健康診断で脂肪肝の指摘があったり、脂肪肝で定期的に通院していると、生命保険に入れるのか不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
脂肪肝でも、治療歴によっては通常の保険に入れる可能性があります。
今回は、保険会社の診査基準や、脂肪肝でも入りやすい生命保険をプロが解説します。
この記事を読んでわかること
脂肪肝でも、入院歴や合併症がなければ保険に加入できる可能性がある
肝炎や肝硬変に進行している場合など、病状によっては加入できないケースも
保険会社の診査に落ちてしまったら、引受基準緩和型保険の検討がおすすめ
脂肪肝でも生命保険に入れる可能性がある
脂肪肝の程度にもよりますが、健康診断での指摘や経過観察指示を受けている程度であれば、保険種類を問わず入れる可能性があります。
脂肪肝の治療は基本的に生活改善から始まります。
入院や投薬治療を受けておらず、経過観察をしている状態であれば、保険加入も問題ないことが多いでしょう。
ただし、保険会社によっては肝数値の基準を定めていることもあるため、数値が高すぎると加入を断られる可能性もあります。
Q.脂肪肝でも共済に入れる?
A.治療歴によっては入れる可能性があります。
共済も民間の保険と同様、加入時に健康状態に関する告知をする必要があります。
脂肪肝の場合、過去5年以内に脂肪肝や肝機能障害等で入院がないことを条件に加入できる場合もあります。
共済組合によって診査基準は異なるので、気になる場合は検討中の共済組合に問い合わせてみるのが良いでしょう。
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Q.脂肪肝でも団信に入れる?
A.治療歴や脂肪肝の程度によって異なります。万が一加入できなかった場合は、ワイド団信などを検討しましょう。
住宅ローンと併せて検討する団信(団体信用生命保険)ですが、脂肪肝でも治療歴によっては加入できる可能性があります。
団信の診査基準は公表されていませんが、肝機能の数値が高かったり入院歴がある場合は、加入を断られることもあります。
もし加入できなかったときは、ワイド団信とよばれる引受基準緩和型保険を検討するか、民間の死亡保険を団信代わりに利用するのもひとつの方法です。
脂肪肝で生命保険に入れないケース
脂肪肝の程度によっては、生命保険に加入できないこともあります。
ここからは、脂肪肝で生命保険に入れないケースや、保険会社の診査基準について見ていきましょう。
肝機能数値が保険会社の基準を超えている
脂肪肝で指摘を受けていて、肝数値が保険会社の定める基準を超えている場合、生命保険への加入を断られる可能性があります。
肝数値の目安は上記の通りですが、各数値のいずれかが高すぎるとその他の数値が基準値内でも加入できないこともあります。
保険会社によって基準も異なるため、一度診査に落ちてしまったら他の保険会社で検討してみるのも良いかもしれません。
入院歴がある
脂肪肝を直接治療する薬などはなく、まずは生活習慣の改善が必要です。
食事や運動療法で改善されれば良いですが、脂肪肝が進行して肝炎が疑われる病状になると入院が必要になることもあります。
脂肪肝で過去に入院歴があると、病状が進行していると判断され保険に加入できない可能性があります。
糖尿病や高血圧などの持病がある
脂肪肝は、糖尿病や高血圧と併発するケースもあります。
持病があると脂肪肝の薬物治療が必要になることがあり、保険会社の判断も厳しくなる傾向にあります。
通常タイプの医療保険や死亡保険には加入できない可能性もありますが、がん保険は脂肪肝以外の持病があっても比較的入りやすくなっています。
保険会社によっても診査基準は異なるため、診査に落ちてしまった場合は他の保険会社で検討するのも良いでしょう。
通常タイプの保険へ加入できない場合は、持病がある方向けの「[object Object]」がおすすめです。
肝炎や肝硬変に進行している
脂肪肝は放置していると、肝炎や肝硬変に進行する恐れがあります。
進行した状態では、保険種類に関係なく加入が難しくなってしまいます。
また、肝硬変に進行すると、持病がある方向けの「引受基準緩和型保険」でも検討できる商品が限られてしまいます。
脂肪肝は、生活習慣を変えることで改善が見込めます。
