県民共済は比較的お手頃な保険料で保障を準備できるイメージがありますが、働けないリスクもカバーできるのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
結論、現在のところ県民共済に就業不能に備える保険はありません。
では、万が一病気やケガで働けなくなってしまったときに備えるには、どうすれば良いのでしょうか。
今回は、保険のプロが県民共済の保障内容や、働けないときへの備え方を詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
県民共済に就業不能保険にあたる保障はない
働けないリスクに備えるには、就業不能保険、所得補償保険等がおすすめ
就業不能保険の必要性は人それぞれ。公的保障をふまえて検討しましょう
県民共済に「就業不能保険」の機能はない
県民共済には、「就業不能保険」に該当する保障内容はありません。
就業不能保険とは、病気やケガによって働けなくなった場合の収入減少や生活費を保障する保険です。
県民共済では入院時の医療費負担に備える保障や、万が一の死亡保障は用意できますが、現在のところ就業不能時の収入補填をメインとする保障は提供されていません。
就業不能時の保障が必要な人は、県民共済ではなく他の選択肢を検討する必要があります。
民間の生命保険会社が販売している就業不能保険や、JA共済の生活障害共済などが選択肢になるでしょう。
給付金の支払条件は商品によって異なるため、保険選びの際は「どんな状況になったら給付金が支払われるのか」を確認して比較することがおすすめです。
県民共済の主な保障
県民共済には、入院時の医療費をカバーする「入院保障型」と、医療費に加えて万が一の死亡時にも備えられる「総合保障型」があります。
いずれのタイプの入院時には日額保障が受けられたり、重度障害時には一時金が支払われます。
しかし、あくまでも一時的な医療費負担に備えるための保障で、病気やケガで長期間療養する際の収入減少に備えるものではありません。
掛金が年齢や性別に関係なく一定である点や、決算で余剰金が発生した場合には割戻金として返還される点など、経済的な負担を抑えて基本的な保障を用意できることが県民共済の魅力です。
一方で、一定期間働けなくなったときのために備えておきたい場合は、他の保険商品を検討する必要があります。
県民共済ではカバーできないリスクに対しては、民間の生命保険会社の商品や、他の共済を併用を検討すると良いでしょう。
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就業不能保険とは
就業不能保険とは、病気やケガで一定期間働けなくなったときの収入減少を補うための保険です。
一般的に、給付金は就業不能状態に該当してから毎月支払われる仕組みになっており、回復するまでもしくは保険期間が満了になるまで給付金の支払いが続きます。
保障額や保険期間は加入時に選ぶことができるため、ライフプランや現在の収入を加味して自分に合ったプランを選択しましょう。
就業不能保険には一般的に「免責期間」が定められています。
そのため、働けなくなってすぐに給付金が支払われるわけではなく、60日や180日などの免責期間を超えて就業不能状態が続いている場合に保障対象となります。
免責期間は商品によって異なる場合があるため、加入前には必ず確認しておきましょう。
就業不能保険は、一家の家計を担う立場にある人や、傷病手当金を受け取れない自営業者、フリーランスの人に特におすすめです。
あなたの年齢で就業不能保険の保険料はいくら?

県民共済以外で就業不能に備える方法
県民共済には就業不能に備えるための保障がないため、代わりの手段を検討する必要があります。
就業不能保険を活用することも選択肢の一つですが、それ以外にもリスクに備える手段はあります。
ここからは、働けなくなったときのために、どんな備えができるかを紹介します。
選択肢①:公的保障を活用する
就業不能状態になったとき、会社員や公務員であれば「傷病手当金」や「休業補償給付」を受け取れる可能性があります。
「傷病手当金」は、業務外でのケガや病気が原因で4日以上連続して休業した場合に支給され、通算1年6カ月を限度に給与の約3分の2が受け取れます。
また、業務中または業務関連で発生したケガや病気には「休業補償給付」が適用され、通常の収入の約8割がカバーされます。
どちらも働けなくなったときの強い味方となる存在ですが、給与の満額が保障されるものではありません。
社会保険料もこれまで通り支払う必要があるため、可処分所得は減少してしまいます。
十分な貯蓄があったり、いざというときに頼れる家族がいる人は、さほど大きな不安を感じないかもしれません。
しかし、収入の減少に不安を感じる人は、公的保障で不足する部分を、保険で補えるように備えておくとよいでしょう。
自営業者やフリーランスの場合は公的保障を受けられないため、注意が必要です。
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選択肢②:民間の「就業不能保険」を検討する
民間の生命保険会社が販売している「就業不能保険」を利用することで、病気やケガで働けなくなった際の収入減をカバーすることができます。
就業不能保険の保障額を決めるときは、会社員や公務員の場合傷病手当金の受給額をふまえて、毎月不足する額を補えるように設定すると良いでしょう。
自営業やフリーランスの場合、働けなくなると途端に収入が途絶えてしまうリスクがあります。
就業不能保険で毎月の生活費を補えるよう、適切な保障額に設定しましょう。
民間の就業不能保険は、加入時に健康状態に関する審査があります。
何かあってからでは保険に加入できなくなるリスクもあるため、早めに検討しておくことをおすすめします。
あなたの年齢で就業不能保険の保険料はいくら?

