高齢者の入院費は平均いくら?自己負担額の目安と負担を軽減する制度をプロが解説

高齢者の入院費は平均いくら?自己負担額の目安と負担を軽減する制度をプロが解説

(最終更新日:

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橋本 優理

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高橋 明香

高齢になると病気やケガのリスクを身近に感じ、いざというときの入院費用がいくらかかるのかと気になっている人も多いのではないでしょうか。

また、高齢の親が急に入院した場合の費用について不安に感じている人もいるでしょう。

本記事では、高齢者の入院費用の目安や、負担を抑えるための具体的な方法をご紹介します。

突然の入院に備えるためにも、正しい知識を身につけ、必要に応じて民間の医療保険への加入も検討しましょう。

この記事を読んでわかること

  • 入院時の1日あたりの自己負担費用平均は「2万4300円」

  • 高齢者は入院日数が長引き、その分医療費負担が大きくなるリスクがある

  • 差額ベッド代や食費など高額療養費制度適用外の費用にも要注意

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高齢者の入院費における自己負担額の平均と相場

高齢者は若い人と比べて入院日数が長引く傾向にあり、その分医療費の負担も大きくなる可能性があります。

まずは、高齢者が入院した際に想定される自己負担額について見ていきましょう。

1日あたりの入院費用の平均額

生命保険文化センターの2025年調査によると、入院時の1日あたりの自己負担費用平均は「2万4300円」となっています。

最も多かった回答は「1万円~1万5000円未満」で、全体の21.5%でした。

入院時にかかる費用は、入院日数によっても大きく異なります。

一般的に高齢者は若い人と比べて入院日数が長くなる傾向にあるため、注意が必要です。

同じ調査によると、「入院1回当たりの費用」は平均で18万7000円ですが、入院が61日以上になった場合は58万5000円まで跳ね上がります。

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高齢者の場合、長期入院になった際のリスクまで考慮しておく必要があるでしょう。

(参考:2025(令和7)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター)

1カ月入院した場合のシミュレーションと費用の目安

では実際に、入院した際の費用をシミュレーションしてみましょう。

例)一般的な収入の高齢者が4月1日~4月30日までの1カ月間入院した場合

大部屋を利用したケース

医療費:5万7600円(高額療養費制度を利用)

食費:550円✕3✕30日=4万9500円

合計:10万7100円+日用品レンタル代や交通費などの雑費

個室を利用したケース

医療費:5万7600円(高額療養費制度を利用)

食費:550円✕3✕30日=4万9500円

差額ベッド代:約8000円✕30日=24万円

合計:34万7100円+日用品レンタル代や交通費などの雑費

大部屋を利用するか個室を利用するかで、最終的な自己負担は大きく異なります。

差額ベッド代は公的医療保険制度が適用されないため、希望する人はあらかじめ費用の準備をしておきましょう。

また、入院が2カ月に及んだ場合はさらに自己負担に違いが出ます。

高額療養費制度は1カ月ごとに費用が計算されるため、同じ入院日数でも、月またぎの入院になると自己負担が約倍になります。

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大部屋を利用した場合でも、退院日によっては自己負担が増える可能性があるため注意が必要です。

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高齢者の入院費は年齢と所得で「負担割合」が変わる

病院の窓口で支払う医療費の自己負担割合は、年齢と所得によって定められています。

高齢になると、入院はしないまでも定期的な通院治療を受けている人も多いでしょう。

公的医療保険制度の自己負担割合について整理していきましょう。

70歳未満・70歳から74歳の窓口負担割合

公的医療保険における窓口での自己負担割合は、年齢に応じて次のように定められています。

  • 70歳未満: 3割
  • 70歳から74歳: 原則2割

ただし70歳から74歳の方でも、現役世代と同程度の所得がある「現役並み所得者」に該当する場合は、負担割合が3割となります。

現役並み所得者の基準となるのは、「住民税の課税所得が145万円以上」かつ「年収が単身世帯で383万円以上(2人以上の世帯で520万円以上)」ある人です。

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逆に言えば、課税所得が145万円以上あっても、実際の年収が単身で383万円未満(2人以上で520万円未満)であれば、原則通り2割負担となります。

