離婚に伴う手続きは多岐にわたりますが、特に保険関連の手続きは複雑で、後回しにしてしまいがちではないでしょうか。
しかし、手続きを怠ると無保険状態になったり、受け取れるはずのお金を失ったりする可能性があります。
本記事では、公的医療保険の切り替えから、年金、生命保険の見直しまで、離婚時に必要な手続きについて解説します。
この記事を読んでわかること
離婚時は「健康保険」「公的年金」「民間保険」の手続きが必要
不要に入っていた人は期限内に手続きが必要なため離婚前から準備を始めましょう
離婚後は経済状況が大きく変わることも。民間保険の見直しも併せて行いましょう
目次
2-1.第3号被保険者からの変更手続き
2-2.年金分割制度の概要と申請期限
6.まとめ
「公的医療保険(健康保険)」の切り替え手続き方法
離婚が成立すると、配偶者の健康保険の扶養に入っていた場合は加入資格を失うことになります。
速やかに自分自身で新たな公的医療保険に加入する手続きが必要です。
離婚後の働き方や状況によって、加入する公的医療保険は異なります。
まずは、働き方別に必要な手続きをご紹介します。
会社員として働く場合の手続き
離婚後に会社員として働く、または既に自分自身で勤務先の社会保険に加入している場合は、手続きが比較的シンプルです。
新たに就職する場合は、勤務先の人事・総務担当者に離婚した旨を伝え、健康保険の加入手続きを依頼します。
その際、元配偶者の扶養から外れたことを証明する「健康保険資格喪失証明書」の提出を求められることが一般的です。
「健康保険資格喪失証明書」は、元配偶者の勤務先から発行してもらう必要があります。
既に自分名義の健康保険に加入している人でも、離婚によって姓が変わった場合は名義変更の手続きが必要です。
元配偶者を自分の扶養に入れていた場合は、扶養から外す手続きも忘れずに行いましょう。
専業主婦・パートなどで扶養に入っていた場合の手続き
これまで配偶者の扶養に入っていた人は、14日以内に新しい健康保険への加入手続きをする必要があります。
離婚後に自身の状況に合わせて以下のいずれかの手続きを行う必要があります。
①国民健康保険に加入する
自営業者や無職の方が加入する制度です。お住まいの市区町村役場で手続きを行います。
配偶者の扶養から外れたことを証明する「健康保険資格喪失証明書」と本人確認書類などが必要です。
保険料は前年の所得に基づいて計算されるため、離婚直後は保険料が高くなる可能性もあります。
所得が一定以下の場合は、保険料の軽減制度が適用されることもあります。
②親の健康保険の扶養に入る
自身の年収が130万円未満などの条件を満たせば、親の健康保険の扶養に入ることができます。
親の扶養に入る場合は、親の勤務先を通じて手続きを行います。
③任意継続被保険者制度を利用する
元配偶者が加入していた健康保険を、最長2年間継続できる制度です。
保険料はこれまで会社が負担していた分も含めて全額自己負担となるため、約2倍になりますが、国民健康保険料より安くなる場合もあります。
資格喪失日から20日以内に申請が必要なため、希望する場合は速やかに手続きをしましょう。
子どもの健康保険はどうする?(氏名変更・扶養の移動)
子どもがいる場合、子どもの健康保険の手続きも忘れずに行う必要があります。
婚姻中は「収入が高い方の親の扶養」が原則でしたが、離婚して別居となる場合は、収入の額に関わらず同居する親の保険に加入させるのが一般的です。
※元配偶者(別居親)の扶養に入れることも制度上はあり得ますが、「養育費等の仕送り額が、同居親の年収よりも多いこと」など厳しい条件が課されるケースがほとんどです。
手続きは、まず元配偶者の勤務先等で子どもを扶養から外し「資格喪失証明書」を受け取ります。 その後、自身が加入する健康保険(勤務先または国民健康保険)で加入手続きを行います。
子どもの姓が変わる場合は、氏名変更の届出も併せて行いましょう。
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忘れずに確認したい「公的年金」の手続き
離婚の際には、健康保険だけでなく公的年金の手続きも必要です。
特に、婚姻期間中に専業主婦(夫)などで配偶者の扶養に入っていた場合、年金の種別変更が必須となります。
ここからは、公的年金の手続きの流れと、年金分割制度について解説します。
第3号被保険者からの変更手続き
公的年金は、働き方によって3つの種類に区分されています。
婚姻中に会社員や公務員の配偶者に扶養されていた専業主婦(夫)などは、「第3号被保険者」に該当します。
第3号被保険者は、自身で保険料を納付する必要はありません。
しかし離婚によって扶養から外れると、第3号被保険者の資格を失います。
そのため、自営業者や無職の方などが加入する「第1号被保険者(国民年金)」への種別変更手続きが必要です。
手続きは、原則として扶養から外れてから14日以内にお住まいの市区町村役場の窓口で行う必要があります。
手続きには、年金手帳または基礎年金番号通知書、そして扶養から外れた日がわかる書類(健康保険資格喪失証明書など)が必要です。
第1号被保険者になると、自身で国民年金保険料を納付する義務が生じる点に注意しましょう。
年金分割制度の概要と申請期限
