40代は仕事に子育て、住宅ローンの返済などさまざまなライフイベントと責任を抱える年代です。
働き盛りの40代で三大疾病のような大きな病気にかかると、経済的な不安や生活への影響は計り知れないでしょう。
一方で、何かと出費が増える年代でもあるため「保険料はできるだけ抑えたい」のが本音かもしれません。
本記事では、40代にとって三大疾病保険は本当に必要なのか、後悔しない保険選びのためにはどうすれば良いか、保険とお金のプロが詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
40代以降は三大疾病の罹患リスクが徐々に高まるため要注意
医療保険では、退院後の通院やリハビリの保障が不十分な場合がある
治療が長期化しやすい三大疾病などには、三大疾病保険で備えることがおすすめ
目次
40代は三大疾病に備えるべき?数字で見るリスクと治療費
三大疾病は日本人の死亡原因の約半数を占めており、誰にとっても身近な病気です。
特に40代以降は罹患リスクが上昇し、治療にかかる費用や期間も無視できないものとなります。
まずは、三大疾病の罹患リスクや治療にかかる費用について、統計データから紐解いていきましょう。
40代から急上昇する三大疾病の罹患リスク
三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の罹患リスクは、年齢を重ねるごとに高くなります。
2023年の厚生労働省の調査によると、年代別の三大疾病の推計患者数は次のとおりです。
35歳未満の推計患者数と35歳以上の推計患者数には、約7~18倍の大きな差があります。
年齢が上がるほど罹患リスクは高くなるため、健康なうちに保険で備えておくことも大切です。
三大疾病は日本人の死因上位を占めており、40代後半では男女ともにがんが死因の1位となっています。
働き盛りの40代にとって、がんは決して他人事ではありません。
また、心疾患や脳血管疾患も年齢を重ねるごとにリスクが上昇し、50代後半から60代で死因に占める割合が最も高くなります。
三大疾病は一度罹患すると、生涯付き合っていかなければならないケースもあります。早め早めの備えが大切です。
(参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省)
(参考:令和6年(2024) 人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省)
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?
三大疾病の治療費用
三大疾病は入院や手術、薬剤治療の費用が高額になることでも知られています。
20023年のデータによると、がんの1入院あたりにかかる医療費は平均80万円~120万円、急性心筋梗塞で平均120~190万円、脳出血で平均240~260万円となっています。
ただし、実際の負担額は公的医療保険で3割まで抑えられ、高額療養費制度を利用することでさらに自己負担額を軽減することが可能です。
しかし、1カ月の自己負担額が数万円から数十万円に抑えられたとしても、何年間も治療が続くことになると家計への負担も大きくなるでしょう。
公的医療保険が適用されない費用や、働けない期間が続くことで収入が減少するリスクもふまえておく必要があります。
もしものとき三大疾病のような大きな病気に罹患したら、治療が何年も続いたとしても医療費を負担できるか、収入が一時的に減少したとしても生活に苦労することはないか、考えておきましょう。
(参考:診療アウトカム評価事業|公益社団法人 全日本病院協会)
三大疾病の治療期間
三大疾病の治療は長期にわたることも珍しくありません。
特に脳血管疾患はリハビリが必要になるケースも多いため、平均在院日数が長く、2023年の調査では平均68.9日となっています。
一方、がんや心疾患は比較的入院が短期間で済む傾向にあり、がんの平均在院日数は13.4日、心疾患は18.3日と2週間前後となっています。
ただし、がんや心疾患は退院後の通院治療が長引く傾向にあります。
特にがんの場合、退院後通院で抗がん剤やホルモン剤の治療を行うケースも多く、中には何年間も病院に通って治療を受ける人もいます。
また、心疾患は再発しやすいといわれており、再入院のリスクもあります。
もちろん、長い治療にも対応できる資産があれば保険は不要です。
しかしそれだけの資産を保有している人はごくわずかでしょう。十分に貯蓄があっても、いざというときに取り崩すことに抵抗を感じる人もいます。
三大疾病は「手術してすぐ治る」簡単な病気ではないことを理解した上で、保険で備えておくべきか冷静に判断することが大切です。
(参考:2023年患者調査の概況|厚生労働省)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年10月1日―2025年10月31日))
公的医療保険制度(高額療養費制度)だけでは不十分な理由
「民間の保険は不要」と考える人の多くは、公的医療保険制度の充実を理由に挙げます。
確かに日本の公的医療保険制度は非常に充実しており、高額療養費制度を利用すれば1カ月の医療費負担を一定額までに抑えることもできます。
しかし、公的制度だけで三大疾病の治療にかかる費用をすべてカバーできるわけではありません。
そもそも公的医療保険制度は「医療費負担を一定に抑える」もので、治療を受ければある程度の自己負担は必要です。
治療を毎月受け、医療費を毎月支払う生活になると、いくら公的保険で自己負担を抑えられたとしても家計に影響を与えかねません。
