40代を迎え事業も軌道に乗ってきた中で、「もし自分が病気やケガで長期間働けなくなったら…」と漠然とした不安を感じている自営業の人も少なくないでしょう。
会社員と異なり、自営業者は公的な保障が手薄になりがちで、収入の減少が事業の存続や家族の生活に直接影響します。
本記事では、40代の自営業者が直面する特有のリスクと、万が一の際に家族と事業を守るための具体的な備えについて、専門家が詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
40代は教育費や住宅ローンなどの支出が増える年代。働けなくなるリスクの備えが大切
自営業者は会社員と比べて公的保障が手薄。民間の就業不能保険を検討しましょう
まずは生活防衛資金として半年~1年分の現金を確保することを優先
目次
6.まとめ
40代自営業者が直面する「働けなくなるリスク」とは
40代は事業の基盤が固まり、家庭では子どもの教育費や住宅ローンなど支出が増える時期です。
そんな中、万が一働けなくなってしまうと、家庭と事業のどちらにも深刻な影響を与える可能性があります。
まずは、病気やケガで働けなくなるリスクについて考えていきましょう。
病気やケガで長期間休業する確率は40代から上昇する
多くの方が「死亡リスク」には保険で備えていますが、実は働き盛りの世代にとって「働けなくなるリスク」の方が統計的に高いのが現実です。
2025年の生命保険文化センターによる調査では、40代の10%が「過去5年間に入院歴がある」と回答しています。
また、40代の死亡数は1000人あたり約1.2人であるのに対し、傷病手当金件数は1000人あたり約5.6人と約5倍となっています。
特に40代は、生活習慣病などのリスクも高まり始める年代であり、病気やケガによる長期療養の可能性は決して他人事ではありません。
医療技術の進歩により、かつては命を落としていたような病気でも、長期の治療やリハビリを経て社会復帰できるケースも増えています。
もちろん万が一への備えも必要ですが、より確率の高い「働けなくなるリスク」への備えも検討する必要があると言えるでしょう。
(参考:2025(令和7)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター)
(参考:2023年(令和5年)人口動態調査|政府統計の総合窓口(e-Stat))
(参考:現金給付受給者状況調査報告 令和5年度|全国健康保険協会)
収入ゼロでも生活費・教育費・住宅ローンは待ってくれない
自営業者は会社員のように「傷病手当金」を受け取ることができないため、働けなくなると収入が完全に途絶える可能性があります。
しかし、支出は止まりません。
特に40代は、日々の生活費に加えて子どもの教育費や住宅ローンといった大きな固定費を抱えている世帯が多い年代です。
住宅ローン契約時に加入する「団信(団体信用生命保険)」は、主に死亡時と高度障害時の保障です。
高度障害は寝たきりや両目失明などの重い状態を指すことが多く、病気やケガで一時的に働けなくなった場合は保障されないことがほとんどです。
そのため働けずに収入が途絶えてしまっても、毎月のローン返済は続き、家計のバランスが大きく崩れる恐れがあります。
また、子どもの教育費の準備も必要です。
特に大学進学にはまとまったお金が必要になるため、収入が途絶えると教育費の捻出に苦労する可能性があるでしょう。
事業の固定費(家賃・リース代)も支払い続ける必要がある
自営業者の場合、個人の生活費だけでなく、事業を維持するための固定費も発生し続けます。
たとえ休業して売上がゼロになったとしても、事務所や店舗の家賃、機材のリース料、借入金の返済などの支払いは免れません。
事業経費は、生活費とは別に大きな負担となります。
自営業者は自身の療養中の生活費だけでなく、事業を最低限維持するための運転資金も考慮に入れた備えが必要です。
事前に毎月の固定費を正確に把握しておくことが、リスク対策の第一歩となります。
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自営業と会社員の違いとは?知っておくべき公的保障の落とし穴
病気やケガで働けなくなった際、会社員と自営業者では利用できる公的保障制度に大きな違いがあります。
この差を理解していないと、いざというときに想定していた支援が受けられず、資金計画が大きく狂うことになります。
ここでは、自営業者が特に注意すべき公的保障のポイントを解説します。
国民健康保険と社会保険の仕組みの違い
日本の公的医療保険は、主に自営業者やフリーランスが加入する「国民健康保険」と、会社員や公務員が加入する「健康保険(社会保険)」に分類されます。
どちらの保険も、医療機関での自己負担割合が原則3割になる「療養の給付」や、医療費が高額になった場合に自己負担額を軽減する「高額療養費制度」は共通して利用できます。
しかし、休業時の収入保障においては大きな違いがあります。
詳しく見ていきましょう。
自営業には「傷病手当金」がない
会社員が加入する健康保険には「傷病手当金」の制度があります。
業務外の病気やケガで働けない状態が4日以上続いた場合に、給与のおおよそ3分の2にあたる金額が、通算1年6カ月保障される制度です。
一方で、自営業者が加入する国民健康保険には、原則としてこの傷病手当金の制度がありません。
