患・脳血管疾患の平均医療費
2023年の厚生労働省の調査によると、虚血性心疾患・脳梗塞の平均医療費は次の通りです。
【虚血性心疾患】 ※入院1日あたり
平均診療報酬点数 :14,558.7
医療費 :14万5587円
自己負担額(3割負担) :約4万3676円
【脳梗塞】 ※入院1日あたり
平均診療報酬点数 :4429.7
医療費 :4万4297円
自己負担額(3割負担) :約1万3289円
上記は入院1日あたりの医療費で、入院が長引くとそれだけ医療費も大きくなります。
特に脳梗塞などの脳血管疾患では、入院が長引き数カ月に及ぶ可能性もあります。
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万が一のリスク
自分に万が一のことがあったときに備えておきたい人は、死亡保険を検討しましょう。
特に、パートナーやまだ独立していない子どもがいる世帯では、死亡保障の必要性が高くなります。
のこされた家族が経済的負担を負わないよう、必要な保障を用意しておくことが大切です。
単身者の場合、そこまで大きな死亡保障の必要性は高くありません。
万が一のとき、両親や兄弟等に少しでも残してあげたいと考える人は、葬儀費用を賄える数百万円程度の死亡保障を用意しておくと安心です。
脂質異常症(高脂血症)を改善するには?
コレステロール値がコントロールできていれば、保険に入れる可能性もあります。
ここからは、脂質異常症を改善する方法をご紹介します。
食事や運動で体重を適正にする
脂質異常症を抱えている人の中には、肥満気味の人もいます。
まずは、体の余分な脂肪を落とすことが大切です。
飽和脂肪酸やコレステロールが多い食事を見直し、バランスの良い食事を心がけて体重を適正にすることで、数値の改善につながります。
また、食物繊維はコレステロールを体外に排出する効果があるとされているので、積極的に摂るよう心がけましょう。
体重管理の目標として、BMIを普通体重(18.5~25未満)に収めることをひとつの目安にすると良いでしょう。
BMIは「体重kg ÷ (身長m)2」で求めることができます。
(参考:BMIチェックツール|厚生労働省)
禁煙
喫煙は善玉コレステロールを低下させたり、血液をドロドロにしてしまう恐れがあります。
血圧を高める作用もあるため、注意が必要です。
脂質異常症の人は動脈硬化のリスクが高いため、禁煙を心がけるようにしましょう。
飲酒を控える
アルコールの過度な摂取は、中性脂肪を増やすとされています。
健康な食生活を心がけ、飲酒も控えるようにしましょう。
まとめ
今回は、脂質異常症でも保険に入れるのか、脂質異常症の人はどんなリスクに備えておくべきかを解説してきました。
コレステロール値が基準値内に収まっていれば、通常の保険を検討できる可能性もあります。
脂質異常症は進行すると命に関わる病気を引き起こす恐れもあるため、日々の生活に注意しながら、治療費負担には保険で備えておくようにしましょう。
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