75歳以上(後期高齢者医療制度)の負担割合

75歳になると、それまで加入していた国民健康保険や会社の健康保険から脱退し、新たに「後期高齢者医療制度」に加入します。

後期高齢者医療制度の窓口負担割合は、所得に応じて次のように区分されています。

  • 一般所得者・低所得者: 1割
  • 一定以上の所得がある方: 2割
  • 現役並み所得者: 3割

原則として負担は1割ですが、課税所得が28万円以上かつ年収が200万円以上(複数世帯の場合は合計320万円以上)などの条件に該当すると2割負担となります。

さらに、課税所得が145万円以上ある場合は「現役並み所得者」と判断され、3割負担となります。

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75歳以上の負担割合は所得によって細かく設定されているため、自身の区分を確認しておくことが重要です。

当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年8月1日―2026年8月31日)

注意しておきたい「健康保険の対象外」となる入院費用

入院時にかかる費用のすべてが公的医療保険の対象となるわけではありません。

中には全額自己負担となる費用もあり、入院費用がかさむ原因になります。

ここからは、健康保険適用外の費用について解説します。

個室を利用した場合の「差額ベッド代」

差額ベッド代は、患者が自らの希望で個室や少人数部屋(4床以下)に入院した際に発生する特別な室料です。

公的医療保険の適用外であるため、全額自己負担が必要です。

厚生労働省の調査によると、差額ベッド代の平均は次の通りです。

※令和6年8月1日時点

  • 1人室:8625円
  • 2人室:3149円
  • 3人室:2778円
  • 4人室:2780円

いわゆる個室を利用する場合、1日あたり約8000円以上の費用がかかることになります。

入院日数が長くなるほど負担も大きくなるため、個室療養を希望する人は注意が必要です。

年齢を重ねると、「ゆっくり静養したい」「大部屋では眠れない」などの理由で個室を利用する人も少なくありません。

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理想の療養環境を整えるためにも、差額ベッド代をまかなえる程度の民間の医療保険に加入しておくと安心です。

(参考:主な選定療養に係る報告状況|厚生労働省)

入院中の食事代と日用品(パジャマ・おむつ等)の費用

入院中に提供される病院食も、医療費とは別に自己負担が必要です。

病院食は現在、全国一律で550円と定められています。

1日3食で1650円、30日入院した場合は4万9500円の負担となります。

また、次のような費用も自己負担が必要です。

  • パジャマや下着などの衣類
  • タオル、歯ブラシ、ティッシュペーパーなどの消耗品
  • テレビカードや雑誌など
  • 家族が見舞いに来るための交通費
  • 快気祝いの費用
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ひとつひとつの金額は小さくても入院が長引くと合計額は大きくなるため、あらかじめ準備しておくことが大切です。

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高齢者の入院費の負担を抑える公的な救済制度

高齢者は入院が長引きやすく、その分医療費が高額になることも珍しくありません。

しかし、日本には医療費の家計負担を軽減するための公的な制度が整備されています。

入院時の負担を抑える公的制度について確認していきましょう。

1カ月の医療費に上限を設ける「高額療養費制度」

高額療養費制度は、1カ月にかかった医療費の自己負担額が、所得に応じて定められた自己負担限度額を超えた場合に、その差額が返還される制度です。

70歳以上の自己負担上限は次のとおりです。

一般的な所得者の場合、入院等で医療費が高額になったとしても、1カ月の自己負担は6万1500円で済むことになります。

また、過去12カ月以内に3回以上上限額に達した場合、4回目から「多数回該当」となり上限額が引き下げられる仕組みもあり、医療費負担が家計を圧迫しないよう配慮されています。

高額療養費制度は2026年8月に上限額の引き上げが行われましたが、2027年にはさらに所得区分の細分化が予定されています。

最新の情報を確認しておくようにしましょう。

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ただし、差額ベッド代や食事代は対象外となるため、注意しましょう。

窓口での支払いを減らせる「限度額適用認定証」の手続き

高額療養費制度は、一度窓口で医療費を支払い、後から申請して払い戻しを受けるのが基本です。

しかし、一時的とはいえ高額な費用を立て替えるのは大きな負担になります。

そこで活用したいのが「限度額適用認定証」です。

入院の予定が分かっていれば、事前に認定書の交付を受け、医療機関の窓口で提示することで、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。

認定書の交付手続きは、加入している公的医療保険の窓口で行います。

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近年では、マイナ保険証を利用することで認定証の交付を受けなくても同様の扱いが受けられるようになりました。

70歳以上の場合、所得区分が「一般」などであれば、窓口で保険証と高齢受給者証(75歳以上は後期高齢者医療被保険者証)を提示するだけで自動的に支払いが限度額までとなるため、原則として「限度額適用認定証」は不要です。

ただし、住民税非課税世帯や、現役並み所得者の一部(区分Ⅰ・Ⅱ)に関しては、事前に認定証の申請が必要になります。

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自身がどの区分に当てはまるかを確認し、必要な手続きを把握しておくことが大切です。