会社員であれば療養中の生活を支えるセーフティーネットがありますが、自営業者は病気やケガで仕事を休んだ瞬間から収入が途絶える可能性があり、その間の生活費をすべて自己資金でまかなわなければなりません。
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障害年金は「障害基礎年金」のみの受給になる
病気やケガによって生活や仕事が制限されるような重い障害状態になった場合、公的年金制度から「障害年金」が支給されます。
障害年金には、国民年金から支給される「障害基礎年金」と、厚生年金から支給される「障害厚生年金」の2種類があります。
会社員は厚生年金に加入しているため、障害の状態に応じて「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の両方(2階建て)を受け取ることができます。
しかし、国民年金のみに加入している自営業者は、「障害基礎年金」(1階部分)しか受け取ることができません。
そのため、会社員と比較して受給額は少なくなります。
また、障害厚生年金は障害等級1級~3級までが対象になるのに対し、障害基礎年金は1級または2級のみが対象です。
障害年金を受給できる基準にも差があるため、もしものために手厚い備えを用意しておく必要があります。
公的保障だけでは40代の家族と事業を守れない理由
これまで見てきたように、自営業者は会社員に比べて休業時の所得保障が手薄です。
傷病手当金がなく、障害年金も障害基礎年金のみとなるため、働けなくなった場合の収入は公的保障だけでは大幅に減少してしまいます。
例えば、月収40万円で子どもが2人いる35歳の自営業者が障害等級2級になった場合、支給される障害基礎年金は月額約10万円程度です。
障害等級2級・18歳未満の子どもが2人の場合
83万1700円+子の加算(23万9300×2)=131万300円/年
月額:約10万9192円
※令和7年4月分からの受給額
40代は住宅ローンや子どもの教育費など、支出が最も多い時期です。
障害基礎年金だけで家族の生活と事業の固定費を維持していくことは、現実的に困難でしょう。
公的保障はあくまで最低限のセーフティーネットと捉え、不足分を自身の貯蓄や民間の保険で計画的に補う必要があります。
(参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年4月1日―2026年4月30日)
40代の自営業者が今すぐやっておくべき3つの備え
公的保障が手薄な自営業者には、自分自身で計画的にリスクに備える「自助努力」が不可欠です。
ここからは、今すぐ取り組みたい3つの備えをご紹介します。
1. 生活防衛資金(緊急時の貯蓄)を確保する
働けなくなるリスクへの備えの基本は、すぐに使える現預金を確保しておくことです。
最低でも、半年~1年分の生活費と事業固定費を「生活防衛資金」として確保しましょう。
病気やケガで収入が途絶えても、当面の生活費や事業経費を支払えるだけの貯蓄があれば、精神的な余裕を持って療養に専念できます。
生活防衛資金は投資などに回さず、普通預金など流動性の高い形で確保しておくことが重要です。
また、この資金は後述する就業不能保険の「免責期間(給付が開始されるまでの待機期間)」を乗り切るための資金としても役立ちます。
公的保障が手薄だからこそ、すぐ使える現金を確保しておくことが大切です。
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2. 小規模企業共済などの制度を活用する
小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の経営者・役員のための、退職金積立制度です。
国の機関である中小機構が運営している制度で、掛金が全額所得控除になる点が最大のメリットです。
小規模企業共済は老後の資金形成として役立つだけでなく、万が一病気やケガで働けなくなり「廃業」を余儀なくされた場合に、それまで積み立てた共済金を受け取ることができ、当面の生活資金に充てることができます。
また、積立の範囲内で低金利の「貸付制度」も利用できるため、休業中の事業の資金繰りのためにも役立ちます。
自営業者のリスク管理として、活用すると良いでしょう。
3. 民間の「就業不能保険」で長期の収入減をカバーする
貯蓄だけでは、数年にわたる長期療養に対応するのは難しいかもしれません。
そこで役に立つのが、民間の「就業不能保険」です。
就業不能保険は、病気やケガで保険会社が定める所定の働けない状態が続いた場合に、毎月給与のように一定額の給付金を受け取れる保険です。
公的な傷病手当金がない自営業者にとって、収入減少を直接的にカバーできる就業不能保険は、必要性の高い保険です。
入院時だけでなく、在宅療養が続いた場合も保障される商品が多く、退院後の療養期間も給付金を受け取ることができます。
ただし、就業不能保険には「免責期間」が設けられていることが一般的で、働けなくなってすぐに保障を受けられるわけではありません。
そのため、保険と併せて生活防衛資金の確保も非常に大切です。
また、精神疾患の場合は保障が限定的になるケースもあります。商品選びの際は、保障範囲と給付金の支払条件について確認しておきましょう。
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自営業者が押さえておきたい就業不能保険の選び方
