「脳腫瘍の手術には、一体いくらかかる?」「高額な医療費を支払えるか心配」とお悩みではありませんか?
脳腫瘍の治療法はさまざまですが、開頭手術では100万円前後の医療費が発生するケースも珍しくありません。
とはいえ、実際の自己負担額は公的医療保険制度を利用することで大幅に軽減できます。
本記事では、脳腫瘍の手術費用や自己負担額のシミュレーション、そして公的保険や民間の保険を使って自己負担額を最小限に抑える方法を紹介します。
自身、または家族が脳腫瘍の治療を控えている人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
この記事を読んでわかること
脳腫瘍の手術にかかる費用は数十万円~百万円前後
ただし、公的医療保険を利用することで自己負担は大幅に軽減できる
民間の医療保険やがん保険で給付金を受け取れることも。保障内容を改めて確認しておきましょう
脳腫瘍の治療にかかる費用
脳腫瘍の治療方法は、腫瘍の種類や大きさによって異なります。
まずは、治療方法別に費用の目安を見ていきましょう。
開頭手術の費用相場
開頭手術で脳腫瘍の摘出を行う場合、手術自体の自己負担額は40万円~50万円前後です。
【松果体部腫瘍】
診療報酬点数 :15万8100点
医療費 :158万1000円
自己負担(3割):47万4300円
【その他のもの】
診療報酬点数 :13万2130点
医療費 :132万1300円
自己負担(3割):39万6390円
※診療報酬点数は2025年11月3日現在
ただし、手術費用以外に検査費用や入院費用がかかるため、実際の自己負担額はさらに高額になる可能性があります。
特に開頭手術の場合、入院日数が長引く傾向にあり、その分入院費用が高くなりがちです。
3割負担での自己負担額は、70~100万円ほどを見ておくと良いでしょう。
ここからさらに、後述する高額療養費制度を利用することで所得に応じた上限額を超える分は払い戻しを受けることができます。入院日と退院日が同月内の場合、平均的な収入の人で約9万円前後まで自己負担を抑えられます。
放射線治療(ガンマナイフ)の費用
脳腫瘍の治療では、「ガンマナイフ」や「サイバーナイフ」といった放射線治療が用いられる場合もあります。
【ガンマナイフによる定位放射線治療】
診療報酬点数 :5万点
医療費 :50万円
自己負担(3割):15万円
※診療報酬点数は2025年11月3日現在
治療の3割負担額は15万円前後ですが、検査費用や入院費用が別途必要になるため、総額では50~60万円ほどになります。
放射線治療の場合、開頭手術と比べて入院期間は短く、2泊3日程度が一般的です。
開頭手術と同様、医療費負担が高額になった場合は高額療養費制度を利用して自己負担額を抑えることができます。
オプチューンの費用
オプチューンとは、電場腫瘍治療といわれる低周波の交流電場を用いた治療法で、「初発膠芽腫」と診断された脳腫瘍患者が対象になります。
電極パッドを頭皮に貼り、低周波を発生させることで脳腫瘍細胞の分裂を阻止する治療です。
携帯タイプの医療機器で、時間を気にせず自宅で治療できる点がメリットです。
機器の価格は数百万円に上るケースもあり、非常に高額な治療法です。
また、それ以外にも、指導管理料として以下の診療報酬点数が加算されます。
【在宅腫瘍治療電場療法指導管理料】
診療報酬点数 :2800点
医療費 :2万8000円
自己負担(3割):8400円
※診療報酬点数は2025年11月3日現在
オプチューンはこれまで自由診療とされてきましたが、2017年から保険適用が認められ、3割負担かつ高額療養費制度を利用して自己負担を軽減できるようになりました。
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脳腫瘍の治療で実際の自己負担はいくら?
