「保険はもったいないと聞くけど本当?」「貯金をしておくだけで本当に大丈夫?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
保険と貯金にはそれぞれの役割があり、目的に合わせて使い分けることが大切です。
本記事では、目的別の保険と貯金の使い分け方と、どちらが自分に合っているかの判断基準を、現役FPが解説します。
この記事を読んでわかること
貯金と保険のそれぞれのメリットを理解したうえで両者を適切に組み合わせることがおすすめ
原則、貯金は貯金、保険は保険として分けて考える
保険のメリットは加入後すぐに大きな保障を確保できること
目次
3-1.貯蓄型保険の「実質利回り」の正体
3-3.自分にとって保障が必要か
5-1.独身・共働き(DINKs)の場合
5-2.子育て世帯・住宅ローンありの場合
5-3.定年退職前後・シニア層の場合
6.まとめ
そもそも「保険」と「貯金」は役割が全く違う
保険と貯金、どちらで備えるべきか考える前に、まず両者の根本的な役割の違いを理解することが重要です。
保険は万が一のリスクに備える「守り」の手段、貯金は将来の目標のために資金を積み立てる「備え」やお金を「増やす」手段であり、目的が全く異なります。
詳しく見ていきましょう。
「貯金は三角、保険は四角」とは?
保険と貯金の性質の違いをわかりやすく表現した言葉に「貯金は三角、保険は四角」というものがあります。
お金が貯まるスピードと、万が一の際に準備できる金額の関係性を示したものです。
貯金は時間をかけてコツコツと積み上げていくため、目標額に達するまでには相応の時間が必要です。
もし貯金を始めてすぐに大きな出費が必要になった場合、その時点までに貯まった金額しか使うことができません。
これをグラフで表すと、時間とともにお金が積み上がっていく「三角形」になります。
一方、保険は契約したその瞬間から、支払う保険料に対して非常に大きな保障額を確保できます。
加入直後に万が一のことが起きても、貯蓄期間に関わらず契約時に定められたまとまった保険金を受け取ることができるのが特徴です。
これをグラフで表すと、契約時から満期まで保障額が一定の「四角形」の形になります。
時間をかけて育てる貯金と、すぐに大きな安心を確保できる保険では、お金の準備の仕方が根本的に異なることがわかります。
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貯金のメリット・デメリット(流動性とインフレリスク)
貯金で将来に備えることには、メリットとデメリットがあります。
最大のメリットは、必要なタイミングで好きな用途に利用できる「流動性」の高さです。
普通預金や定期預金は、必要な時にいつでも自由にお金を引き出すことができます。
病気や失業といった急な事態や、住宅購入の頭金など、ライフイベントの変化に柔軟に対応できる点は保険にはない大きな強みです。
また、家計に余裕ができた月は貯金額を増額したり、反対に出費が重なった月は減額したりと、柔軟に対応できる点もメリットといえるでしょう。
一方デメリットは、低金利下では銀行預金は増えにくく、インフレリスクに弱いことが挙げられます。
例えば、銀行預金の金利が0.1%程度の中、物価が2%上昇すれば、預けているお金の実質的な価値は目減りしてしまうことになります。
比較的インフレリスクに強いとされている投資信託などの資産運用には元本割れのリスクも伴うため、資産の分散によるリスクヘッジが欠かせません。
また、目標額に到達するまでにはある程度の時間がかかることや、すぐに引き出せてしまう手軽さから計画的に貯金を進められない人もいる点も、デメリットといえるでしょう。
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保険のメリット・デメリット(強制力とコスト)
保険、特に貯蓄性のある保険を活用して備えることにも、メリットとデメリットが存在します。
メリットとしては、貯金が苦手な人でも半強制的に資産形成ができる「強制力」が挙げられます。
毎月決まった額が保険料として口座から引き落とされるため、意識せずとも「先取り貯金」を実践できます。
また、保険本来の役割として、支払う保険料に比べて大きな保障(死亡保険金など)を確保できる点も大きなメリットです。
一方、デメリットは「コスト」と「流動性の低さ」です。
貯蓄型保険の保険料には、純粋な積立部分だけでなく、万が一の保障にかかる費用などが含まれています。
そのため、同じ金額を投資信託などで運用する場合と比較して、貯蓄効率は低くなる傾向があります。
さらに、契約から短期間で解約すると、解約返戻金が支払った保険料の総額を下回る「元本割れ」を起こす可能性が非常に高くなります。
資金の流動性の低さは、急な出費に対応しづらいという点で大きなデメリットといえるかもしれません。
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【徹底比較】目的別:保険と貯金、どっちを選ぶべき?
