特定疾患医療受給者証(指定難病)のメリットとデメリットとは

特定疾患医療受給者証(指定難病)のメリットとデメリットとは

(最終更新日:

執筆者:

橋本 優理

監修者:

高橋 明香

突然、国が指定する難病の診断を受け、今後の医療費負担に不安を感じていませんか。

特定疾患医療受給者証の取得を、「手続きが複雑そう」「申請に費用がかかるうえ、会社に病名が伝わるのでは」とためらう人も少なくありません。

本記事では、特定医療費(指定難病)受給者証の仕組みメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること

  • 指定難病の治療にかかる医療費が2割負担に軽減され、所得に応じた上限額が適用される

  • 毎月の医療費が上限額を超えるかが、申請にかかる費用の損益分岐点

  • 助成対象外の費用や収入減に備え、民間保険の必要性を判断しましょう

目次

  1. 1.まず確認しておきたい「特定疾患」と「指定難病」の違い

    1. 1-1.自分の病気が助成対象(341疾患)か調べる方法

  2. 2.特定医療費(指定難病)受給者証を取得する3つのメリット

    1. 2-1.1. 対象となる病気の医療費が「2割負担」に軽減される

    2. 2-2.2. 所得に応じた「自己負担上限額」で高額な出費がストップする

    3. 2-3.3. 自治体の見舞金や、公共施設などの割引を受けられる場合がある

  3. 3.申請前に知るべき受給者証の「思わぬデメリット」と注意点

    1. 3-1.デメリット1:毎年の診断書代(数千円)と更新手続きの手間

    2. 3-2.デメリット2:更新を忘れると全額自己負担(立替払い)になるリスク

    3. 3-3.【誤解】会社に病気が知られる・保険に入れないという懸念について

  4. 4.受給者証を申請すべきか判断する「損益分岐点」の見極め方

    1. 4-1.毎月の難病医療費が「自己負担上限額」を超えるなら迷わず申請

    2. 4-2.軽症でも高額な医療費が続く場合は「軽症高額該当」の特例がある

  5. 5.受給者証があれば民間の医療保険は不要?自分で判断する基準

    1. 5-1.差額ベッド代や入院中の食事代、他の病気の治療費は助成の対象外

    2. 5-2.現在の貯蓄で休職時の生活費や不足分をカバーできるか確認する

    3. 5-3.持病があっても入れる保険と、保険料のバランスを見る

  6. 6.特定疾患(指定難病)の受給者証に関するよくある質問

    1. 6-1.障害者手帳とは何が違うのですか。併用したほうがよいですか。

    2. 6-2.申請してから受給者証が届くまでの医療費はどうなりますか。

  7. 7.まとめ

まず確認しておきたい「特定疾患」と「指定難病」の違い

現在、難病の医療費助成制度は「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき、「指定難病」という名称で運用されています。

特定疾患とは以前の「特定疾患治療研究事業」の対象になっていた病気のことで、現在ではほとんどが「指定難病」に統合されています。

つまり、現在は「指定難病」も「特定疾患」も医療費助成の対象になることが一般的です。

自分の病気が助成対象(341疾患)か調べる方法

かつて「特定疾患」と呼ばれていた制度は、2015年の新法適用にともない「指定難病」へと移行しました。

対象となる疾患の数は段階的に拡大されており、現在は潰瘍性大腸炎やパーキンソン病を含む341の疾患が医療費助成の対象として定められています。

医師から難病の診断を受けた場合、自身の病名が厚生労働省の定める指定難病一覧に含まれているかを確認しましょう。

難病情報センターのウェブサイトで病名を検索するか、主治医や保健所の窓口で直接尋ねる方法が確実です。

女性コンシェルジュ

助成対象に含まれていることが判明した場合、速やかに受給者証の申請準備を進めることをおすすめします。

(参考:指定難病患者への医療費助成制度のご案内|難病情報センター)

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特定医療費(指定難病)受給者証を取得する3つのメリット

指定難病医療受給者証を取得すると、医療費の負担軽減独自の優待制度など、複数の恩恵を受けられます。

受給者証を取得する3つのメリットをご紹介します。

1. 対象となる病気の医療費が「2割負担」に軽減される

日本の公的医療保険制度では、原則として小学校入学後から70歳未満の人の医療費自己負担は3割と定められています。

しかし、難病治療には長期的な通院や投薬がともない、家計への負担が重くなる傾向にあります。

指定難病の医療費助成制度を活用すると、対象となる病気の治療にかかる自己負担割合が2割に引き下げられます。

たとえば、1カ月あたりの総医療費が5万円かかった場合、3割負担の1万5000円から、2割負担の1万円へと軽減されることになります。

たった1割しか変わらない」と思っても、治療が長く続くと負担もその分大きくなるでしょう。

女性コンシェルジュ

家計の負担を少しでも減らすため、診断後は早期の申請を検討してください。

(参考:難病や小児慢性特定疾病に対する医療費助成のご案内|政府広報オンライン)

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Q1

入院時の費用は?