脳腫瘍の治療費は高額になる傾向がありますが、高額療養費制度を利用することで、実際の自己負担額は一定まで抑えることができます。
ここからは、脳腫瘍で治療を受けた場合の実際の自己負担額をシミュレーションしてみましょう。
高額療養費制度とは
高額療養費制度は、個人の医療費負担が大きくなりすぎないように設けられた公的制度です。
医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、1カ月間で一定の上限額を超えた場合、その差額分があとから払い戻される仕組みです。
自己負担の上限額は年齢や収入によって区分されており、69歳以下の人であれば次のとおりです。
区分ウに該当する平均的な収入の世帯であれば、脳腫瘍で手術を受けた場合でも1カ月の自己負担額は約9万円となります。
仮に、退院時に3割負担分で50万円を支払ったとしても、差額の41万円は返還されることになります。
ただし、高額療養費制度は1カ月ごとに費用を算出するため、入院が2カ月にわたった場合自己負担額もおおよそ倍額になる可能性があります。
また、差額ベッド代や入院中の食費、日用品のレンタル費用などは別途自己負担が必要ですので注意しましょう。
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参考)多数回該当とは
脳腫瘍は手術後に放射線治療を受けるケースもあり、治療が長引く可能性があります。
しかし治療の進め方によっては、「多数回該当」が適用され自己負担額を大幅に軽減できるかもしれません。
多数回該当とは、1年間に高額療養費制度を3回利用した場合、4回目以降は自己負担上限額がさらに引き下げられる制度です。
区分ウに該当する人の場合、3回目までは約9万円が自己負担上限でしたが、多数回該当を利用すれば4回目以降は4万4400円が上限額となります。
例)脳腫瘍で手術後、放射線治療を半年間継続した場合
最初の3カ月:約9万円×3カ月=27万円
4カ月目以降:4万4400円×3カ月=13万3200円
合計 40万3200円
治療が長引けばそれだけ自己負担額も大きくなりますが、公的医療保険制度を利用することで一定まで費用を抑えることができます。
参考)公的医療保険適用外の費用
日本の公的医療保険制度は非常に充実していますが、万能ではありません。
例えば以下の費用は、公的医療保険制度が適用されないため、別途自己負担が必要です。
- 差額ベッド代(個室や少人数部屋を利用した場合にかかる費用)
- 食費(1食510円の自己負担)
- 交通費
- 日用品のレンタル費用などの雑費
- 医療用ウィッグの費用
- 先進医療・自由診療にかかる費用
脳腫瘍に罹患すると、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。
入院時は個室で療養したいと考える人も多いでしょう。
しかし、1人室(個室)の場合、入院1日あたり平均8000円以上の自己負担が発生します。
2週間入院すれば差額ベッド代だけで11万2000円と、無視できない金額になります。
その他にも、食費や交通費、がん治療の際に必要になる医療用ウィッグの購入費などもすべて自己負担が必要です。
また、先進医療や自由診療といった最先端の治療を受ける場合も全額自己負担となるため、数百万円から数千万円の費用がかかるケースも珍しくありません。
公的医療保険だけでカバーできないリスクには、民間の医療保険やがん保険で備えておく必要があるでしょう。
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医療費請求の手順
入院や手術で高額な医療費が発生した場合、基本的には退院に一度3割負担をし、あとから高額療養費の申請をして還付を受けることになります。
しかし、いくら立替といっても一時的に大きな金額を負担するのが難しいケースもあるでしょう。
高額な医療費の支払いに備えるためには、事前に「限度額適用認定証」を取得するか、「マイナ保険証」を利用できる準備をしておくことがおすすめです。それぞれ詳しく解説します。
限度額適用認定証
「限度額適用認定証」は、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができる書類です。
入院や手術の予定が決まっている場合、認定証を事前に取得しておき、会計時に保険証と一緒に提示することで高額な医療費を立て替える必要がなくなります。
申請に必要な書類は、加入している健康保険組合のウェブサイトからダウンロードするか、窓口で直接受け取ることも可能です。
必要事項を記入し、郵送または窓口へ提出します。
限度額適用認定証が自宅に届くまでは1週間程度かかるため、入院や手術の予定が決まったらできるだけ早く手続きを済ませておきましょう。
マイナ保険証
マイナンバーカードを健康保険証として利用登録した「マイナ保険証」を使えば、「限度額適用認定証」がなくても、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。
医療機関に設置されたカードリーダーで本人確認を行う際に、情報提供に同意するだけで、医療機関側がオンラインで限度額情報を照会できます。
限度額適用認定証の事前申請や、一度費用を立て替えてから高額療養費の申請をする必要もなくなり、手続きが大幅に簡素化されました。
急な入院や手術で事前の手続きが難しい場合でも、マイナ保険証があればスムーズに高額療養費制度の恩恵を受けられるため、非常に便利な仕組みです。
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脳腫瘍の手術は民間の保険で保障される?