選択肢③:他の共済が提供する所得補償・就業不能保障を検討する
県民共済以外の共済組合や、損害保険会社が販売している所得補償・就業不能保険を活用する選択肢もあります。
一例として、JA共済が販売している身体障害者手帳と連動した「生活障害共済」や、コープ共済の「団体所得補償保険」などがあります。
また、損害保険会社が取り扱っている所得補償保険も、病気やケガによる収入減を補うためのものです。
保障内容や給付金の支払い条件、保障期間など、民間の就業不能保険と異なる場合があるため、保険選びの際は必ず複数の商品で見比べましょう。
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選択肢④:預貯金で備える
保険に加入せず、預貯金を活用して将来のリスクに備えておくのも、選択肢のひとつです。
十分な貯蓄があれば、万が一収入が途絶えても生活費を確保することが可能です。
では、どれくらいの貯蓄があればいざというときにも安心できるのでしょうか。
例えば、特に入院が長引くとされている精神疾患(気分障害・躁うつ病)の平均在院日数は118.2日です。
ひとつの目安として、約半年間の生活費をまかなえるだけの貯蓄があるかどうかで判断すると良いでしょう。
ただし、今現在は十分な貯蓄があるとしても、療養が長引くにつれて貯蓄額が減っていくのは精神的な負担になります。
今計画的に貯めているお金は、子どもの教育費のためや、老後の生活費のためなど、使う目的がある人も多いでしょう。
不測の事態には、ある程度保険で備えておくほうが安心といえます。
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就業不能保険の必要性が高い人
就業不能保険の必要性は人それぞれです。
ここからは、就業不能保険で備えておいた方が良い人について見ていきます。
自営業やフリーランスの人
自営業やフリーランスの人は雇用保険の対象外であることが多く、万が一病気やケガで働けなくなった場合に傷病手当金などの公的保障を受けることができません。
また、会社員のように有給休暇の制度もないため、働けなくなると突然収入が途絶えてしまうリスクがあります。
就業不能保険で備えておく必要性は高いといえるでしょう。
県民共済では就業不能保険に相当する保障がないため、他の民間保険や共済を活用して、働けなくなるリスクに備えておくことをおすすめします。
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経済的に扶養している家族がいる人
家族を経済的に支えている人が、病気やケガで働けなくなり収入が減少してしまうと、生活に大きな影響を与える可能性があります。
家族の生活費や子どもの教育費、住宅ローンの支払いなど、必ず必要になるお金は収入が減少しても確保しておかなければなりません。
一人暮らしの場合よりも収入が下がったときの支出の調整が難しいため、就業不能保険で備えておく必要性が高くなります。
特に、まだ小さい子どもがいたり、ローンの返済を抱えている人は、就業不能保険でいざというときのために備えておくと安心です。
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収入が減少したときに生活が厳しい人
一人暮らしの場合でも、十分な貯蓄がない人や、収入が多く毎月の支出も多い人など、収入が減少したときに今の生活を続けるのが難しいケースでは、就業不能保険で備えておく必要性が高くなります。
また、いざというときに家族に頼りたくない人や、生活費は自分でまかなう必要がある人も就業不能保険に加入しておくと良いでしょう。
会社員や公務員の場合、働けなくなったときには傷病手当金を受け取ることができますが、給与が満額保障されるわけではありません。
社会保険料の支払いも免除されないため、可処分所得は確実に少なくなります。
今の収入を前提とした生活を送っている人は、収入減に備える保険を検討しておきましょう。
あなたの年齢で就業不能保険の保険料はいくら?