就業不能保険は自営業者にとって心強い味方ですが、商品によって保障内容や条件は様々です。
保険料だけで安易に選ぶと、いざという時に十分な保障が受けられない可能性もあります。
ここからは、自営業者が自身に合った就業不能保険を選ぶためのポイントをご紹介します。
必要保障額(毎月の給付金額)を正しく算出する
就業不能保険を選ぶ上で最も重要なのが、毎月の給付金額をいくらに設定するかです。
金額が大きすぎれば保険料が高くなり、少なすぎれば生活が成り立ちません。
必要保障額を算出するには、まず働けなくなった際に必要となる最低限の月間支出を洗い出す必要があります。
- 生活費:住居費(家賃・住宅ローン)、水道光熱費、通信費、食費など
- 事業の固定費:事務所の家賃、機材のリース料、借入金の返済など
支出の合計額から、障害基礎年金などの公的保障や配偶者の収入など、見込まれる収入を差し引いた金額が、保険で備えるべき必要保障額の目安となります。
収入に対し過度に大きな保障は保険会社の規定で設定できないケースが多いため、毎月の固定支出や自身の収入をふまえて、適正な額を設定することが大切です。
免責期間(支払対象外期間)と給付期間を確認する
就業不能保険には、働けない状態になってから給付金の支払いが開始されるまでの「免責期間(支払対象外期間)」が設定されていることがほとんどです。
一般的に60日、90日、180日などから選ぶことができ、免責期間が長いほど保険料は安くなります。
自身の貯蓄(生活防衛資金)でどれくらいの期間をカバーできるかを考慮し、適切な免責期間を選ぶことが重要なポイントです。
また、給付金がいつまで支払われるかという「給付期間(保険期間)」も確認が必要です。
自営業者は働く期間が定年で決まっていないため、自身がリタイアを予定している年齢までカバーできる保険期間を設定しましょう。
精神疾患が保障の対象に含まれているか確認する
働けなくなる原因として、ケガや身体的な病気だけでなく、うつ病などの精神疾患も大きな割合を占めています。
チューリッヒ生命保険株式会社が実施した調査によると、働けない状態になった原因の中で、22.6%が「うつ病や統合失調症など精神の疾患」となっています。
しかし、就業不能保険のほとんどでは精神疾患の保障は「入院時」に限られています。うつ病などで在宅療養をしている段階では給付を受けられない可能性が高いため、注意が必要です。
また、商品によっては、そもそも精神疾患が保障対象外となっているケースもあります。
加入前に保障範囲を正しく把握し、より広いリスクに対応できる保険を選びましょう。
(参考:就業不能に関する調査|チューリッヒ生命保険株式会社)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年4月1日―2026年4月30日)
40代の自営業者が抱える「働けなくなるリスク」に関するよくある質問
ここからは、40代の自営業者の方からよく寄せられる、働けなくなるリスクへの備えに関する質問にFPがわかりやすく回答します。
Q. 貯金がある場合でも就業不能保険は必要ですか?
A. 資産額によりますが、最低限の就業不能保険に加入しておくことをおすすめします。
貯蓄は、治療初期の費用や保険の免責期間(給付が開始されるまでの期間)を乗り切るために不可欠です。
しかし療養が数年に及び長期化した場合、貯蓄だけでは枯渇するリスクがあります。
数百万円の貯金では生活費や事業資金を賄えない可能性があるため、長期療養に備えて最低限の就業不能保険に加入しておくことをおすすめします。
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Q. うつ病などの精神疾患で働けなくなった場合も保障されますか?
A. 商品によって異なります。
近年では、精神疾患も保障対象に含む就業不能保険が増えています。
ただし、支給条件は「入院時のみ」に限定されているものが多いため、注意が必要です。
商品を選ぶ際は、精神疾患の取り扱いがどうなっているか、保障対象の場合は支給条件に制限がないかを確認しておくことが大切です。
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Q. 個人事業主が支払う就業不能保険の保険料は経費にできますか?
A. 事業の経費として計上することはできません。
しかし、支払った保険料は、確定申告の際に「介護医療保険料控除」の対象となります。
課税対象となる所得から一定額が控除され、結果的に所得税や住民税の負担が軽減されます。
保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」を忘れずに保管しておきましょう。
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まとめ
40代は責任も負担も大きい年代です。
特に自営業者の場合、会社員に比べて働けなくなった際の公的保障が手薄で、収入の減少が家計や事業に与える影響は深刻です。
まずは生活防衛資金として十分な貯蓄を確保し、その上で長期的な収入減をカバーするための就業不能保険を検討しましょう。
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