脳腫瘍の手術は公的医療保険だけでなく、民間の医療保険やがん保険でも保障対象になる可能性があります。
受け取れる給付金について見ていきましょう。
医療保険
脳腫瘍で入院・手術をした場合、医療保険で入院給付金と手術給付金を受け取れる可能性があります。
- 入院日額給付金:入院日数に応じて受け取れる給付金
- 入院一時金:入院日数に関係なく、1回の入院に対して受け取れる給付金
- 手術給付金:手術の種類に応じて受け取れる給付金
入院日額給付金と入院一時金がどちらも付加されている医療保険であれば、どちらも重複して受け取ることが可能です。医療保険に加入している人は、保障内容について証券等であらためて確認しておきましょう。
手術給付金は、手術の種類によって受け取れる給付金額が異なるケースが多くなっています。開頭手術の場合は、最も大きな金額を受け取ることができるのが一般的です。

Q1
性別をお伺いします
がん保険
脳腫瘍が悪性と診断された場合、がん保険で保障される可能性があります。
- がん診断一時金:診断時点で受け取れる一時金
- がん治療給付金:放射線や抗がん剤治療名など、所定の治療を受けた月ごとに受け取れる給付金
- がん入院給付金:がんによる入院をした際に受け取れる給付金
- がん手術給付金:がんによる手術をした際に受け取れる給付金
上記以外にも、がん保険にはさまざまな保障があります。
まずは自身が加入しているがん保険の保障内容と、支払条件について確認しましょう。
がん保険の給付金を請求する際は、悪性新生物(がん)であると明記されている診断書が必要です。
その他、保険会社ごとに請求時に必要な書類が異なる場合もあるため、まずは保険会社に直接確認してみると良いでしょう。
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Q.脳腫瘍と診断されてから入れる保険はある?
A.良性の場合、手術から一定期間経過すれば緩和型保険を検討できる可能性があります。悪性の場合はさらに加入が難しくなります。
通常、脳腫瘍と診断されて手術を控えている段階で新たに加入できる保険はありません。
良性腫瘍だった場合、手術から1~2年経過していれば「引受基準緩和型保険」を検討できる可能性があります。
保険料は通常のものと比べて割高になりますが、持病の悪化も保障されるため、健康不安を抱えている人にとってはメリットも大きいでしょう。
脳腫瘍が悪性だった場合、がんとみなされるため保険加入が非常に難しくなります。
中には、病状が落ち着いており、退院から1年以上経過していれば加入を検討できる商品もあるため、複数の保険会社で見比べてできるだけ加入しやすいものを探すことがおすすめです。
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脳腫瘍とは?
脳腫瘍とは、脳やその周辺組織(髄膜、脳神経、下垂体など)に発生する腫瘍の総称です。
体の他の部位から転移してきた「転移性脳腫瘍」と、脳そのものから発生した「原発性脳腫瘍」に大別されます。
原発性脳腫瘍は、「良性」と「悪性」に分類されます。
良性腫瘍は増殖が比較的緩やかで、周囲の組織との境界が明瞭なことが多い一方、悪性腫瘍(脳がん)は増殖が速く、正常な脳組織にしみ込むように広がっていく特徴があります。
治療方針や予後は、腫瘍の種類や悪性度によって大きく異なります。
脳腫瘍の主な症状
脳腫瘍の症状は、腫瘍が大きくなることで頭蓋骨内部の圧力が高まって生じる「頭蓋内圧亢進症状」と、腫瘍が脳の特定の部分を圧迫・破壊することによって生じる「局所症状(巣症状)」の2つに大別されます。
頭蓋内圧亢進症状には、持続的な頭痛、吐き気・嘔吐、視力の低下などが見られます。
一方、局所症状は腫瘍が発生した場所によって症状は多岐にわたります。
- 大脳の表面(運動野): 手足の麻痺やしびれ、けいれん発作、言語障害、記憶障害
- 前頭葉: 性格の変化、判断力の低下、意欲の喪失
- 視神経の近く: 視野が欠ける、物が二重に見える
- 小脳: ふらつき、めまい、歩行困難、ろれつが回らない
- 聴神経: 耳鳴り、難聴
初期段階では自覚症状がないことも多く、別の目的で行ったMRI検査などで偶然発見されるケースも少なくないようです。
脳腫瘍の種類
脳腫瘍は、体のほかの部位にできたがんが転移した「転移性脳腫瘍」と、脳そのものから直接発生する「原発性脳腫瘍」の2つに分けられます。
原発性脳腫瘍はさらに「良性」と「悪性」に分けられます。
世界保健機関(WHO)は悪性度をグレード1(良性)からグレード4(悪性)までの4段階で分類しており、治療方針を決定する上で重要な指標となります。