保険と貯金のどちらが適しているかは、お金を準備する「目的」によって明確に異なります。
自分の目的に合わない方法を選ぶと、非効率になったり、いざというときに役に立たなかったりする可能性があります。
具体的なケース別に、保険と貯金のどちらが適しているかを考えてみましょう。
ケース1:老後資金・教育資金を「増やしたい」場合
10年、20年といった長い時間をかけてお金を増やしたい場合は、「貯金・投資」が適しています。
長期間の資産形成においては、「守る」こと以上に「増やす」視点が重要です。
貯蓄型保険でも準備は可能ですが、保険料に含まれる保障コストや経費のため、運用効率はNISAやiDeCoを活用した投資信託よりも劣るのが一般的です。
もちろん元本保証はないため、ある程度の現金を確保しておくことも大切です。
また、病気やケガにより積立が継続できなくなった場合に備え、最低限の医療保険やがん保険に加入しておくこともリスクヘッジのひとつになります。

Q1
性別をお伺いします
ケース2:自分が死亡したときの家族の生活費
万が一の事態に備えたい場合は、「保険」が最も適しています。
世帯主に万が一のことがあった場合、のこされた家族のその後の生活費や子どもの教育費など、必要となる金額は数千万円にのぼることも少なくありません。
大きな金額をすぐに貯金で準備できる家庭は少ないでしょう。
「発生確率は低いものの、起きてしまった場合の経済的ダメージが非常に大きいリスク」に備えるのが保険の役割です。
死亡保険の場合、加入してすぐに大きな保障額を準備することができるのが最大のメリットといえます。
特に、子育て世代など保障の必要性が高い時期には、比較的保険料を抑えて大きな死亡保障を確保できる「定期保険」や、毎月お給料のように保険金が支払われる「収入保障保険」など、掛け捨てタイプの保険がおすすめです。
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ケース3:病気やケガの医療費
病気やケガの医療費に備えたい場合、「まずは貯金を確保し、保険で補う」のがおすすめです。
日本には手厚い公的医療保険制度があり、医療費の自己負担は原則3割です。
さらに、「高額療養費制度」によって、1カ月の医療費の自己負担額には所得に応じた上限が定められています。
急な入院や手術が発生しても、数十万円〜100万円程度の貯金(生活防衛資金)があれば、多くのケースで対応が可能です。
ただし、公的保険の対象外となる差額ベッド代や先進医療の技術料、長期の入院で働けなくなった場合の収入減少といったリスクまでカバーしたい場合には、民間保険を検討する必要があります。
また、がんなどの治療が長引く病気に罹患した場合、貯金だけでは治療費をすべてまかなうことができないリスクもあります。
必要に応じて、医療保険やがん保険、就業不能保険への加入を検討しましょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年2月1日―2026年2月28日)
ケース4:貯金が苦手でつい使ってしまう人
貯金が苦手な人は、強制的に引き落とされて気軽に解約しづらい「貯蓄型保険」がおすすめです。
「給料が入るとつい使ってしまい、なかなかお金が貯まらない」という方にとって、貯蓄型保険の仕組みは有効です。
保険料は毎月決まった日に口座などから自動的に引き落とされるため、自分の意志とは関係なく、半強制的に「先取り貯金」を実践することができます。
また、銀行預金のようにATMで簡単にお金を引き出すことができず、解約には手続きが必要な点も、「心理的なロック」としての効果があります。
NISAの場合、ネット証券で気軽に任意の額を売却することもできるため、より解約のハードルが高い「保険」がおすすめです。
ただし、これはあくまで資産形成の効率性よりも「貯める仕組み」を優先する場合の選択肢です。
貯蓄効率が多少劣っても、できるだけ途中で使ってしまわないような仕組みを利用したい人向けといえるでしょう。
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多くの人が悩む「貯蓄型保険」は本当にお得なのか?