年金分割制度とは、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を夫婦間で分割できる制度です。
この制度により、婚姻期間中に扶養に入っていた側も、将来分割された記録に基づいた老齢厚生年金を受け取ることができます。
分割の対象は厚生年金部分のみで、国民年金(基礎年金)は対象外です。
分割には「合意分割」と「3号分割」があります。
| 概要 | 分割割合 | 相手の合意 | 対象期間 | |
| 合意分割 | 夫婦間の話し合いで分割割合を決める制度 | 上限2分の1の範囲で 合意により決定 | 必要 | 婚姻期間全体 |
| 3号分割 | 第3号被保険者だった側からの請求のみで分割できる制度 | 2分の1 | 不要 | 2008年4月以降の第3号被保険者期間 |
分割は、離婚した日の翌日から2年以内に請求する必要があります。
期限を過ぎると請求できなくなるため、離婚協議の際に必ず話し合い、手続きを進めるようにしましょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年3月1日―2026年3月31日)
「生命保険(民間保険)」の確認と変更手続き
離婚時には、公的な保険だけでなく、夫婦で加入している民間の生命保険や医療保険の見直しも必要です。
手続きを忘れると、いざという時に保険金が受け取れなかったり、意図しない相手に支払われたりする可能性があります。
まずは保険証券を用意し、現在の契約内容を正確に把握することから始めましょう。
特に「契約者」「被保険者」「受取人」が誰になっているかの確認は必須です。
契約者・被保険者・受取人の名義を確認する
離婚後は、状況に合わせて生命保険の名義を変更する必要があります。
- 契約者:保険料を支払う義務を持つ人。契約の解約や内容変更の権利を持つ
- 被保険者:保険の対象となる人。被保険者が死亡、入院した際などに保険金・給付金が支払われる
- 受取人:保険金や給付金を受け取る人
例えば医療保険等で、契約者が元配偶者、被保険者と受取人が自身となっている場合、離婚後に元配偶者が契約を勝手に解約してしまうリスクがあります。
そのため、保険を継続したい場合は契約者を自分に変更しておくことが大切です。
また、死亡保険金の受取人が元配偶者のままになっていると、万一の際に保険金が元配偶者に支払われてしまいます。
離婚後は、受取人を自分の子どもや親、兄弟姉妹などに変更する手続きを必ず行いましょう。
改姓・住所変更・支払口座の変更手続き
契約者や受取人の名義変更とあわせて、基本的な登録情報の変更も忘れずに行う必要があります。
主に次の手続きが必要です。
- 改姓手続き:離婚により姓が変わった場合に必要
- 住所・電話番号変更手続き: 転居した場合に届け出が必要
- 保険料引き落とし口座やクレジットカードの変更:契約者を元配偶者から自身に変更する場合に必要
手続きは、各保険会社のウェブサイト(契約者向けページ)やコールセンター、担当者を通じて行うことができます。
その際、本人確認と合わせて証券番号が必要になることが一般的です。
手元に保険証券を用意したうえで手続きを行うとスムーズです。
積立型保険の「解約返戻金」は財産分与の対象になる
積立型保険に加入している場合、解約返戻金は資産とみなされ、婚姻期間中に支払った保険料に対応する解約返戻金が財産分与の対象となります。
財産分与では、別居時または離婚時を基準とした解約返戻金の額を算出し、夫婦で分け合うのが一般的です。
必ずしも保険を解約する必要はなく、一方が契約を継続し、もう一方に解約返戻金の半額相当の現金を支払う方法もあります。
保険を解約する時期によっては「解約控除」の対象となり、受け取れる解約返戻金が少なくなってしまう可能性もあります。
解約を避けたい場合は、どちらかが継続し現金を支払う方法を取るのが良いでしょう。
一方で、掛け捨て型の医療保険や収入保障保険などは基本的に解約返戻金がないか、あってもごくわずかなため、財産分与の対象にはなりません。
学資保険の名義変更は特に慎重に
子どもの教育資金のために加入している学資保険も、積立型保険の一種であるため財産分与の対象となります。
しかし、単純に解約して分けるよりも、子どもの将来のために契約を継続するのが望ましいでしょう。
離婚時に重要になるのが契約者の名義です。
一般的に、学資保険の契約者は親権者が務めるべきです。
もし親権者でない側が契約者のままだと、次のようなリスクが考えられます。
- 勝手に解約され、解約返戻金を使われてしまう
- 満期保険金や祝い金が契約者(元配偶者)に支払われてしまう
- 保険料の支払いが滞り、契約が失効してしまう
離婚協議の際に学資保険の取り扱いを明確に定め、親権者が契約者となるように名義変更手続きを行うことが大切です。
事前に2人の間で合意をしていないと、契約者(元配偶者)が非協力的で契約者変更に同意してくれない可能性があります。
トラブルを避けるためにも、学資保険の取り扱いについては明確にルールを決めておくのが良いでしょう。
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離婚は保険を見直すタイミング|無駄なく備えるポイント
離婚は、家族構成や家計の状況、そして将来のライフプランが大きく変化する一大転機です。
