家族や親戚が悪性リンパ腫と診断され、治療費がいくらかかるのか、頭のなかが不安でいっぱいになっている人もいるのではないでしょうか。
突然のことで気持ちの整理がつかないまま、お金の心配まで重なると、精神的な負担は非常に大きくなります。
本記事では、悪性リンパ腫の治療費目安から利用できる公的制度、民間の保険での備え方まで幅広く解説します。
既に医療保険やがん保険に入っている人も、入っていない人も、家族の状況をきっかけに自分の備えを見直したい人におすすめの内容となっています。
まずは、治療費の実態から見ていきましょう。
この記事を読んでわかること
悪性リンパ腫の治療には公的医療保険が適用される
高額療養費を利用すれば一般的な所得の人で1カ月の負担を約9万円まで抑えられる
自由診療や先進医療を選んだ場合は全額自己負担。民間の保険で備えを検討しましょう
目次
3.高額療養費制度をはじめ、治療費の負担を軽減できる公的制度
3-1.高額療養費制度
3-2.高額医療費貸付制度
3-3.医療費控除
3-4.傷病手当金
3-5.障害年金・障害手当金
5-1.医療保険とがん保険の違い
5-3.いつまで保障が必要かを判断する
5-4.複数の保険会社で比較する
悪性リンパ腫とは?主な治療法を解説
悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化する血液のがんです。
治療法や、病気の型や進行度によって異なります。
詳しく見ていきましょう。
悪性リンパ腫の主な治療法(化学療法/放射線治療/造血幹細胞移植)
悪性リンパ腫の治療は、抗がん剤や分子標的薬を組み合わせる多剤併用療法が中心です。
リンパ腫は血液全体に広がる性質を持つため、手術ではなく薬物療法や放射線治療が主軸になります。
薬剤の組み合わせは、がんの種類によってさまざまです。
例えば、非ホジキンリンパ腫に対してはCHOP療法にリツキシマブを併用するR-CHOP療法などが選択され、ホジキンリンパ腫にはABVD療法などが用いられます。
病期がI期やII期の限局期、比較的進行が遅いタイプの悪性リンパ腫では、化学療法に放射線照射を組み合わせることもあります。
治療の効果が十分に見られない場合は、自家末梢血幹細胞移植が検討される場合があります。
血液中の造血幹細胞をあらかじめ採取して凍結し、あらためて体内にもどす方法です。
治療法は一人ひとりの病型・病期・全身状態によって選ばれます。担当医と話し合ったうえで、治療方針を決めることが大切です。
(参考:リンパ腫の治療について|国立がん研究センター)
(参考:悪性リンパ腫|国立がん研究センター希少がんセンター)
悪性リンパ腫の治療費はいくら?平均額の目安
治療にかかる費用は、入院か通院か、どの治療法を受けるかによって異なります。
まずは、治療費用の全体像を掴んでおきましょう。
入院費用の目安(1日あたり・1回あたり)
入院にかかる費用は、治療費だけでなく食事代や差額ベッド代なども含めた総額で考える必要があります。
長期入院になるほど、負担額は積み上がっていきます。
2025年の生命保険文化センターによる調査では、入院1日あたりの費用は平均「2万4300円」となっています。
また入院1回あたりでは「18万7000円」で、10~20万円未満に該当したケースが全体の37%と最も多い結果となりました。
この平均費用は、高額療養費制度など公的制度を使った後の負担額です。
公的制度を利用しても、まとまった出費が発生する点は見過ごせないポイントです。
悪性リンパ腫の治療では、複数回にわたる入院や通院が必要になるケースが多いため、1回あたりの費用感を把握したうえで、治療期間全体でどの程度の負担になるかをイメージしておくことが大切です。
(参考:入院費用(自己負担額)はどれくらい?|公益財団法人 生命保険文化センター)
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治療法別の費用目安(化学療法/放射線治療/造血幹細胞移植)
治療方法によって、費用の内訳も異なります。
化学療法は投与する薬剤の種類や回数によって費用が変動し、複数クールにわたって繰り返されるため、通院を含めた総額で見る必要があります。
放射線治療は照射する範囲や回数に応じて費用が決まる仕組みです。
限局期のリンパ腫であれば、化学療法と組み合わせて短期間で終わることもあります。
造血幹細胞移植は、事前の検査や採取、移植後の管理まで含めた一連の医療行為となるため、入院期間が長くなりやすく、費用の総額も高くなる傾向があります。
どの治療法を受けるかは病型・病期によって決まるため、担当医から提示された治療計画にもとづき、公的医療保険や高額療養費制度でどこまでカバーされるかを確認する必要があります。
どの治療法でも、公的医療保険適用の治療であれば1カ月の自己負担上限が定められているため、費用の目安は立てやすいでしょう。
