保障も貯蓄もできて一石二鳥に見える貯蓄型保険ですが、仕組みやデメリットを理解していないと加入後に後悔する可能性もあります。
特に、早期解約時の元本割れや、NISAなど他の金融商品と比較した際の効率性が気になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、貯蓄型保険のデメリットやリスクを、FPの視点から解説します。
この記事を読んでわかること
貯蓄型保険は早期解約による元本割れや貯蓄効率の点でデメリットもある
使用用途と時期が決まっているお金を貯めるためには保険も有効的
メリットとデメリットを理解したうえで自分に合った資産形成の方法を見極めることが大切
目次
1-1.貯蓄型保険の種類
1-2.①早期解約による元本割れリスク
1-3.②インフレリスク
1-4.③流動性が低い
7.まとめ
貯蓄型保険の5つのデメリット・リスク
貯蓄型保険は、万が一の保障と将来の資産形成を両立できる商品ですが、加入を検討する上で知っておくべきデメリットやリスクが存在します。
具体的に見ていきましょう。
貯蓄型保険の種類
まずは、貯蓄型保険の種類について知っておくことが大切です。
それぞれ加入の目的や保障内容が大きく異なります。
特に終身保険と変額保険は、死亡保障だけでなく貯蓄機能を兼ね備えた保険ですが、メリットとデメリットの両方があります。
保険の仕組みや特徴を知ったうえで、自分に合ったものを選択する必要があります。
①早期解約による元本割れリスク
貯蓄型保険のデメリットとして最も注意すべき点が、早期解約による元本割れのリスクです。
契約から短い期間で解約すると、受け取れる解約返戻金がそれまでに支払った保険料の総額を大きく下回ることがほとんどです。
貯蓄型保険の場合、支払った保険料から保険会社の運営経費や人件費といった「契約初期費用」が優先的に差し引かれます。
契約初期は貯蓄に回る金額が少なく、運用による利益も十分に積み上がっていません。
「急にお金が必要になった」という理由で安易に解約すると、銀行預金のように元本が保証されているわけではないため、大きな損失につながる恐れがあります。
②インフレリスク
貯蓄型保険の中には、契約時に将来受け取れる金額が確定している「固定金利型」も多く存在します。
固定金利は計画的に資金を準備できる反面、インフレリスクに弱いというデメリットがあります。
インフレとは、物価が上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。
例えば、年2%のインフレが続いた場合、30年後に受け取る1000万円の実質的な価値は、現在の約552万円まで目減りしてしまいます。
契約期間が数十年と長期にわたる貯蓄型保険では、インフレによって、満期時に受け取る保険金の実質的な価値が契約当初に想定していたよりも大幅に減少してしまう可能性があります。
③流動性が低い
貯蓄型保険は、資金の流動性が低い点もデメリットです。
流動性が低いとは、現金化しにくい、つまり必要な時にすぐにお金を引き出せないことになります。
銀行の預貯金であれば、必要な時にいつでも自由に引き出せますが、貯蓄型保険で積み立てたお金を引き出すには、原則として「解約」の手続きが必要です。
前述の通り、短期間での解約は元本割れのリスクを伴います。
そのため、近い将来に住宅購入の頭金や子どもの進学費用など、まとまった支出の予定がある場合には、貯蓄型保険は適していない可能性があります。
短期的な資金ニーズには、流動性の高い預貯金などで備える方が良いでしょう。
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④貯蓄型保険にも「掛け捨て部分」がある
「貯蓄型」という名称から、支払った保険料の全額が積み立てられると誤解されがちですが、実際はそうではありません。