進行して治療が必要になってしまう前に、できるだけ日々の生活で健康を心がけることが大切です。
健康診断で指摘を受けているが再検査を受診していない
健康診断で脂肪肝の要再検査指摘を受けているのに、その後再検査を受診していないと、保険加入は難しくなります。
まだ再検査を受けていない人は、保険検討を機に再検査を受診するようにしましょう。
再検査の結果問題なければ、比較的保険には入りやすくなります。
保険会社によっては、健康診断結果と再検査結果の提出を求められる場合もあるので、事前に用意しておくとより安心です。
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脂肪肝でも入りやすい生命保険
脂肪肝で通常の保険に入るのが難しい人でも、検討できる保険種類があります。
ここからは、脂肪肝でも入りやすい保険種類と、メリット・デメリットについてプロが詳しく解説します。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、通常の保険と比べて加入時の告知項目が緩和されており、持病がある方でも入りやすい保険のことです。
引受基準緩和型保険には医療保険や死亡保険、三大疾病保険などさまざまな種類があり、ニーズに合わせて選ぶことができます。
通常の保険と比較して保険料が割高な点はデメリットですが、脂肪肝でも入りやすい点や持病の悪化も保障対象となることはメリットといえるでしょう。
通常の保険に加入できなかった人は、引受基準緩和型保険を検討してみましょう。
ただし、肝硬変に進行しているケースでは引受基準緩和型保険の加入も難しくなるため注意が必要です。
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参考)引受基準緩和型保険の告知項目
一般的な引受基準緩和型保険の告知項目は次の通りです。
告知項目のいずれにも該当しなければ、申込みが可能です。
がんや三大疾病に関する特約を付加する場合は、追加の告知項目に回答する必要があります。
保険会社によって告知項目には違いがあるため、複数社で比較して自分が検討できる商品があるかを探してみましょう。
複数の保険会社で比較してみる

無選択型保険
無選択型保険とは、加入時に健康状態が問われない保険のことです。
どんな健康状態の人でも加入できるメリットはありますが、その分引受基準緩和型保険よりも割高な保険料が設定されています。
また、加入から一定期間保障されない「免責期間」が設けられている商品も多いため、注意が必要です。
まずは引受基準緩和型保険で加入できるものがないか検討したうえで、難しい場合には無選択型保険を視野に入れて保険探しをするのがおすすめです。
脂肪肝の人が備えておきたいリスク
脂肪肝と指摘された人は、肥満を抱えていたり飲酒量が多いなど、生活習慣に何らかの課題があることが多いです。
そのため、健康な人と比べて健康上のリスクを抱えている可能性があります。
ここからは、脂肪肝の人が備えておくべきリスクと、おすすめの保険について解説していきます。
入院・手術のリスク
脂肪肝が進行すると、肝炎や肝硬変、さらには肝臓がんが生じる恐れがあります。
また、生活習慣に問題があると、さまざまな病気のリスクが高くなります。
将来の入院や手術に備えておきたい人には、医療保険がおすすめです。
通常の医療保険に加入できない場合は、引受基準緩和型医療保険を検討しましょう。
年齢を入れて医療保険の保険料を比較

参考)肝疾患の平均在院日数
2023年の厚生労働省の調査によると、肝疾患の平均在院日数は22.3日と比較的長めとなっています。
また、年齢が高くなるほど平均在院日数は長くなる傾向にあります。
肝疾患に加えて、糖尿病や高血圧などその他の合併症を抱えていると、さらに入院が長くなるケースもあります。
近年入院日数は短期化の傾向にありますが、病気によっては長期間入院するリスクがあることも念頭に置いておきましょう。
生活習慣病のリスク
脂肪肝が長期に渡り改善されないと、最悪の場合肝臓がんへと進行する恐れもあります。
また、脂肪肝の人の中には肥満を抱えている人も多く、糖尿病など生活習慣病のリスクも健康な人と比べて高いといえるでしょう。