治療が長引くほど負担は大きくなるため、治療計画に基づいて費用をおおまかに確認しておくことが大切です。
公的医療保険適用の治療を受けた場合
悪性リンパ腫の治療は、基本的に公的医療保険が適用され、窓口での負担は1~3割に抑えられます。
化学療法や放射線治療、造血幹細胞移植も、厚生労働省が承認した標準治療であれば保険診療として扱われます。
そのため、治療費の全額を自己負担する必要はなく、高額療養費制度などの公的な仕組みと組み合わせて負担を抑えることができます。
後述しますが、高額療養費制度を利用すれば、一般的な所得世帯の場合1カ月の医療費負担は約9万円程度となります。
ただし、治療が長引くと毎月医療費が発生し、家計の負担が大きくなる可能性があるため注意が必要です。
また、未承認薬や適応外の治療法を選ぶ場合には、公的保険適用外となり全額自己負担になることもあります。
治療方針を確認する際は、保険適用の有無をあわせて把握しておくと、費用の見通しが立てやすくなるでしょう。
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先進医療を受けた場合の費用
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術のうち、保険診療への導入を評価している段階の療養です。
がん治療の分野でも、一部の技術が先進医療に指定されています。
先進医療の段階では保険診療が利用できないため、技術料は全額自己負担が必要です。
悪性リンパ腫の治療では、「テモゾロミド併用療法」が先進医療として認められています。
最大コースを実施した場合の自己負担費用は、約154万円です。
先進医療にかかる費用を自己資金でまかなうのは、負担が大きいと感じる人が多いでしょう。
民間の医療保険やがん保険に「先進医療特約」を付加していれば、かかった技術料部分をカバーできる可能性があります。
治療の選択肢を広げるためにも、加入している保険に先進医療特約が付いているか確認しておくことが大切です。
高額療養費制度をはじめ、治療費の負担を軽減できる公的制度
治療費が高額になっても、公的制度を組み合わせることで実際の負担額を抑えることができます。
ここからは、悪性リンパ腫の治療で利用できる公的制度を詳しく解説します。
高額療養費制度
高額療養費制度は、1カ月に支払った医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合、その差額が払い戻される制度です。
上限額は年齢や所得によって決まります。
70歳未満で年収がおおむね370万円から770万円の人であれば、医療費が100万円かかった治療を受けても、自己負担は約9万円以内に抑えられます。
直近12カ月のあいだに3回以上高額療養費に該当した場合は、4回目以降の上限額がさらに下がる「多数回該当」という仕組みも用意されています。
なお、2026年8月からは自己負担の上限額が段階的に見直される予定です。
あわせて、月単位の上限に届かない場合でも、1年間の自己負担合計が一定額に達すれば、それ以降の負担が不要になる「年間上限」が新設されます。
長期にわたって治療を続ける人にとって、負担の見通しが立てやすくなる変更といえるでしょう。
高額療養費の利用には、加入している健康保険への申請が必要になります。マイナ保険証を使って受診すれば、申請不要で医療機関の窓口で高額療養制度が適用されます。
高額医療費貸付制度
マイナ保険証を持っておらず、高額療養費の事後申請をする場合、実際にお金が振り込まれるまでに約3カ月ほどかかります。
その間の医療費支払いのために設けられているのが、高額医療費貸付制度です。
全国健康保険協会に加入している人であれば、高額療養費として支給される見込みの金額のうち8割相当額を、無利子で借りることができます。
窓口での支払いに困った際、当座の資金として活用できる制度です。
貸付を受けた金額は、実際に支給される高額療養費と相殺される仕組みのため、あらためて現金で返済する必要はありません。
医療機関への支払いが迫っている場合には、早めに加入先の協会けんぽ都道府県支部へ相談してみましょう。
(参考:高額医療費貸付制度|全国健康保険協会)
医療費控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円(1年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%の金額)を超えた場合に、所得から一定額を差し引くことができる制度です。
控除できる金額の上限は200万円です。
対象となるのは、医師による診療や治療の対価、治療に必要な医薬品の購入費、通院費などです。
悪性リンパ腫の治療が長引き、自己負担が一定額を上回れば、確定申告の際に医療費控除の申請が可能です。