参考:

2. 所得に応じた「自己負担上限額」で高額な出費がストップする

難病治療では、手術や高額な新薬の使用により、2割負担であっても支払いが膨大になる場合があります。

助成制度には、患者の所得や生活状況に応じて1カ月あたりの支払額に上限を設ける仕組みが備わっています。

生活保護受給世帯は0円一般所得層は1万円から2万円上位所得層でも3万円といった上限が設定されており、上限を超過した分の医療費は支払う必要がありません。

たとえば、上限額が1万円の人が月額20万円の医療費(2割負担で4万円)を請求された場合、窓口での支払いは1万円で済みます。

女性コンシェルジュ

自身の所得区分に応じた上限額を自治体の窓口などで事前に確認しておくことが大切です。

3. 自治体の見舞金や、公共施設などの割引を受けられる場合がある

受給者証のメリットは、医療費の減免だけではありません。

居住する市区町村によっては、難病患者の生活を支援する目的で独自の福祉手当見舞金制度を設けている場合があります

さらに、受給者証を提示することで、自治体が運営する美術館やスポーツ施設といった公共施設の入場料が割引されることもあります

女性コンシェルジュ

見舞金の金額や割引の対象施設は自治体ごとに大きく異なるため、お住まいの市区町村の公式ウェブサイトを確認するか、福祉担当窓口に直接問い合わせてみましょう。

当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年4月1日―2026年4月30日)

申請前に知るべき受給者証の「思わぬデメリット」と注意点

受給者証には多くのメリットがある一方で、手続きにかかる費用更新の手間など注意点もあります。

詳しく見ていきましょう。

デメリット1:毎年の診断書代(数千円)と更新手続きの手間

女性コンシェルジュ

指定難病の医療費助成は一生涯続くわけではなく、原則として1年ごとに受給者証の更新手続きが必要です。

更新の際には、指定医が作成した最新の臨床調査個人票(診断書)や、世帯全員の住民票課税証明書などを揃えなければなりません

臨床調査個人票の作成費用は医療機関によって異なりますが、一般的に数千円から1万円程度の出費がともないます

さらに、役所や保健所に足を運ぶ時間と労力もかかるため、仕事や治療の合間を縫って計画的に準備を進めることが大切です。

デメリット2:更新を忘れると全額自己負担(立替払い)になるリスク

受給者証の有効期間が切れる前に更新手続きを完了できないと、医療費助成の適用が途切れてしまいます。

更新手続きを忘れた状態で医療機関を受診した場合、窓口では公的医療保険の3割負担を支払う必要があります

後日、再申請を行って認定されれば差額の還付を受けることは可能ですが、一時的に家計へ大きな負担がかかります。

女性コンシェルジュ

自治体から届く更新案内の通知を見落とさないよう注意し、案内が届き次第、速やかに指定医へ診断書の作成を依頼しましょう。

【誤解】会社に病気が知られる・保険に入れないという懸念について

受給者証を申請する際、「手続きをすると勤務先に難病であることが発覚するのではないか」と不安に感じる人がいます。

しかし、受給者証の申請や利用履歴は個人のプライバシーとして厳重に保護されており、健康保険組合や自治体から直接勤務先へ病名が通知されることはありません

また、「受給者証を持っていると民間の医療保険に一切加入できなくなる」のも誤解です。

一般的な保険では健康状態の診査に落ちてしまう可能性もありますが、持病がある方向けの医療保険など選択肢は他にもあります

女性コンシェルジュ

不要な心配をせずに必要な支援の手続きを進めることが大切です。

受給者証を申請すべきか判断する「損益分岐点」の見極め方

費用や手間を考えると、受給者証の申請は必要ないのではと迷う人もいるかもしれません。

申請費用と助成額のバランスを考慮し、申請が自身にとってプラスに働くかを見極める方法をご紹介します。

毎月の難病医療費が「自己負担上限額」を超えるなら迷わず申請

受給者証の申請には、臨床調査個人票の作成代(数千円〜1万円程度)や交通費などの初期費用がかかります。

医療費の助成額が初期費用を下回る場合、経済的には損をしてしまいます。

判断の目安となるのは、対象疾患の治療にかかる1カ月あたりの医療費が自身の「自己負担上限額」を継続的に上回るかどうかです。

通院頻度が高く、薬代を含めた月々の窓口負担が1万円〜2万円を常に超える状況であれば、1年間トータルで見た際に助成額が申請費用を上回る可能性が高くなります

女性コンシェルジュ

過去数カ月分の領収書を確認し、月々の平均出費を算出したうえで申請を検討しましょう。

軽症でも高額な医療費が続く場合は「軽症高額該当」の特例がある

指定難病と診断されても、症状が国の定める重症度分類を満たさず「軽症」と判定された場合、原則として医療費助成の対象外となります。

しかし、症状自体は軽くても、高価な薬剤を継続使用するなどの理由で医療費が高額になる患者を救済するため、「軽症高額該当」という特例措置が設けられています。

申請を行った月以前の12カ月間において、指定難病の治療にかかった総医療費(10割分)が3万3330円を超える月が3回以上ある場合、特例として助成対象に認定されます

