60代は、ライフステージの変化とともに、生命保険の必要性も大きく変わってきます。
特に気になるのが、加齢とともに高まる病気のリスク。
「今の保険で本当に大丈夫?」「60代はどんなリスクに備えればいいのか?」といった疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、60歳からの生命保険を見直す際のポイントと、具体的に備えるべきリスクについて、プロの視点からわかりやすく解説します。
最適な保険選びで、安心して豊かなセカンドライフを送りましょう。
この記事を読んでわかること
60代はもしものときに備える医療保障が重要
60代以降はがん保険の保障内容が古くなっていないか確認することが大切
子どもが独立したら死亡保障は減額できる可能性もある
目次
60代で生命保険の見直しをするべき3つの理由
60代になると、老後の生活も視野に入れて生命保険の見直しをする必要があります。
まずは、生命保険の見直しが必要になる理由を解説します。
老後の生活を考える年代
60代は、定年退職や子育ての終了といったライフステージの大きな節目を迎える年代です。
65歳を超えると、収入源が公的年金や退職金が中心となり、現役時代と比べて収入が大きく減少する人も少なくありません。
貯蓄額やライフスタイルに合わせて、どんなリスクに備えるのが最適かを再検討し、生命保険の内容を見直すことが大切です。
特に、毎月の保険料は固定費となります。
老後も継続して支払える保険料の範囲で、いざというときのために安心できる保障を用意しておく必要があります。
子どもや家族の生活のために加入している保険は、ある程度保障額を削っても良いかもしれません。
老後の生活を見据えて、保障を組みなおすことが大切です。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年5月1日-2025年5月31日)
がんに罹患するリスクが高い年代
60代は、がんをはじめとする重大な病気のリスクが大きく高まる年代です。
日本人は2人に1人が一生のうちにがんに罹患するといわれていますが、実際には年齢によって罹患率の高さは異なります。
中でも60代は罹患率が急上昇する時期です。
そのため、がん保険の保障内容が自分に合っているか、いま一度確認しておくことが大切です。
60代以降であれば、基本的にはがんと診断されたときにまとまったお金を受け取れる「診断一時金保障」がおすすめです。
治療の長さや種類を問わず一時金を受け取れるため、入院や手術、通院治療に備えられるだけでなく、毎月の生活費として利用することも可能です。
がんは年齢が高くなるほど罹患率も上がる病気です。
そのため、がん保険の保険料も年齢が上がるほど高くなります。
いずれがん保険に加入しようと思っている人は、1歳でも若いうちに検討しておくのが良いでしょう。
がん検診などで指摘を受けてからではがん保険への加入は難しくなるため、注意してください。
また、がん保険は、一般的に加入後90日間の免責期間が設けられています。
何か体に異変を感じてから慌てて加入しても、保障対象とならない可能性があります。
保険の検討は余裕をもって進めておきましょう。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?