悪性リンパ腫以外の治療にかかった費用も合算できるため、医療機関で受け取った領収書はすべて保管しておきましょう。
(参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁)
傷病手当金
傷病手当金は、会社員・公務員を対象とした制度で、病気やケガで働けなくなった場合に支払われます。
支給されるのは、連続する3日間を含めて4日以上仕事に就けなかった場合です。
1日あたりの支給額は、直近12カ月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に、3分の2を乗じた金額が目安になります。
収入の約3分の2が支払われると見積もっておいて問題ないでしょう。
支給期間は、支給が始まった日から通算して1年6カ月です。
悪性リンパ腫の治療で長期間の休業が必要になった場合、大切な収入源になる制度です。
ただし、自営業やフリーランスの人は対象外となる点と、給与の満額保障ではない点に注意しましょう。
(参考:傷病手当金|給付と手続き|全国健康保険協会)
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障害年金・障害手当金
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事が制限されるようになった場合に受け取れる年金です。
受給には、障害の状態が定められた等級に該当していることと、保険料の納付要件を満たしていることが必要です。
初診日に国民年金保険に加入していた人は「障害基礎年金」、厚生年金保険に加入していた人は「障害厚生年金」の対象となります。
障害厚生年金に該当する程度よりも軽い障害がのこった場合には、一時金である障害手当金が支給される仕組みもあります。
悪性リンパ腫の治療により長期の療養が必要になり、障害の状態が一定の基準に当てはまる場合は、障害年金を請求できる可能性があります。
(参考:障害年金(受給要件・請求時期・年金額)|日本年金機構)
▶ 公的制度を確認したら、次は自分の場合をチェック
高額療養費制度や医療費控除で軽減できる範囲がわかったところで、「自分にはどれくらいの保障が必要か」を診断してみましょう。ほけんのコスパの30秒診断なら、医療保険で備えておくべき保障額を診断できます。
公的制度だけでは足りない費用と、保険での備え方
日本の公的医療保険制度は充実していますが、治療にかかる費用をすべてカバーできるわけではありません。
差額ベッド代や先進医療費、収入減少分などを加味して、民間の保険で備えておくことが大切です。
保険でどのくらいの保障額を準備すべき?
公的医療保険や高額療養費制度を利用しても、医療費として1カ月に数万円の出費は発生します。
また、入院時の食事代や差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは自己負担のままです。
休業による収入減少も見過ごせないリスクです。
入院1日あたりの平均費用は2万円を超えますが、だからといって医療保険の入院日額を2万円に設定すると保険料が高くなってしまいます。
入院日数に関係なく受け取れる「入院一時金」や、放射線治療も対象になる「手術給付金」を上手に利用してプランを組むのがおすすめです。
なお、既に悪性リンパ腫と診断されたあとに新しく保険へ加入しようとしても、健康状態の診査に通らず加入を断られることがほとんどです。
家族や身近な人が罹患した場合は、これを機に自身の保障内容を見直してみましょう。
「いくら保障を準備すべきか」の考え方がわかったら、実際の保険料シミュレーションツールで、自分の年齢や条件に合わせた保険料をその場で試算してみましょう。数字で確認することで、備えるかどうかの判断がしやすくなります。
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自分に合った医療保険・がん保険を選ぶポイント
医療保険とがん保険は、それぞれ保障の範囲が異なります。
特徴やメリットを理解したうえで、自分に合った保障を選ぶことが大切です。
では、保険選びのポイントを詳しくご紹介します。
医療保険とがん保険の違い
医療保険は、病気やケガによる入院・手術全般を保障する保険です。
悪性リンパ腫はもちろん、その他の病気やケガにも備えられる点がメリットです。
一方がん保険は、がんによる治療に特化した保障を用意できる保険です。
がんと診断された時点でまとまった診断給付金を受け取れるものや、抗がん剤や放射線治療を受けた月ごとの給付金を受け取れるものなど、通院治療が中心となる場合でも保障を受けやすい点がメリットです。
三大疾病保険や七大・八大特定疾病保険は、がんを含む複数の重い病気を対象とする保険で、保障範囲をさらに広げたい人に向いています。
どの保険を選ぶかは、既に加入している保障とのバランスを見ながら判断することが大切です。