代表的な脳腫瘍には、次のようなものがあります。
- グリオーマ(神経膠腫):脳の神経細胞を支えるグリア細胞が腫瘍化したもの。悪性度が高いものが多い。
- 髄膜腫:脳を覆う髄膜から発生する腫瘍で、多くは良性。
- 下垂体腺腫:ホルモンを分泌する下垂体にできる腫瘍で、ほとんどが良性。
- 神経鞘腫:脳神経を覆う鞘(さや)から発生する腫瘍で、聴神経にできるもの(聴神経腫瘍)が代表的。
脳腫瘍の患者数
日本の良性を含む原発性脳腫瘍の患者数は、年間推定約2万人と考えられています。
一方、国立がん研究センターの最新の統計(2021年)によると、「悪性」の脳腫瘍の新規症例数は 5741例 と報告されています。
脳にできる悪性腫瘍は、多くがほかの臓器から脳に転移する「転移性脳腫瘍」です。
(参考:脳腫瘍(のうしゅよう)|国立がん研究センター 希少がんセンター)
(参考:脳腫瘍〈成人〉 患者数(がん統計)|国立がん研究センター)
脳腫瘍の生存率
脳腫瘍の生存率は、腫瘍の種類や悪性度によって大きく異なります。一概に述べることは難しいですが、特に悪性度の高い脳腫瘍は治療が難しく、予後が厳しい傾向にあります。
例えば、成人の原発性悪性脳腫瘍の中で最も頻度が高い「膠芽腫」は、きわめて悪性度が高いことで知られています。
国立がん研究センターの統計によると、膠芽腫の5年生存率は16%と、非常に低い値です。
一方で、髄膜腫などの良性腫瘍は、手術で完全に摘出できれば完治が期待でき、5年生存率も90%を超えるとされています。
(参考:脳腫瘍〈成人〉 患者数(がん統計)|国立がん研究センター)
術後の生活
脳腫瘍の手術後は、回復の程度に応じて段階的に日常生活に戻っていくことになります。
復職や復学、旅行、スポーツ、そして自動車の運転といった日常生活の再開時期は、個々の回復状況や後遺症の有無によって大きく異なります。
特に、けいれん発作のリスクがある場合や、高次脳機能障害が残った場合には、運転再開には非常に慎重な判断が必要です。
自己判断せず、必ず主治医に相談し、許可を得ることが重要です。
治療のリスクと病院選びのポイント
脳腫瘍の治療、特に開頭手術は、脳という極めて繊細な器官を扱うため、それなりのリスクも伴います。
ここからは、治療のリスクと後悔しない病院選びのポイントをお伝えします。
脳腫瘍の手術成功率
脳腫瘍の手術における「成功率」という言葉は、定義が曖昧なため一概に数値を述べることができません。
しかし、手術に伴うリスクや合併症の発生率についてはある程度の目安があります。
一般的に、開頭による脳腫瘍摘出術には一定のリスク(出血、感染、神経障害など)が伴いますが、その発生率は腫瘍の性質や場所によって異なります。
悪性で腫瘍が大きいほど難易度が高い手術になるため、信頼できる医師のもとで治療を受けることが大切です。
病院・医師の選び方
病院・医師を選ぶ際は、症例数や治療体制を重視しましょう。
高度な医療機器が整備されているか、そして専門性の高いスタッフによるチーム医療が実践されているかがポイントです。
まず「脳神経外科医」であることは大前提になりますが、その中でも脳腫瘍の治療を専門にしている医師を選ぶと良いでしょう。
脳神経外科の中でも、専門分野は多岐にわたります。
自身の病気を専門に治療している医師をさがすことが大切です。
客観的な手術の実績として、医師の執刀数も参考になります。
多くの手術をこなし、熟練した技術を持っているかどうかを判断するひとつの基準になるでしょう。
治療に際して不安を感じる場合は、必要に応じてセカンドオピニオンを利用してみるのも良いでしょう。後悔しない医師選びのために、情報収集を積極的に行いましょう。
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まとめ
今回は、脳腫瘍の治療にかかる費用について詳しくご紹介してきました。
脳腫瘍の治療には高額な医療費がかかりますが、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を大幅に抑えることができます。
また、民間の医療保険やがん保険の給付金で治療費をまかなうことも可能です。
加入している保険がある人は、これを機に保障内容について再度確認しておくことをおすすめします。
治療を進めていくうえで、経済的な不安は大きな悩みの種になるでしょう。
事前に公的制度についてしっかり理解しておけば、安心して治療に臨むことができます。
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