貯蓄機能と保障が一緒になった「貯蓄型保険」ですが、メリットだけではありません。
注意すべき点と、貯蓄型保険が適している人の特徴について見ていきましょう。
貯蓄型保険の「実質利回り」の正体
貯蓄型保険の保険料は、主に3つの部分から構成されています。
- 純保険料(保障部分): 死亡や入院など、保障に使われるコスト。掛け捨て型保険の保険料に相当。
- 付加保険料(経費部分): 保険会社の運営費や人件費、代理店の販売手数料などに充てられるコスト。
- 積立保険料(貯蓄部分): 上記2つのコストを差し引いた後、将来の満期保険金や解約返戻金のために積み立てられ、運用される部分。
例えば、毎月1万円を貯蓄型保険に支払う場合、1万円全額が運用に回るわけではありません。
純保険料や付加保険料を加味すると、投資信託など他の金融商品と比較して「実質利回り」が低くなる傾向があります。
ただし、純粋にそれが「損」と言い切ることはできません。
変額保険や終身保険の場合、加入してすぐに万が一のことがあったら遺族に大きな保障を残すことができますが、投資信託の場合遺族にのこせるのは積み立てた額のみです。
積立型保険を検討する際は、「保障に対しても保険料を支払っている」と理解しておくことが大切です。
「元本割れ」のリスクを許容できるか
貯蓄型保険を検討する上で、最も注意すべき点が早期解約による「元本割れ」のリスクです。
契約してから数年間は、支払った保険料から保険会社の運営経費や営業職員への手数料といった「契約初期費用」が優先的に差し引かれます。
そのため、貯蓄に回るお金はわずかです。
契約して早期に解約すると戻ってくる解約返戻金は、それまでに支払った保険料の総額を大幅に下回ることがほとんどです。
お金を取り崩してしまうことなく将来に向けた資産形成ができるのがメリットと感じる人もいれば、急にお金が必要になっても、銀行預金のように自由に引き出すことができないのをデメリットと感じる人もいます。
短期間で解約すると元本割れのリスクがある点を、どこまで許容できるかがポイントとなります。
自分にとって保障が必要か
貯蓄型保険は、その名の通り「保険」であるため、何らかの保障機能が付いています。
しかし、その保障が自分にとって本当に必要なものかを見極めることが重要です。
例えば、独身で扶養する家族がいない場合、死亡保障は不要かもしれません。
一方、配偶者や子どもに最低限の保障を用意しながら資産形成も同時に取り組みたい人には、貯蓄型保険が適している場合もあります。
まずは自分や家族にとって必要な保障は何かを明確にし、その上で貯蓄型保険が最適な手段なのかを判断する必要があります。

Q1
性別をお伺いします
原則「掛け捨て保険」+「貯金・投資」の組み合わせがおすすめ
これまで見てきたように、保険と貯蓄はそれぞれ異なる役割を持っています。
そのため、原則として両者を使い分け、「保障は保険で、貯蓄は貯蓄として」別々に考えることがおすすめです。
保険と貯金は分けて考えると良い理由
保険と貯金を分けて考えると良い理由として、「必要な間保障をキープしながら、必要なときに貯金を取り崩せる」点が挙げられます。
そもそも変額保険や終身保険などの貯蓄型保険は、「万が一のことがあった場合は保障を、解約時または満期時には解約返戻金や満期保険金を受け取れる」ものです。
つまり、お金が必要になって保険を解約した場合、その時点で保障も終了してしまうことになります。
そのため、「必ず◯年間保障が必要」と決まっているのであれば、その期間だけを掛け捨ての保険で備えておくほうが、ライフプランに合わせやすくなります。
必要なときに貯金を取り崩しても、保険は保険として別で契約しておけば、保障をずっと維持することができます。
死亡保険に限らず、医療保険やがん保険に関しても、基本は掛け捨てで保険料を抑えながら余剰資金を投資に回す考え方が効率的といえるでしょう。
変額保険や終身保険がおすすめなケース
保障と保険を分けることが原則ですが、ニーズによっては貯蓄型保険が適していることもあります。
変額保険がおすすめなケース
・保障を確保しつつも積極的な資産形成を目指したい場合
・投資が初めてでファンドを選ぶのが難しい場合
変額保険は、支払った保険料の一部を株式や債券などを中心とした特別勘定で運用し、その運用実績によって将来受け取る保険金や解約返戻金が変動する保険です。
死亡保険金額には最低保証が設けられているため、運用成績が悪化した場合でも最低限の保障は確保できます。
また、NISAやiDeCoの場合自身で数多くのファンドからどこに投資するかを決める必要がありますが、変額保険の場合はいくつかの特別勘定があらかじめ用意されており、投資初心者でも選びやすいメリットがあります。
終身保険がおすすめなケース
・一生涯の死亡保障が必要な場合