保険料の内訳は、主に次の3つに分けられます。
- 保障部分(死亡保険料):死亡や病気に備えるためのコスト(掛け捨て)
- 付加保険料:保険会社の運営経費など(掛け捨て)
- 貯蓄部分:将来の満期保険金や解約返戻金のための積立金
貯蓄型保険の保険料には、万が一の保障や保険会社の運営経費に充てられる「掛け捨て部分」のコストが含まれています。
そのため純粋な貯蓄商品と比較すると、同じ金額を拠出しても貯蓄に回る割合は少なくなります。
あくまでも「保険商品」であることを理解していないと、資産形成の効果が期待外れだったと感じてしまうかもしれません。
⑤利回りが投資商品と比較して低い傾向
貯蓄型保険は、NISAやiDeCoなどを活用した投資信託といった他の金融商品と比較して、資産を増やす効率(利回り)が低い傾向にあります。
理由は前述の通り、保険料に保障コストや保険会社の経費が含まれているため、運用に回る資金がその分少なくなるからです。
また、保険会社が安定的な運用を重視する場合、高いリターンを狙う積極的な運用はできない可能性があります。
保障を確保しながら貯蓄もできるという手軽さはありますが、資産形成の効率性を最優先に考えるのであれば、より高いリターンが期待できる投資商品の方が適している場合もあるでしょう。
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【徹底比較】貯蓄型保険 vs 新NISA・投資信託
貯蓄型保険のデメリットを考慮すると、代替案として新NISAや投資信託が選択肢に挙がります。
ここからは、貯蓄型保険とNISA・投資信託をの違いや使い分け方について解説します。
貯蓄型保険とNISA・投資信託の違い
貯蓄型保険は保障機能がセットになっている安心感がありますが、収益性や流動性ではNISA・投資信託に劣る可能性があります。
一方、NISA・投資信託は高い収益性が期待できる反面、元本割れのリスクがあり、保障は別途確保する必要があります。
貯蓄型保険には、がんや三大疾病に罹患した際に保険料が免除になるなど、投資信託にはない機能を備えているものもあるため、保障性を重視するのであれば生命保険の活用も選択肢の一つになるでしょう。
Q.貯蓄型保険とNISA・投資信託どっちが良い?
A.一概にどちらが良いとは言えず、個人の目的とリスク許容度によって最適な選択は異なります。
元本割れのリスクを避け、万が一の保障を確保しながら計画的に資金を準備したい安定志向の人は、貯蓄型保険が向いています。
また、積立期間中の死亡保障を重視する場合も貯蓄型保険が適しています。
一方、ある程度のリスクを受け入れ、より高い収益性を目指して積極的に資産を増やしたい効率重視の人は、NISAを活用した投資信託が適しているでしょう。
Q.毎月2万円払う場合、貯蓄型保険とNISA・投資信託どっちが良い?
A.資産を増やす効率を重視するなら、NISA・投資信託の方が有利になる可能性が高いです。
例えば、NISAで仮に年利5%の投資信託を毎月2万円積み立てた場合、20年後には812万円になる計算です。
一方、貯蓄型保険で同様の年利5%の効果を期待するのは、円建てや外貨建ての商品では難しくなります。
投資信託を利用する変額保険であれば運用の成果次第では考えられますが、同じ2万円を支払う場合貯蓄に回る割合が少ないため、NISAと同様の効果は得られない可能性があります。
最大限の投資効率を優先するならNISAを優先するのがおすすめです。
しかし、投資信託は運用成績によって元本割れするリスクがあります。
多くの貯蓄型保険(円建て・定額)は解約返戻金が確定しているため、保障が必要な場合や、自分で1からファンドを選ぶのが難しい場合には、貯蓄型保険も選択肢になるでしょう。
(参考:つみたてシミュレーター|金融庁)
Q.保障と貯蓄は「分ける」べき?「セット」にすべき?