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高齢者の長期入院や介護リスクに向けた必要な備え

日本の公的医療保険制度は充実していますが、すべての費用をカバーできるわけではありません。

特に高齢者の場合は、入院が長期化したり、退院後に介護が必要になったりするケースも珍しくないため、事前の対策が必要です。

ここからは、公的制度でまかないきれないリスクに備える方法を具体的に解説します。

貯蓄でカバーしきれない長期入院や退院後の資金不安

高齢者の場合、脳血管疾患骨折認知症などで入院日数が長引くケースも少なくありません。

高額療養費制度を利用しても、自己負担限度額と食事代などは毎月発生するため、入院が長期化すれば負担は数十万円単位で積み重なっていきます。

また、退院後に介護が必要になった場合、貯蓄や年金だけではすべての費用をまかないきれない可能性があります。

在宅介護のためのリフォーム費用や、介護サービス利用料老人ホームへの入居費用など、新たな出費が発生します。

公的介護保険で一部の費用はカバーされますが、自己負担がなくなるわけではありません。

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入院費用だけでなく、その後の生活まで見据えた資金計画が必要です。

民間の医療保険や介護保険を活用して不足分を補う

公的医療保険や貯蓄だけでまかないきれない費用に対しては、民間の医療保険や介護保険で備えておくのが有効です。

医療保険は入院日数に応じて給付金を受け取ることができるタイプが主流で、長期入院の際にしっかり保障を受けることができます。

受け取った給付金は医療費だけでなく、差額ベッド代や食事代にも充てることができる点もメリットです。

また、特約を付加することで、公的医療保険が適用されない先進医療にも備えておくことができます。

民間の介護保険は、保険会社が定める介護状態に該当するか要介護認定を受けた際に、一時金や年金を受け取れるものが一般的です。

毎月の介護費用や、施設入居の費用に充てることができます。

女性コンシェルジュ

公的制度を土台としながら、貯蓄状況やライフプランに合わせて民間の保険を組み合わせることがポイントです。

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Q1

入院時の費用は?

参考:

高齢者の入院費用に関するよくある質問

ここからは、高齢者の入院費用に関するよくある質問に、保険のプロがわかりやすく回答します。

Q. 退院時の請求が思ったより高額になったのはなぜですか?

A. 月またぎの入院や、公的医療保険適用外の費用が加算されていることなどが主な要因と考えられます。

高額療養費制度は、1カ月ごとに自己負担の計算が行われます。

そのため、月またぎで入院した場合はそれぞれの月で自己負担が発生し、結果的に請求額が高額になることがあります。

また、差額ベッド代や食費など、高額療養費制度の対象にならない費用がかさんでいる可能性もあるでしょう。

Q. 高額療養費の申請を忘れていた場合、後から返金されますか?

A. 診療を受けた月の翌月の初日から2年以内であれば、事後申請が可能です。

高額療養費の申請を忘れていた場合、期限までに申請すれば給付を受けることができます。

診療月の翌月初日から2年以内が期限になりますので、注意しましょう。

Q. 親の入院費用を子どもが立て替えた場合、医療費控除の対象になりますか?

A. はい、対象になる場合があります。

医療費控除は、納税者本人または「生計を一つにする配偶者やその他の親族」のために支払った医療費が対象となります。

そのため子どもが親と生計を共にしている場合、子どもが支払った親の入院費用は、子どもの医療費控除の対象として申告することが可能です。

まとめ

今回は、高齢者の医療費負担について詳しく解説しました。

年齢を重ねるごとに、長期入院のリスクは高くなります。

女性コンシェルジュ

入院が長引くとその分医療費の負担も大きくなっていくため、事前に民間の医療保険で備えておくことが大切です。

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監修者 ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

高橋 明香

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

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執筆者 保険ライター/2級FP技能士

橋本 優理

大学卒業後、ほけんの窓口グループ株式会社へ入社。約300組のライフプランニングを行い、保険販売業務に従事。その後、異業種にて法人営業を経験し、株式会社エイチームフィナジーで保険EC事業の立ち上げに参画。インターネット上で保険の無料相談ができるサービスの責任者として、自身も多くの世帯のライフプランニングを行う。2023年に株式会社モニクルフィナンシャル入社。経済メディア「LIMO」で300記事以上を執筆。現在は、より多くの人に、より気軽に、自分に合った保険の選び方を知ってほしいとの思いでコンテンツ制作や執筆作業に従事。 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、生命保険募集人資格、損害保険募集人資格保有。

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