女性コンシェルジュ

症状が安定していても医療費負担が重い人は、医療機関からの領収書を保管し、要件を満たした時点で特例申請を行いましょう。

(参考:軽症高額該当について|難病情報センター)

受給者証があれば民間の医療保険は不要?自分で判断する基準

公的な医療費助成制度が充実していても、民間保険による備えが全く不要になるわけではありません。

ここからは、民間の医療保険の必要性について考えてみましょう。

差額ベッド代や入院中の食事代、他の病気の治療費は助成の対象外

指定難病医療受給者証の助成対象となるのは、受給者証に記載された指定難病の治療や、対象疾患に起因する合併症の治療費に限られます。

指定難病とは全く関係のないケガや病気(例えば骨折や虫垂炎など)の治療費は、全額が助成の対象外です。

また、入院時の差額ベッド代食事療養費の標準負担額、病院への交通費先進医療の技術料なども受給者証ではカバーされません

女性コンシェルジュ

難病以外の病気やケガによる入院や、公的医療保険の対象外となる諸費用が発生するリスクもふまえ、民間保険で備えておく必要性があるか判断しましょう。

現在の貯蓄で休職時の生活費や不足分をカバーできるか確認する

難病の治療が長引くと、体調不良により仕事を休職したり、労働時間を短縮したりせざるを得ない事態が起こる可能性があります。

公的制度である傷病手当金を利用できる場合でも、支給額は給与の約3分の2程度になるため、収入の減少は避けられません。

医療費負担に加えて収入減少のダメージを軽減するには、生活費や住宅ローンの支払いを維持できるだけの十分な貯蓄が必要です。

女性コンシェルジュ

まずは現在の家計状況と金融資産を洗い出し、万一休職した際に最低でも半年から1年間の生活費を自己資金でまかなえるかを確認しましょう。

持病があっても入れる保険と、保険料のバランスを見る

現在の貯蓄だけでは休職時の生活費や対象外の医療費をまかなうのが難しい場合、民間の医療保険への加入や見直しが選択肢となります。

既に指定難病の診断を受けていると、通常の医療保険に加入するための診査(健康状態の確認)を通過できない可能性があります。

ただし、健康告知の項目が緩やかに設定された「引受基準緩和型医療保険」であれば、持病があっても加入できるかもしれません

女性コンシェルジュ

引受基準緩和型は通常の保険よりも保険料が割高に設定されているため、保険料の支払いと保障のバランスを確認したうえで、無理無く支払いを継続できるプランを選ぶことが大切です。

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特定疾患(指定難病)の受給者証に関するよくある質問

ここからは、難病を抱えている人から寄せられるよくある質問に、保険のプロがわかりやすく回答します。

Q. 障害者手帳とは何が違うのですか。併用したほうがよいですか。

A. 指定難病医療受給者証は「特定の難病治療にかかる医療費を助成する制度」です。

一方障害者手帳は、病気によって日常生活に制限が生じた際に交付され、税金の控除や交通機関の割引といった生活支援を受けられます。

女性コンシェルジュ

目的が異なるため、要件を満たせば両方の制度を併用することが可能です。

Q. 申請してから受給者証が届くまでの医療費はどうなりますか。

A. 手続きには2〜3カ月程度の期間がかかるため、受給者証が手元に届くまでは一旦窓口で医療費を支払う必要があります。

受給者証が交付された後、所定の手続きを行うことで、「重症度分類を満たしていると診断された日」(原則として申請日から1カ月前まで)に遡って、払いすぎた医療費の差額還付を受けられます

まとめ

指定難病(旧・特定疾患)の医療受給者証は、患者の経済的負担を大幅に軽減する大切な制度です。

自己負担割合の軽減だけでなく、1カ月の医療費負担に上限額が設定されているため、長期にわたる難病治療を経済的に支えてくれます。

一方で、毎年更新手続きが必要だったり、診断書代がかかったりと、デメリットもあります。

月々の医療費と上限額、更新にかかる手間や費用を比較して、制度を利用したほうがよいか判断しましょう。

また、制度のメリットを最大限に活かしつつ、公的保障で足りない部分は民間の医療保険で補う視点も大切です。

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監修者 ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

高橋 明香

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

執筆者 保険ライター/2級FP技能士

橋本 優理

大学卒業後、ほけんの窓口グループ株式会社へ入社。約300組のライフプランニングを行い、保険販売業務に従事。その後、異業種にて法人営業を経験し、株式会社エイチームフィナジーで保険EC事業の立ち上げに参画。インターネット上で保険の無料相談ができるサービスの責任者として、自身も多くの世帯のライフプランニングを行う。2023年に株式会社モニクルフィナンシャル入社。経済メディア「LIMO」で300記事以上を執筆。現在は、より多くの人に、より気軽に、自分に合った保険の選び方を知ってほしいとの思いでコンテンツ制作や執筆作業に従事。 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、生命保険募集人資格、損害保険募集人資格保有。

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