A.資金効率を重視するなら「分ける」方が合理的ですが、金融商品の管理が難しい人には貯蓄と保険がセットになった商品もおすすめです。
基本的には、保障と貯蓄を分けて考えたほうが効率が良いといえます。
万が一の保障は保険料の安い「掛け捨て型保険」で確保し、貯蓄型保険に支払うはずだった差額分をNISAなどで運用する方法です。
少ない負担で必要な保障を確保しつつ、より高いリターンを目指した資産形成が可能です。
また、貯蓄型保険はお金が必要な時期に解約する必要がありますが、その時点で保障がなくなってしまいます。
ライフプランに合わせた資金計画の点から見ても、貯蓄と保障は分けておく方が安全でしょう。
ただし、自分で金融商品を管理する手間がかかるため、手軽さを重視するなら「セット」の貯蓄型保険も選択肢となります。
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それでも貯蓄型保険が選ばれる3つの理由(メリット)
ここまで貯蓄型保険のデメリットをお伝えしてきましたが、メリットも存在します。
具体的に見ていきましょう。
①「使ってしまわない」強制貯蓄効果
貯蓄型保険の最大のメリットは、半強制的に貯蓄を継続できる仕組みにあります。
「給料が入るとつい使ってしまう」「貯金を始めても長続きしない」という人にとって、保険料が毎月自動的に口座から引き落とされる仕組みは、先取り貯蓄を実践できる良い方法です。
また、銀行預金のように簡単には引き出せないことによって、逆に無駄遣いを防ぐ効果も期待できます。
知らず知らずのうちにお金が貯まっていく貯蓄型保険は、貯蓄が苦手な方にとっては頼もしい味方になるかもしれません。
②生命保険料控除による節税効果
貯蓄型保険に支払った保険料は、年末調整や確定申告で「生命保険料控除」の対象となり、所得税や住民税の負担を軽減できるメリットがあります。
生命保険料控除には「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの枠があります。
2012年1月1日以降の契約では、それぞれの枠で所得税が最大4万円(合計12万円)、住民税が最大2.8万円(合計7万円)の所得控除が可能です。
保険料が比較的割高になる貯蓄型保険では控除枠を有効に活用しやすく、保障と貯蓄に加えて税制上の優遇を受けられる点も魅力の一つです。
(参考:税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」|生命保険文化センター)
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③万が一の保障と貯蓄を一本化できる管理の手軽さ
貯蓄型保険は、ひとつの契約でリスク管理と資産形成を同時にできる手軽さがあります。
「保障は掛け捨て保険で、貯蓄はNISAで」と役割を分ける方法は効率的ですが、複数の金融商品をそれぞれ管理する手間がかかります。
特に、金融商品に関する知識があまりない方や、忙しくて管理に時間をかけられない方にとっては、ひとつの商品で完結する貯蓄型保険はわかりやすく、管理しやすい選択肢といえるでしょう。
保障と貯蓄を一本化できる手軽さも、貯蓄型保険の魅力です。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年1月1日―2026年1月31日)
あなたはどっち?貯蓄型保険が向いている人・向いていない人
貯蓄型保険のメリットとデメリットを理解した上で、最終的に自分に合っているかどうかを判断することが大切です。
向いていない人:資金効率重視・短期間で解約の可能性がある人
次のような人にとっては、貯蓄型保険は適していない可能性があります。
- 資産形成の効率を最優先する人
- 近い将来にまとまった資金が必要になる可能性がある人
- 死亡保障が不要な人
資産形成を最優先する場合、NISAやiDeCoなどを活用し、より高いリターンを目指すほうが適しているでしょう。
また、保険は早期解約をすると元本割れのリスクがあるため、近い将来資金が必要になる人にも適していません。
その他、独身の人や子どもがいない人など、死亡保障が不要な人も貯蓄型保険の必要性は低くなります。
多くの貯蓄型保険は死亡保障などの「保障性」を兼ね備えているため、保障が不要であれば投資信託などで運用を進めていくのが良いでしょう。
向いている人:貯金が苦手・教育資金等を確実に用意したい人
一方、次のような人にとっては貯蓄型保険が有効です。
- 自分で貯金するのが苦手な人
- リスクを避けて安定的に運用したい人
- 教育資金や老後資金など明確な目的がある人
貯蓄型保険はすぐにお金を引き出すことができないため、なかなかお金がたまらない人にとっては強制的に貯蓄ができるメリットがあります。
また、投資信託等で元本割れのリスクを負いたくない人は、円建ての貯蓄型保険で安定的に資産形成をするのが良い場合もあります。
「いつまでにいくら貯めておきたい」と目標がある場合、投資信託での運用はリスクがあります。