長期の入院やリハビリが必要になれば、その期間働くことができなくなり、収入も減少します。また入院時の差額ベッド代、自由診療や先進医療にかかる費用は公的保険でまかなうことができません。
民間の保険は、公的保障でカバーできないリスクに備えるためのものです。
公的医療保険の保障内容を把握したうえで、まかないきれない金銭的なリスクには民間の保険で備えておく必要があるでしょう。
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三大疾病保険の基本知識:種類と保障内容の理解
三大疾病に手厚く備えるには、三大疾病保険の検討がおすすめです。
ここからは、三大疾病保険の基本的な仕組みと、医療保険やがん保険の違いについて解説します。
三大疾病保険とは?医療保険・がん保険との違い
三大疾病とは、「がん・心疾患(または急性心筋梗塞)・脳血管疾患(脳卒中)」の3つの病気を保障する保険です。
それに対し、がん保険は保障対象ががんのみという違いがあります。
また、医療保険はがんや三大疾病はもちろん、その他の病気やケガもすべて保障対象となります。
しかし、医療保険は基本的に「入院」を保障する保険のため、がんや三大疾病など通院治療やリハビリが長引く病気を保障するためには不十分な可能性があります。
がんや三大疾病による長引く治療や、働けない期間の収入減少に備えるには、医療保険に加えてがん保険や三大疾病保険の検討がおすすめです。別の契約として加入することもできますが、医療保険にがん特約や三大疾病特約を付加することでひとつの契約として管理することもできます。
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押さえておきたい保障内容の種類
三大疾病保険は、三大疾病のいずれかに罹患したとき、まとまったお金を受け取れる一時金タイプが主流です。
一時金タイプの中でも、「三大疾病定期保険」と「終身型三大疾病(特定疾病)保険」では保険契約の形態が大きく異なります。
三大疾病定期保険は主に日本の大手生命保険会社から販売されており、三大疾病もしくは死亡時にお金を受け取れる定期保険です。
いずれかの理由でお金を受け取ったら、その時点で保険契約が終了します。
一方、終身型の三大疾病保険は死亡保障は基本的に付加されておらず、三大疾病のみを保障対象とします。
一度一時金を受け取っても契約は継続され、その後の再発や転移、他の病気に罹患した際も保障になるものが一般的です。
終身型の三大疾病保険の場合、特約として薬剤治療の保障や入院保障を付加できるものもあります。
また、三大疾病のいずれかに罹患した時点で、以降の保険料支払いが免除される特約も人気のひとつです。
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?
【目的別】40代におすすめの三大疾病保険の選び方と必要保障額
40代で三大疾病保険を検討する際には、自身のライフスタイルや経済状況、将来の不安などを考慮し、目的に合わせた選び方をすることが重要です。
ここからは、ニーズ別に三大疾病保険の選び方と目安となる保障額についてご紹介します。
目的①:高額な治療費をまとめて確保したい
三大疾病の治療を長年続けると、医療費負担が高額になる恐れがあります。
また、先進医療や自由診療など、公的医療保険適用外の治療を選択する場合は多額の自己負担が発生します。
治療に必要な費用をまとめて確保したい人は、三大疾病一時金を重視したプランがおすすめです。
最適な保障額は、一時金の受け取りが1回切りのタイプか複数回受け取れるタイプかによって異なります。
1回きりしか受け取れない保険の場合、500万円~1000万円以上の保障を検討する必要があるでしょう。
一方、終身型の三大疾病保険を検討する場合、一時金は複数回受け取れるものも多いため、そこまで大きな額を設定する必要はありません。
100万円~300万円を保障額の目安とし、治療費が高額になる先進医療や自由診療には、別途特約を付加して対応することが一般的です。
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目的②:万が一の収入減に備えたい
三大疾病の治療が長期化すると、仕事を休職したり、退職せざるを得なくなったりして、収入が大幅に減少するリスクがあります。
特に自営業やフリーランスで働く人は会社員のように傷病手当金がないため、収入減への備えがより重要です。
収入の減少に備えたい人には、一時金保障をメインに、保険料払込免除特約を付加していざというときに保険料負担をなくすことができるプランがおすすめです。
一時金の保障額は、毎月の治療に加え収入の補填も加味して決めると良いでしょう。
例えば、年収500万円の場合、高額療養費を利用した際の1カ月の治療費は約9万円前後です。
毎月治療を受けた場合、4カ月目からは多数回該当として自己負担が4万4400円まで抑えられます。
9万円✕3カ月=27万円
4万4400円✕9カ月=約40万円
治療費合計:約67万円
上記に加え1カ月あたり5万円の生活費を保険で補填すると考えると、1年間で60万円となります。
つまり、約130万円の一時金保障額に設定しておけば、向こう1年間の治療と生活費の補填に利用できる計算です。
さらに保険料払込免除特約を付加していれば、毎月の保険料も免除されるため家計の負担を減らすことができます。
上記はあくまでも一例ですので、自身の収入や補填したい額に合わせて概算してみましょう。
(参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省)