・死亡保険金の非課税枠を利用したい場合
終身保険は、一生涯の死亡保障を確保できる貯蓄型の保険です。
葬儀費用など、将来必ず必要になるお金を準備したい人には、一生涯保障の終身保険が適しています。
また、終身保険は相続税対策としても活用されることが多い保険です。
死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠が設けられており、現金を終身保険に変えることで非課税の資産として家族にのこすことができます。
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今のあなたに必要なのはどっち?ライフステージ別診断
保険と貯金のどちらを優先すべきかは、年齢や家族構成、ライフプランによって大きく異なります。
代表的なケースを例にしながら、最適な保険と貯金のバランスについて見ていきましょう。
独身・共働き(DINKs)の場合
独身や共働き家庭の場合、貯金や投資の優先度が高くなります。
扶養する家族がいないため、高額な死亡保障の必要性は低く、万が一の際の葬儀費用や整理資金として、200万円~300万円程度の終身保険に加入しておけば十分でしょう。
それ以上に重要なのは、将来の結婚、住宅購入、あるいは早期リタイアといったライフイベントに備えるための資産形成です。
特に、運用期間を長く確保できる若い世代にとっては、NISAなどを活用して積立投資を始める絶好のタイミングといえるでしょう。
医療費については、まずは公的医療保険と、急な入院にも対応できる程度の貯金(生活防衛資金)で備えるのが基本です。
その上で、がんなどの治療が長引く病気に備え、がん保険や三大疾病保険を検討するのがおすすめです。
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子育て世帯・住宅ローンありの場合
小さな子どもがいる家庭や住宅ローンを抱えている家庭の場合、保険の優先度が高くなります。
扶養家族がいる場合、世帯主に万が一のことがあった際の保障をしっかり確保しておく必要があります。
のこされた家族の生活費や教育費すべてを遺族年金でまかなうことは難しいため、民間の保険で備えておくことが大切です。
また、住宅ローンを返済している場合、ローン契約者に万が一のことがあれば団信で保障されますが、それ以外のリスクはカバーされない可能性があります。
病気やケガで一時的に働けなくなって収入が減少したとしても、ローンの返済は免除されないことがほとんどです。
団信の保障内容に合わせて、就業不能保険やがん保険、三大疾病保険の加入を検討しましょう。
もちろん、日々の生活費や将来の教育資金のための貯金も並行して進める必要がありますが、まずは土台となる「万が一の保障」を保険で固めることが必要です。
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定年退職前後・シニア層の場合
高齢になると、保障の整理をしながら、流動性の高い現金を確保することが重要になります。
子どもが独立し、住宅ローンも完済に近づくと、これまで必要だった高額な死亡保障の必要性は低くなります。
自身の病気やケガに備える最低限の医療保障を確保しながら、これまで築き上げてきた資産を計画的に活用していくことを検討しましょう。
「年金だけでは余裕がない」「貯金が十分にできていない」場合、掛け捨ての医療保険等で保険料を抑えながら、毎月の生活費として使えるお金を確保することが大切です。
また、シニア世代の場合、相続税対策として終身保険を活用するケースもあります。
資産が十分にある場合は、長生きに備えて自身の生活費は確保しながら、相続税の対策も検討しておきましょう。
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まとめ
保険と貯金は、どちらが優れているというものではなく、それぞれに異なる役割があります。
保険は、「発生確率は低くても起きてしまうと経済的に大きな打撃を受けるリスク」に備えるためのものです。
扶養家族がいる人や、現預金が十分になくいざというときの医療費支払いに困る人は、まず保険で備えを用意したうえで貯金を進めていくことがおすすめです。
一方、貯金や投資は、将来のためにお金を増やしていくためのものです。
保険と異なり、必要なときに自由な用途で使えることが特徴です。
想定されるあらゆるリスクに備えて、まずは生活防衛資金を現預金として確保したうえで、投資など攻めの資産形成を進めていくと良いでしょう。
自身の目的やライフステージに合わせて使い分けることが、賢い資産形成の鍵です。
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