就業不能保険がいらない・不要な人の特徴
就業不能保険はすべての人に必ず必要なわけではありません。
就業不能保険の必要性が低い人はどんな人か、解説していきます。
十分な預貯金などがあり、下がってしまった分の収入をカバーできる人
病気やケガで働けなくなった場合でも、十分な預貯金がある人は、就業不能保険が不要なケースがあります。
日常生活費や治療費をまかなえるほどの蓄えがあり、収入が一時的に減ったとしても経済的な影響が少ない人であれば、保険料を払ってまで保障を得る必要がないかもしれません。
特に公務員の場合は公的な保障が充実しているため、貯蓄が十分にあれば就業不能保険の必要性は低くなります。
投資や賃貸収入など、収入が減った際のリスクに備えられる資産や他の収入源がある人も、就業不能保険の優先度は低いといえるでしょう。
ただし、預貯金が十分にあったとしても、長期間働けなくなることに不安を感じる人や、預貯金を取り崩したくないと思う人は保険で備えておくことを検討しましょう。
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就業不能保険に関するよくある質問
ここからは、就業不能保険に関するよくある質問に、保険のプロがお答えしていきます。
Q.就業不能保険の落とし穴は?
A.就業不能保険は「免責期間」がある点に注意が必要です。
就業不能保険の場合、給付金の受け取りには一定期間の待機期間(免責期間)があり、働けなくなったからといってすぐに給付金が支払われるわけではありません。
免責期間は保険商品によっても異なりますが、60日や180日と定めているものが一般的です。
就業不能保険は、中長期間働けなくなるリスクに備えるものと考えておくと良いでしょう。
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Q.どんなときに就業不能保険の対象になりますか?
A.支払い条件は保険会社ごとに細かく異なりますが、一般的には病気やケガで入院している、もしくは医師から在宅療養を指示されている場合が保障対象となります。
就業不能保険は、働けなくなったときのための備えです。
「働けない状態」に該当しているかどうかの判断は基本的に医師の診断書が基準となり、入院が必要な状態が続いていたり、在宅療養の指示が出ている状態では支払い対象となる可能性があります。
保険会社によっては、保障対象となる病気を限定している場合もあるため、加入前に必ず支払い条件について確認しましょう。
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Q.就業不能保険がいらないといわれる理由は何ですか?
A,支払い条件が厳しいと感じる人がいることや、公的保障を受けられることが理由と考えられます
就業不能保険には通常免責期間が定められており、働けなくなった時点ですぐに給付金を受け取れないことから、支払い条件が厳しいと感じる人もいるようです。
また、会社員や公務員の場合、働けなくなったときに傷病手当金を受け取ることができるため、就業不能保険は不要と考える人もいます。
十分な貯蓄がある人や、いざというときに頼れる家族がいる人にとって、就業不能保険の優先度は低くなるかもしれません。
一方で、中長期的に働けなくなったときに備えておきたい人や、自営業やフリーランスで傷病手当金を受け取ることができない人にとっては必要性の高い保険といえるでしょう。
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Q.うつ病になったら保険はおりますか?
A.うつ病での入院は保障対象となる可能性がありますが、在宅療養のみの場合は保障されないことが一般的です。
うつ病等の精神疾患が保障対象となるかは、保険会社によって違いがあります。
精神疾患を保障対象としている場合でも、在宅療養の状態では保障されず、入院のみを対象としていることが一般的です。
加入前には必ず給付金の支払い条件を確認しましょう。
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まとめ
今回は、県民共済に就業不能保険はあるのか、働けなくなったときのためにどう備えておけば良いかを解説してきました。
県民共済には、病気やケガで働けなくなったときの収入減少に備える保険はありません。
民間の生命保険会社が取り扱っている就業不能保険を活用して、いざというときのために備えておきましょう。
ほけんのコスパでは、WEBで申込みできる就業不能保険を取り扱っています。
まずは自分の年齢と性別で保険料がいくらになるか、シミュレーションしてみましょう。
あなたの年齢で就業不能保険の保険料はいくら?