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目的3:保険料負担を抑えつつ備えたい
保険料負担を抑えながらも、三大疾病のリスクに最低限備えたいと考える方もいるでしょう。
一時金の金額を最低限にし、その他の特約をうまく組み合わせることで、保険料を抑えられる可能性があります。
高額療養費を利用した場合の1カ月の自己負担額から、年間の治療に必要な費用を確認し、最低限カバーできる一時金保障額に設定しておきましょう。
例)年収300万円の人
- 1カ月5万7600円 4カ月目以降4万4400円
- 5万7600円✕3カ月+4万4400円✕9カ月=57万2400円
一時金の目安:50万円~60万円
例)年収500万円の人
- 1カ月約9万円 4カ月目以降4万4400円
- 約9万円✕3カ月+4万4000円✕9カ月=約67万円
一時金の目安:70万円~80万円
上記は、1年間治療を続けたとして最低限医療費の支払いに対応できる目安の額です。その他、先進医療特約など必要性の高いものに絞って特約の付加を検討しましょう、
参考)40代の生命保険料
保険を選ぶ際、同年代の人が毎月どれくらいの保険料を支払っているのかは気になるポイントではないでしょうか。
2022年の調査によると、40代男性の年間平均保険料は22万4000円、40代女性の場合18万6000円となっています。
1カ月あたりで考えると、男性は約1万8666円、女性は1万5500円です。
ただしこの金額は三大疾病保険に支払っている保険料ではなく、医療保険や死亡保険など生命保険の保険料すべてを合算したものです。
保険に加入する際は、保険料の合計が毎月無理なく支払える額に収まっているかを確認しておくことが大切です。
(参考:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター)
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?
三大疾病保険に加入する際に見落としがちな重要ポイント
三大疾病保険に加入する際には、いくつかの注意点があります。
特に、給付金の支払条件や特約の内容は保険会社や商品によって異なるため、契約前に確認することが大切です。
ここからは、三大疾病保険に加入する際のポイントをご紹介します。
給付金の支払い条件「所定の状態」の定義
三大疾病保険で最も注意すべき点は、給付金の支払条件です。
三大疾病に罹患して「所定の状態」に該当した場合、給付金が支払われると定めているものが一般的ですが、「所定の状態」には保険会社ごとに違いがあります。
【がん】
ほとんどの場合「悪性新生物と診断確定されたとき」が支払条件になっています。近年では上皮内新生物も保障対象としている保険会社が増えています。
【心疾患】
診断確定だけでなく、「20日以上入院が継続した場合」「60日以上労働の制限を必要とする状態が継続したと医師によって診断されたとき」などの条件が設けられている場合があります。
ただし近年では、「入院もしくは手術を受けたとき」と比較的受け取りやすい条件を定めている商品が増えています。
【脳血管疾患】
心疾患と同様に、診断確定以外の条件が設けられていることが多いです。「入院もしくは手術を受けたとき」と定められている商品は比較的給付金が受け取りやすくなります。
また、複数回給付金を受け取れる三大疾病保険の場合、2回目以降の受け取り条件についても確認しておきましょう。
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保険料払込免除特約のデメリット
保険料払込免除特約は、三大疾病で所定の状態になった場合に以後の保険料の支払いが免除される特約です。
いざというとき、保険料を支払わずに保障を受けられる点は非常に大きなメリットといえるでしょう。
ただし、保険料払込免除特約を付加することでその分毎月の保険料は割増になります。
三大疾病に罹患することがなければ保険料は掛け捨てになることがほとんどのため、支払って問題ないと思える保険料に収まっているかを確認することが大切です。また、保険料が免除される条件についても確認しましょう。
先進医療特約の重複
すでに医療保険やがん保険に加入している場合、先進医療特約が重複する可能性があります。
先進医療特約は、公的医療保険の対象外となる先進医療の技術料を保障する特約で、一般的に保障額には「通算2000万円まで」といった上限が設けられています。
複数の保険に先進医療特約を付加しても、受け取れる給付金の上限額が増えるわけではなく、重複して保障されるわけでもありません。
保険料が無駄になる可能性があるため、現在加入している保険ですでに先進医療特約を付加している場合、三大疾病保険への特約付加は不要です。
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まとめ
40代以降は三大疾病の罹患リスクが上昇し、治療費負担や治療期間の長期化、収入減少などさまざまな経済的不安を抱えることになります。
貯蓄や医療保険でカバーできないリスクには、三大疾病保険で備えておくことをおすすめします。
保障内容を必要なものだけに絞ったり、複数社で比較検討することで、保険料を抑えて保障を確保できる可能性があります。
ほけんのコスパでは複数社の三大疾病保険を掲載しており一括見積りも可能です。
ぜひ保険選びの際に利用してください。
あなたの年齢で三大疾病保険の保険料はいくら?































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