生活習慣病のリスクに備えておきたい人は、三大疾病保険や七大・八大特定疾病保険を検討しましょう。
肝疾患に備えておきたい場合は保障範囲が広い七大・八大特定疾病保険がおすすめです。
生活習慣病に備える保険は、保険会社が定める要件に該当したときにまとまった一時金を受け取れるものが一般的です。
保障範囲や支払条件は保険会社によって異なるため、加入前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
肝疾患に備える保険を探す

参考)肝疾患の患者数
2023年の厚生労働省の調査によると、肝疾患の推計患者数は28.6万人となっています。
そのうち入院患者が5.5万人、残りの23.1万人は外来患者とされています。
肝疾患に罹患した場合、入院だけでなく通院治療が必要になる可能性があり、治療が長くなると医療費負担が家計に影響を与えることもあります。
万が一のリスク
自分に万が一のことがあったとき、経済的に困る家族がいる場合は、死亡保険を検討しましょう。
特に成人前の子どもがいる家庭の場合、死亡保険の必要性は高くなります。
一方、単身者であれば大きな死亡保険の必要性は低いでしょう。
万が一のことがあったとき、両親や兄弟にいくらかのこしたいと考える人は、葬儀費用をまかなえる数百万円程度の保障を用意しておくと安心です。
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脂肪肝で生命保険を選ぶときのポイント
脂肪肝と診断されている人が生命保険を選ぶ上で、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
ここからは、後悔しない保険選びのポイントをプロが詳しく解説します。
自分にとって必要な保障を整理する
保険を選ぶときには、まず自分にとってどんな保障が必要かを取捨選択して整理する必要があります。
主な保険種類と加入目的は次の通りです。
「医療保険とがん保険」「医療保険と死亡保険」のように、いくつかの保険種類を組み合わせて保障を用意することも可能です。
自分や家族が経済的に困る状況を洗い出し、リスクをカバーできる保険種類を選ぶようにしましょう。
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治療歴や最新の肝数値を把握する
脂肪肝と診断されている場合、治療歴や最新の肝数値を把握しておくようにしましょう。
保険に申込む際の「告知」では、脂肪肝についての詳細を記入する必要があります。
主に必要になるのは次の情報です。
- 診断時期
- 健康診断での指摘内容(要塞検査/要精密検査/要治療など)
- 最新の肝数値(γ-GTP・ALT・AST)
- 治療内容
- 入院の有無
- 合併症の有無
- 現在の状態(完治/経過観察中/治療中など)
健康診断結果や、病院での検査結果が手元にある状態で手続きを行うとスムーズです。
正しく告知を行う
保険会社が診査に必要とする情報を、正しく告知することも大切なポイントです。
「詳しく告知すると不利では?」と思う人もいるかもしれませんが、反対に告知内容が不十分だと、再告知を求められたり診断書の提出が必要になる可能性もあります。
また、最終的に保険に入れるかどうかを判断するのは、保険会社の担当者や医務職員です。
治療歴については誰が読んでもわかりやすいよう、時系列順に記載するよう心がけましょう。
参考)一般的な生命保険の告知項目
引受基準緩和型ではない通常タイプの保険の場合、一般的な告知項目は次の通りです。
主に次の3点がポイントとなります。
- 直近3カ月以内に医師の診察等を受けているか
- 過去5年以内に定期的に通院していた時期があるか、入院や手術を受けたか
- 過去2年以内の健康診断や人間ドックで指摘を受けていないか
最近では健康診断結果を問わない保険会社もありますが、一般的には過去2年以内の健康診断結果を問われることが多いでしょう。
脂肪肝の要再検査等の指摘を受けている場合、告知対象となるため注意しましょう。
また、脂肪肝で定期的に通院をしている場合、薬剤治療をしていなかったとしても告知に該当する可能性があります。
告知漏れがないよう、手続き時には告知項目を確認しましょう。
Q.脂肪肝を隠して保険に入っても良い?