最新の保障を取り入れられる
生命保険は時代とともに進化しています。
特に近年では、医療技術の向上や治療の多様化に伴い、今までにはなかった新しい形の保険が登場しています。
60代で生命保険を見直すことで、これまで加入していた保険にはなかった最新の保障を取り入れることも可能です。
例えば過去に加入した医療保険の場合、「入院5日目から保障」などの条件が付いていることもあります。
しかし、近年では入院日数は短期化の傾向にあり、入院5日目からの保障ではほとんど給付金を受け取れないケースも増えています。
新しい医療保険であれば、「日帰り入院から保障」されることが一般的です。
古い保障内容の保険をそのままにしていて、いざというときに役に立たないことがないように、保険は定期的に見直しをしましょう。
60代の生命保険の加入率
生命保険文化センターの調査によると、60代の生命保険加入率は90%を超えています。
特に60代後半では95.2%と、全年代で最も高い割合となっています。
60代は子育てが一段落し、定年退職後の自分たちの生活について考える年代で、医療費や介護費への備えを重視する人も増えます。
では、保険種類ごとに60代の加入率を見ていきましょう。
60代の医療保険の加入率
60代の医療保険加入率(生命保険で医療保障を用意している人の割合)は、男性で75.4%、女性で77.2%となっています。
医療保険の加入率は40代~60代で特に高く、全年代でわずかですが女性のほうが加入率が高い傾向にあります。
年齢を重ねると、健康診断で指摘を受けたり持病の治療が必要になったり、何かと健康不安は高まるものです。
そのため、もしもの時の医療費負担に備えるため、医療保険を検討する人が多いことが考えられます。
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60代のがん保険の加入率
60代のがん保険・がん特約の加入率は、男性で45%、女性で38.2%となっています。
男性は40代~60代、女性は30代~50代で加入率が高い傾向にあります。
女性は比較的若い年代から乳がんや子宮がんのリスクがあるため、加入率のピークが若いことが考えられます。
しかし、がんの罹患率は男女ともに80代~90代で最も高くなります。将来に備えて、がんの保障をどの程度用意しておくかを考えておく必要があるでしょう。
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60代の特定疾病保険の加入率
特定疾病保障保険とは、がんをはじめとする三大疾病や生活習慣病を保障する保険のことです。
60代の特定疾病保険・特定疾病保障特約の加入率は、男性で35.3%、女性で29.3%です。
男性は30代~60代で、女性は30代~50代で加入率が高い傾向にあります。
がんだけでなく、心疾患や脳血管疾患に備えておきたい人は、特定疾病保障保険を検討するのが良いでしょう。
ただし、三大疾病や生活習慣病は年齢が上がるほどリスクも高まります。
そのため、高齢になってから特定疾病保障保険に加入しようとすると保険料が大きな負担になることも考えられます。
メリットとデメリットを整理して、加入を希望する場合は1歳でも若いうちに検討しておくことをおすすめします。
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60代の介護保険の加入率
生命保険で介護保障を準備している60代は、男性で34.8%、女性で36.8%となっています。
医療保険に比べると加入率は低いですが、全体の3割以上が介護への備えを用意していることになります。
平均余命が長くなる一方で、健康寿命の問題も近年話題となっています。
将来介護が必要になったとき、子どもや親族に迷惑をかけたくないと考える人も多いのではないでしょうか。
十分な貯蓄があれば敢えて民間の介護保険に加入する必要は低いかもしれませんが、介護費用の準備に不安を感じる人は一度検討してみるのも良いでしょう。
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60代は生命保険料を毎月いくら払っている?
生命保険文化センターの調査によると、60代の年間払込保険料は男性で平均21万2000円、女性で平均15万9000円となっています。
男女で開きはありますが、1カ月に換算すると平均約1万5000円前後の保険料を支払っていることになります。
払込保険料の平均が最も高いのは50代で、そこから年齢が上がるごとに平均額は少しずつ下がっていきます。
要因として、60代以降は子どもの独立に伴って死亡保険を解約・減額する人も多く、シンプルな医療保障で老後に備える人が増えることが挙げられます。
また、老後は年金収入に頼って生活する人も多く、保険料を出来るだけ節約したい心理も働くでしょう。
60代で保険の見直しを検討する際は、老後も支払い続けられる保険料になっているかを確認しておくことが大切です。
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60代の生命保険の見直し方【備えるべきリスク別】
60代で生命保険を見直す時には、どんなリスクに備えておくべきかを整理する必要があります。
ここからは、備えるべきリスク別に保険の見直しポイントをご紹介します。
病気やケガで老後の生活費が足りなくなるリスク
60代以降は病気やケガのリスクが高まります。
いざという時に経済的に困らないよう、医療保険の保障内容が十分かどうかを確認しておく必要があります。
75歳以上の後期高齢者になると、原則医療費が1割~2割負担であるため、民間の医療保険は必要ないと考える人もいます。
しかし、年齢を重ねると、がんや心筋梗塞、脳卒中などの大きな病気に罹患するリスクが高まります。
三大疾病や生活習慣病は、一度罹患するとすぐに完治させることが難しく、生涯にわたって治療が必要になるケースもあります。
その場合、たとえ医療費が1割~2割負担といっても、限られた収入でやりくりするのが難しくなることもあるかもしれません。
老後の生活や趣味に使いたいと考えていた貯蓄を、病気の治療に充てるのは避けたいと思う人もいるでしょう。
老後のリスクに備えて、ある程度の医療保障は準備しておくと安心です。
あなたの年齢で医療保険の保険料はいくら?

介護費用が必要になるリスク
介護費用に対する備えも、60代以降は現実的な問題となります。
公的介護保険制度はありますが、実際の介護費用をすべてまかなうことができるわけではなく、一定の自己負担が必要になります。
また介護状態になった場合、家のリフォーム費用や車いすの購入費など、ある程度のまとまったお金も必要になります。
もしも介護が必要になった場合、介護費用をまかなえるほどの貯蓄があるかどうか、保険で備えられているかを確認しておきましょう。
万が一のリスク
60代では死亡保険についても見直しが必要です。
特に子どもがいる家庭の場合、子どもが成人して独立すれば、これまで準備していた大きな死亡保障の必要性は低くなります。
保障額を今の状況に見合った範囲に抑えることが大切です。
60代以降は、葬儀費用目的で死亡保険を準備しておく人が多くなります。
葬儀費用をまかなう目的であれば、数百万円の保障があれば問題ないでしょう。
加入中の保障が今の自分の状況に合っているか、確認しておくことが大切です。
60代が特に見直すべき生命保険の種類とポイント
ここからは、60代が保険を見直す時のポイントについて、保険種類ごとに解説します。
医療保険
60歳以降は、年齢とともに病気やケガのリスクが高まり、医療費の負担が増える可能性があります。
そのため、医療保険の内容を見直し、必要な保障が準備できているかを確認しておくことが大切です。
医療保険の保障内容を考える際は、公的医療保険制度でカバー出来ない部分をまかなえるように意識すると良いでしょう。
特に、75歳以上の後期高齢者になると医療費負担の割合は現役時代よりも少なくなります。
また、入院や手術が必要になった場合、高額療養費制度で自己負担額を軽減させることもできます。
とはいえ、入院が長引いたり個室療養を希望すると、自己負担額が大きくなるリスクがあります。
いざというときに備え、最低限の保障を確保しておきましょう。
あなたの年齢で医療保険の保険料はいくら?