これまで最適だった保険が、離婚後の生活には合わなくなるケースも少なくありません。
現在の収入や今後の生活設計に合わせて、本当に必要な保障は何かを再度考える機会にしましょう。
死亡保障・医療保障の必要額が変わる理由
配偶者がいなくなることで、必要な保障額が変わる可能性があります。
【子どもの親権者になる場合】
子どもが経済的に自立するまでの生活費や教育費をカバーできるよう、手厚い死亡保障が必要になります。
また、自身が病気やケガで働けなくなると収入が減少し、家計が破綻するリスクがあります。
医療保障やがん保障、就業不能保障もバランスよく検討しておきましょう。
【親権者にならない・子どもがいない場合】
扶養すべき家族が減るため、高額な死亡保障は不要になることがほとんどです。
自身の葬儀費用などをまかなえる程度の最低限の保障に減額し、保険料の負担を軽減することを優先しましょう。
削減できた保険料は、自身の医療保障の充実や、老後資金の準備に充てるなどの見直し方が合理的です。
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ひとり親家庭への公的支援(児童扶養手当など)を考慮する
民間保険を見直す際には、まず国や自治体からどのような公的支援を受けられるかを確認することが大切です。
すべてのリスクに保険で備えておく必要はありません。
公的保障でカバーできないリスクにのみ、効率的に備えておきましょう。
ひとり親家庭が利用できる主な公的支援には、次のようなものがあります。
| 児童扶養手当 | ひとり親家庭などに支給される手当 所得に応じて支給額が変動 |
| ひとり親家庭等医療費助成制度 | 親と子どもの医療費の自己負担分を自治体が助成する制度 内容は自治体により異なる |
| 遺族年金 | 国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった場合に、遺族に支給される年金 |
例えば、ひとり親家庭の医療費助成制度を利用すれば入院費用を抑えることができるため、医療保険は最低限の保障で十分かもしれません。また、死亡保障の保険金額は、遺族年金でどの程度受け取れるかをふまえたうえで決めると効率的です。
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保険料が負担になる場合は「払済保険」等の検討を
離婚により、経済状況が大きく変わるケースは珍しくありません。
毎月の保険料が負担になり、解約を検討しなければならないこともあるでしょう。
しかし、安易に解約すると大切な保障を失ってしまい、いざというときに後悔するかもしれません。
貯蓄性のある保険の場合、今後の保険料の支払いを止めて保障を継続する「払済保険」へ変更できる場合があります。
払済保険とは、これまで貯まった解約返戻金をもとに、保険期間はそのままで保障額を引き下げた契約に変更することをいいます。
保険料の支払いは難しいけど保障は継続したい場合に、おすすめの方法です。
ただし、払済保険への変更は貯蓄性のある保険でのみ可能です。掛け捨ての医療保険やがん保険は対象外となるため、注意してください。
離婚の保険手続きに関するよくある質問
ここからは、離婚時の保険手続きに関するよくある質問に、保険のプロが回答します。
Q.離婚協議中でも保険の手続きはできますか?
A.はい、可能です。
契約者変更や受取人変更など相手の同意や署名が必要な手続きは、離婚協議の段階で合意を取り付け、離婚届の提出と同時に進めるのが最もスムーズです。
離婚が成立してからだと、相手の協力が得にくくなる可能性があります。
トラブルを避けるためにも、保険の取り決めは離婚協議書に明記しておくことを推奨します。
Q.元夫が保険の手続きに協力してくれない場合は?
A.最終手段として、管轄の役所へ相談するか、家庭裁判所に調停を申し立てることも選択肢となります。
健康保険の扶養から外す手続きに協力してくれず「資格喪失証明書」が受け取れない場合、元夫の勤務先を管轄する年金事務所に相談することで、状況の確認や発行の働きかけをしてもらえる可能性があります。
生命保険の名義変更などに応じない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるなどの法的手続きも検討しましょう。
Q.妊娠中に離婚した場合の保険適用は?
A.夫の扶養に入っている場合は、自身の社会保険か国民健康保険への切り替えが必要です。
妊娠中に離婚した場合、夫の扶養から抜ける手続きが必要です。
異常妊娠・分娩にかかる医療費や出産一時金は、自身が加入する社会保険か国民健康保険から受給できます。
まとめ
離婚時は、公的医療保険(健康保険)、公的年金、民間の生命保険の手続きがそれぞれ必要です。
特に、医療費が全額負担になる期間を作らないよう、健康保険の手続きは迅速に行いましょう。
手続きには14日以内などの期限が設けられているものも多いため、離婚前から準備を進めておくとスムーズです。
離婚は、加入している民間保険の保障内容を見直す最適なタイミングでもあります。
新しい生活に合わせて保険を再設計し、安心して次の一歩を踏み出しましょう。
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