A.あとから大きなトラブルにつながる可能性があるので、脂肪肝を隠して保険に入るのは絶対にやめましょう。
告知項目に該当するにも関わらず正しく告知せず保険に加入した場合、「告知義務違反」としてペナルティを受ける恐れがあります。
いざというときに給付金請求をした際、保険会社は加入時の告知内容が正しかったかを調査することがあります。
医療機関へのヒアリングや健康保険の利用歴などから、告知内容に虚偽があったと分かった場合、給付金は支払われず最悪の場合契約解除となることもあります。
脂肪肝が告知項目に該当する場合は、隠さずに必ず告知しましょう。
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診査に落ちたら引受基準緩和型保険を検討する
脂肪肝の治療歴や進行度によっては、通常の保険へ加入できないケースもあります。
もし保険の診査におちてしまったら、引受基準緩和型保険を検討するのがおすすめです。
「3カ月以内に入院や手術を勧められていない」「過去1~2年以内に入院や手術歴がない」「5年以内にがんや肝硬変の大きな病気で治療を受けていない」などの条件をクリアしていれば、申込みが可能です。
ただし、肝硬変と診断されている場合は検討できる商品に限りがあるため、注意しましょう。
当サイトにおける申込URLクリック数順(2025年3月1日-2025年3月31日)
脂肪肝とは
脂肪肝とは、肝臓に余分な脂肪が蓄積している状態をいいます。
脂肪肝そのものには自覚症状がほとんど無く、健康診断で肝数値の悪化を指摘されて発覚するケースが多くあります。
脂肪肝を放置すると、脂肪肝炎や肝臓の線維化を引き起こす恐れがあり、さらには肝硬変や肝臓がんといった命に関わる病気に進行することもあります。
肝数値の指摘を受けたら、食生活の見直しや適度な運動を心がけることが大切です。
脂肪肝になる原因
脂肪肝の一般的な原因は、飲酒や肥満とされています。
アルコールの摂取が原因の脂肪肝を「アルコール性脂肪肝(AFLD)」、アルコール以外が原因の脂肪肝を「非アルコール脂肪肝(NAFLD)」といいます。
アルコールが原因の場合は、飲酒量を減らすことで肝数値の改善が見込めます。
肥満や中性脂肪の上昇が原因の場合、食生活の改善や適度な運動が効果的です。
脂肪肝の人の中にはいわゆるメタボリックシンドロームの人も多く、まずは体重を適正値にすることがポイントになります。
参考)脂肪肝の分類
飲酒しない人の脂肪肝は、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)と診断されます。
その中でも、肝硬変や肝臓がんのリスクが低いとされるのが非アルコール性脂肪肝(NAFL)、肝疾患リスクが高いものが非アルコール性死亡肝炎(NASH)といわれます。
NASHは肝臓に蓄積された脂肪と炎症が原因となり、肝疾患による死亡リスクに注意が必要です。
脂肪肝の治療
脂肪肝の治療は、基本的に食事療法や運動など、生活習慣を改善するところから始まります。
アルコール性脂肪肝の場合は、飲酒を控えることが大切です。
脂肪肝は肥満と関連があることも指摘されています。
低カロリーの食事を心がけ、適正体重まで減量することを心がけましょう。
脂肪肝単体では基本的に薬剤治療は行われませんが、糖尿病や高血圧、脂質異常症を抱えている人の場合は薬剤治療をすることもあります。
糖尿病治療薬、脂質代謝異常治療薬やビタミン剤が効果的とされています。
まとめ
今回は、脂肪肝でも入りやすい保険や、保険を選ぶ際のポイントについて解説してきました。
脂肪肝の場合、入院歴やその他の合併症がなければ、通常タイプの保険に加入できる可能性があります。
一方、肝炎や肝硬変に進行していたり、糖尿病などの合併症がある場合は加入が難しくなります。
必要に応じて引受基準緩和型保険の検討も視野に入れましょう。
ほけんのコスパでは、複数の保険会社の医療保険や引受基準緩和型保険を掲載しています。
年齢と性別を入力するだけで簡単に保険料の見積もりをとることもできます。
ぜひ、保険選びの参考にしてください。
まずは通常の医療保険を探してみる