貯蓄型保険は契約時に解約返戻率や満期保険金が決まっているものも多いため、使う時期が明確に定まっているお金を準備するのに適しています。
既に加入している人へ:解約すべきかの判断基準
既に貯蓄型保険に加入しているものの、「このまま続けていいのだろうか?」と疑問に感じている人もいるでしょう。
ここからは、貯蓄型保険を解約すべきかの判断基準をご紹介します。
「損益分岐点」と「目的」の再確認
解約する前に、まずは次の2点を確認しましょう。
ひとつめは、「損益分岐点」です。
保険証券や保険会社から送られてくる契約内容のお知らせなどで、解約返戻金の推移を確認しましょう。
解約返戻金が払込保険料総額を上回るタイミング(返戻率が100%を超える時期)がいつなのかを把握することが大切です。
損益分岐点を過ぎていれば、解約しても金銭的な損失は発生しません。
ただし、解約をすると保障はなくなってしまう点には注意が必要です。
ふたつめは、「加入目的の再確認」です。
契約当初にこの保険で何を準備しようとしていたのか、目的と今のライフプランとは合致しているかを見直しましょう。
例えば、子どもの教育費のため、老後の生活資金のため、と目的を決めて加入したのであれば安易に途中で解約することで将来の計画が崩れるリスクがあります。
解約以外の選択肢(払済保険・契約者貸付)
保険料の支払いが難しくなった場合でも、すぐに解約する必要はありません。
契約を継続しながら支払いを止める方法はいくつかあります。
【払済保険への変更】
今後の保険料の支払いを中止し、その時点での解約返戻金を元手にして、保障期間は元のまま保障額を下げた保険に変更する方法。
保障は少なくなるが、契約自体は継続できる。
【延長(定期)保険への変更】
保険料の支払いを中止し、解約返戻金を元に、保障額は元のまま保障期間を短くした定期保険に変更する方法。一生涯の保障はなくなるが、一定期間は元の保障額を維持できる。
「保険料の支払いが難しいが保障は継続したい」場合には、払済保険や延長保険への変更を検討してみましょう。
その他にも、保障額を減額して毎月の保険料を抑える方法や、契約者貸付を利用して解約せずにこれまで積み立てたお金を借りる方法もあります。
保険は解約するともとに戻せません。解約以外に自分に合った方法がないか検討しましょう。
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貯蓄型保険に関するよくある質問
ここからは、貯蓄型保険に関するよくある質問に、プロがわかりやすく回答します。
Q.貯蓄型保険は「やめとけ」といわれるのはなぜですか?
A.主に「早期解約時の元本割れ」と「投資と比較した際の利回りの低さ」が理由です。
ただし、貯蓄型保険にはメリットもあります。
強制的に貯蓄でき、解約のハードルが高い保険は、貯蓄が苦手な方にとっては有効的な手段です。
また、がんや三大疾病に罹患したときに支払いが免除される機能など、特約を付加することで保障を手厚くすることも可能です。
それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、自分に適しているかを判断することが大切です。
Q.途中解約すると元本割れしますか?どれくらい損をしますか?
A.はい、特に契約から年数が浅い段階で解約すると、元本割れする可能性が非常に高いです。
支払った保険料からは、まず保険会社の運営経費などの「契約初期費用」が差し引かれます。
そのため、特に契約から間もない段階では貯蓄に回る割合が少なく、十分に積立がされていません。
どれくらい損をするかは、契約内容、経過年数、保険料払込額によって異なりますが、一般的に契約初期ほど損失額は大きくなります。
場合によっては、お金がほとんど戻ってこないこともあります。具体的な金額は保険証券や設計書で確認しましょう。
Q.契約中の貯蓄型保険を見直したいのですが、解約すべきでしょうか?
A.解約するべきかどうかは、商品や加入年数などによって大きく異なります。
安易な解約は元本割れの可能性があるため、おすすめできません。
まずは保険証券で解約返戻金の推移(損益分岐点)を確認し、今解約した場合に経済的な損失があるかどうかを確認しましょう。
保険料の支払いが難しい場合は、解約以外にも「払済保険」への変更や「減額」といった選択肢もあります。
まとめ
今回は、貯蓄型保険のデメリットについて解説してきました。
貯蓄型保険はNISAやiDecoでの投資と比べ、資産形成の効率が悪くなる場合があります。
資産形成効果を第一に考える人にとっては、デメリットもあるでしょう。
一方で、積立期間の保障を必要としている人や、簡単に解約できない仕組みで貯蓄をしたい人には、貯蓄型保険の検討もおすすめです。
大切なのは、自分に適した資産形成の方法や保障の持ち方を知ることです。
今回解説したメリットとデメリットを再度確認した上で、目的に合った手段は何かを見極めましょう。
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