がん保険
60代以降はがんのリスクが急激に高くなります。
がん保険に加入している人は、保障内容を改めて確認しておくことが必要です。
特に、過去に入ったがん保険を長年見直していない人は注意が必要です。
近年、がんの治療は入院日数が短くなり、代わりに通院治療を長期間続けるケースが増えています。
昔のがん保険の場合、入院保障や死亡保障が中心になっていて、通院での薬剤治療に対応できない可能性もあります。
実際にがんに罹患したとき、がん保険に入っていても給付金がほとんど受け取れなければ意味がありません。
最新のがん保険では、がんと診断された時点でまとまったお金を受け取れる「診断一時金」の保障が主流となっています。
治療の有無に係わらず必ず給付金を受け取れるため、使い勝手の良い保障といえるでしょう。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?

死亡保険
60歳を迎えると、子どもが経済的に自立している場合が多く、死亡保険の必要性を再確認するタイミングとなります。
一方で、パートナーやのこされた親族のことを考えると、死亡保険が全く必要ないとはいえないでしょう。
最低限、葬儀費用をまかなえる程度の保障を用意しておくと安心です。
また、同じ60代でもライフステージは個々で異なります。
住宅ローンがまだ残っていたり、子どもがまだ成人していない場合は死亡保障の必要性が高くなります。
自分の状況に合わせて、必要な保障を準備しましょう。
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生命保険を見直す際の注意点
保険を見直すときには、注意すべきポイントがいくつかあります。
ここからは、保険の見直しで押さえておきたい注意点をご紹介します。
定期型の保険では更新のたびに保険料が上がる
生命保険には、一定期間で更新が必要になる「定期型」の保険があります。
更新のたびに保険料が見直されることになり、特に60歳以降は大幅に保険料が上がる恐れがあります。
そのため、老後も見据えて保障を用意しておきたい場合は、基本的に「終身型」の保険を検討すると良いでしょう。
終身型であれば、一生涯保障が続き、保険料も加入時から上がることはありません。
一定期間の保障のみで良い場合は定期型も選択肢のひとつになりますが、医療保障やがん保障などは基本的に終身型で用意しておくことがおすすめです。
終身型の医療保険を探す

生命保険に加入できない可能性がある
60歳を超えると、健康に不安を抱える人も増えてきます。
保険を見直す場合、新しく申込む保険では健康状態に関する診査が必要です。
そのため、現在の健康状態や過去の傷病歴によっては、加入を断られるケースもあります。
加入審査に落ちてしまったときに無保険状態にならないよう、保険の見直しをする際は必ず新しい保険が無事成立したことを確認してから、古い保険を解約しましょう。
健康状態が原因で保険に加入できなかった場合も、引受基準緩和型の保険を検討することで保障を確保できる場合もあります。
ただし、保険料は割増しになっているため、保障と保険料のバランスに注意して検討を進めていきましょう。
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Q.持病があっても生命保険に加入できる?
A.持病の種類や治療歴、また保険会社によっても異なります。
持病があるからといってすぐに保険加入を諦める必要はありません。
持病の種類や治療歴によっては保険に加入できるケースもあります。
また保険会社ごとに診査基準は異なるため、いくつかの保険会社で検討を進めるのも良いでしょう。
また、持病がある方向けの「引受基準緩和型保険」もおすすめです。
通常の保険よりも告知事項が緩和されており、健康に不安を抱えていても加入しやすいメリットがあります。
一方、保険料は通常の保険と比べて割高に設定されているため、保険料の支払に問題がないか事前に確認しておく必要があるでしょう。
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同様の保障内容でも保険会社によって保険料が異なる
保障内容が似ている場合でも、保険会社によって保険料は大きく異なることがあります。
そのため、1つの保険会社で決めずに、複数の保険会社で比較検討することをおすすめします。
例えば、医療保険やがん保険はA社、死亡保険はB社、といったように、それぞれ保険料が低廉な保険会社同士を組み合わせて加入することで、合計の保険料を抑えられる場合があります。
その後の管理も適切に行う必要はありますが、毎月の支出をできるだけ抑えたい人は、複数社で比較して検討すると良いでしょう。
医療保険の保険料を比較する

まとめ
60歳を迎えるとライフステージが大きく変化し、生命保険の見直しが必要なタイミングになります。
自分や家族のニーズに合った最適な保険を選びましょう。
自分ではどんな保険を選んだらよいかわからない人も多いかもしれません。
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ぜひ、保険選びの参考にしてください。