| 主な保障範囲 | 向いている人 | |
| 医療保険 | 病気・ケガによる入院・手術全般 | 幅広い病気やケガの入院に備えたい人 |
| がん保険 | がんによる治療 | がんに特化した保障を厚くしたい人 がんの通院治療にも備えておきたい人 |
| 三大疾病保険など | がん・心疾患・脳血管疾患などの重い病気 | 重い病気全般への備えを広げたい人 |
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いざというときに必要な費用を把握する
保険を選ぶ前に、いざというときにかかる費用の全体像を把握しておくことが欠かせません。
治療費だけでなく、収入減少や通院にかかる交通費なども含めて考える必要があります。
入院1回あたりの自己負担費用の平均や、高額療養費制度を利用したあとの自己負担額を基準にすると、必要な保障額のイメージがつかみやすくなります。
そのうえで、傷病手当金や障害年金といった公的な給付でまかなえる部分を差し引き、のこりを保険でどう備えるかを検討しましょう。
いつまで保障が必要かを判断する
病気やケガ、がんのリスクは年齢を重ねるごとに高くなります。
そのため、基本的には一生涯保障を継続できる「終身タイプ」を検討することが一般的です。
とはいえ、子どもが独立するまで、あるいは住宅ローンを完済するまでといった節目を基準に、保障を手厚くしておきたいと考える人もいます。
自身の考え方や資産の状況に合わせて、適切な期間保障を確保できるように工夫しましょう。
複数の保険会社で比較する
医療保険・がん保険は、保険会社によって保障内容や保険料に違いがあります。
1社だけで決めてしまうのではなく、複数の商品を比較して自分に合ったものを選ぶのが最もおすすめです。
給付金の支払条件や付加できる特約の種類など、比較できる項目はさまざまです。
いくつかの商品を見比べながら、保障と保険料のバランスが取れた商品を探してみましょう。
比較する軸が見えてきたら、ほけんのコスパの人気ランキングページで、多くの人がどのような保険を検討しているかを確認してみましょう。自分の条件と照らし合わせながら、候補を絞り込む材料になります。
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当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年6月1日―2026年6月30日)
悪性リンパ腫の治療費に関するよくある質問
ここからは、悪性リンパ腫の治療費と保険に関するよくある質問に、プロが分かりやすく回答します。
Q. 悪性リンパ腫の治療は保険適用されますか?
A. 化学療法や放射線治療、造血幹細胞移植など、厚生労働省が承認した標準治療は公的医療保険の対象です。
一方で、未承認薬や適応外の治療法、先進医療にかかる技術料は保険適用外となり、全額自己負担になる場合があります。
治療方針を確認する際は、保険適用の有無をあわせて把握しておきましょう。
Q. すでに悪性リンパ腫と診断されていても保険に入れますか?
A. 悪性リンパ腫と診断されてからでは、加入を断られることがほとんどです。
一般的な医療保険や、持病がある方向けの緩和型医療保険でも、診断を受けた直後では加入が難しくなります。
ただし、告知が不要な無選択型保険であれば、検討できる可能性があります。
保険料は一般的な保険と比べて割高になるため、保障と保険料のバランスには注意が必要です。
Q. 家族が罹患した場合、自分の保険も見直すべきですか?
A. 家族ががんに罹患したタイミングは、自分自身のリスクを見直すきっかけになります。
悪性リンパ腫は特定の年代に限らず起こる病気です。
特に発症のピークは70代とされているため、将来のリスクに備える視点が欠かせません。
既に医療保険やがん保険に入っている人も、保障額が現在の治療費の実態に合っているかを確認する良い機会です。
保険に未加入の場合、健康なうちに備えを検討しておきましょう。
まとめ:万が一に備えた保険選びを
悪性リンパ腫の治療には、公的医療保険が適用されることが一般的です。
高額療養費制度や医療費控除、傷病手当金、障害年金といった公的制度を組み合わせることで、実際の負担額は抑えることができます。
とはいえ、1カ月に数万円単位の自己負担が発生することは避けられません。
また差額ベッド代や先進医療費、収入減少分は公的制度でカバーしきれない部分です。
まずはほけん必要度診断で自分に必要な保障の方向性を確認し、保険料シミュレーションツールで具体的な保険料を試算してみましょう。
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ぜひ、保険選びの参考にしてください。
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